舞鶴港の中に、漁業関係者御用達みたいな渋い食堂がある。その名を「水協食堂」という。
何の飾り気もない時の止まったような食堂。そこに、なんか知らないけども僕は開店前にヌルッと入ってしまって。そんでさ、そこで食べた海鮮丼が忘れられなくって。

どうだい、食堂に見えないだろう。店内も見えなくってドキドキするだろ?
だが勇気を出して入った先にはうめぇご飯が待っているのだ。店内はセピア色に染まっていたが、僕の目の前の海鮮丼だけは、そりゃあ色鮮やかだったさ。
静かな国道の鄙びたお店
水協食堂の開店は9時だと聞いてる。
いや、後から本当は10時からだと知るんだけど、一部Webサイトでは9時開店と記述されているのだ。昔は9時からだったのかもしれない。
とりあえず僕は9時台の前半にアプローチすべくアクセルを踏んでいた。

青看板の国道177号に対し『漁港』と書かれているのが潔くって好き。そうなんだよ、漁港に行きたいのだよ、僕は。
ところでこの国道177号は全長で700mしかない、クソ短い国道なんだよ。その最深部付近に水協食堂があるんだ。ちなみに日本で1番短い国道は神戸市の国道174号で200mしかない。僕、わざわざそこを歩いたこともある。
この国道177号は短さランキングで第5位なんだ。なかなかの好成績でしょ。

あぁ、これは国道177号が途中で直角に曲がっていることに気付かずに真っすぐ突っ切ってしまい、舞鶴漁港の中で「???」って思いながら撮影した写真。この道さ、Googleマップに存在しないんだもん。
あ、道じゃなくって漁港の敷地だから存在しなかったのかな?とりあえず「右に曲がって」みたいな案内も無かったので漁港の埠頭に出ちゃったのさ。
さっき『そうなんだよ、漁港に行きたいのだよ、僕は。』とか言ったばかりで恐縮だが、正確には漁港じゃない、その脇にある食堂に行きたかったのに。

そして見つけたぞ、水協食堂ォォーー!!
国道沿いなんだけども、漁港の横のすごくのどかな雰囲気の中に建っている。最高だ。お店自体には駐車場は無いのかな?漁港に停めさせていただいた。
食堂っぽくない外観の食堂
では、入店前に外観を見てみようぜ。
なぜなら僕、お店を選ぶ際には味や値段よりも外観で選ぶことが多い。次に内観。見た目って大事だよね。中身もそれなりに大事だけども見た目が大事。これを人に対して言うと怒られるけど。

いやー…、しかしこれ、本当に食堂なんだよな…??個人的なものさしで判断すると、なんだか"ウェルカム感"が控えめだぞ。
左から緑・青・赤のカラフルなテント看板。もとからなのか時代がそうさせたのか、ちょっとだけ褪せて渋い色合いになっているけど。で、緑ゾーンには文字は無いが、青ゾーンには『水協食堂』、赤ゾーンには『自動販売機』の文字がある。
なんか食堂よりも自動自販機の方が心なしか文字が大きい。食堂の立場…。

店舗のほぼ中央部分中央部分の壁には案内板が貼ってあって、右には和洋食・麺類・料理・仕出し・ビール・お酒、左にはコーヒーと洋酒がある旨が示されている。「和洋食や麺類は料理とイコールではないのか…?」みたいな謎が生まれるが、解決し無さそうな疑問なので忘れよう。
あと、案内板に従って左に行っても入口は自販機で固められていて入れない。何だこの店…。

『自動販売機』の赤いテント看板の下にあるガラス戸が、食堂への真の入口だ。中を窺い知ることはできず、ちょいとドキドキする。

わー、飾りっけゼロの昭和感バリバリの店内。
で、入ったら店員さんに「あら、開店は10時からですよ」って言われた。マジか、知らなかった。「でもよかったら座って待っていてくださいね」と言ってもらえたので助かった。すみません。
ところで後日調べたのだが、営業時間には店舗入り口に暖簾が設置されるそうだね。道理で入りにくい入口だなーと思ったわ…。ちなみに暖簾、上の写真では右隅に写っている。10:00に店頭に設置されるのを待っている図だ。

奥の方はカウンターのあるバースタイルだ。お店の外壁に案内のあったコーヒー・洋酒の案内に反ったドアが開けらるなら、このエリアまで最短でアプローチできるってわけだ。
今は15:00で営業終了となるこのお店だが、以前は夜も営業していて夜はこっちを使っていたのかな?それとも今でも常連さんのみ夜に集まったりして飲んだりしているのかな?

