歴史的な神社仏閣がひしめく京都市の中心地から少し離れ…。京都盆地を形成する西の端に「嵐山」とか「嵯峨野」と呼ばれる風流なエリアがある。
嵐山と嵯峨野にももちろん違いはあるのだが、そこを説明しだすとややこしくなるし、このエリアのハイライトは徒歩でも気軽に歩き回れる範囲だ。だから、僕が日本7周目の晩冬に歩き回った思い出をまとめて少しだけご紹介したいと思う。

いやぁ、京都ってさ、改めて大人になってから訪れると心に響くものがあるよなぁ。日本の侘び寂び、ステキじゃないか。
…と書きたいところなのだが、実は僕はこの嵐山・嵯峨野エリアは生まれて初めてなんだぜ。京都中心部も宇治も複数回行っているけども、ここは後回しにしちゃってた。すまん。
渡月橋
とりあえず「渡月橋」の近くのコインパーキングに車を停めた。嵐山と言えば渡月橋と「竹林の小径」だと思っていたからだ。逆に言うとそれ以外のイメージはあまりないけども。

現地で撮影したMAPの、渡月橋と竹林の小径に赤丸をつけてみた。どうやらこの2つの距離は歩いて10分ほどらしい。ちょっとした散歩に適した立地だ。
それではまずは渡月橋からアプローチしてみようか。

Webやガイドブック等で昔から幾度も見てきた渡月橋が見えてきた。下を流れるのは「桂川」だ。
ただ、すごく正直に言うと見えた瞬間「あれ?こういう系の橋だったのか…」って少しだけテンション下がった。なぜかというと、橋の上を普通に車がブンブン走っていたからだ。
これは別に橋が悪いのではなくって僕の思い込みが悪いのだけども、勝手に渡月橋とは「歩行者のみが渡れる木製の渋い橋」みたいに思っていたのだ。カラフルな車や大型バスが続々と橋を渡っており、ちょいと現実に引き戻された。

んっと、車のいないタイミングでこういう角度で撮影すれば、ちょっとはそれっぽく見えるだろうか…。とりあえず伝えたいのは橋脚の信頼感よ。バスが何台通ろうともビクともしねぇぞ、この橋は。

多分このくらいの構図が正解。
背後に嵐山の山々を入れて、四季の移ろいがわかるような写真が代表的だよね。渡月橋もこのくらいの位置ならば完全木造っぽく見える。…だがゴミ収集車の往来が多いな…。雰囲気が一気に令和になる。
もともと渡月橋は西暦836年に架けられた、とんでもない歴史を持つ橋。
鎌倉時代には「亀山天皇」がこの橋を句に読んだり、中世の歴史の要所要所の重要な局面でも登場したり。京都の歴史の象徴の1つなのだろう。
そして今の橋は1934年に架けられた鉄筋コンクリートだ。パッと見ではコンクリートに見えないように、数々の工夫が施されているようだが。

渡月橋直前には琴きき橋跡の碑があった。
無知な僕は「昔はここにもう1つ橋があったのか?」って思ったけども、それはちょっと違う。琴きき橋っていうのは、どうやら場所を示す単語だったり、平家物語の1エピソードを示すワードのようだ。
平家物語に出てくるんだけども、「平清盛」が一番パワフルな時代、「高倉天皇」のお気に入りだった「小督局(こごうのつぼね)」っていう女性が清盛の怒りを買ってここ嵯峨野に身を隠していたのだよ。
で、高倉天皇がこの近辺をウロウロ探しに行って、小督局の得意だった琴の音が聞こえて居場所を突き止めたのだそうだ。味方だったからよかったものの、なかなかにセキュリティがガバガバだったねぇ…。「見つけてください」と言っているようなものだったねぇ…。

本題の渡月橋を往復渡る。
横から見るのならともかく、渡るとなると普通の橋感がさらにUPする。アスファルトの堅牢な橋だ。視点が変われば物事の印象も変わる。世の中、そういうもんだよね。

渡月橋と併行して設置されている「一ノ井堰」。古くはこの桂川の水を田畑に送り込むために設置された設備で、その歴史は5世紀まで遡るという。今もここを経由した水は、京都盆地で育つお米や京野菜に使われているんだって。

こういう堰を見つけた時に僕が毎回気になるのは魚道だ。それが向かって手前。
堰で完全に遮断されて魚が行き来できなくなったりしないように、隅っこに魚用の通り道がある。それが魚道。いろんなタイプがあり、気にしてみると楽しかったりするよ。
…されはさておき、さっきから写真にちょいちょい川の中を工事しているショベルカーが映りこむのだ。気付いたんだけども、渡月橋の風情に僕が「あれ?」って思っている一因が、きっとこれらのショベルカー。

さらに上流方面に目をやると、船乗り場がある。いい感じにレトロな雰囲気の船乗り場だ。渡月橋にはインバウンド始め多くの人がいるのに、あっちは誰もいないけど。そんなちょっと鄙びた感じも含めて、好き。

渡月橋を渡った先は「嵐山公園」と呼ばれるエリアである。桂川の中州だ。
その先には「嵐山モンキーパーク」があったり「法輪寺」があり、そしてさらにその先に山がそびえる。ただ、僕はそこまでは行かずに橋の向こうで折り返すとしよう。

橋の向こう側で振り返ったとき、遠くの山に少し雪が積もっているのが見えた。
いいね。冬の京都もいいもんだ。空気がピリッとしていて神聖な気がする。
竹林の小径
街を歩きながら
次に、渡月橋から竹林の小径までの徒歩10分ほどの道のりについて少し触れていこう。

渡月橋のたもとの「琴きき茶屋」前を走る人力車だ。人力車は渡月橋から竹林の小径の中まで、いたるところで見かけたよ。
特に竹林の小径では、普通の歩行者が入れないエリアにも入れる様子だった。その点はお得感がさらに増しているかもしれないね。ちなみに僕は人生で一度も乗ったことが無い。

嵐山駅だ。モダンな感じだが、街に溶け込んだデザイン。
ちなみにこれは京福嵐山本線の嵐山駅。渡月橋の向こう側には阪急嵐山線の嵐山駅もある。JRの嵯峨嵐山駅もあるし、ちょいと注意が必要だ。
ここいら、観光客がゾロゾロと歩いているんだけども歩道が脆弱だったりするし、すれ違うために車道に少しはみ出なければいけない箇所があったり。でも車も非常に多いのだ。
車道を縦横無尽に自転車で通行するアジア系インバウンドの人に対し、バスの運転手がバチクソにキレていたりした。わー、殺伐としているなぁ…。

「天龍寺」。庭園が非常に美しいお寺だと聞いている。境内の2つの茶室が冬季限定の特別公開中であり、1日数回に分けてツアー形式で案内してくれるのだという。
世界遺産登録30周年記念の初公開だというが、ひとまず僕はここはスルーした。1人でツアー形式のグループに混じるのもちょっと居心地微妙かもしれないし、時間を合わせる必要があるのでね。またの機会に来れることを楽しみにしているよ。

大通りから脇道に反れる。竹林の小径は、この先250~700m地点だという。
この脇道の序盤はお土産物屋やスイーツなどのショップが立ち並ぶ。傾向としてはインバウンドをターゲットにしているような、外国語表記の目立つ写真映えのするフードや、コテコテの日本風のものだ。

「それ、本来の京都とはちょっとズレているぜ…」って思いそうになったが、思い起こせば自分の子供の頃の修学旅行のときなんて、まさにこういうのにホイホイ引っかかって、食べたいものを適当に食べて、木刀とかキーホルダーとか思い出以上の価値はあまりなさそうなものを購入したりしたよな。
だから、インバウンドの人もそれでいいと思う。今は、初回は、思い出が何より大事。笑顔で旅を終えられるのであれば、それが一番。
静寂の竹林
そして竹林の小径だ。とても絵になる京都のスポットの1つだ。

うわぁ、歩きながら撮影したらいきなり盛大にブレた。ごめん。竹林の中でも一番絵になるエリアだったというのに。
この小径は、【「野宮神社」~先ほどの天龍寺の北門~「大河内山荘」】という感じに400mほど続いている。その起源は明確ではないが、平安時代にはここいらは貴族の別荘地だったらしく、そのころに庭園の一部として整備されたのではないか…と言われているそうだよ。

こんな道を淡々と歩く。竹がそよそよと揺れる音が聞こえる。景色はあまり変わり映えせず、正直どのようにこの工程を文字で表記できるのか自分のボキャブラリーの無さを痛感しているが、まさにそんな感じなのだ。
起伏無く、心地よく歩ける感じだ。ドラマティックな展開は無い。そんなもん、全然ない。

