「絶メシロード」っていうTVドラマがある。
しがないサラリーマンが週末に車中泊しつつ、絶滅しそうな絶品メシを食うというドライブスタイルのグルメ番組だ。
season1はコロナ禍の2020年に放映され、特別編を挟んで2022年にseason2が放映された。season3はまだ実現していないが、season2以降もちょいちょい特別編が作られており、2025年春も新作放映されている。

その1話ごとに出てくる個性豊かな絶メシ店を片っ端から巡ってみようっていうのが今回の企画だ。
本当はseason2やその後の特別編で出てきたお店までご紹介したいのだが、そうすると数が多すぎてしまうので、まずはseason1とその直後の特別編で出てきたお店をご紹介したい。
- 絶メシ店とは…
- 第1話「たかちゃんうどん」(山梨県)
- 第2話「とみ食堂」(千葉県)
- 第3話「香珍」(群馬県)
- 第4話「とんかつ一」(静岡県)
- 第5話「こころ」(千葉県)
- 第6話「The Cabin」(神奈川県)
- 第7話「パリー食堂」(埼玉県)
- 第8話「焼きそば 櫻井」(栃木県)
- 第9話「ロードパーク 女の浦」(石川県)
- 第10話「お食事処 ポーク」(富山県)
- 第11話「島勝」(東京都)
- 第12話「食堂S.S」(長野県)
- 2021年元日スペシャル_1店目「洋風食堂 れむの巣」(長野県)
- 2021年元日スペシャル_2店目「お食事処 大将」(群馬県)
絶メシ店とは…
まずは絶メシについてご説明したい。
ドラマの元ネタは群馬県高崎市の「絶メシリスト」っていう、このまま後継者がいないと廃業してしまう昔ながらの絶品メシのお店の紹介Webサイト。
これ、見るだけで脳汁ドバドバに出るほどに名店が揃っているし取材するライターさんの文章も面白いので、ぜひ見てくれ。そんで興味があるならばお店の後継者になってくれ。そして連絡くれれば僕、食べに行くから。
…で、これをもとに製作されたドラマが絶メシロードってわけだね。
早くseason3を作ってほしいと思う。こちとら腹を空かせて待っているんだぜ。

AIに主人公の絵を描かせたんだけど、まんまご本人ではいろいろ大人の都合でダメなので、雰囲気だけ似ている人が出来上がった。箸をバキ折ってしまうほどの、ゴリラみたいな握力のニセモノが出来上がった。
これはこれでいっか。会計時にお店の人にちゃんと謝れよ。
…という余談はさておき、東京に住む中年男性が週末を利用して1人で車中泊のミニドライブをし、レトロな食堂でご飯を食うだけって感じの1話完結型のドラマだ。
それを見て「あ、これ僕じゃん」って思った。僕も1人で車中泊のドライブをし、激渋食堂を巡るのが好きだからだ。だったらさ、僕も巡ろう。この絶メシ店を。

これがseason1の全12話で登場した12店舗飲食店と、その直後の特別編である「2021年元日スペシャル」で登場した2店舗を合計した、計14店舗だ。頑張って僕が作った。
東京から前夜発をし、次の日にランチしたら帰るというコンセプトなので、必然的に関東近郊が舞台となる。ただしうち2話だけ、出張で北陸に行く設定になっているので飛び道具的に日本海側のお店が登場するぞ。
さて、では14店舗を巡ろう。
絶メシの名の通り2025年現在ではチラホラと閉店してしまっているお店もあるから、あなたも巡るのであれば早い方がいいぞ。
第1話「たかちゃんうどん」(山梨県)
"吉田のうどん"と呼ばれる、富士吉田市のご当地グルメであるうどんを食べられるのがこのお店だ。
僕も今まで吉田のうどんを何店舗も巡っており、大好きなタイプのうどんだ。

お店の入口に立つ"たかちゃん人形"がトレードマークだぞ。プレハブ小屋のような簡素な店舗で、「大丈夫かな…?」ってドキドキしながら中を覗くと、畳敷きの居心地のよい店内空間が広がっていた。

クセの無い味噌仕立てのだし汁。上に乗っているのは馬肉で、すごく力強くコクがある。麺は吉田のうどんの例に違わず、初めての人なら間違いなくビックリするレベルのコシの強さであり、そして極太。
近所にあったら頻繁に通うであろう、味・手軽さ・金額だ。さすがSeason1の第1話の店。伝説の始まりだ。
第2話「とみ食堂」(千葉県)
ザ・昔ながらの大衆食堂って感じの佇まいの「とみ食堂」。
房総半島をツーリングするライダーさんにも人気だそうだし、地元のファミリー層にも人気という、理想的な地位を築いているお店だ。

