釜石市の住宅地。そこにポツンとたたずむコインランドリーに、ハンバーガーのレトロ自販機がある。
レトロ自販機と言えば、ドライブインや商店やゲームセンターなどに残っているケースが多い。コインランドリーとは、なかなかにレアな事例だ。気になる。

…そう考えて岩手県を目指してから、10年ちょっとの月日が経った。
その間に訪れた回数は3回。大きくは変わらないが、少しだけ変化もあった。そんなささやかなリポートをお届けしたいと思うのだ。
早朝の釜石市で発見した自販機
今回ご紹介するのは「コインランドリー090」。”090”で”センターク”と読むそうだ。なぜなら数字3桁のセンターに"9(ク)"が入っているからだ。もちろん"洗濯"とかけている。
センターに"9"を入れるのであれば、"191"でも"795"でもいいんじゃないかっていう気持ちも1ミリくらい生まれるかもしれないが、今はその疑問は水に流そっか(洗濯だけに)。

ちなみに釜石で巡ったもう1店舗のレトロ自販機スポットは、「928」というお店。これで"くにや"と読む。
勘のいい人は既に気付いたかもしれないけども、どちらも運営母体は同じだ。928(くにや)についてはまたいずれ別記事で執筆するので心待ちにしておいてほしい。

これが、僕が初訪問時に撮影したコインランドリー090である。釜石市の中心地から国道45号を少し南下し、平田駅から西側の住宅地に入って来た。のどかな川沿いのコインランドリーだ。
ここまでは普通の住宅地であり道がやや狭く、かつ朝の時間とあってこれから仕事に出掛けると思われる人が国道方面に来るので、対向車がやや多く擦れ違いが怖かった。
店の前は道がさらに狭く、さらに駐車場がない可能性もあると考えた。そこで近くの空き地に愛車を停めてから歩いて向かった。近隣住民しかいない平日の早朝の住宅街を旅人の僕がフラフラ歩いているのは異様かもしれないけども、しょうがない。

こうしてたどり着いたのが、このコインランドリー。黒を基調としたオシャレなデザイン。この住宅地の中で異彩を放っているような、シャープな存在だと感じた。
その横に、お目当てのハンバーガーのレトロ自販機が設置されている。

僕はウキウキしながら駆け寄ったのだが、残念ながら売切れであった。
メニューボタンは3種類あるものの、中身はすべてチーズバーガー。値段は200円。早朝過ぎて、昨日消費された分が補充されていない状態だったのかな?
実はさっきの928(くにや)も空振りに終わったので、僕はちょっと打ちひしがれた。朝6時の住宅地でちょっとヘコんだ。だが、旅に宿題はつきもの。また釜石市を訪れる日を楽しみに取っておこう…。
梅雨の朝のチーズバーガー
2年ほどの月日が流れた。僕はリベンジのために再びあの住宅地を訪れていた。
梅雨シーズンの早朝。さっきまで小雨が降っていたが、ちょうど止んでくれてありがたい。

前回とは別角度から撮影した。前回も存在していたのだが、向かって左側には「お休み処129」という建物が存在している。
さーて、ここであなたにクイズだ。"129"でなんて読むと思う…??
答えは"いっぷく"である。コインランドリーで洗濯をしている間に一服できるための施設だね。
ハンバーガーを買った後はここで食べることもできるだろう。もっとも、今回は先客の人がいたので中で食べるのはやめておこうかなって思うけど。

前回と同じように、建物脇に設置されているレトロハンバーガー自販機。変わりなくってよかったぜ。
…で、今回は在庫あるのか…?前回と同じように早朝の訪問なので、とても心配なのだ。その結果次第では、このパネルの何とも言えな表情のじいさんが、天使にも悪魔にも見えるであろう。ドキドキしながら接近する…。

ギリギリあった!3つあるボタン、今回も全部チーズバーガーなんだけど、うち2つは売り切れ表示。ラスト1つだけは商品が残っていたのだ。セーフ!!
200円を入れてボタンを押すと、中でハンバーガーが温められる。そして1分ほど待つと、下の取出し口にゴロンと紙の箱が出てくる。

温かい紙の箱。ありがたみが温度として僕に伝わってくる。
気合の入ったデザインで"特製"とか書かれているが、この箱自体は汎用的なものであり、ハンバーガーはそんな青天の霹靂レベルでないことは知っている。
だけども、前回からの2年越しのリベンジ、そしてレトロ自販機全制覇を目指す僕にとっては特別な体験以外の何物でもない。つまりは特製だ。

では、早速車に持ち帰って食べてみよう。前述の通り小さな小さな休憩施設には先客がいるし、外はいつ雨が降ってきてもおかしくない天気なので、車内で食べるのが無難。
箱を開けるとちょっとフニフニしてシワの多いバンズ。自販機バーガーの王道のビジュアルである。少しだけ温めムラがあるのも愛嬌である。

中にはわりと厚めのが挟まっている。そしてちょっとだけチーズ。味自体は既製品の域なので感動するレベルではないが、それなりにおいしいとは感じる。
大事なのは、レトロ自販機がこの時代でもまだ生きていること。それに200円を入れるだけで、こんな早朝でもアツアツのハンバーガーが食べられること。そういうことだ。
こんなものが、まだ世間にコンビニやマクドナルドが浸透する前からあったんだぜ。そのありがたみは、今の僕の3倍くらいであったであろう。
2025年、ピザバーガーの衝撃
またまた時が流れた。結構流れた。今年である2025年の秋、僕はここを再訪する。

懐かしき、住宅地の中の車道。
今の愛車は小ぶりで小回りがバツグンなので、前回までは避けていた狭路をグイグイと進み、直接店舗を目指した。これまでは近所の空き地に駐車していたが、専用の駐車場が無いわけはないだろう、って確信している。

うん、このように店舗のすぐ隣にちゃんと駐車場があるのだ。こちらに停めた方がいいに決まっている。前回まではきっと僕、存在に気付いていなかった。
なぜかタバコ自販機の使用を強く進めてきている。令和の時代に珍しいアピールだ。

実は10年程前の初回訪問時の写真にも少し移っているのだが、コインランドリーの後ろには「928AP」という名前のアパートがある。
もちろん928(くにや)が運営しているアパートなのであろう。ゴミ捨て場のデザインが中二病のハートに深く刺さりそうな色彩である。僕、もちろん好きだぜ。

建物のデザインがバージョンアップしている!!
目を引くのは、黒猫をかたどった看板に"090"と書かれている点だ。"9"の部分が強引すぎるけど、大丈夫かな?あと、猫の耳が屋根からはみ出している点、芸術点が高いと思った。
吹き出しの『使用料安い!!』・『高級洗剤自動投入!!』も、なんだかほほえましい。

角度を変えて、お休み処129もしっかり入れて撮影。全体的に、壁面の情報量が増えたよね。129の上部の看板部分にフォーカスしてみようか。

ビンコーラやポップコーン自販機、たばこ自販機等がところ狭しと並べられていて、くつろげるほどのスペースがあるかどうかは微妙な状態。しかしいずれも貴重なものであるのは事実だ。ありがたい。
それと、右上に『レトロな自販機』と書かれているが、ハンバーガー自販機だけはここではなくって前章までの通りコインランドリーを挟んだ逆側に存在しているので注意が必要だ。

これが129の内部だ。狭すぎて何が何だかわからない写真となった。日本一小さいオートスナックを自称していた。
ちなみにポップコーンは200円。京都発のポップコーン自販機だそうだが、これには僕は詳しくないので、これ以上の説明はできない。それと、実はつい先ほど系列店の928(くにや)で同じ機種からポップコーンを購入したので、もうここではポップコーンは買わない。

レトロハンバーガー自販機との再会。
左の壁には黒猫が踊っている。看板とコンセプトをそろえたのかな?…って思ったら黒犬までいて、「なんだこの新キャラは…!?」ってなった。

おぉ、メニューが一新されている!
ベーコンマヨバーガー・ピザバーガー・チーズバーガーで、いずれも300円だ。今まで食べたことのないハンバーガーを購入できるのはありがたいぞ。しかも売切れランプはどれにもついていないので、選び放題だ。

メニューボタンの下にテプラが貼ってある。
なるほど、「ガレージいじりや」がここのハンバーガーを提供するようになったのか。レトロ自販機のハンバーガー向けにクオリティの高いハンバーガーを製造して届けてくれる業者さんだ。そりゃ信頼できるし、300円という価格にも納得だ。
ちょっと考え、今回はピザバーガーを選択した。

どこで食べようか考え、コインランドリーの前に設置されている屋外のベンチで食べることにした。
129はちょっと閉塞感があるしなぁ。猛暑続きの2025年の夏~秋が一段落し、外で食べてちょうどいい気候なのだ。田園を眺めながらハンバーガーを食べるのもいいじゃないかと思ったのだ。

いじりやハンバーガーの特徴は、バンズがふわっふわだしパティがコロンとしていて非常に分厚いこと。1つ食べるだけでかなりの満足感があるのだぞ。
ピザらしさは、ちょっと酸味のきいたケチャップとチーズかな…?チーズバーガーとの違いが気になるが、それでもとてもおいしい一品であった。

このちょっと先は山が広がる、袋小路の小さな住宅地で10年以上、コインランドリーを営みハンバーガー自販機を維持し…。
いろいろ大変なこともあると思うが、こうして3回も来れて満足だ。そして、バージョンアップしていくお店のデザインにも自販機メニューにも、嬉しい思いだ。
またいつか再訪した際には、どんな光景が見られるかな?どんなハンバーガーを食べれるかな?楽しみ。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
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