週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.497【北海道】立ち枯れの木々がどんどん減ってる!?「白金の青い池」が少し心配だ…!

今や美瑛の町を代表する…、いや、北海道を代表するといっても過言ではないくらいの有名スポット「白金の青い池」。

 

もちろん僕も大好きだし、思い入れもあるスポットだ。だけども何度か訪問していて気付くのだが、シンボルとなっている立ち枯れの木々が年々減っていないか…??

 

 

白金の青い池とは、真っ青なバスクリンブルーの泉の中に、カラマツの木が無数に立ち枯れているスポットだ。この立ち枯れの木がなくなったら、ただの青い池になってしまう。

それでも魅力的ではあるのだろうが、インパクト減は否めないであろう。そんな日が決して遠くない未来に来ることに、僕は言い知れない不安を覚えた。

 

 

青い池は爆発的に知名度を高める(2009年~2013年)

2012年

 

さて、僕はこのブログ内にて過去に一度白金の青い池について執筆している。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

2021年1月の記事だったので、もう4年半以上前の記事だ。

どんな内容だったのかというと、白金の青い池が観光地化されて多くの人に認知される前の2008年、まだ駆け出しの旅人であった僕が、知り合ったライダーさんたちと6人でこの池を探し出すという物語であった。

 

名前も知らない旅人同士、「明日に早起きしてみんなで行こうぜ!」っていうテンションで、お互いのわずかな情報を持ちよって場所を推測し攻略したあの夏の朝の思い出、今もすごく鮮明で大切なものだ。

 

あえて上記の記事では「観光地化の白金の青い池」のみにスポットを当てた。それは「観光地化の白金の青い池」についてもいつか語りたいという意図であり、今回ようやくその伏線を回収することとした。

 

2012年_1

翌年の2009年には青い池を示す簡単な立て札も、車道入り口に立てられたらしい。「白金インフォメーションセンター」(2025年現在の「道の駅 びえい白金ビルケ」)にも簡単な地図が貼り出されたと聞いた。池への道も少し整備され、未舗装ではあるけれど一般車が普通に入れるようなレベルにはなったそうだ。

 

2012年、アップルのMacの壁紙のデスクトップ画像に採用され、爆発的に知名度が上がった。

どんどん有名になっていく白金の青い池。そもそも"青い池"っていうのは「一部の人からこのように呼ばれている無名の池」というものであったが、いつの間にか正式名称になったんだね。

 

2012年_2

そんな2012年にも、僕はこの池を再訪している。

直前に白金インフォメーションセンターに立ち寄ってみたら、お土産物屋では青い池グッズも売られていて、有名になったことを実感した。

 

横は射撃場で勝手に入ると命に係わる状態で、舗装されていなくて案内も無いダートを走らなきゃいけなくて…。一部のその情報を掴んだ人たちが、このインフォメーションセンターに申請を出すことで、特定の曜日のみ自己責任で行けた幻の池だった。

 

2012年_3

だが2012年現在は広大な駐車場が準備され、一般車でゴッタ返している。観光バスも来ている。うおぉ、4年前とは見違えるわ。

この駐車場から池までは徒歩5分ほど歩くそうだ。昔なかった遊歩道ができていて、青い池を見ながら池沿いを歩けるようになっていたよ。これは快適だ。

 

2012年_4

人が多い。多くの人の琴線に響くスポットなのだろう。そのことは嬉しい。

遊歩道の右手に青い池が広がってきた。あぁ、やっぱり綺麗だ。あのときの思い出と感動がよみがえる。

 

2012年_5

結論から言うと、このときの青い池が歴代の中で最も綺麗に見えた。

雨の後は水が茶色に濁る。かといって晴れていればいいかというと、晴れの日は水面がキラキラと光りすぎてマットな感じの青にはならない。少し曇っているか、日陰となる時間帯の無風なときが最高だと思うのだ。

 

2012年_6

あとね、撮影するときのフレームにも気を使ってみてほしい。

上の写真は、2つ前の写真と比べて少し引きで撮影している。どこが明確に違うのかというと、下部に空が写り込んでいる点だ。空が白く池に反射している。もちろんこれはこれでいい絵なのだが、寄り青さを際立たせたいのであれば白い反射部分をなるべくカットするフレームがいい。

 

2012年_7

あぁ、なんと癒されるブルーなのであろうか。この池のできた経緯とかも説明したいが、とりあえず本章ではまずは美しさを堪能してほしい。

ところであなた、この図をなんとなく記憶しておいてほしい。後半に行くにつれて、きっとこの木々が少なくなっていくから。

2012年_8

一気に観光客が押し寄せるようになったこの池だが、「今は観光地化されてしまっ手残念。以前の方が良かった。」だなんて言う気は無い。実はちょっとだけそう思いそうになってしまったが、堪えた。

だって、日本中の景勝地も展望所も山々も、誰かが開拓して整備されてくれたから、僕ら凡人も旅を楽しめるようになったんだもん。ちょっと人より早く観光地化される前にスポットに行けたくらいでそう思うのは、驕りだよね?

