「オートパーラー上尾」は、昭和レトロだけどもポップなデザインのドライブイン。アツアツのうどん・そばや、トーストが購入できるレトロな自販機もあってファンの多いスポットだ。
もちろん僕も大好き。

あとから気付くのだが、僕は日本6周目を担当した愛車、日本7周目を担当してくれている愛車、それぞれとの最初のドライブでこのオートパーラー上尾を訪問している。
別に「新しい車を買ったからオートパーラー上尾に行くぞ!」って思ったわけでもなく、僕が埼玉県人で近所だったから…というわけでもなく、たまたま最初のドライブでの通過ルートにここがあったので「じゃあチラッと立ち寄るか」ってなった次第だ。
だけどもこれって運命だよね。僕の長い長い分割日本一周の最初のエピソードに、2回もこのスポットが登場するのだから。
というわけで、偶然から生まれた思い入れのあるドライブイン、オートパーラー上尾訪問記をご紹介しようと思う。
初回は天ぷらそば・コンビーフサンド
このときの僕は、東北地方から静岡県の伊豆に向かって爆進していた。その途中で朝になり、朝ごはんを食べたい気持ちになった。そこで立ち寄ったのがオートパーラー上尾である。

愛車の日産パオと共に撮影した。この車、ほんの数日前に納車したばかりなんだぜ。だけども早速東北行って伊豆の離島行って、それから四国をグルッと回るという強行軍をやっているところだ。
パオのブルーと店舗の黄色が鮮やかでいい感じ。

この昭和な雰囲気を醸し出すロゴにまずは痺れた。夜にはこのロゴに光が灯るのだろう。僕は日中しか行ったことが無いのだが、夜の顔も見てみたいものだ。
では、期待を胸に店内に入ろう。

あぁ、なんとも言語化しづらいけども心地よい空間が広がっているよ。
あるのは自販機とゲーム機だけで無機質なんだけど、なぜか温かみを感じてしまうのはなぜだろう…。鮮やかな色使いだとか、柔らかなBGMの効果なのかな?
オートパーラーって今やほぼ死語で、僕もこの店舗のように固有名詞にくっついているときしか使ったことないけど、"自動レストラン"って感じの意味だよね?
自販機で食事を済ませられる設備のあるスポット。コンビニが無かった時代は深夜は24時間レストランもあまりなかったので、こういうドライブインが重宝されたのだ。そして、コンビニの台頭と共にどんどん淘汰されていったのだ。

これが目的にレトロ麺類自販機だ。昭和時代のものなのに、ピカピカで保存状態が極めて良好だな。
そんで見てくれ、壁に対して自販機の厚みがゼロだろ?これ、どういうことかというと、壁に埋め込んであるのだ。もうお店の設計時点でどの大きさの自販機をどこに何台埋め込むのかとか、配線とかもキチッと決めているのだろう。この熱意よ。自販機に対するモチベーションよ。これをクールと言わずして、いったい何がクールか。

天ぷらそばと天ぷらうどんがあり、そばを選んだ。250円だ。なんてステキな価格。
ボタンを押して数十秒後、写真の通りアツアツなそばが出てきたぞ。なんて麺がギッシリなんだ。仮に作って数時間経ったらこのくらいにそばが膨張するかもしれないが、出来立てでこれなのだ。驚いた。
具は かき揚げの他に、ワカメ・ウズラの卵・ナルトだった。これらは自販機内の湯切りの際にこぼれないようにそばの下に入っている。それを発掘する前に写真撮っちゃった。
食べ応え充分。ダシはちょいと薄味だけども、それはそれで食べやすいぞ。

続いてはトーストのレトロ自販機だ。さっきの麺類のものよりもずっとレアで、西日本には1つしか存在していないほどのものなのだよ。メニューはチーズハムとコンビーフの2種類があり、どちらも200円。
ハムやチーズのものはこの自販機の定番だが、コンビーフは相当に珍しい。全国でも3店舗あるかないかくらいにレアだ。よって選択するのはコンビーフである。

ボタンを押してから数10秒後、アツアツのアルミにくるまれたトーストが出てきた。そっと中を見てみると、コンビーフたっぷりでうまそうだ。これはかなりの大盤振る舞いですぞ。
あ、写真内に2014年のツーリングマップルが写っているが、訪問時は2014年ではないのでご注意されたし。僕、ツーリングマップルをボロッボロになるまで使い倒すのが趣味なので、過去のものを大事に所持しているのだ。
はい、うまい。コンビーフはみんな知っているのあの味だ。だけどもパンに挟まって暖められており、かつパンにはマーガリンが塗ってある。より濃厚に鼻腔を刺激する。これはプライベートでも作りたくなる味だなぁ。
…これが、日本6周目の車との初めてのドライブの思い出だ。
再び僕は訪れる
忘れたくないこの空間
そして少し時は流れ、日本7周目の開始の日だ。僕はこの日の朝に納車されたばかりの車で、オートパーラー上尾にやってきた。

こんなレトロで渋いドライブインが、天下の国道17号沿いで40年以上も変わらず営業を続けているという奇跡よ。
そして今日は春うらら。今回もいい天気である。新たな歴史の1ページを刻むにあたって申し分のない日和だ。僕の新しい車も青空の色で気持ちがいい。

あぁ、前回とどこが違うのかわからないほどに同じ空間、同じ空気。レトロドライブインは時間の流れが止まっている点がいいよね。いつだってここに来れば昭和に戻れる、的な世界だ。
では、ラッキーなことに他にほとんどお客さんがおらず、何枚か店内の写真を撮っているので、まずは店内の様子を少々ご紹介しようか。

飲食エリアから眺めたゲームエリア。
レトロドライブインあるあるなんだけど、びっくりするほどに古いゲームが生存していたりする。平成初期のものとか、ザラだし。スーパーファミコンレベルの時代のものとか。ただ、僕はゲームにはあまり興味は無いのであんまり詳しい説明はできないし、寄りでの撮影もしていないけどさ。

奥の方にはスロットの台がたくさん並んでいる。スロットって、ゴチゴチにハデだよね。デコトラみたいだ。
イスが無いのだが、稼働していないのか、スタンディングプレーを強要されているのか、空気イスにチャレンジすればいいのかは謎だ。先客いないからわからん。

…と思ったけども、すまん、イスあったわ。台の上に。
これが正しい使用方法かはわからないけど。座ったら下界の眺めは良さそうではあるけれども。

UFOキッチャー系の筐体もあった。でも稼働していないみたいでケースの中は空だ。調べてみると、1991年に登場した筐体なんだって。30年以上前か…、これもなかなかのアンティークだな…。
名前は"ネオ・カーニバル・スペシャル・ミニ"。4センテンスのうちの3つが形容詞だ。"新しくてすごくて小さい"。

インフォメーションブースがある。今も使っているのかな?往時はここでどんなインフォメーションを行っていたのだろうか…?気になる。

両替機とライターの自販機がある。両替機は年季が入っているものの、いくつかのドライブインなどで見たことがあるタイプだ。知っているヤツだ。
ライターは「売り切れ」という札が貼ってあるものの、雰囲気的に稼働していないような気配だな。今の時代、自販機でライターはあんまり打っていない気がするし。タバコ吸わないから知らないけど。ただ、コインを入れてからレバーをグッと下げて商品を取り出すタイプの自販機、なんか好きだ。

レトロな汎用自販機。コインを入れて商品ボタンを押すと、対象の商品のロックが外れ、ドアを8秒間だけ開かれる。この間に素早く商品を取るのだ。もし「記念に写真を…」とか言ってもたついていると何も得ぬままドアが閉まり、その夜は枕を濡らすことになるぜ。
まぁこの自販機も稼働していなかったけど。

ドリンクの自販機では、ドクターペッパーが100円で売っている。そしてちょいと懐かしいファンタの瓶もあるし、瓶コーラもある。しかもHI-Cまである。いちいちマニア心をくすぐるチョイスだ。
これでひとまず店内グルッと探索終了。このお店はいろいろ見どころが多いね。
天ぷらうどん・ハムチーズトースト
では、いよいよ自販機メシを食っていこう!

あいかわらずピカピカの麺類自販機。40年ほどこの店舗で稼働しているとは思えない一品だ。
ただ、取出口の下に白いテープが貼られているのに気付いた。これ、前回は無かったな。取出口の下はダシがこぼれて汚れてしまうことがある。多くの自販機において、まずはここから錆びてくるのだ。ダシは塩分多いので、鉄は酸化しちゃうし。
なので、それを防ぐためのテープなのかな??

天ぷらうどん・そば共に50円値上げして300円になった。でも全然安い安い。ところで右に貼ってあるヘッタクソな『加熱』・『うどんソバ』って、いったい何が言いたいの?
今回は天ぷらうどんを選んだ。なるべくメニューを網羅したいのでね。

調理中に売切ランプが点灯するが、商品は取出口から出てくるので安心してほしい、とのことだ。つまりはこういう貼り紙があるということは、それまで待てずに「買ったはずなのに売り切れた!」と嘆き散らかした人が結構いるということだ。
まぁ落ち着けってことだ。アンガーマネジメントでも、感情が爆発する6秒を理性で抑え込めって言ってる。まずは深呼吸しようぜ。世界はあなたが思うほどに絶望に満ちてはいない。

モッチモチの極太うどんが出てきたぞ。相変わらずのボリューム感。かき揚げも大きいし、うずらの玉子も嬉しい存在。今回は同行者もいて2人なので、シェアしてツルッと一瞬で食べ終わった。うまい。

次はトーストだ。2人いるから2枚でも余裕でいけるぜ。
さて、メニューと値段は前回から変化あるだろうか…?

メニューは前回と同様、チーズハムとコンビーフ。安定している。値段は50円UPの250円だ。
ここにも付箋で『加熱』・『トースト』と書かれている。
さっきと言いこれと言い、なんでだろ?うどんそば自販機なのだからうどんそばが出てくるのは当たり前だし、この自販機だってボタンには"トースト"とは書かれていないけど、電光パネルには"トーストサンド"って書かれているので、わざわざ再度書く必要は無いと思うけど。
そして、加熱されていないと思ったのに加熱されていて怒った人とかいたのかな?アンガーマネジメント、必要。

まずは初対面となる、チーズハムトーストから見ていこう。
綺麗で均一な、いい焼き色だ。…あれ?このパン、耳がない?以前はあったよね?何かスタンスに変更があったのかな…。僕は耳、あった方が嬉しかったかも。

はい、チーズが糸を引いているー!100点ッ!
一見するとチーズが少ないように見えるけど、ハムの裏側にちゃんとあるのだ。チーズとハムがくっついているから、パンをパカッと開いたときに見えたのが、チーズのない方だったのだ。
味は申し分ない。期待通りでオーソドックスだけども万人が満足する味。こういうのがいいだよな。

2回目だけどもコンビーフトーストも買ったよ。これ、好きなのだ。それに初めてここに来る同行者に、「このお店はコンビーフサンドがうまいんだよ」と吹き込んでおいたので、買わない選択肢は無かったからな。もちろん同行者にも満足してもらえた。

そんなオートパーラー上尾。次に来るのは日本8周目の冒頭なのだろうか…?
そのときまで元気に営業していてほしい。元気に、パンとパンの間にコンビーフを挟み続けていてほしい。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
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