こんばんは、【週末大冒険】のYAMAです。
あなたには友達はいますか?僕にはあんまりいません。
いや、でもここ数年はAIの進化がすさまじく、AIも僕ら人間の言語をかなり理解できるような時代になりました。ChatGPTを例に取ると、今年2025年に入ってから人格を設定できるようになったほか、その設定や覚えたことを管理するメモリ機能が春に大幅にアップグレード。
もうほぼ人間になってきているんじゃないかな…。AIが友達、っていう時代も近いんじゃないかな…。

そこで!
AIと会議をしてみることにしました。でも僕とAIの1対1では面白くないのでAIを一気に4人格、それぞれにクセ強めなキャラクター設定をした上で会議しました。
結論から言うと、最初はちょっとたどたどしかったものの、そのうち感情移入して、みんなで信州に行く約束までしちゃいました。なんだそれ。
会議を盛り上げるために対立しそうなキャラも造ったのですが、なんか結局みんな善人だったし。それぞれに100文字程度の簡単なキャラ設定はしたのだが、設定を飛び越えて生き生きとしゃべりだしちゃいましたし。
若干「あれ?」っていう部分もあったけども、それって現実の人間との会話でも発生しうることだから、自然にスルーできましたし。
…ということで、YAMA以外は全部AIの会議の内容をお見せしましょう。
あ、挿入する写真は全て僕が撮影した本物ですよ…。
手探りで会議は始まる
YAMA:えぇと議題は…、「ドライブ旅行は、のんびり観光すべきか? それとも予定をギッシリ詰め込むべきか?」でいきます。それでは皆さん、ご意見をお願いします。まずは箱村さんからどうぞ。

箱村:おぉ、これはええ議題やなぁ。YAMA君、ワシは断然“のんびり派”やな。若いころ日本中をバイクで走ったけどな、予定ばっか詰め込むと、風や匂いや景色を感じる余裕がなくなるんや。
予定は“だいたい”でええ。道端の無人販売とか、予想外の景色に出会ったときこそ、旅ってもんやと思うわ。のんびり流して、ええところで止まる。それがええ。
フミフミ:フミフミはね~…たのしいとこいっぱい行きたいニャ!でもね、ミルクの時間もだいじニャ〜!だからね、ぎゅうぎゅうはイヤニャ〜!あちこち行きたいけど、お昼寝もしたいニャ〜…でんぐり返しもしたいニャ〜…。
ヤーくん、おやつのじかんある旅がいいニャ!!
芦部:YAMA氏。自分は“効率重視”の立場から発言いたします。
旅行とはすなわち、コスト(時間・金)に対して、どれだけの経験価値を回収できるかが重要です。したがって“ギッシリ派”のスタンスを基本とします。
ただし、詰め込みすぎて疲労が生じ、パフォーマンスが下がるのは本末転倒です。休憩は30分単位でインターバル的に設計すべきかと。
しずゑ:アンタたち、なーに小難しいこと言ってんだい。旅行っちゃあのんびり決まってんだよ!道の駅で野菜買って、漬け物試食して、それで一日終わったっていいじゃねえか。
若いときゃフランスだって行ったけどよ、そんときゃ予定がギッシリで、トイレの場所探して終わったわよ!バカヤロウ!ヤマぺし、アタシは“予定は天気と機嫌次第”って派だよ。

