"出羽三山"とは、「羽黒山」・「湯殿山」・「月山(がっさん)」を指す。
僕は全て訪問済みなのだが、この中で唯一月山だけがガチな登山であり、羽黒山と湯殿山は車を使えば歩行距離はほぼ無いくらいまで抑えられる。
だからアプローチが大変だったのはダントツで月山なのだが、それがゆえに「行ってやったぞ感」もダントツであった。

月山を攻略したのは、日本5周目のお盆時期であった。2025年現在においても月山登山のシーズンが到来していると思うので、今回は月山登山のエピソードを書こうかね。

僕は複数ある登山路のうち、姥沢駐車場からのアプローチをした。一番歩行距離が少ないであろうと踏んだからだ。
前夜のうちに駐車場を目指したのだが、月山IC付近から始まる国道112号の旧道と県道114号は、擦れ違い困難なレベルの狭い道が延々と九十九折になって続くし真っ暗でオバケ出そうで、とっても怖かったぜ。
駐車場に着いてからは軽く酒を飲み、無理矢理気分を高揚させたのだぞ。そして寝た。
では、本章に行こう。
- 【第1章】日の出前のスタートダッシュ
- 【第2章】高原と木道の絶景を行く
- 【第3章】迫る雲海と心臓破りの坂
- 【第4章】月山神社で巫女さんに出会う
- 【第5章】濃霧の中の下山から逃避する
- 住所・スポット情報
【第1章】日の出前のスタートダッシュ
5:00に起床した。実は4:30にも目を覚ましたんだけど、まだ周囲が薄暗かったし、寒くてテンションが上がり切らなかったので二度寝しちゃったよ。でも、もう起きなきゃ。「月山」、登らなきゃ。

ちなみに姥沢からはリフトも出ていてそれを使うとさらに歩行距離を2kmほど短縮できるらしい。だけどもリフトの営業は8:00くらいかららしいので、今回の登りでこれを使うのは非現実的。リフトOPENを待っている時間、歩いたほうが早い。
なんかね、起きてみて駐車場を見渡したら、車が10台もいないの。500台収容可能なのに。
あれ?登山のベストシーズンなのにこんなもんなの?いや、もしかして車中泊で登ろうとかいう奇特な人が少ないだけなのかな?せっかくここの登山口はリフトがあるんだもんね。みんなその時間に合わせてやってくるのかな?
見えた限りでは、僕以外に登山準備をしている人は2人だけだったよ。少ねぇ。お盆なのに寒くて気が滅入るが、その気持ちを振り払うように速攻で身支度をする。

駐車場に案内MAPがあった。
ここは標高1160m。そして月山の山頂は1984m。だから824mの登りってことね。歩行距離は、3.9kmだそうだ。大体の山がそうだけど、終盤の登りがハンパない感じ。
標準的な所要時間は2時間50分だそうだ。がんばろうー。

駐車場にはトイレがあったので立ち寄っておく。トイレ内には上の写真のようなポスターが貼ってある。月山のスキー場は、4月から7月まで滑れることで有名だよね。冬は雪が多すぎて、逆に滑れないんだよね。
5:18、歩行を開始した。

数100m車道を歩くと、"月山登山口"と書かれた小さな看板と小さな案内所みたいな小屋がある。小屋はまだ営業していないけど。

引き続き車道を登っていくと、数分後に頭上にリフト乗り場の建物が見えてきた。楽をしたい人は8時以降にここに入ればいいとして、歩く人はどこに行けばいいのかな?とりあえず建物内に入ってみる。

このリフト乗り場は、山小屋も兼ねているそうだね。まずは、内部に登山届のコーナーがあったので、書類を提出。そのあと、起きていた従業員さんに「登山ルートはどこですか?」って尋ねてみる。
そしたら「ちょっと来すぎましたね。200mほど戻ったところを左の木立の中に入るのですよ。」みたいなことを言われた。そっか、全然気付かなかった。でも登山届は出しておきたかったので、何も損はしていない。じゃ、戻るか。

山小屋の人に教えてもらった通り来た道を200m戻り、5:28に登山口に立った。
よーし、行くぞ!