僕が訪問したのは幸か不幸か16:00ちょっと前という中途半端な時間である、かなり空いていたもののファミリー層が1組いた。
ここのお店の名物は厚切りのポークソテーやタンメンだそうで、絶メシロードの主人公がオーダーしたのも確かポークソテーであった。…が、僕はそこまでドラマをリスペクトはしたくない。食べたいものを食べたい。

…というわけで選んだのはカキフライ定食だ。昔ながらの大衆食堂スタイルなので、メニューはメチャメチャいっぱいある。その中でカキを食べたかったのだ。
当然うまい。揚げたてのサックサクだ。他にも気になるメニューは無数にあるので、何度も通いたいお店だな。
第3話「香珍」(群馬県)
残念ながらこのお店は2023年8月で閉店してしまった。店主のおじいさんが足を怪我したのが原因とウワサで聞いている。ご本人は「治ったら再開する」と言っていたそうだが、それは叶わなくなってしまったようだ…。

僕は2023年の秋にそうとは知らず、絶品ラーメンが食べられるものと思ってウキウキしながらお店を目指した。
で、「なんかおかしいな…」って思ってお店周辺を眺め、そしてWeb等で調べて休業中だと判明したのだ。(このときには明確に「閉店」とは発表されていなかった)
数ヶ月遅かったのだ。

このお店は、おじいさんが毎日手打ちするラーメンが有名であった。
高崎市の絶メシリストに掲載したことで関東各地からお客さんが来るようになり、おじいさんのワンオペではお客さんを捌くのが困難となったため、「グループ客は頼むものを統一してほしい!」とか「店内全員ラーメンね!」とかっていうワイルドな逆オーダーをしたことで話題になったこともあった。ドラマでも、この光景が取り上げられたりした。
だが、現実的にそれしかできず、おじいさんとしても苦肉の策だったのだ。
おじいさんは後継者を募っていたが、熱量と才能を併せ持つ人がなかなか現れず、走行しているうちに閉店となってしまった。残念すぎる。ラーメンを食べてみたかった。
引退したおじいさんが後継者を育成し、このお店を次いでくれる人が再建する…みたいな未来が訪れることを切に願う。
第4話「とんかつ一」(静岡県)
あなたがもしこのお店を訪問するというのなら…、気をつけろよ。事前学習しておけよ。
僕がこの人生で死ぬほど満腹になったTOP5の中に、このお店はランクインする。もちろんそれは強制ではなくって断る方法もあるのだが、なかなかにエクストリームな運営なのでカクゴが必要だ。

カウンターにイスが並び、店員さんがお客さんに「味噌汁継ぎ足しますね」・「もっと食べられるでしょ、旦那?」・「ご飯お替りしましょっか?」みたいな声かけを常に行っている。お客さんも「ありがとうございます、ブヒブヒ」みたいな感じで答えている。
ヤベーぞ、この店。

で、初訪問の際にはミックスフライ定食しか頼めない。
それがバカ盛りなのだ。皿のサイズはピザくらいある。そこにフライの山とスパゲッティとキャベツ。スパゲッティとキャベツは永久に盛られる。味噌汁とご飯も盛られる。カレーもサービスで掛けられる。
詳しくは以下の記事を参照いただきたい。
第5話「こころ」(千葉県)
関東本土の最東端の「犬吠埼」にほど近いところにある、銚子の町にある渋い食堂だ。朝7時からオープンしているという漁師町っぽい営業時間なので、僕も開店直後に突撃してみた。

おばあちゃん1人で営んでおり、店内は結構雑多な感じ。しかしなんだか田舎の家を訪問してご飯を出してもらうような、独特の落ち着く雰囲気だ。
最初お客さんが僕1人であったが、すぐに3組ほど入って来た。…が、店内は狭いので実質4組くらいが限界だろうし、おばあちゃんのワンオペだからそれなりに時間と心にはゆとりを持ってね。
朝定食は驚きの600円。なんだそれ、気になる。オーダーした。

わぁ、すごくちゃんとしている。こまごまといろんなものがバランスよくある。こんなものが朝から食べられるとは、いい1日になりそうじゃないか。しかもこのあと、「待たせちゃったからサービスよ」とお刺身までいただいた。
無理せずに続けてほしい、そしてあまり有名にはなってほしくない、いいお店だ。
第6話「The Cabin」(神奈川県)
横須賀の観光名所の1つである「記念艦 三笠」という軍艦。そこから歩いてすぐのところにこのお店がある。…が、2022年か2023年くらいに閉店してしまった。

