週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.519【青森県】レトロ自販機の「ルックワールド」!稼働していた頃の思い出を語りたい!

十和田市には、ちょっと前まで「ルックワールド」というドライブインがあり、そこには短い年数だけどもレトロな麺類自販機が設置されていたんだよ。2013年の末から2016年の初頭までという短い寿命であったが、その期間内に僕も食べに行くことができた。

 

 

そのほぼ向かいには「十和田ドライブイン」があって、十和田市ご当地グルメであるバラ焼きが絶品だったのだが、そこも2025年8月末で閉店してしまった。

 

 

うーむ、切ないねぇ。かつては「どっちも食べたい!悩む!チクショウ両方行くか!」みたいな贅沢な悩みがあったというのに、今はどっちもないんだぜ。

…なので今回はほぼ向かい合うこの2店舗のことを同時に取り上げる。あぁ、またあの日に戻りたいな。

 

 

まだ両店が存在していた時代のこと

十和田ドライブイン

 

「バラ焼き?知らん」。僕は痛む膝をさすりながら旅友の「FUGA君」にそう言った。

十和田市内にある「法量のイチョウ」っていう、日本で4番目か5番目に大きなイチョウの木を見て興奮してダッシュして、そしてハデにコケた矢先さ。これ、僕でなかったら痛みに耐えかねて泣いていたと思うぜ。

 

まぁ膝の痛みはさておき、市内に十和田ドライブインというFUGA君が何度か訪問しているスポットがあり、そこのバラ焼きが絶品だというのだ。ならば行こうか。肉や野菜を炒めるそうなので、うまい以外のビジョンが見ないし。

 

バラ焼きパーティー1

着いた。まさに王道のドライブインっていう感じのエクステリアだ。飾りっ気はないものの、「きっとうまいのだろうな」って感じさせてくれるオーラを纏っている。ましてや全国を走り回るFUGA君の紹介とあらば間違いはなかろうて。

 

バラ焼きパーティー2

中もアットホームな雰囲気。古さは否めないが、清潔感がある。

50年ほどの歴史があるそうだ。50年間もドライブインとして、付近を走るトラックドライバーさんなどの胃袋を満たしてきたってことだね。期待むんむんである。

 

バラ焼きパーティー3

バラ焼き2人前を注文したら、肉と野菜てんこ盛りの鉄板がコンロに乗って出てきた。あとは自分で焼きながら食べるのだそうだ。

さらにはご飯・みそ汁・漬物、そして小鉢2つもついてきたぞ。これはちょっとしたパーティー。「あれ、僕って今日が誕生日だったかな…?」ってくらいのおめでたいテーブルが出来上がった。

 

バラ焼きパーティー4

具材は牛肉とタマネギ。焼けたら甘辛の醤油ダレで味付けして食べるそうだ。

具材といい味付けといい、これは牛丼ですな。とてもおいしい牛丼。普段牛丼チェーンでランチを済ませている僕としては、これは好きな系統の味の最上位に君臨する。もう匂いだけでたまらん。

 

うん、だから下部に写っている僕の割りばしをよく見てほしいのだが、もう焦って割っているから割りばしが変なかたちに崩壊したよ。落ち着け。そして肉はFUGA君に焼いてもらえ。

 

バラ焼きパーティー5

どうやらバラ焼きの発祥は戦後間もない三沢市らしい。十和田市ではないのだ。お隣の三沢市だったのだ。

だけどもバラ焼きで盛り上がったのはここ十和田市で、"バラ焼きの町"を名乗り、現状では80店舗くらいもバラ焼きのお店があるんだって。おぅ…、それ聞いて三沢市、どんな気持ちだよ…。

 

うまい。ご飯がバカスカ進む。しかしボリュームすんごい。最後の方はFUGA君と譲り合いになりつつも、なんとか完食できた。最高に幸せな満腹状態だ。バラ焼き、また食べたいしこのお店にもまた来たいな。覚えておこう。