 

2012年_9

しかし、2008年のあの日の朝の探索が、もう2度とできない貴重で楽しい思い出であることは事実。それだけは、忘れられないし自慢できることなのかもしれない。



2013年

 

懲りずに翌年である2013年も青い池を訪問した。

どうでも話かもしれないけど、前夜は2008年版の記事にも登場した"sottoooさん"と再会して、2人で酒を飲みながら「半沢直樹」の最終回スペシャルを見ていた。大和田部長が悔しそうに土下座していたが、それまでの回を見ていないのでカタルシスはゼロだが、それなりに面白かった。

 

2013年_1

sottoooさんに「美瑛もあか抜けてきましたね。青い池もとんでもなく有名になってきましたね。」みたいな所感を述べた僕が、再び青い池にやってきた。

 

うおっ、青くないな。今までで一番青くない。太陽光のせいなのか、それとも数日前の台風でまだ濁っているのか。台風直後はここもドロドロに茶色くなっていたそうなので、その名残なのかもしれないな…。

 

2013年_2

それでも、ズームすればわかるこのミルキーな風合いのエメラルドグリーンは、これまでとはまた違った魅力的な色に思える。場所によっては水面も穏やかで見ごたえは充分だ。

 

さて、ここで「青い池とはなんぞや」ってことを少しだけ説明しておきたい。詳しくは2008年版の記事に書いてあり今回はその省略版だが、別に前回の記事まで読みに行かなくたっていいよ。

 

十勝岳

1988年、このすぐ近くにある「十勝岳」が噴火したんだ。過去何度も噴火して、その裾野にあたる白金地区や美瑛の町中に多きな被害を出したこともある。

人々は麓の地区に影響が出ないよう、火山泥流を塞き止めるバリケードを「美瑛川」に沿っていっぱい作ろうと考え、1989年にたくさんの堰堤を作った。

 

こんなイメージ

堰堤とは、簡易式のダムのようなものだ。その1つの堰堤付近で、川の本流から水がゲボッと溢れて脇に流れ出ちゃった。これが白金の青い池だ。

池ではないし、自然のものでもない。ダムの溢れた水をたたえる、人口の水たまりみたいなスポットだ。

 

水がゲボッとカラマツが生えていた林に溢れ出てきたので、カラマツは水没して枯れちゃった。それが今の立ち枯れの木々。

白金の青い池の発見は、1997年に地元のカメラマンによるものと言われている。

 

2013年_3

つまり青い池ができたのは1989年ごろ、まともに発見されたのは1997年。

一部マニアが情報を得出したのが2004年ごろ、僕の初訪問が2008年、観光地化が始まったのが2009年だ。比較的新しい、人工的なスポットなのである。

 

台風被害で、あわや消滅の危機…(2016年)

 

青い池の歴史の中で最大の危機は、2016年8月下旬に発生した台風被害によるものだ。これはヤバかったよなぁ。3つも台風来たもんなぁ。北海道の交通網が東西に2分されて、中央の山間部がベルリンの壁みたいな存在感になったもんな。

 

当時の台風予想円

そんな中、僕は北海道を旅していたんだけどな。人生で一番大事な旅だから、中止させるわけにはいかなった。

せっかくいい部屋を予約した北海道行きのフェリーが欠航となってしまい、台風と一緒に荒れ狂う東北道を車で駆け上がり、なんとか生きている航路から北海道へと上陸し…。

その後にさらに発生した台風の激突を食らうんだけど、道内では常に天気を気にして逃げまくっていたので、奇跡的に毎日晴れ間を堪能することはできた。僕のアドリブ力がハンパなかった。

 

2016年_1

台風から数日が経過した超快晴で気持ちのいい日、僕は青い池に向かっていた。この日は富良野でラベンダー畑を見ながらソフトクリームを食べたり、テラスで朝食の準備をしているsottoooさんが車内から遠目でチラッと見えたり、美瑛の丘巡りをしたりと充実したドライブをしていた。

で、いざ青い池に向かおうと走っていると不穏な看板が目についたのだ…。

 

2016年_2

『青い池に行けません』。この時点で予想は着いたが、どういうことだろう…。

とりあえず青い池はこのまま道をまっすぐ走って10数分である。行けるところまで行って事情を確認してみるか…。

 

2016年_3

いくつもの『青い池は見れません』の看板を無視して走り続け、青い池の駐車場の目の前にある看板のところまで来た。

 

