週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.283【福井県】伝説の巨神の足跡を僕は見た!!その近くで弁慶は洗濯をしていたってさ!

福井県の海岸線沿いって、もう全線あますところなく奇岩に満ちあふれていてさ、楽しいったらありゃしねぇ。

そんな中でも今回ご紹介したい景勝地福井県のやや北部、「神の足跡」と「弁慶の洗濯岩」である。

 

景勝地としてはやや小規模かもしれない。

そりゃ福井県には「東尋坊」とか「三方五湖」といった海沿いの超絶景ポイントがあるから、それと比べれば劣るのだろう。

 

三方五湖・梅丈岳からの眺め

だけども、神の足跡も弁慶の洗濯岩も、名前のインパクトなら負けていない。

僕は3回ずつくらい行ったし、全国1万箇所は観光しているけど、そんな中でもちゃんと記憶に深く刻まれているスポットだ。

 

かたや、神の実在を証明するかのようなスポット。

かたや、半ば神格化された弁慶に関係するスポット。

 

目的地は近いぞ

この2箇所を1つの駐車場から歩いて気軽に回れるというのだから、福井県のシーサイドを走るのであれば立ち寄るしかなかろうて。

 

 

神の足跡

直立する崖に巨大な足跡発見

 

この神の足跡というスポットは海沿いの国道にあるんだけど、そこには駐車場はない。

150mほど離れた弁慶の洗濯岩には駐車場があるため、そこから歩いていくことになる。

 

神の足跡1

まぁ150mなんて全然大した距離ではないが、車がブンブン疾走する海沿いの国道で、かつカーブにあるので気を付けて歩いてくれたまえ。

 

上の写真の看板、いいいでしょ。

『伝説 神の足跡』。

シンプルだが力強いフレーズだ。神は多くを語らない。

 

神の足跡2

着いた。

国道沿いにいきなり現れる神の足跡。

走行中の車の中からでも見られるが、やっぱ相手は神だからこうやって改まって対面して拝みたいよな。

 

どれが神の足跡だがわかるかい?

 

ヒント:くそバカデカい。そして、ありえない位置についている。

 

これは日本6周目で撮影した写真なのだが、以下に日本4周目で撮影した写真も掲示しよう。

 

神の足跡3

見てくれ。

どれが神の足跡だかわからない人用に、親切にも「」マークがついている。

 

神の足跡4

なんだかシュールで面白い。

画像加工して後から貼り付けたようなパーツだが、これは実在したプレートなのだ。

 

その後に無くなってしまったようでちょっと残念だ。

こんな造りだから、冬の日本海の荒波と暴風でどっかに飛んで行ったのかな?

 

神の足跡5

…で、正解はこんな感じだそうだよ。

 

片方の足だけで、長さはなんと5m、幅は2m。

ちなみに足のサイズの6.5倍が身長であるという考え方がある。

 

神の身長、32.5m。

10階建てのマンションくらい。

巨神だ。

 

 

伝承から膨らむハートフルストーリー

 

巨神の足跡が垂直にそそり立つ岩肌に綺麗に2つ並べて付いている。

なにこれ。豪快にドロップキックでもかましたってことか?なんか嫌なことあったのか、巨神?

 

それを知るには、まずはこの地に伝わる伝承を知らねばなるまいて。

 

神の足跡6

案内板に伝承が書かれている。

ちょっと文字数が多いので、以下に僕なりに要約しよう。

 

昔、ここいらに何10日も雨が降らない期間があった。

雨乞いしても全然無理で、土地も人々の心も乾ききっていた。

 

1人のばあちゃんが「氏神様(春日大社)で改めて祈りましょ」と言い、みんながそうしたら、あら不思議。

翌朝には田んぼも小川も水が満ちていた。

そして崖には大きな足跡が2つついていた。

 

そうなのだ。

神様が村を救うため、徹夜で海の水を汲んで田畑に散水してくれたのだ。

こうして左足は足袋・右足はわらじのかたちの足跡が現代まで残っている。

 

なるほどなるほど。

僕にはばあちゃんの案がどれだけ奇抜かわからないけど、早めに氏神様にお祈りしておけばよかったね。

 

あと、「海水を田んぼに撒いちゃったらヤバいのでは?」っていうヤボなツッコミはやめておこう。

半分ファンタジーな世界では、塩水でも作物は育つと思うんだ。

 

じゃないと神様、「オレはなんてことをしてしまったんだーー!!」と後悔に押しつぶされてしまうから。

「ドジですね」ではすまされない事態になっちゃうから。

 

神の足跡7

さらに最終行、『左足は足袋・右足はわらじ』の部分に注目してみよう。

神の足跡の下には、わかりやすくデフォルメした足跡の模型(?)がある。

確かに左足は親指部分だけ独立している。足袋だ。

 

しかしなぜ左右で履いたものがバラバラなのか。

そんなことはあなたも自分の身になぞらえてみれば容易にわかるだろう。

 

村から灌漑のエマージェンシーコールが入ったのだ。

確認してみると、もうとっくにレッドゾーンに突入しているほどのヤバい状況。

すぐに行かねばならぬ。

ところで神の家の玄関は整理が行き届いておらず、靴が散乱している。

出発は夜で玄関の足元はよく見えぬ。

結果、左右バラバラの履物で外出してしまった。

 

あるある。すげーありそう。

あとは夜中にずっとバッシャンバッシャン海水を海に振りまく労働。

 

神の足跡8

立場上「自分が村を助けました」と堂々とは言えないけど、その証跡は残したい。

余白の多い崖があったので、神は助走をするとそこに盛大にドロップキックをお見舞いする。

こうしてついた足跡が上記の通りだ。

 

