鳥取県最西部をドライブする際に「弓ヶ浜」を眺めるのは、とてもいいスパイスになるよね。
「米子空港」を掠めながらスイスイとほぼ直線の道が続く国道431号だが、その脇には白くて綺麗な砂浜が広がっているのだ。

実はここは日本一大きな砂洲とも言われている。
正直ここを砂洲だと意識したことすらなかったのだが、本当に砂洲なのだろうか?そしてもし砂洲だったとするならば、本当に日本一なのだろうか?
僕が複数回アプローチした記録と共にご紹介していこう。
凍えながら見た朝日
「弓ヶ浜展望台」。国道431号を走っているとそう名付けられた交差点がある。そこから海側に入っていくとすぐに無料駐車場があり、目の前に砂浜が広がるのだ。結論、僕は弓ヶ浜と言えばそこが一番好きだ。

そんな弓ヶ浜であるが、かつて初回訪問したときにはどうもピンと来なかったんだけどね…。それがこのときの写真だ。梅雨時の朝だったのだ。天気は今にも雨が降りそうなほどのドロドロであった。

ドロドロではあったが、この後目指すこととなる島根県の「美保関」が水平線の向こうに見えており、そこだけ雲が切れていてなんだか壮大な景色に感じた。
この光景を見ながら僕は、さっき買ったマクドナルドの朝マックのマフィンを食べた。

あと、敷地内に生えている木がとんでもなく曲がっていたので驚いてマフィン落としそうになった。ここまで曲がってしまうほどに風の強い地域だということだろうか…。
…っていうのが初回の思い出。少し時間が流れた日本4周目、僕はここで最高の朝日を見たのだ。4月上旬の寒さで凍えながら。

朝の5:30の弓ヶ浜だ。僕はここからちょっと南の大山エリアで車中泊をしていたのだが、たぶん夜中は気温マイナスだった。すんごい寒かった。今も寒い。写真の右奥に見えているのが「大山」だ。良い山だよね。山陰を代表する山。
こうして震えながら朝日を待つのってすごくエモいよね。あぁ、早く出て来い太陽。

割とすぐ朝日出てきた。待ちわびることなく、数分ですぐに「ポンッ」って出てきた。
そうなのだ。実は逆算していたのだ。これから島根県の美保関に向かうのだが、このあたりで朝日が出るであろう、そして以前にマフィン食べながら眺めたスポットがあったよなって思い出してここに来たのだ。時間バッチリ。

前回はあまり気に留めなかった東屋だが、こうやって朝日と共に眺めるとなんて絵になるのだろう…。
ところでここは"弓ヶ浜展望台"という名前だが、どこが展望台なのだろう?この東屋が展望台なのだろうか?"台"と呼べるような人工的な設備も天然の丘も無いのだが。昔は高い展望台でもあったのだろうか…?
でも、それでも現状での海岸の展望は素晴らしいけどな。

空を真っ赤に染めながら太陽が昇って来る。日に照らされ、ジワッと僕の体温も上がってくるのを感じる。太陽は偉大。一気に世界が暖まるように感じるよ。

遥か彼方、水平線に突き出る美保関。僕は再びあそこへと向かう…!
弓ヶ浜公園を散策する
では次は、同じ弓ヶ浜で国道431号沿いではあるが、2kmほど南にある「弓ヶ浜公園」について少し触れてみよう。

日本6周目でここを訪問した。
いやぁ、ここだけの話なんだけどさ、実はここを目指してはいなかった。いつも通りの弓ヶ浜展望台に行こうとしたら勢いあまって近所のこの公園に来ちゃって「あれ?」ってなった。

そして園内MAPを見た。なかなか広いしスペック高くね?
「弓ヶ浜わくわくランド」と書かれたエリアがあり、そこには観覧車もあるというのだ。さすがに観覧車には乗る気はないが、駐車場も園内も無料の公園だし、今は気候のいい春だ。せっかく縁あってここにたどり着いたのだから、ちょいと散歩してみてもいいだろう。

でもさ、鳥取西部の方はご存じかと思うけど、観覧車なかったわ。園内MAPの看板がかなり古かったのだ。
実はここはかつて弓ヶ浜わくわくランドという遊園地だったそうなのだ。そして直径40mもある巨大な観覧車もあった。鳥取県では唯一の観覧車だったそうだよ。
だけども入園者の減少と老朽化の影響で、2006年に閉園してしまった。すごい過去だ。もう20年近くも過去の話だった…。