ここからは、展望の開けない茂みの中を進む、ゆるい登り坂の木道。ウォーミングアップにはちょうどいいくらいだね。ノンストレスで歩ける。

10分ほど歩くと、バッと視界が開けて山々の稜線が見た。どこがなんの山だかわからないけど。
たぶん今日は快晴だ。いい天気の日にここに来れてラッキーだな。

徐々に空が赤く色付いてきた。日の出は近いみたいだな。
…だが、やっぱ8月ともなるとずいぶん日が短くなるよね?6月なんて午前4時台にはこのくらいの空模様だったりするもんね。

展望が開けてから数10m進むと足元に水場が出てきた。「雄宝清水」というらしく、柄杓まで備え付けられていて丁寧だね。そして、その水場を示す木の立札には"雄宝香 この花の所に銘水有"の文字。意味は分からんけど風流だ。
まだ序盤なので僕の飲み水のペットボトルは全然減っていない。まだ気温も低いので喉も乾かないし。せっかくなのでひと口だけ柄杓で飲んでみた。キンキンに冷たい。うまい。

はいよー、間髪入れずにまた水場がやってきたよー。「ブナのしずく」という水場だ。
申し訳程度にここも飲んで行こう。ガボガボ…。もうお腹いっぱいだよ。でも、おいしい水だ。
【第2章】高原と木道の絶景を行く
水場から歩くことおよそ10分強の5:58。ついに日なたが登場した。

本格的な朝がやってきたのだ。ここから本格的な直射日光の元での歩行がスタートだな。日なたに足を踏み出す前に日焼け止めを塗っておく。

太陽下に出てみる。すっごい快な。雲1つ無い最高の天気だ。
右手にコンモリとした大きな山が見えるが、あれが月山なのだろうか?最初に撮影したMAPによれば、月山である可能性が高そうだ。
頂上直下の傾斜、なかなかにエグいぜ、あれ。最後はあそこに挑まないとダメなのかー…。

月山の稜線から視界を右に移すと、雲海がモクモクしているのが見える。
わぁ、綺麗だ。雲海大好き。天空にいる気分。こういう雲海が見れるのって、山間部の朝だけだもんね。これを見れただけでも得をした気分だよ。
すぐ後、おじさんおばさんの3人組が同じルートを登っているのに追いついた。登山開始以降に初めて見かけた僕以外の登山者!挨拶をする。
おじさんたちは僕と同じように早朝に姥沢駐車場を出発し、月山を目指しているとのことだ。
おばさんは「キミ、何時に出発したの?」って聞いて来る。素直に答えたら、「やっぱ若い人は早いのねぇ。そのパワーを私に置いていってよ。」と言ってくる。
「大変残念なのですがこのパワーは僕専用でして、これも下山時には空っぽになる予定なのです。」みたいなことを言い、お互い無事に月山を登頂することを誓って、僕は抜かさせてもらう。
僕はスタートダッシュタイプだからね。そのうちマジでヘコたれるからね。そして若くないし。

すっっごい開けた地に出た。ちなみに後から振り返っても、ここを歩いているときが全行程の中で最高の気分だった。ドカーンと広がる大草原の中に1本の木道。「尾瀬ヶ原」みたいだ。
気温も上がってきた。いや、まだ肌寒いんだけど日光強いから上着いらない。脱いだ。肌でこの空気を感じているのが気持ちいい。

ここで2組目の登山者を発見。花の写真を撮っているおじさん。ここいらはポツポツとニッコウキスゲが咲いているのだ。挨拶しつつもおじさん一瞬で抜き去り、僕はどんどん高度を上げる。

僕もニッコウキスゲの写真を撮っておいた。
小さいころに家族旅行で高原を登山することが多かったので、思い出深い花なのだ。

後ろを振り返ると、木道の向こうに雲海が広がっている。うわぁ!なんていい眺め!!疲れなんて吹き飛ぶわ。
6:19、登り始めてから最初の分岐点に到達した。ここは月山山頂方面への道と、リフト乗り場の終点や「姥ヶ岳」って山の方面へと分岐する場所。僕はもちろん月山を目指す。

リフト乗り場の始点のあった姥沢小屋からここまでの距離は2kmらしい。つまり僕はここまで2km歩いて来たってわけだ。
そして、リフトの終点の駅まではここから800mとのこと。下山時に負け犬な気持ちだったら、僕は800m歩いてリフトに乗って下山しようと思うよ。

「雲海ってステキだなぁ」と振り返り振り返り進んでいた僕だけど、ちょっとここいらでゾクッとした。
おいおい待てよ…。あの雲海、最初に見たときよりもなんだか成長していないか?最初に見たときはもっと遠く、そして低いところにあったように感じた。僕は雲海とは逆の方向に歩いているにもかかわらず、だ。
…ってことは、雲海は明らかに迫ってきているのだろう。
やっべぇ。雲海の中は霧・雨・低温、そして視界も奪われる。当然、楽しくないどころか安全面でも懸念が出るぜ。どうするかっていうと、あの雲海よりも先に山頂に行く。まずはこれしかない。とはいっても、下山のときにモロに影響を食らうけどな。

6:29、歩行開始からちょうど1時間でリフト上駅と月山山頂との中間地点の杭のところにやってきた。
共に距離は1.5km。リフト上駅からで半分ってことは、リフト下駅から歩いて来ている僕はとっくに半分以上来ているってことだね。ザックリ計算すると、ここまで2.5kmくらいは歩いたのかな??
でも、難易度的にはまだきっと3分の1も来てないよね?まだまだ僕、ほとんど息も上がっていないし。極めてフラットなテンションだし。心臓破りがやってくるのは、まだまだこの先でしょうよ。
【第3章】迫る雲海と心臓破りの坂
数分前の中間地点あたりから日陰に入った。別に天気が悪くなったわけでは無い。月山の山頂直下の急勾配に近付いてきたため、そこの影に入ったのだ。つまり傾斜が強くなってきているのだ。

なのでここからしばらくは日陰。太陽が昇る速度は僕の歩行速度より速いだろうから太陽に敗北するまでは日陰。でもこの日陰にいるうちにペースを上げたいところだねぇ。

あ、残雪。お盆時期だしちゃんと日の当たるところなのに、まだ雪がある。改めて月山の気候が厳しいことを目の当たりにした気持ちだ。
すごいぞ月山。そりゃ7月までスキーできるわ。

遠くにリフト上駅が見えた。上の写真に小さく写っているのがおわかりいただけるだろうか?
その背後にはすごい規模の雲海。これ、間もなくリフト駅も飲み込まれるんじゃないかな。あの位置に雲海が見えているってことは、姥沢小屋のリフト下駅はもうとっくに雲の中なんじゃなかろうか?
つまり、1時間前に僕がいた地点は既に雲中ってこと。この1時間差をどこまでキープできるかって感じだな。山頂までは逃げ切りたい。絶対に。

この先は、もうずっとこんな急坂な感じかな?でもヘバッているヒマはないぜ。雲海に襲われているから。猛追されているから。必死に登るのだ。
下を見ると、遥か彼方の大草原の木道地帯をさっきのおじさんおばさんの3人組がゆっくり歩いているのが見える。ずいぶん差が付いたな。

牛首の分岐までやってきた。あと1.1kmだ。つっても、これからが本番だけどな。前方には、見上げるような月山の最終関門が立ちふさがっている。すんごい傾斜だね。ここを登って行くのだね。

冒頭で掲載した登山MAPを今一度貼っておく。最後の九十九折りまで来ている。…が、道が険しいからこそ登山路が九十九折になっているのだ。こっからがヤバいってのは、そういうことなのだ。

最高のロケーションだった木道のある大草原を、雲海が侵略しつつある。
僕があそこにいたのは35分前。うわぁ、迫ってきているねぇ…。そして、遠くにチラッと見えていたリフト上駅がついに雲に飲まれた。リフト上駅の標高は1500m。そしてつい数分前に通過した牛首が1720m。あまり余裕があるとは言えないな…。

しかし、ここで大草原部分から尾根を挟んだ反対側の景色が開けた。こっちはスカッと晴れている。尾根からあっちに雲が流れてくれればよいが…。
とにかく、急いだ方が良いのは事実。不確かな事象に希望を抱いている場合じゃない。

6:55頃、急な岩場を1人の登山者のおばあちゃんが降りてきました。
おばあちゃんは僕を見て「あら、随分と身軽なのねぇ。姥沢から?」と声を掛けてくる。うん、僕はショルダーバック1つに半袖シャツだから、傍から見れば登山する格好じゃないよね…。
僕は姥沢から登ってきた旨と、足もとの雲海が気になって所が無いことをおばあちゃんに打ち明ける。
おばあちゃんは昨夜は月山の山頂小屋に宿泊したそうだ。「雲海はたぶんここまで来ないわよ。昨日も下界は雲は出たけど、山頂は最高の景色だったわよ。」って話してくれた。
そっか、勇気が出た。あともうちょっとで山頂、頑張るよ。

崖のような急な登りが続く中、僕はさすがにヘコたれてきた。
よっし、ここで軽食タイムだ。エネルギーを補充しよう。昨夜にコンビニで買ったオニギリ2つのうちの1つをここで食べる。僕は座ると士気が下がってしまうタイプなので、登山中は大体山頂まで立ちっぱなし。ここでも立ったまま食べた。

足元を見ると、大草原地帯を完全に飲み込んだ雲は、尾根を跨いで反対方向に流れ出ようとしている。…あ、じゃあこっちにはこないのかな?そうだといいな。
だけども、いずれにしても帰り道の大半は霧の中の道のりとなることが確定したよね…。まぁいいけど。行きが絶景だったから。
さて、このあとの登りは本当につらかった。
ひたすら急坂だし立ち止まって休めるようなところもないし、足場は悪し、ゴールは目視できないし。普通に運動できる人ならまら違うかもしれないけど、僕は深刻なレベルの運動不足のインテリ眼鏡なのだ。普段全然歩かないのだ。
ヒーヒー言いながら、激坂を登る。間もなく一息つけそうな鳥居のある石垣が見えてきた。

7:14、鍛冶小屋跡というスポットに辿り着いた。
ここはかつて山小屋があったところらしい。随所にそれっぽい石垣が残っていた。山小屋が建っていたようなところだから、ここの周囲だけはフラットな土地だ。
あー…、休めるー!ありがたいぃー!
延命地蔵尊もいた。僕もちょっと延命できたかもしんねぇ。

現に、激しい登りはここで終了の気配だ。
小屋の裏側に回り込むと登山道が続いているんだけど、ダラダラした感じの丘になっている。うん、あとほんのちょっとで山頂なのだね。あと丘を1つ越えるだけみたいだ。やったぁ。

石垣の上部から下界を見下ろす。天空に立っているかのような絶景だ。
さぁ、ラストスパートといきますか!!
【第4章】月山神社で巫女さんに出会う
あともう少しだしもっともハードなエリアは抜けたので、テンション上がりつつ山頂を目指す。

こんなところに"松尾芭蕉"の句碑がある。
"雲の嶺いくつ崩れて月の山"
芭蕉さんってさ、東北のありとあらゆる場所に出没しているよね。お蔭で僕がどんなに頑張って色んなところに行っても、マイナースポットに行っても、大体芭蕉さんに先を越されているんだよ。ジェラシー…。
車もナビも舗装道路もない時代にこれだけ行ってるんだもん、そのレベルは僕の比ではないよ。

そして月山の山頂直下のシンボル的存在である、方位磁針。360度の景観がここから広がる。進行方向を見ると、待ちに待った月山山頂の「月山神社」がすぐそこに!!

ボコッとピラミッド状に隆起した山頂部分。あれがまるごと月山神社の敷地。
独特のかたちをした山頂なんだね。山の上に小さな山が乗っかっているかのようで、すごくユニークだ。かわいい。

さぁ、あと200mばかり!出羽三山の神域についに到達するぞ!
山小屋の脇を通り、最後の階段を登る。山頂の神社の敷地は撮影禁止だそうだし、神域だからご飯を食べたりもきっとダメなのだろう。周囲では雲海を見下ろしながらご飯を食べている登山者がチラホラ。

背後を振り返る。雲海はさらに高度を上げているようだ。
さっきのおばあちゃんは「雲海はたぶんここまで来ない」と言っていたが、どうなのだろう?下手すれば1・2時間後には雲に飲み込まれる可能性もあるな、って感じた。

7:25、月山神社到着!!
神社の敷地ギリギリ手前までやってきた。正確には敷地内が山頂だけども、ひとまず撮影可能な地点のゴールがここ。だからここで気のゆくまで記念撮影などしておかねばならぬのよ。
登山口からは1時間58分だ。標準タイムが2時間30分なので、それよりは30分ほど早く到達できた。
…が、かつての自分からするとペース遅いねぇ…。長時間苦しむのが苦手でサクサク登るのが好きな僕は、大体標準タイムの1.5倍から2倍の速度で登れることが多かったのだが、明らかにこれ、衰えているのではないだろうか…。

だが、標高1984mの月山山頂をひとまず踏破だ!
いやぁ、やっぱ自分の足で登ると達成感が違うねぇ。なんて清々しい気分だよ。マジで最高の気分。久々の登山だしな。

神社から出てきた登山者のおじさんが僕の写真を撮ってくれた。
「中でお祓いをしてくれた巫女さんが美人でさ、グフフッ!」って喜んでいた。うおぉ、神域から出て来たばかりだというのに、この人は煩悩ばかりだよ!なんてこった!

僕の背後の石の鳥居には"月山神社本宮"って書いてある。さらにその木札には参拝時間は午前5時から午後5時までである旨が書かれている。
ここでの参拝って、神職の人にお祓いをしてもらうことを指すみたいだ。神社に仕える人は朝が早いのだね。日の出前に支度しないと勤務開始に間に合わないのだね。
では、神域に足を踏み入れよう。ここから先の写真は無いので、文章だけだぞ。
中に入り、参拝料金の500円を支払う。そして小さな社にいる神職の人にお祓いをしてもらう。女性だった。さっきのおじさんが言っていたのはこの人のことね。なるほど、確かに美人だ。
こっちは頭を下げた状態で不動。なんか祝詞を唱えられて、頭の上で幣をバサバサやられて。それから、そこで人型の紙をもらう。これに息を吹きかけたら、それで全身を撫で、そして横の泉に入れる。

そこからさらに奥へと進むことができた。
高さ1mちょっとの石垣に囲まれた、細い迷路のような通路。そこを20mほど進んで小さな社のある本当の山頂に立つ。そこで改めて参拝をした。
そこから帰路専用ルート。途中に中規模のお堂的な建物があったけど、ここはお守りとか売るところかな?ここはスルー。で、一周回ってまた敷地の外に戻ってきました。
ここまでものの数分だ。同じ出羽三山の「湯殿山」と同じような儀式を受けてきたけど、湯殿山と比べると敷地はとても狭い。20m×20mくらいだろうか?ま、山頂だしそれは納得だ。

登拝認定証とお守りをもらってきたよ。嬉しい記念品だ。
参拝後、神社の前で景色を眺めながらオニギリを一瞬で食べる。山頂でのおにぎりはおいしいなぁ!これでひとまず食料は尽きたぜ。

あとは下山するのみ。山頂にいた時間はわずか10分ほどだったけど、このあと雲海が迫ってきたときのことを考えると不安だしね。
それに僕、長時間ダラダラと山を歩けないタイプ。長期戦には向かないので、短期決戦で勝負をつける。帰ろう!!
【第5章】濃霧の中の下山から逃避する
7:36、下山を開始した。
7:40、芭蕉の句碑と方位磁針があったところまでやってきた。ここで眼下の景色がすごい広がるんだけど、さっきの雲海が完全に尾根を飲みこんでいるよ。

7:44、鍛冶小屋跡までやってきた。
下りはさすがに早い。サクサクと進む。さらにその下部の牛首へと続く急坂を下って行く。しかしそれにつれて雲はみるみる眼前に迫ってきた。
7:52、おじさんおばさんの3人組とすれ違った。あ、早朝の人たちだね。
おばさんは、「お兄さん、やっぱ体力あまっているじゃない。私に3分の1くださいな。」ってハァハァしながら言ってきた。
「いや、ここまで来ればあと一息。是非ともご自身のパワーで登頂してください…!」みたいな励ましの言葉をかけ、おじさんおばさんと別れる。
だけども、もうその3人の人の数10m下まで雲は迫っているんだよね。雲に飲まれないうちに登頂できることを願っています。がんばって!

うおぉ、雲が目の前だよ。生き物のように襲い掛かって来るよ。
最後の青空を惜しみつつ、なるべく写真をたくさん撮る。このあと雲の中に入ってしまったら絶景の写真はもう撮れなくなっちまうもんよ。

だからさ、さっきのおじさんおばさんたちも、その他の人もなるべく青空の山頂に到達してほしい…!
曇り空スタートの人は別に最後まで曇り空でも僕の心は痛まないけど、途中まで晴れていたのに山頂で曇っちゃうのは残念すぎるもんなぁ…。パワーは分けてあげられないけど、無言のエールは送っておくよ。

そのあとは雲の中に出たり入ったりしながら斜面を下る。
直射日光は体への負担も大きいので、そういう意味では適度に曇ってくれた方が動きやすかったりもするが、景観的にはマイナスだ。
蠢く雲の縫ってひたすら下り、8:11に牛首へと到達した。その頃にはもう、青空は頭上にわずかに見えているだけとなっていたよ。

ここで見たのが最後のまともな青空だ。ここから先はもう完全に雲の中。つまり、完全に曇り空。
予報では丸1日快晴だったのにな。山の天気はわからんね。もしかしたら下界は予報通りに快晴なのかもしれないけどさ。

対向から登って来る人は増加の一途だ。うん、普通に来る人はこのくらいの時間にここいら到達が妥当なのかもしれないね。
だけどももう空は曇り。僕は早起きして本当に正解だった。リフトが営業するのを待っていたら、最初から最後まで雲の中だったかもしれない。あるいは、ワンチャンこの後天気が回復したりするのかな?
…ところでもう1つ悪いニュースだ。
牛首を過ぎたあたりでヒザに異変が出てきた。ヤバいくらいの激痛だ。下りの際にヒザに負担がかかったので痛くなってきたのだ。
この症状は数年振りだ。以前はこういう下り坂や下り階段のときにもしばしば症状が出たし、普通の日常生活の際にもガマンできないレベルで激痛が走ることがあった。なんでだろ?軟骨がすり減っていたりするのかな?
どうしょもないのでなんとか歯を食いしばって歩き続けよう。

8:23にはリフト上駅と月山山頂との中間地点まで戻ってきた。
周囲の登りの人々は「おぉ、ここで半分だ!わりと早い!あとちょっと!!」みたいなことを言っている。うむ、これからが地獄なんだけどな。まだオードブルなんだけどな。ファイトです。

間もなく木道を歩いた大草原地帯に着いた。早朝はすごく気持ちよかったけど、今はドンヨリ曇っていてイマイチだな…。
ここいらは、もうひっきりなしに対向から人が来る。
ご覧のように木道は2本あり、普通に考えれば行きと帰りの人で1本ずつ使用することとなるのだろう。だけども下山する人が少ないこともあってか、2本にまたがって登ってくるグループがとっても多いんだよね。
僕が前方から来ることに気付いて事前に避けてくれればよいのだが、目の前まで来ないと避けようとしない人も多くてちょっとストレス。ヒザが痛いから、余計にストレス。
すれ違う人は僕を見るとビックリするようにして「頂上まで行ってきたんですか!?」とか聞いてきたりする。なるほど、もしかしたらここいらで人が多くなってきたのは、リフトが動き出して、みんなリフトで登って来たからなのかも。

リフト駅との分岐だ。僕はリフト上駅方面の道を選んだ。
この曇りの中、そしてこのヒザの痛みを抱えたまま、また木立の中とか歩いて下山するのはキツすぎる。それはおそらくヒザが持たない。
同じようにヒザを傷めたシチュエーションで、かつて僕はお金をケチって自分の足で下山しようとし、本当に死ぬほどつらい目にあったことがあったのだ。群馬県の「谷川岳」っていう山なんだけどな。あれの二の舞だけは絶対嫌だ。

800m先のリフト上駅に向かって歩く。行きはこのルートではなかったので、初めての道。
しかしこれが本当にキツい。なだらかな下り坂は、常にヒザに負担がかかるのだ。だけども対向から人がいっぱい来るでしょ。変にプライドが高い僕は、キツいことを顔に出さずに平気なフリして歩かないと行けないし、立ち止まるのもカッコ悪いし、足を引きずるのもカッコ悪いし。
誰かさ、僕の肩を「ポンッ」ってやって、「ツラいときには泣いてもいいんだよ?」とか優しく言ってくださいな。そしたら僕、「ブワッ」って思いっきり泣くから。

ついたー!もうヒザがガタガタだー!
僕は登りより下りが苦手なのだ。登りは精神力で何とかなるけど、下りはそうもいかない気がするので。
小屋の内部の売店で足を引きずりながらリフトの切符を購入する。
この時間に下りのリフトを使うのは僕くらい。周囲の人が「何であの人はもう帰るの?」みたいな不思議な視線を僕に送る中、リフトに乗り込んだ。

わーい、ラクチンだー。登山開始以来初めて座ったね。ここまで休憩も含めてずーっと立ちっぱなしだったよ。
リフトの下り側は完全に僕だけ。逆に登り側はすごい人。白装束に身を包んだ、修験者衣装の人もたくさん登ってくる。
学校行事かなんなのか、中学生っぽいキッズがモリモリやってきたりもする。リフトですれ違いざまに「こんにちはー」、「こんにちはー」って律儀に挨拶してくれるのね。おかげで僕、無限こんにちはラッシュですよ。息つくヒマなし。
これが、下り側が僕以外にたくさん人がいるなら要所要所でシカトするかもしれないけどさ、あきらかにみんな僕個人に挨拶してくれているもんね、無視はできぬわ。僕は優しいのだ。

9:06、リフト下駅についた。ほんの10分なのだね。こりゃあ確かに登りで活用したらだいぶ楽になるよ。
こうして早朝に迷い込んだリフト乗り場に戻ってきた。まぁまだ9時だから朝だけど。
リフト乗り場で下山手続きをする。これでミッション終了だ。あとは駐車場の愛車のもとまで歩くのみ。がんばれ、僕のヒザ。

駐車場は早朝とは打って変わってギュウギュウだった。ほとんど空きがないくらい。
やっぱみんな日が昇ってから押し寄せてきたんだね。リフト派だね、きっと。汗をかいた服を着替え、そして出発する。
まだ朝なのだ。これから夕暮れまで存分に東北をドライブするぞ!(このあとまた快晴になったよ)
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報