2017年12月に閉店してしまった、「ビッグチェイス 富岡店」というドライブインがある。富岡店以外に何が存在していたのかは今となってはよくわからないが、とりあえず当時は富岡にしかなかったビッグチェイスというお店だ。
ここの何がすごいのかと言うとな、いいかよく聞けよ、何がすごいのかと言うとな、レトロ自販機があるんだよ。麺類とトーストの自販機だ。

ちなみに外観もなかなかにクラシックだ。生命反応が控えめで、入るのを一瞬躊躇してしまったほどだ。
僕はこのお店を閉店の数ヶ月前に一度だけ訪問している。今宵はそんな貴重な貴重な思い出を回顧したい気持ちなので、当時を思い出しながら執筆してみるぞ。
このドライブインは暗いぞ
日本5周目の最後の旅、その最後のスポットとして、僕はビッグチェイス富岡店にやってきた。のどかな山間部の県道にポツンと佇むドライブイン。それが僕の眼前に登場した。

日本5周目最後の立ち寄りという栄えあるスポットなのだが、これ営業しているのか?
窓ガラスは一面ブラインドが降りているか、すんごいモリモリした木立に隠されて中は全く見えない。ウェルカムオーラを全然感じない。むしろなんだか廃墟テイストが溢れているぜ。
駐車場は広いが、車はゼロ。どうしたどうした…。

看板、もともとは『ゲーム・軽食・自販機』と書いてあった模様だが、真ん中の『軽食』はほとんど見えなくなっている。黄色で書かれていたのが色あせたのか、緑字だったのが剝げ落ちたのかは知らないけども。

建物からは生気を感じないが、敷地内の看板の電子部分が稼働しているのできっとドライブインは生きているのだ。電子文字で『トースト自販機』と流れてきた。
そしてマスコットキャラはケンタウロスだ。珍しい。『ドライブイン富岡 ビッグチェイス』と書かれている。なるほど、そういう呼称もあるのか。
ところでここ、もともとは「オレンジハット系列」だったらしいよ。今も群馬県内にいくつか残るレトロドライブイン、オレンジハット。そこからどーのこーのして、ケンタウロスになっちまったらしい。
では入ろう。
恐る恐る建物のドアに手を掛けると「ギィ」と開いた。うん、営業している。

わぁ、やっぱ中も暗いや。せっかく窓は大きいのに、カーテンやら植木やらで隠れている部分が多いし、しかも節電レベルで照明暗いんだもん。でも僕はこういう、ちょっとアンダーグラインドな雰囲気は好きだよ。
ところで内装にはオレンジハットらしさを感じるね。特にこの白くて角ばった飲食ブース。

内部構造は、この手のレトロドライブインによくある、ゲームコーナーと自販機ブースのコラボ型。2・3人の、地元と思われるおじさんたちが黙々とゲームに興じている。外に車が無いので、徒歩圏内の人なのかな?
上の写真はコナミの音ゲー「beatmania IIDX」かね?2000年代前半のものだろうか?

ちょっと珍しく感じたのでターンテーブル部分を撮影した。稼働していないように思われ、電気が通っていないとなおさらレトロに見えるね。
ゲームコーナーの奥の方には小さな飲食カウンターがあり、暖簾がかかっている。どうやら軽食などをここでも出してくれるそうだ。ここの写真を撮らなかったことを、2026年現在も後悔している。
どうやらお金を崩したりも、この飲食ブースの人が担当してくれるそうだ。僕は小銭を切らしてしまっていたので、ここの人にお札を崩してもらった。
麺類もトーストも両方食う
本題、レトロ自販機だ。お金も崩したので小銭いっぱいだぜ。

このドライブインにあるレトロ自販機は、麺類とトーストの2種だ。どっちも食べたい勢いだ。
まだ朝の8時台なのであるが、起床からすでに4時間経過しており、いい感じにハラペコだ。それに、なんか本能が「今回食べておいた方がいいぞ。次回があるとは思わない方がいいぞ。」と警鐘を鳴らしていたので。そしてその警鐘は数ヶ月後に正しかったことが証明されたので。

まずはそば・うどんの富士電機製の麺類自販機。自販機にはいろんなステッカーが貼られてデコレーションされている。このお店が紹介されたと思われるTV番組の写真等が多いよ。
さらには『味の調節ができますのでお申し付けください』との貼り紙もある。そんなことしてくれるのか。自販機への愛を感じるし、仕事が丁寧だ。

まずは天ぷらうどんだ。そばもあるが、うどんをチョイスした。300円。
出てきたのは、大きなかき揚げがトッピングされたうどん。うまい。かき揚げは、イカやちくわ、エビの入った手作りなのだそうだ。愛情たっぷりかよ。
あと、ここは割り箸ではなくってちゃんとした塗り箸を使っている。珍しい。…むしろ、レトロ自販機で塗り箸は初めてかも。