朝、自宅に帰った神は、玄関で初めて左右の履物が違っていたことに気付く。

そんなドジっ子ぶりを、足跡にしてしまったので村人にも露呈することとなってしまった。

 

徹夜明けのベッドに入ったものの、言いようのない羞恥心に襲われ、枕に顔をうずめると「わ"ーーー!!!」と叫んだとさ…。

 

…親近感しかねぇ。

神の足跡、考える余地があって好き。

 

 

弁慶の洗濯岩

荒々しい日本海の生んだ景勝地

 

…その神の足跡の存在に気付いたのか、気付いていないのか。

それともそれ以前のお話なのか。

神の足跡のすぐそばで選択をした男がいる。

その名を「武蔵坊弁慶」。

 

弁慶の洗濯岩1

車やバイクの方は、神の足跡に行くために駐車することとなる駐車場。

その目の前が弁慶の洗濯岩だ。

 

このように荒々しい日本海が眼前に広がっている。

荒れた天気もなかなか似合う海だ。

 

弁慶の洗濯岩2

拡大してみると、もう岩がまんべんなくボコボコになっている、とてもワイルドな岩礁地帯なのである。

 

…しっかしすっごい雨だな。

梅雨時ドンピシャで来ちゃったのよ。

弁慶の洗濯岩3

これは満潮に近い時の写真。

海の中に並行に走る岩肌がいくつも見えているという、不思議な光景だよね。

自然にこんなふうになったりするもんなのかねって一瞬思ってしまう。

 

結論、自然の産物である。

もともとここいらは、固い砂岩と柔らかい泥岩が交互に積もった地層だった。

その地層が荒波や風にさらされると、柔らかい泥岩から先に浸食されてなくなってしまう。

 

弁慶の洗濯岩4

すると、固い砂岩の地層だけが残るだ。

もっとも、砂岩の方も波や風で相当ボロッボロなので、洗濯岩に例えられるようなビジュアルになったというわけだ。

 

似たような地形は他にもいくつか日本にあるよね。

パッと思い浮かぶのは宮崎県の「鬼の洗濯岩」や、秋田県の「鵜ノ崎海岸」、高知県の「竜串海岸」とかかな。

これらも機会があったらいずれ執筆しようね。

 

 

弁慶っていつもそんな豪快なのか

 

天気のいい日にも訪問した。

海風がすごく気持ち良かった。洗濯日和だ。

 

弁慶の洗濯岩5

この弁慶の洗濯岩にも伝承がある。

史実に基づいた、個人的には神の足跡よりも現実味のある、いわゆる等身大の伝承がある。

それを以下にご紹介したい。

 

弁慶の洗濯岩6

平安時代末期だ。

源義経」が平家を滅ぼしたでしょ。その功績をたたえられて義経はホイホイ昇進するんだけど、兄の「源頼朝」が嫉妬的な面白くない的な思いから、攻撃されることになるでしょ。

こうして義経一行は花の京都から、子供時代に親同然に接してくれた岩手県奥州藤原氏の一族を慕って逃亡するのだ。

 

その逃亡の旅に同行しているのが、いつも一緒の弁慶さん。

逃走劇の途中では歌舞伎演目の「勧進帳」にもなった超有名なエピソードもあるのだが、それはさておき。

 

弁慶の洗濯岩7

弁慶さんが何をしたのかというと、ここで洗濯した。

伝承だから不明瞭だが、スポット名の"弁慶の"ってついているから、弁慶さんが全員分の洗濯をちゃっちゃとこなしたのかな。

 

戦ではもちろん俄然頼りになる上、洗濯においてもやり手のおかんみたいな存在だったのだろう。

もう!あなた達ったら、弁慶さんがいないと戦も洗濯も何もできないのね!もうちょっと精進しなさい!

 

弁慶の洗濯岩8

ホントにこんな荒々しい海岸で洗濯できるのか?

 

そもそも僕には常日頃から疑問に思っていることがある。

「弁慶が○○した」とか「弁慶が真っ二つにした」とか、豪快なものを見つけるとすぐに弁慶さんのやったことにするよね、日本人って。

 

「弁慶が真っ二つにした」はまぁいいだろう。

弁慶さんといえば巨体のマッチョな人ってイメージだから、そのくらいはやるかもしれない。

大岩だって真っ二つになるだろう。

 

弁慶の洗濯岩9

ただ、洗濯においてはどうだろうか?

本来、洗濯に豪快さはいらない。

「着物を10枚重ねた後、まとめて引きちぎりました」みたいな、「プロレスラーが電話帳を引き裂いた」みたいなエピソードはいらない。

着物が綺麗になればそれでよい。

 

弁慶さんだって繊細な一面があったりして、着物だって丁寧に"おしゃれ着洗い"とかして、シワにならないようにパンパン伸ばしてから干したりしていたかもしれない。

巨体のマッチョだとしても、繊細な性格かもしれないじゃない。

むしろ僕はそういう弁慶さんが好き。

 

弁慶の洗濯岩10

こんな岩を洗濯板代わりにしたら、着物もボロッボロになるであろう。

僕らのイメージの弁慶さんが好みそうな世紀末な服にはなるかと思うが、そうじゃない弁慶さんがいてもいいじゃないか。

 

ユーチューバーとかであれば「ここで洗濯できるのか実際に試してみた」とかやるのかもしれないけど、僕の場合はそんなことしたら家族に怒られるからやらない。

 

僕は想像する。

弁慶さんがニコニコしながら海岸で丁寧な洗濯をし、その後ろで崖にドロップキックをする巨神。

そして改めて、「あぁここはすばらしいスポットだな」って思う。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 神の足跡
  • 住所: 福井県福井市小丹生町
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり(弁慶の洗濯岩の駐車場を使用のこと)
  • 時間: 特になし