このお店は確か平日にしか営業していなくって、僕はなかなか訪問できなかったのだ。間違えて週末に訪問してしまったりとなんやかんやあり、そういうしているうちに閉店してしまった。
これは2023年初夏の写真である。食べれるもんだと思って行ったら営業していなくって、店頭で崩れ落ちた。

店内はトーンを落とした照明のジャズ喫茶って感じの雰囲気で、さすが横須賀らしいシャレな造形。実際、店内にはいろんな楽器やスピーカーなどがあり、演奏会も開かれていたようだ。ご飯はハンバーグやカレーといった洋食メニューを中心に提供していたらしい。
そんなカッコいいお店のカッコいいおじいちゃんオーナーであったが、体調を崩してしまい2023年に亡くなったそうだ。店舗自体はまだ存在しているので、誰かが後を引き継いでくれるといいなぁ…。
第7話「パリー食堂」(埼玉県)
ここはスゲーぞ!登録有形文化財に指定されている食堂なのだ。100年以上の歴史があり、大正レトロでハイカラで…。あの時代の良さがタイムカプセルのように詰まっているぞ!

もう僕ね、この壁面の堂々たる『パリー』の文字を見ただけで興奮で鼻血噴いて倒れるかと思ったよ。建物といいロゴといい、なんだこのセンス、最高かよ。
そして僕、この記事の冒頭で絶メシロードのドラマのポスターを掲載しているけどさ、そのポスターを撮影しているのが。まさにこのお店の入口部分なのよね。まさにドラマの顔となるお店だったのであろう。

フルーツをふんだんに添えられたオムライスが人気だったりするのだが、僕はカレーを頼んだ。いい意味で普通でうまい。あと、水のグラスにスプーンが刺さった状態で出てくるのが昭和っぽい文化でいいぞ。
大衆食堂なのでほかにも様々なメニューがある。また是非再訪したいお店だ。
第8話「焼きそば 櫻井」(栃木県)
栃木市の焼きそばといえば、ジャガイモ入りなのが特徴である。ソースの味が染み込むし、ボリューム感も出るし、うまいんだぞ。
「焼きそば 櫻井」もその栃木焼きそばのお店だ。むしろメニューは焼きそばしかない、ストイックな焼きそば専門店だ。

18時の閉店時間直前に、ダメ元で突撃した。日の早い晩秋であり、お店の位置する通りはもうほとんど真っ暗で諦めかけていたがお店はまだ営業しており、かつお店のおばあちゃんが「じゃあこれから焼くわ」と言ってくれた。すみません&ありがとう。
さらには「焼いている時間にコーヒーでも飲んでいて」と、綺麗なカップでインスタントコーヒーを振舞ってくれた。なんというホスピタリティ。

焼きそばはお持ち帰りにした。
わずか1つしかない店内のイートイン用テーブル席で食べてみたい気持ちもあったのだが、既に閉店時間だしお腹もそこまで空いていなかったのでね。
でもさ、こういうパックで食べるとなんとなく子供時代の縁日のワクワク感がよみがえるよね。冷めてはいるが、それがまたいいんだよ。
第9話「ロードパーク 女の浦」(石川県)
能登半島西海岸の景勝地「巌門」を臨むお土産物屋兼食堂がここだ。
このお店は僕、ずーっと昔から知っている。免許を取って間もない学生時代、日本1周目の第2回目のドライブでこの店の目の前まで行っているから。

時空が止まったかのようなお土産スペース、喫茶店風のカウンター席、宴会ができそうな小上がり、そしてテーブル席。昭和時代にたくさん存在した、何とも言えないレイアウトが目に飛び込んできた。
お客さん誰もいない。少し心配になるが、ランチを食べたい旨を伝えるとオーナーのおばあさんが「どうぞ」と優しく言ってくれた。

看板メニューであるという"能登ラーメン”。セットにしたらこれにタコのお刺身とご飯と漬物が付いたよ。ラーメンは優しい塩味で、海の幸もふんだんに入っている。日本海を五感で味わっているぜ、至福。
第10話「お食事処 ポーク」(富山県)
たぶんここでしか食べることのできない"ポーク風ライス"という看板メニューがある。シンプルそうに見えて、味の想像もつきそうに見えて、これがマジ絶品なのだ。

わりと攻めた名前の店名である。だが、だからこそ「ここまで言うってことは、よほどポークに自信があるのだろうな?」って思う。
開店前に到着したのだが、外は既に行列。そして開店直後はその行列がさらに長くなるほどの人気店だ。みんなポーク風ライスが好きなのだ。