駐車場はロープで封鎖されていて、そこには警備員が立っていた。警備員に話を聞く。

どうやら、先日僕と一緒に北海道に上陸をした台風9号の影響で、池付近は崩壊してしまったそうだ。警備員さん、なかばヤケクソで「池はね、壊れちゃいましたー\(^o^)/」って言ってた。"人生オワタ"のテンションでそう言ってた。

 

よく話を聞くと、美瑛川の護岸が崩壊して青い池に土砂が流入したそうだ。さらには池の遊歩道も崩壊したらしい。そのために池自体はドロドロで茶色になってしまったらしい。もうネタとして、その茶色い池を見るのもアリかもしれないが、遊歩道が壊れているので誰も入れない状態ってワケだ。

 

2016年_4

ひとまず、警備員さんが手に持っていた、台風後の池の写真を見せてもらった。『災害写真』って書かれていた。池はメッチャ茶色だった。

 

警備員さんは「網観光地としての復旧は厳しいかもしれませんねぇ…」と言っていた。その道のプロでもない警備員さんの意見は正直アテにはならないが、素人目にそのくらいの被害であるという点については僕も深く受け止めた。

…であるなら、2009年に観光地化が開始された青い池は、たったの8年間でその歴史を終えてしまうのだ。なんと儚い命よ…。

 

だが、このあと奇跡の復活を遂げる。工事の人たちの尽力のおかげで、9月14日には封鎖が解除されたのだ。絶望的なダメージから半月で再開させた関係者の方々の努力には頭が下がるし、そのくらい頑張って復旧しなければならないほどに大事なスポットだったってことだね。

 

白髭の滝

このときの僕は、美瑛川のさらに上流の「白髭の滝」を見学した。「青い池が見れなくっても、白髭の滝も青いからそっちを見ればいいか」のカクゴで、青い池に向かって突き進んでいたのだ。

「ブルーリバー橋」から見下ろす白髭の滝は、本来であればもうちょっと青さが際立つんだけど、これまた台風の影響なのか控えめなブルーだったな。

 

 

悪天の中、減りゆく立ち枯れの木々を見る(2022年~2024年)

2022年

 

はい、ちょいと時代ジャンプしよう。丁寧に書いていると記事の文字数が膨大になってしまうので。

 

2022年_1

2018年には白金インフォメーションセンターが、道の駅 びえい白金ビルケとしてリニューアルオープンした。

2020年には駐車場が綺麗に整備されて有料のコインパーキングとなった。場所も車道沿いではなく、ちょっと池側に入り込んだところに作り直されたね。その分だけ池への歩行距離が少し短くなったと思う。

 

値段は普通車500円。10数分池を眺めるだけにしては高いような気もしないでもないが、整備にたくさんお金をかけているし、美瑛としても観光資源としたいのだから納得だ。駐車場も見学もタダだと、我々は美瑛町に一切お金を落とせないもんなぁ。

 

2022年_2

朝8時過ぎの駐車場はガラッガラだった。雨だったしな。これが晴天の日中であれば渋滞必至なのだが、良くも悪くも一般的ではない状況で訪問したのだ。

 

2022年_3

歩道は足元がヌチャヌチャである。これもしょうがない。ここまで綺麗に舗装されたら少し興冷めしかねないから。傘をさしてトボトボ歩くと、遠くに立ち枯れの木々が見えてきた。

 

2022年_4

うん、さすがに雨だと池は青くないし、立ち枯れの木々もなんだかくすんだ色のように見えるね…。

わかっていた。それでも一度、こういう天気の日に見てみるのも経験だと思ったんだ。毎回同じような写真ばっか撮るのも楽しいけどさ、複数回来るならばいろんな表情を見たい。あたりもはずれも、人生の糧としたい。

 

2022年_5

これが以前のような晴天であれば「綺麗だねー!」でニコニコして終わったかもしれない。だが悪天候だからこそ、「なんで今回はあのときのほどの感動が無いのかな?」って冷静に池を眺めることができた。

池の色が起因しているのがもちろんだが、ここで僕は立ち枯れの木々が減っていることに気付いた。

 

2022年_6

明らかに本数が減っている。そして途中で折れてしまっているものも散見される。こんなパターンは昔は極めて少なかったように記憶している。

さらに、気が若干斜めになっているのも多い。自身を支えきれなくなって傾いてきているのだろう。最終的には池の中に横倒しになるのだろうね。

 

2022年_7

雨に濡れているせいもあるかもしれないけど、木自体も朽ちてきているように見える。

そもそも立ち枯れの木なのだ。生きてはいないのだ。つまりは木材を20年程も風雨にさらしている状態だ。足元は常に水の中だし。当然朽ちるよね。防水処理も防腐処理もしていない木なんだから。