一般歩行者が入れない並行する小道を走る人力車が、竹林越しにチラリと見えたりした。風流。
まぁWebとかでこの竹林を検索するとすごく鮮やかな絵が出てきてさ、自分の写真とのギャップにちょっとショックを受けるのだが、リアルもリアルでいい。そしてたぶん、今は冬色。竹林も少し色褪せた色彩で落ち着いた雰囲気だ。

竹にズームした。このエリアには数万本ともいわれる竹が生い茂っているそうなのだ。すごい規模だ。そして高さもかなりある。上も周囲も、全てが竹。

ほんの少し時間はジャンプするが、付近には「竹林の散歩道」という同じような竹林スポットも存在する。
僕は竹林の小径の一部かと思ってテクテク歩いていたら、いつの間にかここに迷い込んでいた。どうやら2015年から一般公開されているという、比較的新しいスポットらしい。
2026年時点ではGoogleマップにも存在していないので、あなたももし興味を持ったら探してみてほしい。

竹林の小径との違いは、歩道が曲がりくねっていること。そして、その歩道の両脇に竹垣ができていないということ。竹林の小径が持つ特徴が無いので、京都っぽく無く見えてしまうかもしれない。
僕自身もカッコよさは竹林の小径の方が上かな…って思うけども、散策は楽しいぞ。

何より人が少ない。竹林の小径は静かとは言え、インバウンドの人を中心にそこそこの人数の人が歩いていたのだが、こっちは本当にポツポツしか人がいないのだ。穴場だ。歩けて良かった。
野宮神社
最後に、竹林の中に出てくる「野宮神社」とその近辺についてご紹介したい。

僕は事前知識が無かったのだが、『源氏物語 旧蹟』・『自由拝観じゅうたん苔』とか書かれていては、なんだか気になっちゃうじゃないか。
どうやら源氏物語の「賢木の巻」で登場するという歴史のある神社らしいね。でもすまん、源氏物語は僕、そこまでは詳しくなくってピンと来なかったよ。

これは日本一の黒木の鳥居とのことだ。
説明板によると、黒木の鳥居とは樹皮のついたままであるがゆえの黒い鳥居を指すのだそうだ。鳥居のタイプとしては最も原始的なタイプなんだって。"日本一"とは書いてあるが、現状では日本で唯一っぽいよ。
もともとは3年おきに"くぬき"っていう木を使って建て替えていたのだが、最近は鳥居に使えるようなくぬきが少なくなってきて。「もうヤベー、そろそろヤベー!」ってなっていたところ、香川県のとある会社が天然木のくぬきを寄進してくれたので、なんとかなったそうだ。
マジか。じゃあこれが朽ちたら、もうこれまでのような鳥居ではなくなってしまうのかな?

境内はコミカルで、かつなかなかに賑わっている。縁結びとか安産とか進学祈願とか、オールマイティに効果・効能があるそうだからな。みんな来るよね。
そんな境内のちょっと奥にひっそりと「じゅうたん苔」があった。

わぁ、いい。嵐山の光景をミクロに表現しているそうだ。つまりは左側に見えている白い石が桂川の流れを示し、そこに架っている橋が渡月橋だ。そして絶妙に波打った緑の苔のじゅうたんが美しいよね。苔は癒される。好き。
あと、脇には百人一首の句を書いた石碑が点在しているスポットなどあったのだが、話が長くなるのでそのあたりは今回は割愛だ。

これは野宮神社の境内のすぐ裏にある嵯峨野線の踏切だ。竹林の中の踏切…って感じの登場であり、多くの人がここで立ち止まって電車を待ったりしていた。僕がここに来た時は、ちょうど電車が来て踏切が閉まったよ。

そして撮り鉄でもないのだが、来た電車の写真を思わず撮ってしまう。
…はい、こんな感じだ。渡月橋・人力車・竹林・野宮神社…。次々出てくる京都らしい絵を少しずつ楽しみながら散歩した、充実した時間であった。Webでよく見るほどに美しい写真は撮れなかったけども、どれも映えるのは事実。
そしてそれを五感で味わえたことは至高であったぞ。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 竹林の小径
- 住所: 京都府京都市右京区嵯峨小倉山田淵山町
- 料金: 無料
- 駐車場: コインパーキングあり
- 時間: 特になし