それがこれ。2023年時点で86歳のおじいちゃんの作る絶品メシ。ピラフの上にふわふわ玉子、そしてカリッと揚げたトンカツ。少しだけデミグラスソース。50年以上前から続く人気メニューであり、このおじいちゃん以外が作るとレシピが同じでも完全再現のできない一品。
うまくてスプーンが止まらないので、嵐のように数分で食べ終わるが、思い出はずっと残り続けるぞ。
詳しくは以下の記事を参照いただきたい。
第11話「島勝」(東京都)
東京都最西部の奥多摩湖畔、あと数100mで山梨県という立地に建つのがこの店だ。
…が、2024年3月にて67年の歴史に幕を閉じてしまった。長年切り盛りしてきたご夫婦が高齢となり、営業を続けるのが困難になったからだ。

僕はその4ヶ月前にこのお店を訪れることができた。紅葉がとてもきれいな晩秋の快晴の日で、奥多摩湖を観光してから訪問した。
開店前から数名が店頭に並び、開店直後にはそこそこの席数のある店内が満席となるほどの盛況ぶりであった。ライダーさん・観光客・地元の人の全部に好かれているのだなって感じた。

これが名物のとろろめし定食だ。まずは目で楽しめるね。なんて美しく豪華なのだろう。味はもちろん申し分ない。かつ丼も蕎麦もおいしいというので食べてみたかったが、それは叶わぬ夢になってしまったな…。
永い間、お疲れさまでした。
第12話「食堂S.S」(長野県)
木曽エリアにある超ハイスペックなドライブイン、「食堂S.S」。創業者であり現在のオーナーさんの父親の名前「サトウ ススム」のイニシャルが店名の由来だ。
しかし2024年4月に休業してしまった。理由は後継者がいないから。完全に廃業となったわけでは無く、後継者が現れて引継ぎができれば再開の意思はあるそうだ。

この堂々たる佇まい。トラックドライバーのオアシスと言われている理由がよくわからる。
メニューは150種ほどもある。"大衆食堂"と言って思い浮かべるメニューは全部あるだろうってレベルだ。優柔不断な人は閉店時間まで迷いまくるだろう。

白身魚定食を選んだ。白身魚は2枚重ねでボリューミー。マヨネーズは1人1本でボリューミー。これで600円という驚異の価格であった。
ピーク時間は過ぎていたが、客足の途切れない皆に愛されているお店。後継者がいなかったのが悔やまれるよね。
ちなみに塩尻には「食堂SS 広丘店」というのがある。町中にあり、こちらも驚異のメニュー数を展開しているので、みんなもチェックしてみて。もちろん僕も行った。
2021年元日スペシャル_1店目「洋風食堂 れむの巣」(長野県)
オシャレタウン軽井沢。そこにあるオシャレでクラシックな洋食屋さんが「洋風食堂 れむの巣」だ。
「ローコスト店を中心に取り上げている絶メシロードにしては、かなり背伸びした選択じゃないか…?」とも思うが、実はランチを1000円以下で食べられるのだ。すんごい。

ウッディな内装でアンティークなインテリアも多く、ここでコーヒーを飲んでいるだけで幸せな時間を感じられる店舗だ。
ご夫婦で営んでおり、旦那さんが厨房担当で奥さんがホール担当だった。奥さんは話好きで、僕もドライブの工程の話をしたりして盛り上がった。絶メシロードを見てここに来たことも話した。

カニクリームコロッケのセットとビーフシチューのセットを頼んだ。盛り付けが綺麗だよね。ビーフシチューはサラサラタイプ。うまい。
どちらもすごくボリュームがあるわけでは無いが、オシャレランチに最適な量だ。軽井沢だもんな、そういう気分で過ごすのが吉。
2021年元日スペシャル_2店目「お食事処 大将」(群馬県)
最後は再び絶メシリストの誕生の地である高崎市からだ。
「大将」、すごいぞ。店頭にはエンジンかけっぱなしのカブが2台停まっていた。つまりはそれだけ頻繁に出前が入るってことだ。

店内も賑わっていて、相席でギリギリ座ることができた。
数人の店員さんがせわしなく動いており、僕から見ると全員大将に見えた。おじいちゃんばっかり。誰が大将だ…?
出前を担当する店員さんはヘルメットをかぶったまま接客をし、出前ができると風のように去っていく。そして少しすると帰ってきてまた絡んでくれる。なんてライヴ感のあるお店なのだろう…!

焼肉定食と、餃子、チャーハンを食べた。約肉は甘辛の味付けで意外だったがご飯が進む。そしてこういうお店のチャーハンと餃子が絶品なのは、もはやこの世の真理だよね。
カルビラーメンが有名だそうなので、次回はそれにしようと思う。
※それぞれのお店を訪問した際の詳細記事を執筆し、そこへのリンクを貼って本記事は完成となります。少しずつ書いていくので気長にお待ち下さい。