 

 

ルックワールド

 

満腹なのは重々承知だ。その件は僕が一番承知している。だが、気になることがあるのだ。それは、このお店の目と鼻の先にレトロ自販機を有するドライブインがあるであろうということ。僕はそっちも気になるのだ。

十和田ドライブインから国道4号をキョロキョロ見渡すと、あった。普通にすごく近くだ。数10mしか離れていない。

 

満腹からの試練1

ルックワールド前にやってきた。いいね、十和田ドライブインに比べてさらに2段階くらいレトロ寄りにギヤが入っているね。看板の文字、剥げかけてボロボロじゃねーか。

向かって左には『AUTO CONVENIENCE』、右には『GAME ZONE』と書かれている。どこがどうコンビニエンスなのか、少々気になる。

 

満腹からの試練2

国道沿いの看板には『オート24』って書かれている。24時間営業ってことかな?

さっきの食堂主体の十和田ドライブインとは異なり、自販機やゲームを中心に取り扱っているドライブインなのだろうな。それぞれのかたちで、国道4号を行き来するドライバーさんのニーズを満たしてきたのであろう。

それでは、店内に入ってみるか。

 

満腹からの試練3

お目当てのレトロ自販機、早速あった。

外に『熱烈歓迎』の幟が立っていたにも関わらず、店内はあまり何もなくってポツーンと自販機スペースがある感じ。僕ら以外には誰もいない。外観から予想はしていたけども、ちょいと寂れてきてしまっているのだね…。

 

このとき、もっと店内の全容の写真を撮っておけばよかった。満腹で思考が回らず、そこまでできなかったことが2025年現在も悔やまれるよ。

 

ここは昔は麺類自販機だけではなく、ハンバーガー自販機や川鉄製のカレーライス自販機もあったらしい。川鉄カレー自販機は現在稼働するのは世界に1つ、神奈川県にしかないので、もしそれが現存していたらすごい価値だったろうなぁ…。

時代の流れと共にどんどん自販機が壊れ、自販機もドライブイン自体もニーズが少なくなってしまったことが窺える。

 

満腹からの試練4

さて、この富士電機製のレトロ麺類自販機、なかなかに綺麗な状態ではなかろうか…。

調べたところ、県内の二戸にて2013年秋に閉店した「オートレストランジャンボ」の自販機を譲り受けたのだそうだ。ジャンボのレトロ自販機、廃棄にならなくってよかったね。

 

それでさ、つい10分前までバラ焼きを食べていて腹9分目を少し超えているくらいの際どい状態だけども、僕はここの麺を食べてみようと思うよ…。

FUGA君は「マジかよ」みたいな顔をしている。僕は「こういうレトロ自販機は巡り合ったときに食べておかないと、稼働停止しちゃって後から後悔するパターンになるんだよ。ここのもそうなっちゃうそうな予感がしてね…。」と言った。

 

満腹からの試練5

メニューは天ぷらそばと天ぷらうどんであり、どちらも260円である。安い。

僕はうどんを選んだ。コインを入れて10数秒でうどん登場だ。わぁ、なんか天ぷらがすんごい。大きいのか、それとも溶けているのか。いずれにしてもダイナミックで麺がほぼ見えない。

 

満腹からの試練6

うどんはここで食う。ドライブインの広い空間に小さなテーブルがポツンで、イスが2つだ。うどんをストイックに食いたい人に向いている。少し引いた位置から見たら、ここでうどん食う人はシュールに映ると思う。

FUGA君はうどんそば、買わないそうだ。懸命だ。満腹なのにうどん食う人の方がだいぶおかしいので。

 

満腹からの試練7

なぜか割りばしにピントが合ってしまってブレたが、これが一期一会のルックワールドの天ぷらうどんである。先ほど僕は「巡り合ったときに食べておかないと…」と言ったが、まさにその通りとなる。もう二度とここでうどんをすすることはできないのだ。

だからこのときここで食べておいてよかったと思っている。

 

満腹からの試練8

当時の手記を見ると、『味はまぁ普通で可も無く不可も無く。満腹だから、そりゃありがたさも半減しちゃうよね。』って書いてあった。

この正直者め。可も無く不可も無くであっても、もうちょっと具体的に味の特徴をコメントしろ、って思った。もう2025年現在は味の記憶がないのだから。

 

 

2025年現在はどうなったのだろう

夕闇のルックワールド探索

 

あれから結構時間が流れた。あの2店舗はどうなっているのであろうか…。

2025年夏に調べた限りではルックワールドはあのあと間もなく自販機が故障し、ドライブインとしても廃業してしまったが、建物は解体されずに残っているという。

十和田ドライブインは元気に営業している様子だ。

 

夕暮れルックワールド1

ルックワールド跡地には2回訪問している。夕闇の時間帯と日中だ。まずは時系列的にも先に訪れた、夕闇の方からご紹介したい。

 

ルックワールドのレトロ麺類自販機は、2016年の初頭に故障したと聞いている。その後、2022年くらいに故障した自販機も撤去され、それと同時期に廃業したそうだ。

 

…日没からだいぶ時間が経過してしまい、日が短くなってきた初秋の空を恨むとともに、「もう建物も暗くてまともに見えないだろうな…」と残念な気持ちで現地に到着した。…しかしだ。

 

夕暮れルックワールド2

なんと、ルックワールドの左半分に照明がついているのだ。これは知らなかった。Googeマップ上でも閉業ステータスになっているのに。

これがもし日中の訪問であれば、廃墟だと疑わなかったであろう。だがこの時間の訪問だからこそ、照明の有無で建物の生命反応を確認することができたってわけだ。

 

夕暮れルックワールド3

ドキドキしながら建物に近づく。ここはドライブインである。Webを調べれば廃業していると知ることができるだろうが、仮に何も知らずに訪れた人にとっては、現役のドライブインなのである。だって照明ついているんだもん。

…であれば、中に入ろうと思うのは不自然なことではないよね…?僕はドアに手をかけた。

 

夕暮れルックワールド4

施錠はされていなかった。かつては自動ドアだったのかもしれないが(前回訪問時に自動ドアだったかどうかも覚えていないが)、事実としてドアは手動で開いた。

僕は時間が止まったドライブインの中に立っていた。うん、文字通り時計も止まっていた。

 

夕暮れルックワールド5

ここで気になるのは、店内にいくつかある自販機。その中の1つでも稼働しているのであれば、それは客が訪問してくることを意識しており、そして自販機を管理している業者さんも出入りしているという証明となる。つまりは「営業」が確定となる。

そんな淡い期待をしつつ自販機を見て回ったのだが、どれも稼働停止していた。

 

夕暮れルックワールド6

商品の陳列されたガラスケースを眺める。ドライブインがまだ現役だったころの売れ残りなのだろうかね…。豊富とは言えない品揃えに、ちょっとセンチメンタルな気持ちになる。

 

夕暮れルックワールド7

ぬいぐるみたちも、誰にも買ってもらうことができず、明るい表情とは裏腹になんだか悲しさを秘めているような顔。つぶらな目が僕に何かを語りかけているようにも感じる。彼らにとって僕は久々の人間なのだろうか…?

 

夕暮れルックワールド8

一度外に出た。ドライブインの向かって右側は、確かゲームコーナーだったはずだ。

そちらは完全に照明が落ちている。試しにドアを触ってみたが、こちらは施錠されていた。そしてガラス戸には「貸店舗」の貼り紙があった。

中の様子が気になるが、真っ暗なので何もわからない。これについてはもう夜になってしまったことが裏目に出たな。失敗失敗。

 

うーむ…。裏を返せば、やはり左は貸店舗ではなく、現役なのか?

 

夕暮れルックワールド9

気になる点と言えば、この駐車場の一角に販売用の中古車が何台か展示されているという点だ。ただしこのドライブインの施設を中古車販売の事務所等として使用している形跡はない。

こういうところって、展示されている場所と事務所が少し離れているケースもあるもんねぇ。結論として中古車販売とルックワールドは直接的な関係は無いんじゃないかと考えた。

 

夕暮れルックワールド10

右側店舗のさらに右の方に回ってみたら、照明のついている小さな小屋が!

僕は色めき立ったが、これ、いかがわしい本だかDVDだかグッズを販売する、R18の小屋だ…。中は覗いていないけども、入口の掲示物でそうだとわかった。

 

これがルックワールドと関連するのかは知らない。半分廃墟みたいなドライブインの、普通の角度では見えないようなところにある小屋に気付く人がいるのかどうかも知らない。

それでも、完全に建物が死に絶えたってわけではないことは、少しうれしかった。やっぱ自分の足で来てみるものだなぁ。Web情報ではわからなかったよ。

 

 

さよなら十和田ドライブイン

 

日を改めて、日中に訪問してみたときのことをエピローグ的な位置づけで記載しようと思う。

 

十和田ドライブイン、閉店1

十和田ドライブインと「北野ドライブイン」。僕は北野ドライブインには行ったことがなかったが、3年ほど前に廃業してしまったと聞いている。

僕の目的は十和田ドライブインだ。ここで、あの時感動した絶品のバラ焼きを食べたいのだ。…しかし妙に閑散とした駐車場に胸騒ぎがした。細いロープで敷地が囲われているし。

 

十和田ドライブイン、閉店2

近づいてみると、どうやらここも廃業してしまったそうだ。

しかも2025年の8月末に。訪れるのが3週間ほど遅かったのだ。まだGoogleマップでも「営業中」と書かれていて、ウキウキしながらやってきたのに。

60年続いたドライブイン、廃業に3週間間に合わずだ。あぁ…、隣の北野ドライブインと言いルックワールドと言い、ドライブインの廃れっぷりに切なくなるぜ。

 

そしてルックワールド1

続いてやってきたのはお馴染みのルックワールド。明るい時間に右側部分の店内を確認したかったのだ。

…で、明るい時間だからこそ外壁に書かれた店名などのロゴがガッサガサに消滅してしまっている旨をよく確認できた。廃業と共に剝がしたのか、経年で剝がれたのかは知らないが、なかなかにボロくなってしまったねぇ。

 

そしてルックワールド2

右側店舗内をガラス越しに確認してみた。かつてはゲームコーナーだったエリアも、今はほぼ全てのゲーム機が撤去されている。ただ、ポスターはいつくかそのままだし、イスはそこそこの数が残っている。なんだかわからない機械類もあるぞ。

まだ汚れ切ってはいない店内や、三脚などがある雰囲気からして、もしかしたら撤去作業が現在進行形で進んでいるのかもしれない。

 

そしてルックワールド3

「たー坊」懐かしいな。その下にはなぜか2台だけスロットマシーンが撤去されずに残っていた。『たのしいことがいっぱいだ』が、とても皮肉に思えた。

 

結論として右側は完全にクローズしているし、照明のついていた左側も自販機は非稼働。だけどもね、店舗前に設置されていた自販機はまだ稼働していたんだよ。その自販機で僕は缶コーヒーを購入した。

僕、最後にルックワールドで買い物をしたよ!ルックワールドを利用したんだよ!

…その事実を作れて満足だ。(「アダルト小屋で買い物すれば良かったじゃん」とか言わないでね…)

 

そしてルックワールド3

それでは国道4号十和田市の北のエリアに眠るドライブインたちよ、安らかに…。

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: ルックワールド
  • 住所: 青森県十和田市大沢田池ノ平124-2
  • 料金: 天ぷらうどん¥260他
  • 駐車場: あり
  • 時間: 24時間営業