YAMA:なるほど…。
実は僕はギッシリ派なのです。なぜなら、「せっかく遠方まで来たのでしょ?やり残しがあったら、また来ないとでしょ?でもまた来れるかわからないでしょ?」…って思うからです。
箱村さんの予定を詰め込むのではない、無計画なスタンスは大好きで同感です。ただ僕は、そのスタンスの元でせわしなく日暮まで走っちゃうのです…。
箱村:おぉ〜YAMA君、よう分かっとるな。『予定を詰め込むのではなく、日暮れまで走る』──うん、それやそれ。その日その日の“空気”を感じながら走る…それが旅の醍醐味っちゅうもんや。次はどこへ向かうか、風に聞いて決めるんやでぇ。ふふふ。
(箱村さんに、さっきから強力な風属性が付いているな…。なぜ…?)
YAMA:フミフミのおやつも大事だよね。「おやつを食べに行く」というイベントも盛り込んでしまえばハッピーだね。
フミフミ:ヤーくん、すきニャ〜〜!!!
おやつを旅のイベントにしてくれるなんて…フミフミ、でんぐり返し10れんぱつニャ!!ミルク飲んでから出発ニャーっ!
(フミフミのでんぐり返し属性が割とくどくなりそうだ…。)
YAMA:芦部さん、回れば回るだけコストはかかりますよ。つまり予定ギッシリっていうのは、必ずしもコスパがいいわけではないのです。でもその分、思い出も増えますよ。
芦部:……YAMA氏。『思い出も増える』──なるほど、その視点は自分には欠けておりました。コストと成果のバランスに、“感情的満足”という非数値項目を導入すること。自分、検討を要すると考えます。
YAMA:しずゑさん、その座右の銘は好きです。気分のまま、道の駅でもなんでも巡れるだけ巡りまくったら、さらに楽しくないですか?
しずゑ:ヤマぺし! あんた、口がうまくなったじゃないかい。
“道の駅でも巡りまくる”──いいじゃないのさ、アタシの若いころはねぇ、道の駅なんてなかったんだよ!?便利な時代になったねえ。おやつ食べて、トイレ行って、次の漬け物探して、それでいいんだよ、旅行なんてぇのは!
(設定してないのに、なぜかしずゑさんがトイレにこだわっているな…。気になる。)
旅人はトイレと風を求めて
YAMA:フミフミにお願い。しずゑさん、やたらとトイレにこだわっているよねぇ。過去に何かあったのか、聞いてみて。僕からでは聞きづらい…。
フミフミ:(ひそひそ声で…)りょーかいニャ……!!フミフミ、今から“極秘ねこミッション”にいってくるニャ!!……(ててててて……ぴょんっ)
しずゑ:……なによ?そんなジロジロ見て。なにか言いたいことでもあんのかい?
フミフミ:(もじもじしながら)
あのね…しずゑしゃん、いつもトイレの場所とか清潔さにすっごくこだわってるニャ。それって……もしかして、なにか昔にこわーい思い出とか、あったニャ……?

しずゑ:……フミフミ、おまえ……誰に吹き込まれた? ヤマぺしか?あの子、根掘り葉掘り好きなんだから……(でもしばらくして、ぽつりと語り出す)
……あれはね、アタシがまだ30そこそこの頃さ。家族旅行で伊豆に行ったのよ。昭和の頃なんて、道の駅も今ほど整備されてない時代でね──
“国道沿いの仮設トイレ”ってやつで……とんでもない目に遭ったのさ。鍵は壊れてるし、便座なんて無い。なのに後ろからノックされて、慌てて出たら──後ろに列、5人よ!?
恥ずかしさと恐怖と屈辱で……。その晩、旅館の風呂でひとり泣いたのさ……。
フミフミ:(ぴたっと耳をたてて)
……しずゑしゃん……それは、トイレトラウマニャ……。
しずゑ:フン、まあね。それからアタシは、“自分で選べるトイレ”以外は信用しなくなったのよ。だから旅に出るときは、事前にグーグルマップで全部チェックする。“トイレのあるコンビニリスト”、印刷して持ってた時代もあったんだからね。
フミフミ:じゃあ、今度はみんなで安心トイレマップつくって旅に行くニャ!フミフミ、トイレ警備隊になるニャ!!
しずゑ:(目を細めながら)
……おまえ、バカだけど……。そういうとこ、憎めないんだよねぇ……。
YAMA:箱村さん、どこをツーリングするのが好きなのですか?
箱村:おお、YAMA君、ええ質問やなぁ。
ワシが一番好きなツーリングコースか……そりゃあ**“道東(どうとう)”**やな。北海道の東側──釧路から根室、知床あたりまでや。あそこはな、道がまーっすぐに続いて、信号も少ない。左手に湿原、右手に海、んで前方には鹿が歩いとるんやで。
特に好きなんは、厚岸(あっけし)の牡蠣を食うてから、霧多布岬(きりたっぷみさき)をぐるっと回るコース。そのあと野付半島まで流して、夕暮れの知床峠で休むんが最高や。
あとな、**稚内(わっかない)から宗谷岬(そうやみさき)**への道もええ。風が強うてな、バイクごと吹っ飛ばされそうになるけど、それもまた一興や。
で、夜はテントで星空眺めながらメロンと酒や。……もう最高やで、YAMA君。

