男鹿半島。
日本固有種ナマハゲの生息地であり、多数の魅力的な景勝地があり、貴重なレトロ自販機保有店があり、秋田名物ババヘラを売るおばあちゃんとの遭遇率も高い地域。
ピョコっと海に突き出したその形は、秋田県を大きく特徴づける存在だ。
その男鹿半島の先端が、「入道崎」である。
もう僕、男鹿半島のいろんなスポットをご紹介したい気分が満々なんだけどもさ、それやっていると記事のボリュームがとんでもないことになってしまう。
だから今回は入道崎にフォーカスして執筆したい。
魅力①:白黒ストライプの灯台
入道崎の魅力をジャンジャンご紹介してくぞ。
まずは1つ目、岬のシンボルである灯台だ。いきなり岬のハイライトだ。
いいね。青空がいい。
僕は何度も何度も入道崎を訪問しているが、不思議と快晴以外の日に来たことがない。
愛称がいいのだと信じたい。
青空と灯台。とても絵になる。
もちろん曇天や雨天の荒々しい海と灯台っていうものカッコいいが、青空が正統派だと思い込んでいる。
その大きな特徴は、白と黒のツートンカラーであることだ。
こういうしましま灯台、かなり珍しい。
なぜしましまなのかというと、雪が降ったときに周囲の真っ白な景色に溶け込まないようにしているため。
白黒のコントラストもいいけど、青空と緑の芝生のコントラストもいいよね。
こんな日ばかりの訪問ができて僕は幸せだ。
「日本の灯台50選」っていう、一般公募で選ばれる素晴らしい日本の灯台TOP50にも入っている。
「そりゃそうだ」って思える景観だ。
似たような写真ばかりで恐縮だが、実は写真タイトル「入道埼灯台1~5」は、全部別日の訪問であり、なのに全部晴れなのだ。それが自慢。
この灯台の特徴はデザインや景観だけではない。
実はこの灯台、一般人でも登ることができるのだ。
2023年現在では国内に16基しかない、とてもレアなサービスをやってくれている灯台なのである。
「他の参観灯台ってどこ?」って思われる方は、上記【特集】をご覧いただきたい。
全16灯台のスタンプラリーをコンプリートするとステキな景品ももらえるからチャレンジしてほしい。
僕は今回ご紹介した写真以外にも複数回来ていて、とても全部の写真はご紹介できない。
…にも関わらず灯台に登ったことは2023年現在ではまだない。
灯台に登らずとも満足してしまっているからだ。
ただ、登ったからこそ見える景色もあるだろう。
現在分割日本7周目をスタートさせたところだ。
その行程で立ち寄った際には、灯台に登ってみたいものだね。
魅力②:北緯40度線と岬の景観
実はこの入道崎、北緯40度のライン上に位置する岬なのである。
目に見えるわけではないし、人間が定めたラインだからピンと来ない方もいるだろうし、興味が無い方もいるだろう。
でも僕はこれに対し「経緯度をアピールしているスポット」・「経緯度を示すモニュメント」があると、メチャクチャ大好物なのだ。
そしてここ入道崎には、それがある。
北緯40度を示すモニュメントがある。
上の写真を見てほしい。
『North latitude 40 Oga Quasi Nationasl Park NYUDOHZAKI』…って彫られている。
ちょっとあんまり馴染みのない言葉なのでよくわからない気持ちにもなったが、ザックリ「北緯40度・男鹿国定公園・入道崎」だ。
まぁこうやってアルファベットで刻むと、なんか映画とかでよく見る海外の有名人のお墓みたいでカッコイイよね。
それと、僕のような英語に疎い人のために、ちゃんと横に日本語版のモニュメントもあるから安心できるよね。
ところで、当たり前だけども北緯40度っていうのは「点」ではなくって「線」だ。
北緯40度の日本海側はこの入道崎だけど、太平洋側は岩手県の「黒崎」にある陸中黒埼灯台だ。
そこも僕の好きな岬で何度も訪問しているので、また機会があったらご紹介しよう。
あとな、このモニュメントは単体じゃあねぇ。
群像だ。なんだこれすんごい。
古代の人が太陽を崇めて作ったオーパーツみたいな配列の岩。
日時計を中心とした、岩の群像の中心に当たるのがここだ。
写真中央が日時計。
写真の左右にあるのが、さっきご紹介したアルファベット&日本語の北緯40度モニュメント。
この2つのモニュメントと、弧を描きながらその2つを繋ぐベンチを合わせて"波の石舞台"と呼ぶそうな。
そしてその日時計から真北に伸びるライン上に、巨大な棒状の岩が立っている。
これは"北斗の岩"というそうだ。
聞くところによると、直立するその岩の姿に、これを灯台と勘違いする人が続出…
…するわけないだろ、バカ。
南側はこのように、隙間が若干空いた岩が一直線に連なっている。
端まで行くと片道300mくらいありそうだ。
それだけの距離を草を踏み分けながら行くのはちょっと疲れるので止めた。
ただね、この芝生の広がる岬の風景は圧巻だ。
海の匂いを乗せた風が、芝生の上をそよそよと吹く。
