「群馬県庁」は153.8mあり、東京都庁を除く道府県庁舎としては最も高い建物だ。しかも無料で展望フロアまで上がることができ、絶景を眺めながらのカフェまである。
…でここから何を見下ろすのかと言えば、眼下の「楽歩堂前橋公園」だ。公園内の池は群馬県のかたちをしているというユニークなものであり、しかも桜の時期は桜祭りまで開催しているのだ。

もうこれだけで結構情報量が多いよな。ワクワクしてきたよな。
では、そんな群馬県庁を訪れた、日本6周目の4月を振り返ってみようではないか。
群馬県庁
32階の展望フロア
県内の桜スポットを巡りつつ、夕方の16:30ごろに群馬県庁にやってきた。
ここまではガンガンにドライブして桜スポットを目り歩いてきたが、この時間になるとちょっと疲れも見えてくる。そんなタイミングで県庁の展望フロアでコーヒーでも飲みながら休憩したらいい感じじゃないかな、って判断したの。
今回は同行者もいるので、僕のペースで突っ走りすぎないのが好ましい。そういう実にイケメンなプランだったつもりだ。そう思い込みたい。

駐車場は少し混雑していたものの、特に待ち時間もなくすんなり入ることができた。
そして見上げる県庁。さすが154mの迫力はすごいな。デザイン自体はタワーマンションみたいな感じでスタイリッシュ。あまりひねりは加えていないシンプルなデザインなのだな。

これが32階の展望フロアへと運んでくれるエレベーターだ。
恐ろしくソリッドなデザイン。業務用の冷凍庫みたいだって思った。しかし中に乗り込むとシースルータイプのエレベーターであることに気付く。だから130mの上空へと近づくにつれてぐんぐんと足元の景色が遠ざかり、視界が広がっていく。あ、スゲーいいじゃない。

展望フロアに到着した。お、なんかオシャレ。フロアも天井も観葉植物をいい感じにあしらってあって、まるでカフェみたいな雰囲気じゃないか。
実はここ、2020年に大幅リニューアルしたばかりだそうなのだ。
官民共創コミュニティのためのスペース「NETSUGEN(ネツゲン)」、動画放送スタジオ、それから後述するカフェなどを配置したそうで。
地域のいろんな人がここに集まり、課題を出して議論し、未来の群馬を作り出す場にしたいという熱い思いがあるようだ。

正直、あまり意識高い系のことを抽象的に言われても、僕の弱い脳味噌では理解できない。
ただしなんだかコンセプトがカッコいいしフロアもカッコいいので、群馬の未来は明るいのだろう、とは思った。文字通り、ここが群馬を作るための"熱源"となるのだろう。

これが32階の展望フロアからの眺望だ。展望フロアは標高127mだそうだが、周囲には高いビルが全然ないので全てを見下ろすことができる。迫力がすんごい。
まずは「赤城山」がドカン、さらには「妙義山」や「榛名山」も視界に収まるナイスビューだ。
関東平野は果てしなく広大だから、「東京タワー」や「東京スカイツリー」も見えると話題になることがあるよね。僕は遠望についてはそこまで気にせずに、前橋の街並みを眼下に見下ろして「わぁ!」と言うくらいのレベルだったけど。

これは利根川に架かる全長280mの「群馬大橋」だね。4連アーチが美しい橋だ。夜にはライトアップもするそうだよ。そして川沿いには満開の桜だ。そんな光景を、西日がゆっくりと染めていっている。

気になったのが、すぐ足元にあるこのスポット。調べてみると楽歩堂前橋公園っていう名前らしい。どうやら広大な公園であり、その敷地内にて今まさに桜祭りが行われているようなのだ。
さらに調べると、この公園内の池のかたちは群馬県のかたちらしい。なるほど!言われてみればそう見えるぞ…!
大和屋のコーヒー
では、展望フロア内のカフェでコーヒー飲もうぜ。コーヒー飲みながら絶景を見下ろそうぜ。

カフェの名は「YAMATOYA COFFEE (ヤマトヤ コーヒー)32」。群馬県の老舗コーヒー屋さん「大和屋」の店舗が、2020年からここに入っている。炭火焙煎に拘った製法とのことだ。なるほど、32階にあるから店名の最後に"32"ってついているのね。
店内はオシャレだし広いし、そしてカウンター席は全面窓ガラスで、目の前にここからの眺望が広がるんだぜ。ここに来たかったのだよ。

来たかった理由は、実はもう1つあって。
旅友の「BLUEay」さんと北海道で一瞬合流したとき、お土産にここのコーヒーのドリップパックをもらって、それがおいしかったの。「群馬県庁の展望フロアにもここのお店が入っているんだよ」っていう情報をもらっていたので、機会があれば訪問してみたかったのだ。それが今叶った。

コーヒーの種類、たくさんある。"ぐんまちゃん"のパッケージのドリップコーヒーも販売されている。
ポピュラーな豆ごとのコーヒーもあるけども、群馬県の上毛三山(赤城山・妙義山・榛名山)の名前を冠したブレンドもある。では、今回はせっかくなのでブレンドをいってみようかな。

外の良く見えるカウンター席がある。このカフェにはソファ席もテーブル席もあるが、やっぱ展望フロアに来たからにはここ一択だろ、って思って座った。

コーヒー。そして購入したクッキー1枚。
右は"ミョウギコーヒー"。厚みのあるコクと後味の余韻を長く感じつ、どっしりとした印象の深入りブレンドだ。つまりは僕好みのビターなコーヒーだ。
左は"アカギコーヒー"。ほのかな甘みがあり、後味の余韻が長く続く、バランスの取れたブレンドだ。同行者からひとくちもらったが、確かにクセがなく飲みやすい。うまい。
なんでここまでスラスラとコーヒーの特徴がわかるのかというと、手元のカードを見てほしい。

こういうカードを添えてくれるの、嬉しいよね。ネーミングの由来となっている、妙義山や赤城山の情報も書かれている。どっちも行ったことあるし、どっちも好きな山だぜ。

これがカウンター席からの眺め。
「うね~」っとゆるやかな蛇行を描きながら地平線のどこまでも続いている利根川。ひたすらにフラットな関東平野なので、遠くまで川の流れが見えているね。そしてさっきも触れた群馬大橋。

そして、これまたさっきから気になっている前橋公園。賑わっている。
これさ、このままあそこに突撃してもいいんじゃない?群馬県庁の駐車場は2時間無料という神対応であり、まだ駐車してから30分も経過していない。あそこまでここから10分かかったとしても、1時間は充分にエンジョイできるんじゃない?
…だったら、暗くなる前に行こうか。あそこで夕日を眺めようか。

西の空に輝く太陽を眺めながら、エレベーターを降りて前橋公園へと歩いた。
楽歩堂前橋公園
西日に照らされる桜
そうそう、重要なことを言うぜ。今回の記事の舞台である県庁や前橋公園は、かつて存在し「徳川家康」には「ここが関東の華だね」とまで言われたけども、今では"幻の城"という呼称までついてしまっている「前橋城」の跡地なのだ。

あーだこーだあって戦国時代を乗り越えた前橋城は、江戸時代の初頭には天守閣も存在していたという。栄華を誇っていたのだ。
しかし、利根川が厄介だった。日本有数の暴れ川だもん。たびたび氾濫して流域を飲み込んでいた。そんなことを繰り返すうちに、前橋城の領地は利根川に削られてみるみる狭くなっていったのだ。なにその切ない現象。

頑張って修復したりお屋敷の場所をちょっと移動させたりして凌いでいたりもしたんだけど、江戸時代の半ばである1767年当時の城主である松平氏が「もうダメ。埼玉県の川越に引っ越すわ」って言ったことで廃城となり、天守閣を始めとした城内の建造物も取り壊されてしまったそうだ。
だがな、前橋城の悲劇はこれだけじゃ終わらないのだぜ。

江戸時代の最後の最後。廃城から100年が経つタイミングで、「前橋城を復活させようぜ」っていう話が持ち上がった。そして超例外的にその許可が下りたのだ。
理由は、「もし外国が江戸に攻めてきたときに、利根川をさかのぼれば前橋まで来れるよね。そしたらここでガッツリ守備を固めようぜ。」ってできる立地だからだ。第二の江戸城みたいな存在なのだ。
1867年、シン・前橋城が完成した。最新技術を取り込み、敷地も広大なすごい城だったらしい。外国と戦う想定だもんな、気合入れたんだな。
その半年後に江戸時代、終わった。すごいタイミングだ。

つまりは、明治維新による廃藩置県で、日本に残った多くの城が取り壊されることになったのだ。その筆頭にシン・前橋城が挙げられた。まだピッカピカの新居なのに。
…というわけで、完成からわずか4年でシン・前橋城は消滅したのだ。幻だ、まさに。江戸城のバッファというから、相当な巨費を投じただろうに、時代の流れはその城の存在を許さなかったのだね。切ないね。

今では前橋城の痕跡はほとんど残っていないという。県庁の敷地や公園内に一部の土塁が残っているのみだ。令和時代になってから石垣が発見されてニュースになったほどだ。徹底的に撤去されてしまったみたいだ。

さっきまでいた県庁を見上げる。さっきはあっちからこっちを見下ろしていた。
かつては県庁があった部分が本丸だったそうだ。姿は全然変わってしまったが、この地域の中心的存在であることは変わりないね。

群馬城が消滅した後、ここが公園として整備されたのは1905年のことらしい。
初代の前橋市長さんが、ここを市民の憩いの場にすることを計画。私費を投じて奈良の吉野から桜を持ってきて植えたのが、ここが桜スポットとなる始まりだったという。

350本の桜が咲く公園。城だった頃の名残と思われる小高い丘を見上げたり、あるいは丘の上から歩きつつ、城があった昔の時代に思いを馳せて見下ろすのは至福だ。
日が暮れてきて肌寒くなってきた風が、また哀愁を誘うしね。

土塁から見下ろす、群馬県のかたちをしているという「さちの池」。1959年(昭和34年)、今の上皇陛下・上皇后陛下のご成婚を記念して造った池とのことだ。
県庁から見てもバッチリ群馬県だとはわからなかったし、こうやって近づくとなおさらわからない。でもいいんだ。自分自身で確認できなくっても、きっとそれは事実なのだから。それが大事。
例えると、アポロ11号が月に着陸したかどうかは実際見たわけでもないけども、「行った」ということが事実とされていることが大事なのだ。

角度を変えてもう一枚撮影。
池のかたちはさておいて、祭りを楽しんでいる人が見えている。まだレジャーシートを敷いて花見をしている人もいる。日中はポカポカでレジャーシート勢も多かったろうが、この時間だと少しシンドくなってくるかもな…。

間もなく日が沈む。では、丘を降りて模擬店群に突撃しようか。
模擬店の焼きまんじゅう
最終章では模擬店についてご紹介しよう。

桜の咲く公園の中の広場。そこに模擬店が2・30店舗集まっている。
祭りと言えば、やっぱ模擬店だよね。食べる食べないは置いておいても、どんな模擬店があるのか気になるのだ。ニコニコしながら食べている人を見るのが好きなのだ。いや、僕自身も食べようとは思っているけどさ。

模擬店に囲まれたテーブル。多くの人がくつろいでいる。
その奥には、さっきこっちを見下ろした前橋城時代の土塁。気付けば随分長くなっている日も、徐々に終焉を迎えようとしている。穏やかな時間が流れている。

そろそろここも暗くなるのだろうが、そのあともライトアップが行われるそうだ。
しかし僕らはあとちょっとしたらここを出発して帰路につかねばならない。1店舗だけ、模擬店で食べ物を購入するぞ。それは焼きまんじゅうだ。群馬県のお祭りだもん、絶対に焼きまんじゅうがあると信じている。

僕は目ざとく焼きまんじゅうの模擬店を見つけた。群馬県に来たら、やっぱ焼きまんじゅうを食べたいのだ。群馬県名物なのだ。
夕暮れの時間でどこの模擬店もそこそこ空いているので、サクッと購入できた。

焼きまんじゅうは、蒸しパンみたいなフワッフワのまんじゅうに、濃厚な味噌だれを塗ったものだ。
別にまんじゅうの中にあんことかは入っていない。入っているタイプもあるけど。そんなシンプルなまんじゅうなのだが、うまいのだ。確実に口の周りがベッタベタになることだけはカクゴしないといけないけど。
同行者と1本を分け合って食べた。半分で満足だ。
ほんの3時間ほど前にガッツリ定食を食べていたので、全然空腹ではない。だけどもせっかくの祭りなので、腹ではなくって頭が食べたがっていた。それが満たされた。

最後に夕闇に染まる桜を眺めた。駐車場無料時間の2時間で、なんとも充実した体験ができた。今日のドライブの締めくくりが素晴らしいものになって満足だ。

2026年の前橋公園の桜は、4月2日現在で8~9分咲だそうだ。
例年よりも7日も早かったそうなのでちょっと記事を公開するのが遅くなってしまったが、あなたが急いで出掛ければ、ピッタリ満開の前橋公園に行けるのではなかろうか。
みんな前橋公園で花見をして、ついてに県庁の展望フロアでコーヒー飲めばいいと思うよ。僕もまたそういうドライブをしたい。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 群馬県庁
- 住所: 群馬県前橋市大手町1-1-1
- 料金: 無料
- 駐車場: あり
- 時間: 8:30~22:00