あ、昭和のゲーム機テーブルがある。渋い純喫茶でときどき見かける超レアなヤツが、このような漁港にあるとは…!すごいぞこの店。
ところで、僕の入店時には2組のお客さんがいて、何かを食べてたりお酒を飲んでいたりしていた。どちらも地元の常連さんっぽい人だ。
開店30分前であっても常連さんは入れるのだ。たぶん常連さんだけが知っている裏口(←2つの意味での)がある。そこから出入りしているのをなんとなく目撃した。地元ファースト、とっつきにくい気もする文化だが、個人的には嫌いじゃない。
漁港の絶品海鮮丼を食う
入店時に出してくれたお茶を飲みながらノンビリとした時間を過ごした。いつもせわしない旅なので、こういうのも悪くないね。
9:30頃に店員さんが「注文していいですよ」って言ってくれた。ありがたい、まだ10時の開店の30分前だが、営業開始してくれたのだ。

あまり鮮明な写真が無くって恐縮だが、メニューは普通の大衆食堂っぽいものが多い。
オムライス・かつ丼・野菜炒め・うどん・そば・カレーライスなどであり、お酒もある。食事メニューは大体600円台だ。とても良心的だね。漁業関係者が普段使いするのにちょうどいい感じだと思う。

そんな中でもかなり攻めた金額のメニューがある。刺身定食2500円、海鮮丼2000円だ。ここ2・3年でバキバキに値上がりしてしまっているそうだ。
まぁ漁港の脇とはいえ、とれたての鮮度バツグンの魚は高いよね。でもそれだけ美味しいってことだよね。やっぱこういうロケーションのお店に来たからには魚を食べたくなるのが観光客のサガってヤツだよね…。
僕は海鮮丼をオーダーした。ふふふ、朝ごはんから2000円。朝ごはんから海鮮丼。世の中、誕生日でもない限りこんなことできないよね、普通。

よーし、すごいのが来たぞ!どのお刺身もかなりの厚切りだ。
店員さんが魚の名前を口早に次々と紹介してくれたが、それと同じくらいのスピードで僕は忘れた。魚の名前が時計回りに一周する頃には、僕は最初の魚の名前を忘れだしていた。

試しにAIに写真を見せて判定してもらった。
右はサーモン、真ん中はエビ、手前の白いのはタイ、左側はブリかハマチ、手前はアジだという。詳しい人、答え合わせさせてくれ。あとAI、真ん中にワサビとシソがあると教えてくれた。うん、それは僕もわかる。

似たような写真が続いてしまって申し訳ないが、それだけ僕のテンションが高かったのだとご理解いただきたい。だってこんなにドカンドカン刺身が乗っていて、ご飯が見えないだろ?本当にご飯あるのかなって疑ったもんよ。
そしてうまい!プリプリコリコリで弾力あり、ほどよく脂が乗っているのだ。
正直これだけお刺身がボリューミーだと、もっとご飯食べたくなるね。でも朝だからそこまでお腹減っていないんだけどね。それと脂の乗り具合がいいので腹に溜まる。嬉しい悲鳴だ。

お味噌汁はあら汁だ。かなりの量の身が入っている。最高にいいダシが出ているぜ…!
相当に満腹になり完食。これはお昼ごはんはいらない可能性が濃厚ですな…。
お会計を済ませてお店を出ようとすると、ガラス戸が開かない。一生懸命開こうとしても開かない。
店員さんに「開かないです…」って訴えると、「あらすみません、一度鍵を締めてしまったもので…」とのことで、ロックを外してくれた。
つまりだ、僕が誤って開店よりずいぶん早く店内に入ってしまったので、そういう人が続けて発生しないように鍵をかけたのだ。そして僕が退店時にはまだ開店の10時前なので、鍵がかかったままだったのだ。
逆と言うと、仮に僕の少し前に僕のような人が訪問していたら、僕は10時まで入店できなかったろう。むしろいつも10時まで鍵を締めているのかもしれないし。
偶然に入れたこと、入れてくれたことに感謝感謝だ。

なので今日はきっといい日になると思う。
僕は次の目的地の丹後半島院に向けて、車を走らせた。
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