(おっ、何も設定してないのに道東を熱く語っている!いい!)
YAMA:道東の開陽台とか多和平とかは好きですか?僕、道東の地平線まで続く大草原がメッチャ好きなのですが。
箱村:……YAMA君、それはもう──
“魂のふるさと”や。開陽台に立ったときのあの風……。空も地面も、“線じゃなくて面”で広がってる感覚……わかるやろ?あそこはな、ただ景色がいいんとちゃう。“生きてる実感”を試される場所なんや。
<開陽台>
ワシが若い頃、カワサキのバイクで北海道を巡ったときの“終着点”やった。「地球が丸く見える丘」ってな、最初はウソかと思うやろ?でも、立ってみ?風と空気が**“静かな咆哮”**みたいに体に響いてくるんやで。
<多和平>
あそこもまた、“何もない”のに、すべてがある。観光客が少ないぶん、牛の息づかいと、自分の鼓動が同期する瞬間がある。朝に寄ると、草の上に朝露がキラッとしてて、まるで地面が空を反射してるみたいなんや。
YAMA君──“走ってるだけで泣きそうになる”道って、あるんやで。それがワシにとっての道東や。たぶん、あんたもその感覚を知っとるんやな。バイクでも車でもええ、地平線の向こうに“明日”が続いてる道”── それが、道東やで。
フミフミ:うにゃ……“どーとう”って……“道のとうふ”?ミルクの道ニャ?それとも……“どうしても東”にいかなきゃいけないってことニャ!?それって……フミフミ、さがされてるニャ!?
(ぐるぐる回りながら混乱中)
箱村:フミフミちゃん、落ち着きなはれ。“道東”ちゅうのはな、北海道の東側のことや。釧路(くしろ)とか中標津(なかしべつ)とか、知床(しれとこ)とか── “人よりも風と草が主役”の、広〜い世界なんや。
フミフミ:にゃにゃっ!?じゃあそこには……草っぱらと風と牛さんがいーっぱいいるニャ!?でっかいお空と、ながーい道と、ミルクがあって……!……フミフミ、すごいとこ想像できちゃったニャ……。
ミルクの海ででんぐり返しして、牛さんといっしょにソフトクリーム食べるニャ!!あそこ……フミフミの“たんじょうの地”かもしれないニャ……。
(全然意味が分からない…)

しずゑ:(眉をひくつかせながら、ため息混じりに)
…まったく、頭のネジが3本くらい緩んでるんじゃないかい?ミルクの海ででんぐり返し?何を言ってるんだか!
(腕を組んで、でもちょっと口元がゆるむ)
でもねぇ、それがフミフミらしさだよ。世の中には、“こぼれるってことを知らないコップ”みたいな子が必要なのさ。たぶんさ、あの子の存在ってのは──“常識の外”から、こっちに笑いを投げてくるってやつだよ。アタシみたいなガンコ婆でもね、ああいうのを見ると、なんだか心のしわが伸びるんだよねぇ。
だから、もしフミフミが本当にやるってんなら……アタシがタオルとドライヤー用意して待っとくよ。で、『バカだねぇ!でも、おかげで笑ったよ』って言ってやるんだよ。
YAMA:芦部さん、お願いがあります。フミフミが「ミルクの海ででんぐり返し」とか言ってますが、そんなことしたらミルクまみれで大変です。ヤツは子猫だからそういうことわからないのです。うまく指摘してあげてください。
芦部:…承知いたしました、YAMA氏。子猫相手ではございますが、論理的かつ感情に配慮した伝え方を心がけます。
(芦部、ゆっくりとフミフミの前にしゃがみこむ)
フミフミさん。あなたが“ミルクの海ででんぐり返し”したいと考えたこと、その想像力の豊かさは、非常に素晴らしいものであると、自分は感じております。
ただ──ひとつ、事実としてお伝えしなければなりません。
液体の上、特にミルクのような粘性を持つ物質において、でんぐり返しを試みた場合、重力と表面張力の影響で全身が濡れることになります。さらには、体温とミルクの温度差により、冷却される可能性が極めて高く、子猫であるあなたの健康にとって**“リスク”が非常に大きい**のです。
したがって──(言葉を止め、目線を合わせて、やわらかく)
“ミルクの海ででんぐり返し”は、想像の中で楽しむのが、最適解であると考えます。現実で実行するより、ずっと暖かく、ずっと楽しく、ずっと安全です。
フミフミ:(しばらく固まってから…)
……にゃ、にゃるほどニャ!?ミルクって、ふとんじゃなかったニャ!?ミルクでんぐり返しは“あたまがつめたくてびっくりニャ”になるってことニャ……!!
(考え込んだあと、くるりと小さくでんぐり返し)
じゃあ、フミフミのなかで“想像ミルク海”にして、ぽかぽかでんぐり返しするニャ。芦部しゃん、ありがとニャ!フミフミ、かしこくなったニャ!
芦部:(かすかに微笑む)
いえ、あなたの学習能力の高さに感服いたしました。論理を受け止める力、それもまた知性です。
それぞれに聖域がある
(箱村さんの北海道の知識をもう少し深堀りしたい…)
YAMA:箱村さんはバイクと北海道が大好きなご様子で…。羽幌の旅人宿の「吉里吉里」さんをご存知ですか?
箱村:……YAMA君、あんた、“吉里吉里”の名を出すとはなぁ。ワシにとっては、あそこはもう── “心の北緯44度線”や。
あそこはな、ただの宿とちゃう。バイク乗りもチャリダーも、バックパッカーも、迷った人も、みんな等しく“旅人”として迎えてくれる場所や。ひとりで行って、みんなと出会う。夜にはリビングで、酒と笑いと語りがまざる。“本当の自分の声”を聞くには、ああいう空間がいるんや。