 

2022年_8

少し引いてもう1枚。このくらいの引きでわかる変化点としては、枝の少なさだと思う。パッと見ると1本の柱が無数に生えているだけのように見えるだろう。横枝のインパクトが減少しているのだ。

 

2012年の思い出

今一度、比較のために2012年の写真を持ってきた。縦も横も一目瞭然なほどに密集している。よりズームした画角なのに、写真内に写っている木の本数が多いし、横枝も豊富だ。

 

横枝はもろい。風でも折れるだろうし、だまっていても折れるだろうし、この地方は冬には雪も積もるから、横枝はそれによってもたくさん折れ続けているのであろう。

 

2022年_9

10年ほどでずいぶんと変わってしまった。さらに10年後はどうなっているのだろうね…。

目の覚めるような青い池ではなくって、なんだか犬神家みたいなロケーションの気候であったが、これはこれで現実を突きつけられた気持ちとなったので、来て良かったよ。

 

2022年_10

あ、ところで2008年にみんなで駐車したスポット、小高い丘と広場になっていた。中央には青い池の成り立ちが書かれた説明パネルもあった。

上の写真、山肌に沿って見えているのが美瑛川だよ。あそこからの水が流入し、向かって右手の青い池が形成されたのだよ。

 

 

2024年

 

久々に会うsottoooさんが「青い池、ヤバかったよ。今日の日中に行ったら1時間半くらいの渋滞だったよ。」と酒を飲んで笑いながら語った。

もうヤッバういいくらいの大混雑で、夏の日中は渋滞の名所となっているのだ。駐車場のキャパを軽く凌駕している。でも北海道の森の中なので、。基本的に車じゃないといけないようなスポット。つまりはオーバーツーリズム。

 

2024年_1

青い池に行こうかどうか迷っていた僕だが、訪れることにした。理由は3つある。

sottoooさんの営んでいる宿から青い池までは20分ほど。チェックアウトしてすぐ来れば渋滞もしない。そういうまたとないタイミングであったこと。

このあと雨予報だったので、朝一の雨の降る前に軽く一箇所は景勝地を見ておきたかったということ。

そして、「減って行く木々を見続けるのは辛いから、これを最後の訪問にしてもいいかな」って思ったからだ。見納めの意味もある。

 

2024年_2

ちょっと雨が降ってきちゃったかな…。予想より早い。不運。

朝早いのでまだオープンしていないが、駐車場から池にいたる間に軽食などを販売しているショップもある。隣には綺麗な公衆トイレもある。

 

2024年_3

これが2024年の白金の青い池だ。雨がポツポツ降ったり止んだりなので、すごく綺麗な青ではないけども、青色は綺麗でポテンシャルの高さをうかがわせる。

でも、木々はさらに少し減ってきているような気がするし、斜めにいびつになっているものが多いように思える。

 

2024年_4

同じ北海道に、野付半島の「トドワラ」ってあるよね。あそこも立ち枯れの木々が象徴的だった場所。海水が流入することで立ち枯れたトドマツがたくさん立ち並んでいたスポット。

いつかどこかでトドワラの1980年代くらいの写真を見たことがあるが、たくさん立ち枯れの大木が並ぶ、ワイルドなスポットであった。

だけども2010年前後にはほんの10数本がポツポツと立っているだけであり、大半は横倒しになった。2020年代にはもう立っているのはほぼゼロとなり、横倒しになったものまで朽ちて無くなってきているという…。

 

2024年_5

ここもトドワラと同じなのだ。

トドワラは、僕が旅人になった時点で「朽ちて無くなっていくのを見届けるスポット」って言うような位置づけだったけど、ここ青い池は全然そういう雰囲気ではなく、「綺麗!SNS映え!どんどん盛り上がる!」みたいなテンションだ。

 

2024年_6

そりゃそうだ。美瑛町を代表するスポットなのだから、不安な未来なことは考えたくない。僕だって考えたくない。それでも、どうしても考えてしまうことがある。

 

それは、今は上のグラフのどこにいるのだろう…ということ。

駐車場ができ、それが巨大化し、敷地内にお店もできて、近くの道の駅でもグッズ販売をし、どんどん有名になり人も増え続けている。逆に池そのものは立ち枯れの木々が少なくなり、たぶん次世代には残せないようなスピードで朽ちてきている。

我々は、どうすりゃいんだろ…??

 

2024年_7

まだまだ多くの人に笑顔と感動を与え続けるであろう白金の青い池。

また行くかどうかはわからないけど、僕の大切な思い出のスポットよ、さらば…!

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 白金の青い池
  • 住所: 北海道上川郡美瑛町白金
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし