緑あふれるのどかな山間部に、レトロ自販機がいっぱいあるスポットが爆誕した。
…という情報を掴んだのは2022年の春であった。名前を「なかよし自販機コーナー」というらしい。
もともと2021年から工場の一角でいくつかのレトロ自販機を設置し営業をしていたのだが、2022年春に場所を移動しすさまじく規模拡大をしたとのことだ。
気になる!行きたい行きたい!!
…というわけで少し前の話になってしまい恐縮なのだが、2022年秋に訪問したときの思い出を語りたい。

全国ほぼ全てのレトロ自販機スポットを巡った僕であるが、たぶんここでの滞在時間がダントツレベルで長かった。1時間半くらいいた。
それだけやれることが多く、楽しかったということだ。あぁ、また行きたいなぁ!
田園に自販機コーナー現る
フロントガラス越しに広がる牧歌的でダイナミックなロケーションに、「本当にこの先に自販機コーナーがあるのかな?」って思った。

さっきまでの東北道の渋滞と打って変わって、車もいねーし信号も町もねぇ。ついでに自販機コーナーも砂漠の蜃気楼みたいに、実は存在しませんでした…なんてことにならないか、ハラハラしている。
せっかくハラペコでここまで来ているのだ。食べられないとなったら百姓一揆が勃発するぞ。久々に。僕1人で。

心配ご無用。ちゃんとあった。でも到着の30m手前までドキドキしていたのはナイショだ。そのくらいにローカルなエリアにあったのだ。
この写真は到着と同時に嬉しさ爆発しながら撮影したので、慌てすぎて斜めになった。あなたもテーマパークに到着して最初の1枚の写真とかさ、テンション上がりすぎてワケわかんなくなるでしょ。そういうこった。

開放的な敷地。奥には自販機の密集した小屋。
コロナ禍にピッタリな、風通しも良い低密度な空間だ。何より早速空気がおいしいわ。秋の爽やかなそよ風に、まずは感動した。
んじゃ、時系列はさておき最初に外観を中心とした写真を掲載していくね。

駐車場に停めた愛車と、車道を隔てた向こう側の田畑。ここいらは360度、だいたいこんな感じだ。ピクニックに来たかのような気持ちになる。

ただ、最近結構人気も出ているので、タイミングによっては上の通り車が結構ギチギチになる。僕の訪問時も最初満車で、どこに停めようかと逡巡していたところ、ちょうどよく出ていく車があって停められたのだ。
敷地の入口には『なかよし自販機コーナー_停留所_うどん・ラーメン・ハンバーガー』と書かれた、バス停を模した立て札がある。
かわいくていいな、これ。ウチの庭にもブッ立てたい。

普通車の駐車スペースと二輪の駐車スペースが厳密に分かれているのかどうかはよく知らないけど、僕の訪問時はそういう空気感だった。
バイクが停まっている。ツーリングスポットとしてもひそかな人気だそうだ。そしてドリンク系の自販機がズラリ。ちょいとあちら側に接近してみよう。

電話ボックス?電話が外にはみ出ているけども、やっぱ定義的には電話ボックス??懐かしいピンクのダイヤル式の電話が置かれている。そして窓には数々のステッカー。
右側には『アイドリングをストップせよ_神はみている』という、キリスト看板を髣髴させるデザインのステッカー。

屋外に並んでいるドリンク自販機の一番端には、レトロなアイス自販機だ。この放射状に陳列されているのがたまんねーんだよな。
中央の意味不明な爆発も含め、当時のセンスはすげーよ。そういや岡本太郎も「芸術は爆発だ」って言ってたね。これのことか、そっか。

そのさらに横には井戸がある。自販機コーナーのために井戸をわざわざ掘削するとは考えにくいから、以前からあったものかな?
動かしてみるとちゃんと水が出た。井戸、いいよね。子供のころは「僕の腕が壊れるのが先か、地下水脈が枯れ果てるのが先か」ってレベルでギコギコ動かしていたことがある。

そういう感じのノスタルジックなパラダイス。
じゃ、そろそろメインの自販機コーナーの話に入ってみよっか。
秋風に吹かれて自販機メシ
レトロ自販機をザックリご紹介
前章でも写っていた、敷地の一番奥の小屋にフード系を中心としたレトロ自販機が密集している。日本が残る貴重な文化遺産だ、少なくとも僕の中では。

コの字型に自販機が並んでいる。正面中央、ご本尊的な位置にあるのがハンバーガー自販機・トースト自販機・麺類自販機だ。釈迦如来像をセンターとした釈迦三尊像みたいな感じだなって思った。尊い。拝みたい。

界隈ではこの、ハンバーガー・トースト・麺類の3種を"御三家"と呼ぶ。
これ、テストに出るから覚えておけよ。あと、全国に数店舗ある、御三家の揃っているドライブインの店舗名も覚えておくと人生充実間違いなしだぞ。

小屋の中のテーブルは、昔懐かしいゲームの出来るテーブルだ。すごい。そんな貴重なものが半分屋外みたいな24時間営業の自販機コーナーに置いてあるだなんて。
僕はゲームはやらないが、このゲームテーブルが置いてある純喫茶とか行くと漏れなくテンションがレッドメーターに達する人種だよ。嬉しすぎる。

そのテーブルの片隅には、これまたレトロな星占いマシーンだ。もう興奮して過呼吸。
ただ、これは純喫茶でごく稀に見かける赤茶けたタイプではなく、結構新しそうな機種だね。まだ製造しているメーカーがあったりするのだろうか…。
『不思議にもよく当たる』という強気なステッカーに笑みがこぼれるぜ。

これは側面の自販機。中央はレトロなヤツだな。しかし中身はカップ麺なのでこれには食指は動かないタイプ。右側は冷凍食品の軽食・スナック自販機だ。この小屋内には電子レンジがあるので、それで温めて食べることができる。

さっきの写真の左端にも写っていた、このランチボーイという自販機は初めて見た。"レストランの味"という副題も付いているが、それは絶対違うっしょ。だってマリービスケットとかも陳列されているぜ。
でもこの自販機のデザイン、すんごいかわいい。
自販機麺と自販機トースト
まずは、レトロ自販機界隈でお馴染みの富士電機の麺類自販機にて、麺類をいただこうか。

メニューはたぬきそばとたぬきうどんで、どちらも350円だ。よしっ。どっちも食う。なぜなら今回は同行者がいるのだ。シェアして2種類食べることができるのだぞ。
コインを入れて約20秒。アツアツの麺類が取り出し口から現れる。

たぬきそばだ。おぉ、すごいぞ。器ギリギリまで麺が入っているじゃないか。相当なボリューム。すごいお得感。
具は揚げ玉とカマボコとネギと…、「揚げ玉のボスみたいなのがいるな」って思ったら、これはお麩だね。

そしてたぬきうどんだ。「ラーメン二郎かな?」って思うくらいの豪快な見た目だ。これ1杯で満腹になりかねないぞ。
…で、お味なのだが、そばもうどんもうまい。麺はツルツルだ。だしの味は結構甘めなので、関東チックだなって思った。ボリュームにも満足。

なによりさ、こんな開放的な空間で食べられるんだぜ。しかも暑くも寒くもない秋のお昼どき。最高のアウトドアを見つけたよ。行楽の秋と食欲の秋がダブルでやってきている。
近所にあったら毎週通いたいスポットだ。心が浄化される。

これは自販機小屋から敷地を振り返って見たときの図。いい…。住みたい。
次はトースト自販機だ。これはメッチャ貴重で全国に10数個しか残っていない。見つけたら即購入しないと一生後悔する系の自販機なのだ。
あ、「どんな自販機だったっけ?」ってあなたは前章の御三家勢ぞろいの写真を見返してくれ。

わ、情報量が多い。
- ハムベーコンとチーズのトースト … 奇をてらわないベーシックなおいしさ トーストはこれでウッドボール ちょい辛
- タマゴチキンタルタルトースト … タマゴマヨとスモークチキンをタルタルで融合な親子トースト これはうまい!
なるほど、わかりやすい。特に後者、絶対うまいヤツ。

どちらも250円だ。よし、両方買う。
ところで『連続購入は2分ほど間を開けてからお願いします。』と書いてある。全国のトースト自販機は全部巡っているが、これは初めて見たルール。自販機に負担をかけないよう、キッチリ守るとしますか。

この自販機って、トーストが地獄みたいな熱さで出てくるんだよ。専用トングがあるお店はありがたい。トングで挟み、さらにハンカチでくるんでテーブルスペースまで運ぶのだ。

おそらく賞味期限が書かれているという、珍しいスタイル。「H」はハムベーコンとチーズのトースト、「C」はタマゴチキンタルタルトーストを示しているのだろうな。

タマゴチキンタルタルトースト。
おぉ、全国のトースト自販機のメニューとしてもなかなかに豪華なレベル。チキンが結構デカいし、タルタルソースは手造り感がある。玉子のクラッシュ具合がワイルドだ。
スゲーうまかった。タルタルの玉子感がしっかりしていたし、チキンもそれに負けないだけのインパクトがあったからだ。秒で無くなった。

ハムベーコンとチーズのトースト。
チーズが大きめだし、とろけ具合も絶妙だ。そして写真ではわかりづらいのだが、チーズの裏側にさらにハムが挟まっているのだ。つまり「パン・ハム・チーズ・ハム・パン」のトーストなのだ。
これでこの値段は他の店舗に比べて倍くらいお得!味ももちろん肉肉しい!!
デザートとエンターテイメント
これまでご紹介出来ていない自販機も、まだわんさかある。この章ではそれらをまた少しピックアップしていきたい。

敷地内に綿菓子専用の小屋があるのだ。自分で作るタイプのもの。
食後に甘いもの、食べたいっしょ。しかも10円で食べられるんだもん、ここでやってみない選択肢はないっしょ。
機器名は『新鋭わた菓子自動販売機』というらしい。新鋭か!そうか!こちらも襟を正して取り組まねば!

メチャメチャ不器用!!ネコが吐いた毛玉みたいなヤツもオマケで出来上がった。なってこった。
僕の後に上手に綿菓子を作った子供が、憐みの視線をこっちに送ってきた。そんな目で見るなよ!味はきっと一緒!!

せっかくのデザートなのに、なぜか場の空気が盛り上がらない。ビジュアルがイマイチだからだ。悲しかった。食感も少々ベチャッとしていた。でも味はそこそこだった。
たぶんもう1回やればうまくできると思う。神がもう1度僕にチャンスをくれるならば。

最後は洗浄工程中の羊毛みたいになった。これはこれでうまい。10円でとても楽しめた。
さて、食後は少し遊ぶか。実はここ、敷地内に無料で遊ぶことができるゲーム筐体があるのだ。なんて素敵なスポット。僕の中の少年が歓喜で叫ぶ。

ゲーム小屋。懐かしのスーパーマリオブラザーズ3がセットされていた。
これ、実は結構やりこんだことがあるんですぜ。ブームからはかなり乗り遅れてやったのだが、内容は大体DNAに刻まれている。

ただ、画面が眩しくてよく見えない。そして、家庭用ゲーム機ではなくって筐体のジョイスティックなので思うように操れない。
さらに、このゲーム画面とプレーヤーの声はYouTubeでライブ配信されることとなっている。だからこその無料。僕のたどたどしいプレイなんぞ、ライブ配信しても需要はゼロだろうけどね。

再びメインの自販機小屋に戻る。
子供騙しガチャっていうのがある。「やってはダメ!!」・「中は不要なもの」・「損するぞ!」・「大人は汚い…」。なんて正直だ。逆に気になるが、ここはグッと堪える。

信号機みたいなカラフルなボタンの文字自販機がある。真っ青でとてもかわいい。これは元は乾電池の自販機かな…?

ココアシガレットがある。あまり馴染みのない人生を送っていたが、これがレトロなお菓子という知識くらいはある。試しに買ってみた。
もう腹いっぱいで1ミリも接種できないから、後日食べよう。

死角にあって気付かなかったが、なめ猫免許センターって何?
なめ猫は知っている。昭和時代に流行ったというリアルな猫のキャラだったよね。どうやらそれが免許証のようなデザインで出てくるらしい。価格は100円かな…?
説明書きもユニークだ。

やってみた。全猫肉球指圧マッサージ師会の会員証だ。何?とりあえず何かに使えるかもしれないので、財布に入れておこう。
ちなみにこれ、この記事執筆時の2025年も財布の中にある。ときどき免許とか保険証を出すときに一緒に出てきてしまって恥ずかしいやら誇らしいやら。

タバコの自販機には、玩具等が入っていた。
ファミコンカセット・なかよし自販機コーナーのバッチ・きなこ棒・粉末ジュース・プラバルーン・梅ジャム…。
おっ、プラバルーン!なつかしすぎる!母方のじいやんばあちゃんの家の近所にあった駄菓子屋さんで、幼き日に買ったのだ。それ以来だなぁ!てゆーか、アレはプラバルーンっていう名前だったのか!

50円だ。同行者が興味を持ったので買ってみた。
開封するとセメダインのような刺激臭がして、当時の記憶が鮮明によみがえってきた。

そうそう、備え付けのストローの片方にうまくセメダイン的なものをセットして…。もう片方から絶妙な力加減で吹くのだ。すると風船ガムの要領でバルーンができあがる。

初めてやるという同行者の作品、へったくそなのである。
でも、うまかろうとヘタであろうと、数分で空気が抜けていく儚いバルーン。残るのは思い出だけ。それがいいのかもしれない。
エピローグ:大事にしたいスポット
実は、ちょっとしたハプニングもあった。トースト自販機で購入した際に、商品が中で詰まってしまったのだ。ちゃんと2分待ったのだが、間隔が狭かったのかなぁ…。
小屋内には「商品が詰まったりトラブルあったら電話して」みたいな掲示物があったので、そこに電話してみた。
すると数分でスタッフさんが車で駆けつけてくれた。

すぐに対応してくれた上、貴重な自販機内部も撮影させてくれた。在庫たんまりだな。これだけ入れても消費できるくらいに人気ってことなのだろう。
スタッフさんも電話対応・対面対応ともにとても感じが良く、感謝感謝だ。

あと、終盤で同行者がプラバルーンを買った際にも詰まった。
また電話するのも気が引けたが、一応電話した。さっきと違う人が来てくれ、これまた丁寧に対応してくれた。
無人で販売できることがメリットの自販機とはいえ、食品自販機は補充やメンテナンスを頻繁にやらなきゃだろうし、このようにレトロなものはトラブルも付き物だろう。
好きでないととてもできないような仕事なのだろうなって思う。だからこそ、僕らもこういうスポットを提供してくれていることに感謝し、丁寧に扱わねばならないね。

お礼の気持ちを込め、最後にハンバーガーを購入することにした。
実はこのハンバーガー自販機は、温め機能がない。冷凍のままで出てくるので、レンジで加熱する必要があるのだ。だからこの機種は全国にそれなりの数があるのだが、僕はレトロ自販機巡りの対象にはしていなかったりする。その場で食べるのが目的なので。
どれも手造りかな?トースト同様にこだわりが感じられるメニュー名だ。

さて、唯一残っているのはベーコンサルサバーガーだ。350円。これを買って帰る。
翌日、温めて食べた。昨日の思い出を今日も楽しめる。最高っしょ。

ピリ辛ですごくおいしかった。肉厚ジューシーで大満足。
いろいろとごちそうさまでした。
絶対また訪問したいスポット、なかよし自販機コーナー。
その後、夜間に若者が面白半分で自販機を壊すなどの事件があり、オーナーさんも心を痛めたりしていた。…貴重な自販機、頑張ってそれを維持管理する人たち。それをちゃんと理解しないとダメだ。
少しでも長く、少しでも多くの人がこのスポットを楽しめるよう、心から願っている。

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報