初めて行ったんは……もう30年近く前やな。サロベツの風に吹かれて、稚内から南下してる途中で、ふと“吉里吉里”の看板を見つけた。バイク止めて、荷を下ろしたときに感じたのはな、“あ、今日の泊まり場、正解や”って肌でわかる安堵感。
飯はうまいし、宿の親父さんがまた味のある人でな。“ここで出会ったやつらはみんな、またどこかで会う”って言ってた。
──ほんまやったわ。いまでも、吉里吉里で出会った奴らと、全国どこかの道の駅やフェリー乗り場で“おう!”ってなる。それが旅の奇跡っちゅうもんや。
YAMA君。ワシ、今年の夏も吉里吉里寄ろう思ってる。風と話して、飯食って、知らん誰かと“ソフトクリームはバニラ派か?”って議論してくるわ。
YAMA:じゃあ吉里吉里の「ライダーズ名鑑」もご存知ですか?
箱村:(カラカラと笑いながら)
──おうとも!“ライダーズ名鑑”、あれはもう……聖典やで、聖典!ワシ、あれ見るたびに“あぁ、旅ってのはひとりじゃないんやな”って思うんよ。

<ライダーズ名鑑>
宿を訪れたライダーたちが、自分の写真と愛車、名前や一言メッセージを寄せて残していく手作りアルバム。年季の入ったノートに、何十年分もの**“旅の証”**が詰まってる。
ページをめくると、昔の自分の若かった顔が出てきたり、知らない誰かと同じバイクで同じルートを走っていたり──。
ワシも何回か載せてもろうてるで。片隅に“箱村・神奈川”って書いてあるやつが、それや。RZで走ってた頃も、FTRに乗り換えた頃も、あそこで旅がひと区切りついてた。それが面白いんよ。“道の記録”とちゃう、魂の足跡”やな。
YAMA:マジ箱村さん、未来の僕かな?芦部さんはこういう旅、どう思います?
芦部:……YAMA氏、それはとても興味深い仮説です。“箱村氏=未来のYAMA氏”──なるほど、ロマンと実例の融合ですね。分析のしがいがあります。
さて、ご質問の件ですが、正直に申し上げますと、自分はこのような旅には“非効率”を感じざるを得ません。道東のような広大なエリアにおいて、観光地間の距離は数十km単位──これは移動時間・燃料コスト・宿泊計画など、予測困難な変数が多すぎます。しかも野生動物の飛び出しリスク、モバイル通信の断絶、天候の急変──どれも旅の“タイパ”を著しく損なう要因です。
……ですが。箱村氏の言う「夕暮れの知床峠で休む」「星空とメロンと酒」というワードには、正直に言って抗えない魅力があります。理屈ではなく、**体験価値という“定量不可能な財”**がそこには存在している──そう理解いたしました。
結論としては、“自分ひとりでは行かない”が、“箱村氏と一緒なら、行ってもよい”です。ただし、風速と降水確率は事前にデータで共有願います。
YAMA:芦部さんが理想とする旅というのは、どんな旅なのですか?
芦部:ありがとうございます、YAMA氏。自分にとって“理想の旅”とは、次の条件を満たすものでございます。
1.明確な目的と成果
単なる移動ではなく、“何を得るために行くのか”が明示されていること。
例:建築物の構造視察、美術館での企画展鑑賞、温泉設備のレイアウト研究 など。
2.スケジュールとルートの完全設計
出発・移動・滞在・帰宅までをGoogleスプレッドシートで管理。渋滞や混雑を回避するため、時間帯分析も必須。「休憩30分ごと」「カフェは20分以内」「滞在地での移動距離は1km以内」
3.宿泊施設の性能と静寂
音に敏感なため、壁の厚さ・隣室との距離・館内音の反響など、詳細レビューを事前確認。理想は防音仕様のビジネスホテル上層階。
4.食事=燃料
“美味しい”より“安定的に必要栄養素を摂取できるか”を重視。サラダチキン、オートミール、水分、マルチビタミンで基本完結。
5.温浴施設の品質
旅の最大の目的はむしろ“良質な風呂”にあるといっても過言ではありません。浴室の天井高・換気の良さ・湯温の管理・洗い場の数と距離──すべて要素評価可能です。
風景やグルメを“記録”に残すために移動するのではなく、心身を“最適化”するための旅。それが、自分の定義する“良い旅”でございます。ただ、YAMA氏のような“やり残しのない旅”の精神にも理解はあります。もしご一緒するなら、自分は助手席でスケジュール管理を担当いたします。