今は巨大な芝生広場、遊具、バスケのコートやスケボー広場などのある開放的な公園になっている。遠くからは子供たちがキャッキャする声も聞こえてきている。犬の散歩やピクニックにうってつけの公園となって第2の人生を歩んでいるようだ。

あ、藤棚もあった。まだ花があまり枝垂れていないけども、この先グングン成長して垂れ下がってくるのだろうな。僕は何気に藤の花が好きなのだが、ちゃんとシーズンに見たことがない。いずれ藤のスポットを訪ねてみたいものだ。

でも芝生公園を歩いていただけでは鳥取感を味わえないので、やっぱ海に向かおう。この公園は海に面しているので、海を目指す。つまりは弓ヶ浜を目指す。

あぁ、いい!!この松の木越しの日本海!日本の海って感じ!
実はこの弓ヶ浜は「日本の白砂青松100選」にも選ばれている、松林のあるスポット。かつて防風林として植えられた松が、この美しい情景を生み出しているのだ。

「とはいえ、ちょっと松がまばらだな…」って思って調べたところ、どうやら2011年にすさまじい大雪があり、その際に6000本近い松が被害を受けてしまったそうなのだ。それは残念…。
だが、地元の団体が再生プロジェクトを発足して頑張ってくれているそうだよ。それは嬉しい話。

そういえば弓ヶ浜展望台に初回訪問したときに1m丈くらいのグンニャリ曲がった松を見たよね。
ここの松も陸側に向かってやや斜めになっているし、右端の松は盛大に曲がっている。弧を描くほどに曲がる松、すごいな。風の影響でこんなにも曲がっちまうもんなんだな。

このゾーン、とんでもない。手前から奥に向かって、アーチみたいに曲がった松が連なっている。
誕生日の人は、このアーチを奥の方から手前に向かって登場すればいいと思う。祝福されている気分になれるだろうから。
この半島は巨大砂洲なのか
弓ヶ浜は、弓ヶ浜半島の一部である。そしてこの弓ヶ浜半島は日本一巨大な砂洲であるという。その規模は、幅4km・長さ17kmにも及ぶ。
そうだったのか。僕は近年まで日本最大の砂洲は北海道の「野付半島」かなって思っていたので驚いた。
僕も複数回訪問しているが、上記が野付半島だ。すさまじく長いぞ。
砂洲とは砂が堆積して形成される細長い土地のこと。野付半島も有名だが、日本三景の1つである京都の「天橋立」が日本で一番有名な砂洲かなって思う。
天橋立については以下のリンクで執筆しているので、よかったら覗いてみてほしい。
しかし、こう見ると弓ヶ浜半島は非常にマッチョであり、本当に100%まじりっけのない砂洲なのか気になる。ちょいとGoogleマップから引きの地図を持ってくるね。
こんな感じ。日本海と中海とを隔てており、山陰地方を描く上では外せないパーツと言っても過言ではないだろう。これが日本最大の砂洲だ。
…が、やっぱ調べてわかったんだけども、100%砂洲ではなかったようだね。もともと陸地があり、そこに砂が堆積して弓ヶ浜半島を形成したのだ。半島の東側が砂洲であり、中海側は完全な砂洲じゃない。弓ヶ浜半島の砂洲には"芯"があったのだ。

じゃあ砂洲の定義って何だろう。
例えば千葉県の「九十九里浜」も土砂が堆積してできているが、じゃあ房総半島は砂洲なのか?それはちょっと違う。
でも、こういうことにあんまり首を突っ込みすぎると、夜に鳥取の人に襲撃されて弓ヶ浜に埋められるかもしれないのでやめておこうか。

その名の通り、弓のように弧を描く形状の砂浜、弓ヶ浜。長い年月をかけて砂が堆積したことによって形成される、美しい浜辺だ。
僕はその後もここを訪れ、美保関や大山を眺めている。この直近でのアプローチのときの天気は最高だったな。ちょっと最後にそのときの写真を放出しよう。

山陰のシンボルである大山もしっかり見えた。春なので山頂部分はまだ雪がうっすらと残っていた。雪があると、より雄大に見える。

今回は"弓ヶ浜"という地名にフォーカスして執筆したけど、弓ヶ浜展望台の3kmほど北には「和田浜展望台」もあるし、半島の北端付近には「夢みなとタワー」っていうすごいタワーもある。
半島を満喫したいなら、これらも巡って見るといいと思うよ。

じゃ、いつものように島根県との県境を目指しますか…。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
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