続いてはトースト自販機だ。暗がりに煌々と光るネオンがいい感じ。本来この自販機は朱色なのだが、オリジナルのペイントを施してクリーム色にしているようだ。かわいいね。そしてこちらもステッカーがベタベタ。

下部の方を見てみると、スヌーピーのキャラクターがあしらわれている。
外観や内部の暗さからイメージした武骨さと、この自販機の可愛さやメニューに対する愛情のギャップよ。惚れていいですか?
ところでトングは、トーストが灼熱な状態で出てくるので素手で掴まなくてもいいように設置されているのだ。初心者のみんなは活用するがよろしい。

トーストメニューはてりやきピザベーコンとゴーダチーズピザの2種類で、どちらも230円。どちらもちょっと珍しいメニューだ。自販機トーストと言えば、定番はハムチーズなので。
全国で10数筐体しか存在しないレア自販機、かつレアメニュー。これはどちらも食うべきだね。

まずはてりやきピザベーコン。ちゃんとそれなりの量の肉が入っている。極限まで具を減らすことを常に考えている自販機トースト業界において、これはすごい。「僕、今日誕生日だったっけ?」ってなった。
てりやき味というより、マスタードが効いているなって感じた。ピリ辛で大変うまいのだ。肉も食べ応えがある。ぜいたくすぎる一品だ。

続いてゴーダチーズピザ。写真ではちょっと貧相に見えるかもしれないが、実際はそうでは無いぜ。
他のレトロトースト自販機がやっているようなハムチーズトーストのヤツとは違って、チーズにずっとコクがある!ピザっぽい!うまい!少量でも満足できる具材だ。
あぁ、ここ最高だなぁ。願わくば、またいつか訪問したいなぁ…。
おまけ:「桃山小林」を忘れるな
ビッグチェイスを訪れる直前、僕は「桃山小林」という自販機コーナーを訪問していた。そのときのことをここに書きたい。
なぜならすぐ近所であること、それとこの桃山小林を単独記事に出来るほどのネタはなく、今回の機会を逃すと一生語ることができなくなりそうだからだ。

結論から言うとここのレトロ自販機はもう稼働していないのだが、当時の僕はそれを知らなかった。ワクワクしながら「西毛運動公園野球場」の駐車場に車を停めた。
自販機コーナーは、この野球場に隣接して存在している。

ヤベェ!!バキバキすぎる!!これには僕も絶句した。
かつてはきっとグラウンドで汗を流した少年やその家族が、ここで自販機麺を食べたり喉を潤したりしたのだろう。そんな輝かしい思い出の片鱗がほぼ壊滅している。
いや、ここ安中市には「ピーバック安中」っていうここに負けず劣らずの外観の現役ドライブインもあるし、県内に「ジョイフル」というエキセントリックなドライブインもある。そのパイセンたちと同様に、ここも実は生きていたりしないだろうか…?
あ。その2つのドライブインが気になるなら上記のリンクから参照してみてほしい。どっちもブッ飛んでいるから、心臓弱い人は注意してね。
それと、上記2つもかろうじて現役ドライブインではあるが、どちらもレトロ自販機は非稼働だったことを思い出した。こりゃダメなパターンだ…。

全滅…ッ!
左から、ハンバーガー・ハンバーガー・麺類自販機だな。どれもレトロで貴重なものなのに、パネルが破壊されている。悲しいね…。
数年前までは、さらに貴重な星崎のレトロかき氷自販機もあったそうだ。非稼働だが。このかき氷自販機は僕の訪問時には稼働しているものはこの世に存在しなくなってしまった状態であった。後年神奈川県の「中古タイヤ市場 相模原店」のオーダーが復活させ、現在はそこではかき氷を楽しめるようにはなっているけどね。

ガッカリしてトボトボ立ち去ろうとした矢先、ふっと思い出してどこかに店名が書いていないか探し、撮影したのがこれだ。ボロボロの幌の一部のみが残っており、そこに『桃山小林』と書いてあり、店名を確認できた。
前述の破壊されたレトロ自販機たちだが、2021年頃に中古タイヤ市場 相模原店に引き取られ、そこで無事に復活を遂げている。胸アツな展開だよね。全国の壊れた自販機、閉店した店の自販機、全部中古タイヤ市場に行ってるな…。

ビッグチェイス富岡店もこの数ヶ月後には閉店してしまったし、時代はどんどん流れる。僕も日本5周目を終え、1つの時代に区切りがつく。
それでも、その魂はその後も脈々と受け継がれていくのだと信じているよ。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: ビッグチェイス富岡店
- 住所: 群馬県富岡市藤木793-2
- 料金: 天ぷらそば¥300他
- 駐車場: あり
- 時間: 9:00~23:00