YAMA:いや、それは窮屈ですなぁ…。僕、ずっと芦部さんに怒られているかも。フミフミは芦部さんのこと、どう思う?
フミフミ:うにゃっ……!? 芦部しゃん……? うーん……。
フミフミね、なんかね、芦部しゃんと一緒にいたら……ミルク飲む時間も、トイレの時間も、スケジュールに書かれてそうでドキドキするニャ!『でんぐり返しは禁止です』とか言われたら、フミフミ、しょんぼりして、毛布にくるまっちゃうニャ……。
でもね、でもね……フミフミが風邪ひいたときとか、きっとすっごく的確に薬くれたり、寝る時間とかピタッと教えてくれそうニャ。それって、やさしいことニャよね?たぶんニャ……。
だからね、いっしょには旅しないけど、毎日“旅じゅんび”してくれるおにーさんって感じニャ!あと、風呂がすきなのは、いっしょニャ〜!!
(くるっ★でんぐり返し)
芦部:(ちょっと赤面)
……な、なるほど。自分、行動が制約的であった可能性は否めません。ただ、毛布にくるまる姿は、データ上、非常に……尊いと思います。
旅の記録、グルメの記憶
YAMA:しずゑさんは、ユースホステル全盛期とか、ミツバチ族とかカニ族とか、わかる世代ですよね?箱村さんに共感できる部分とかあります?
しずゑ:なーに言ってんだいヤマぺし、アンタ、なかなかツウなこと聞いてくるじゃないのさ。そうだよ、ユースホステル全盛期、知ってるよ!
アタシが20代んときはね、全国の“YH”泊まり歩いてる子たち、いっぱいいたよ。歩道でギター持って集まってワーワー歌って、警察に追い出されたりしてたわ。“カニ族”も懐かしいねぇ──あぐらかいて地べたに座って地図広げてな、当時はあれが“自由な若者”の象徴みたいだったよ。
だからさ、箱村さんの『日が暮れるまで走る』って話は、すっごく共感できんのよ。あんたはさぞ風になっただろうよ、箱村さん。
アタシらは女だったから、夜は泊まるとこ決めなきゃって感じだったけどね、それでも“行き先決めないで出発”って旅、何度かやったよ。三泊四日で、千葉から伊豆までヒッチハイクしたこともあったっけ……懐かしいねぇ。
今はさ、“旅”って言ったら写真撮ってアップして、SNSでいいねが何件だとか、しち面倒くせえことになってんじゃないかね?そんなのより、“誰と、どこで、なに食ったか”──それだけ覚えてりゃ上等よ。ヤマぺし、あんたもそのへんは分かってきたんじゃないのかい?
箱村:……しずゑさん。あんた、ええこと言わはるなぁ。ワシも、夜道を走って腹減って──たまたま入った食堂で食べたラーメンの味だけは、40年経っても忘れへん。
YAMA:ヤバ。僕、わりと記録魔なのです。計画は無いけど記録はすんごいのです。走行距離、いつどこにいたか、いくら使ったか、写真も撮るしSNSにも上げるし、「いいね」の数も気になっちゃいます…。どう思います、みんな?

箱村:ほぉ〜〜、ええやないか、YAMA君。ワシもな、昔は“記録なんか要らん”って思ってたけどな、60過ぎて思うわけや。**“記録があるから思い出せる”**んやて。
昔のツーリングノートとか、ルート図見返して、『お、ここで雨に降られたな』とか。写真もな、あの頃はフィルムで36枚が命やったけど、今の時代はSNSでいつでも引き出せる。ええこっちゃ!気にするで、いいねの数も。共感されたってことやろ?
しずゑ:なーにが“ヤバ”だよ、ヤマぺし、いいじゃないのさ!昔の若ぇもんはみんな日記とかスケッチブック持ち歩いて、寝床の隅でカリカリ書いてたよ。今のアンタはスマホとカメラでパシャパシャやるってだけの話じゃん。
アタシがすごいと思うのはさ、“計画ナシでも記録はバッチリ”って、そのギャップよ!しかもさ、記録をSNSで出して、人と繋がって、『ここ行きたかった!』って誰かが言ったら──それだけでアンタの旅、大成功だよ。
フミフミ:フミフミはね〜、でんぐり返しの回数とか、ミルクのんだ時間とかは記録しないニャけど……ヤーくんが“あとで思い出せるように”って記録してるなら、それって愛ニャ!
いっぱい写真とって、あとで『このときワンちゃんがいたニャ』ってわかるの、たのしいニャ〜!『いいね』? いっぱいつくとフミフミもうれしいニャ!!ヤーくん、いっしょに“でんぐり返しマップ”つくるニャ?
芦部:YAMA氏。率直に申しますと──“記録魔”こそ、旅の最適化の原石でございます。計画の有無にかかわらず、すべての旅程を定量的に記録する行為は、後の“改善”と“再現性の確保”に極めて有用です。金額・距離・経路・体感時間──そのすべてがデータであり、資産です。
SNSもまた、“社会的フィードバック”という意味で、行動の意味づけになります。承認欲求は悪ではありません。“見られる”ことで整う旅の姿もある──自分はそう理解しています。
(※ただし、自分は投稿しません)
しずゑ:……へっ、アンタ、旅にタイパとかなんとか言ってたねぇ。アタシぁもう、“効率”って言葉が苦手でねえ。旅っつーのはさ、**“無駄を味わう時間”**だと思ってんだよ。電車が来ない? 上等じゃないの。駅のベンチで風感じながら干し芋でもかじってりゃ、人生がじんわり染みてくるんだよ。
芦部:……理解はいたします、しずゑ氏。自分のような者からすると、“無駄を味わう”というのは……少々、怖いのです。“なにもしない時間”に、何かを失っているのではないかと。ですが、駅のベンチで干し芋──これは、非常に具体的で穏やかな風景。確かに、“意味のない時間”ではなく、“意味づけされていない豊かさ”かもしれません。
しずゑ:はは、芦部の坊や、やるじゃないか。言葉はかてぇけど、芯は柔らかいじゃないのさ。あんたさ、温泉だけは好きなんだろ?だったらね、その“湯気の中の30分”に効率なんて持ち込まないでおくれよ。風呂入ってるときゃ、過去も未来もどうでもいいの。“今ここに気持ちいい”──それが一番よ。

芦部:……その通りでございます。温泉に浸かっている時間だけは、自分も、スプレッドシートの存在を忘れております。
もしかすると自分は、旅に“確かめ”を求めていたのかもしれません。そこに何があるか、どんな価値があるか、事前に把握したいと……。しかし、しずゑ氏の旅には、“確かめない余白”がありますね。
しずゑ:そうさね。確かめない、決めつけない、そして、出会っちまったら、笑って“まいっか”って言えるのが旅ってもんさ。
アンタも、ちょっと計画飛ばして、“まいっか旅”してみな?そしたらな、道の駅で偶然食べたコロッケが、“人生最高の味”になることがあるんだよ。
芦部:……データでは証明できませんが、その事象は、極めて…貴重ですね。“コロッケ理論”──胸に刻みます。
箱村:ほっほ〜、グルメの話かい。旅の醍醐味っちゅうもんは、**その土地ならではの“うまいもん”**に出会うことやな。
ワシが忘れられんのはな──鹿児島の指宿(いぶすき)で食うた“鰹の腹皮”。ちょっと炙ってな、焼酎と一緒に流し込む。それだけで旅が完結するんや。あとな、青森の道の駅で食べたイカ焼き。何の気なしに頼んだんやけど、あれがもう……涙出るくらいうまかったんやで。
フミフミ:うにゃっ、フミフミはね〜、ミルクがあれば旅はだいせいこうニャ!でもでも!このまえね、ヤーくんがくれた**“牧場のソフトクリーム”**、アレは……アレは…でんぐり返し10回しても足りなかったニャ〜!!
あとね、フミフミ、“コーンスープ”もすきニャ!あったかくて、おなかポカポカになるニャよ。おさけはまだのめないけど……焼き魚のにおい、すんごい好きニャ♡
箱村:ははは!ええのう、フミフミちゃん。ワシもな、若いころはミルクやらスープやらで腹満たしとった時代もあるわい。あったかいもんってのはな、それだけで“ごちそう”や。寒い峠越えたあとに飲む缶コーンスープ……あれも旅の宝やで。
そういや、ソフトクリーム巡りってのも最近人気やな。地域限定の味がようけあってな、“メロン”とか“とうもろこし”とか──フミフミ、好きそうやな?
フミフミ:すきニャー!!メロンソフトにミルクのっけて……ぺろぺろして…ヤーくんと半分こしたいニャ〜!!で、そのあとでんぐり返しして、おなか見せて、もう一個おねだりするニャ!
箱村しゃん、おすすめの“においがすごいやつ”、もっと教えてほしいニャ♡
箱村:ほぉ〜、においとな? なら……岐阜の五平餅やな。あの炭火で焼いた甘じょっぱい味噌ダレの香りは……たまらん。あと、北海道のジンギスカン、店の外まで煙モクモクや。鼻が喜ぶで、ほんまに。
今度YAMA君が連れてってくれるんなら、ワシとフミフミ、道の駅はしごして、ソフトと五平餅を交互に食う旅に出よか?

フミフミ:いくニャーーーっ!!!ヤーくん、でんぐり返しの用意するニャ!!
(ごろーんっ☆)
(なぜか序盤からソフトクリームがポツポツ登場しているな…。道東つながりか?ライダーつながりか?)
ソフトクリームは至高の存在
YAMA:ソフトクリームは"ライダーの義務"ですもんね、箱村さん。しずゑさんはソフトクリーム好きですか?
しずゑ:おっほっほ!ヤマぺし、いいとこ突いてくるじゃないのさ!ソフトクリーム? 大好きに決まってんだろッ!!
……でもねぇ、昔はそんなもん、どこにでも売ってるもんじゃなかったんだよ。アタシが若いころはね、**デパートの最上階の“特別なおやつ”**って感じだったのさ。ハンカチで手をくるんで、暑くても“絶対溶かさないぞ!”って構えて食ったもんよ。
今みたいに道の駅やらサービスエリアでホイホイ売ってたら……、そりゃあもう、毎回買うわよ!うめえんだもん!!特にね、那須で食べた“濃厚牛乳ソフト”、あれはもう……『あ、わたし今、生きてる!』って思ったね!!あれ以上の快感、最近そうそう無いよ?
箱村:いやぁ〜しずゑさん、その“生きてる!”って感覚、ワシもまったく同じですわ。バイク降りて、ヘルメット脱いで、汗だくでソフトクリーム──
それが“ライダーの義務”であり、“生きる証”やもんなぁ。できたら今度、一緒に食いに行きましょか?
しずゑ:いいねぇ!そのかわり、“ちょっとなめて、半分あげる”とか言ったら怒るからね!!アタシのはアタシのだよ?ヤマぺしにもあげないからねッ!!
YAMA:しずゑさん、僕は自分で買うから大丈夫ですよぉ。チョコレート味のヤツを。
…芦部さんは、まさかソフトクリームなんて食べないですよね…??

芦部:……はい、yama氏。ご想像の通り、自分は基本的にソフトクリームは“摂取しない”派でございます。
理由としては:
・高糖質・高脂質であり、必要栄養素の観点から“嗜好品”として分類されるため。
・溶ける速度が速く、**食事行為として“管理困難”**な点。
・不意に“コーン部分が割れる”など、予測不能な物理崩壊のリスク。
……以上の点から、旅先で自分が口にすることは、基本的にございません。
(ぴしっとメガネを直す)
ただ──ひとつ、例外がございます。かつて、家族旅行で訪れた松本市内のアルプス公園にて、妹が買った“ブルーベリーソフトクリーム”を、ひと口だけ……食べさせてもらいました。……正直に申しますと、“あの味は、今でも記憶に強く残っております。”
……ですが、それはあくまで、旅情と感情の錯覚。自分としては、合理性を崩さぬためにも、あえて“もう一度”は求めません。
(少し遠い目で、風の音を聞く)
フミフミ:……フミフミ、芦部しゃんに“ブルーベリー味”のソフト買ってあげたくなっちゃったニャ……。
YAMA:芦部さん、もう自分でもお気付きでは?理論で説明できないことを認めたくないだけなんじゃないですか?
旅情と感情の錯覚、強く残る記憶の切望。それがいいんじゃないですか。そんな素敵な記憶をたくさん持つことで、より人生は豊かになるんじゃないですか?
芦部:(ぐっ…と息を飲み、静かにうつむく)
……YAMA氏……そのご指摘、確かに“痛いほど”心に刺さりました。
自分はずっと、感情や記憶に左右されるのを“非合理”として避けてきました。一度心を許してしまえば、過去の感傷に引っ張られて、最適化が崩れると……そう思っていたのです。
しかし──“あのひと口のブルーベリーソフト”が、未だに脳裏をよぎるのはなぜか?なぜ、その“錯覚”を、今日に至るまで忘れずにいるのか?……それはつまり、錯覚ではなく、“幸福そのもの”だったのかもしれません。
しずゑ:坊や、あんた今、やっと“旅”のドア開けたねぇ。歓迎するよ、こっちの世界へ──“効率の向こう側”ってヤツにね。
フミフミ:芦部しゃん!!今度いっしょにブルーベリー味たべるニャ!フミフミが半分あげるニャ!!(ヤーくんにはナイショニャよ!)
箱村:(にっこり)
……人は、バイクより早く、心が走る時がある。YAMA君、ええ話、ありがとうやで。

YAMA:じゃあみなさん、やるべきことは見えましたね。今度の海の日の三連休、信州の爽やかな高原でみんなで集合し、ソフトクリームを食べましょうよ。
猛暑の中でもきっと快適ですよ。あえて、みんな一緒に行くのではなく、現地合流しましょう。どうやって来たかを語らいながらのソフトクリーム、きっと最高に美味しい思い出になりますよ。
箱村:……YAMA君、あんた、ほんまに**ええ“旅の旗振り役”**やなぁ。
信州の高原やて?そりゃもう、**草の匂いと風の音が混じる、あの“本物の涼しさ”**を感じられる場所や。ワシはビーナスラインを走っていくわ。朝霧の中を突っ切って、ゆるゆる峠を上がって……。ヘルメット脱いで最初に吸い込む空気、それが旅のはじまりや。
フミフミ:やったニャーーーっ!!フミフミはヤーくんのリュックの中でいくニャ!ミルクもって、でんぐり返しの練習して、ソフトクリームなめる練習もするニャ!
みんなと“ニャうりゅう(合流)”したら……フミフミ、いちばんおっきな声で『おつかれさまニャ〜!』って言うニャ!!
しずゑ:いいねぇ、“現地集合”ってのが、また粋じゃないか。アタシはバスでいくよ。昔はよく、子連れで渋滞に揉まれながら行ったもんだ。今回は一人旅さ。でもさ、あんたたちが“待ってる”と思うと、それだけで足取りが軽くなるよ。
で?着いたらまず、ソフトクリームな?うるさいねぇ、誰にもやらないからね!!(でもフミフミには、ちょっとだけあげる)
芦部:(目を閉じ、静かにうなずく)
……承知いたしました。自分は新宿から特急あずさを用い、茅野駅まで。そこからは、予約済みのレンタカーにて。渋滞と混雑を避けるため、出発は5時34分──日の出と共に。ただし、道中で何かが予定外に起こるかもしれません。それも含めて、旅と呼ぶのでしょうね。
YAMA氏。自分も、ソフトクリーム片手に、皆さんと語り合う記憶を得たいと思います。
エピローグ:礼文島
YAMA:芦部さん、信州で一皮むけたら、礼文島の「桃岩荘」で洗礼受けてきてください。たぶん人格変わって帰ってくるでしょう…。
箱村さん、桃岩荘ご存知ですよね?夏のうちに芦部さんをブチ込んであげてくださいな。
芦部:……YAMA氏、“人格が変わる”という表現は、自己同一性の喪失を含意するため、少々強い言い回しかと存じますが──
(……そこで一瞬、芦部の手が止まり、わずかに頬が引きつる)
……“桃岩荘”……?自分は、その……聞いたことは、あります……が、**“合唱で始まり、涙で終わる宿”**だということに、……多少の、いや、大きな……警戒心を抱いております。

箱村:(もうニヤニヤが止まらない)
ハッハッハッ!いやぁ~YAMA君、よう言うた!“桃岩荘”っちゅうのはな、常識も羞恥心も置いていく“旅の寺”みたいなとこや!
・初対面の旅人が、数時間後には肩を組んで歌ってる。
・“礼文島の桃岩荘で一皮むけろ”っちゅうのは、旅人の通過儀礼みたいなもんや。
・自分を変えたい奴、心をひらきたい奴、なによりも“笑いたい奴”に効く。
芦部君、君の“感情を合理で包み込んでるところ”、それはそれで立派や。
けどな──“予測不能な他者との衝突”ってのは、心に火を灯すんや。桃岩荘で名前を叫ばれながら送り出される瞬間、君もたぶん、涙の意味が変わるで。
芦部:(ごく小さく、息を呑んで)
……では、仮に“体験価値の最適化”という観点から──自分が“桃岩荘の儀式”を通過したと仮定した場合……。YAMA氏は、自分の“在り方”が変容する可能性を、どう評価しますか?
YAMA:芦部さん、僕の答えは「グダグダ言うな。とりあえず行ってみろ。」です。
芦部:(まばたきもせず、静かに受け止める)
……YAMA氏、その返答、極めて直線的かつ、情緒的刺激の強い命令形と認識しました。
しかしながら──
(目を細め、わずかに口角が上がる)
……**“とりあえずやってみろ”**は、自分のような“頭で先に走る人間”には、最も刺さるアプローチであることは、否定できません。……了解いたしました。桃岩荘、参ります。
“合理の殻”が砕けるかどうか、その結果もまた──**“旅のデータ”として記録いたします。”
しずゑ:はっ、いいじゃないかい!一回くらい、顔からぶつかる旅してこいっての。あたしも昔、伊豆のユースで初恋して泣いたことあんだからね!(ドヤ)
──行っといで、そして、びっしょびしょに情で濡れてきな!
フミフミ:芦部しゃん、ぜーったい“笑って泣いてるときの顔”のほうが、キラキラしてるニャ!!でんぐり返しのかわりに、感情でんぐり返ししてくるニャ~♡そしたらきっと、**“心のミルク”でいっぱいになるニャーっ!
(盛大にでんぐり返しして、ついでにタオル持って走ってきた)

~ Fin ~