東北ならではの涼しい気候と相まって、とても快適。
一見すると芝生のすぐ向こうに海と岩礁地帯が続いているように見える。
ただ、この岬の敷地は地上30mにある。
あの芝生の先は結構切り立った斜面なのだ。
専門用語を使うと海岸段丘。地質好きのタモリさんがときどき使う言葉だね。
見よ、この「剛」と「柔」が絶妙にミックスされたような見事な海岸線を。
こんなダイナミックな景色を見れただけでも、今日はいい日になるよな。
そしてここ、"日本の夕陽百選"に選ばれている岬でもある。
僕はここでの日没は見たことはないが、夕方までなら滞在していたことがあるぞ。
岩礁の合間に出現している湿原の水溜まり。
そこに秋の西日が反射する様子は美しかったなぁ。
眺めだけ取っても最高級の岬、入道崎。
しかしエンターテイメント性にも富んでいる。
次章、いよいよナマハゲ出てくるぞ。
魅力③:ナマハゲと活気ある土産屋
入道崎の駐車場は広く、そしてその駐車場を囲むようにお土産物屋が軒を連ねている。
これはワクワクするぞ。
どどーんと「入道崎会館」が聳えている。
これ、2階とかすごそうだね。登ったことないけど、きっと広い宴会場になっているのだろうね。
ツアーバス全盛期とか、すごかったんだろうなぁ。
そしてご覧の通りツーリングライダーさんも続々と来る。
メチャ賑わっているぜ、この岬。
遠目で見るとこんな感じだ。
岬からの海や灯台もいいが、こっちの土産物群の景色もいいじゃないか。
岬からは海の匂い。こっちからはなんだか昭和の匂い。
そして土産物屋は食堂も兼ねている。
海鮮丼などを食べられるし、浜焼きもあってステキ。
ただ、体験談だけども営業時間には気を付けよう。
到着が夜の19時ごろになり、そのまま仮眠して朝日を迎えようと考えていたときのこと。
もうその時間だと食事処は全くやっていないのだ。
観光地だから当然かもしれなけど、大体17時には全店営業終了だ。
そしてこの近くには集落が無い。食事処もない。
どうしょもなく僕は持っていたわずかなお菓子で飢えをしのいださ。
せめて自販機で温かい飲み物でも買おうかと思ったが、冷たいドリンクしかなくって心も凍えたさ。
まだ秋の初めだからホットドリンクが無かったのかと思うが、東北の秋の夜は結構寒いのだ。泣けた。
話を日中帯に戻そう。
お土産物屋の前、ナマハゲがいる。メッチャいる。
マスコットキャラのようにいる。これが楽しい。
中にはギミックで動くものもあり、定期的に「悪い子はいねーがー!!」って声が岬に轟く。
心の中で「ここにいるよ」って思った。
土産物屋では海鮮丼の他、"ナマハゲ丼"っていうメニューがあったりする。
なんだそりゃって感じだ。そそられる。
旅とは冒険だ。だからナマハゲ丼を食べてもいいかなって気持ちにもなるよね。
世界に誇る日本の文化。
包丁片手にいきり立っているけど、世界に誇れるキャラクター。
そんなナマハゲを気軽にみられる岬は入道崎だけじゃないかな。
ありがてぇ話よ。
だから僕も大体ナマハゲと記念撮影をしているんだけど、このときはちょっと改まりすぎたかね。
世界に誇るヒーローたちとの記念撮影でガチガチになった。
ところで上の写真、手前側の小さいナマハゲは手にヒマワリを持っているのだ。
普通は包丁的なウェポンなのに、平和的なヒマワリとは、なんて微笑ましいことよ。
ここにはいろんなナマハゲがいる。
あなたもお気に入りの1体を見つけてほしい。
魅力④:グルメを楽しむ
前の章のお土産物屋と絡めてもいいかと思ったんだけど、ボリューム的に別の章に切り出すわ。
ネタは少ないが、僕がここでグルメを満喫した話をしたい。
「美野幸」というお店。駐車場の土産物群の裏手にある。
テレビ東京の全国ふるさとグルメ大賞のグランプリを取ったお店であり、この地域の名物である本格的な石焼料理を食べられるんだとか。
屋外テラスまであったのですぐに座ることが出来たんだけど、石焼料理は作るのに時間がかかり、1時間ほど待つ可能性もあるそうだ。
マジか。
ちょっと迷ったけど、入道崎付近で一番料理にこだわっているのがここじゃないかなって僕は考えていた。
ここがいい。ここで食べたい。
メニューは3種類くらいしか無く、ほとんどのお客さんが名物の鯛の石焼き定食を注文していた。僕もそれにするぞ。
あとはひたすら待った。
外の席を選んだので、幸い行動はやや自由である。
そしてこのときは同行者もいた。
だから交代で土産物屋を見に行ったり、車からガイドブックやツーリングマップルを持ってきて今後のルートを考察したりと有意義に過ごした。
1時間10分でメニューが出てきた。
いやー、待った待った。
でも最初に1時間ほど待つと言われていたし、店員さんの接客態度はすごく丁寧なので納得の時間であった。
どうだい、うまそうだろ。
木の桶がすごく雰囲気をそそるよね。
これね、木の桶の中にアッツアツに熱した石を投入して一気に沸騰させているの。
すごい元気にゴボゴボいってる。
では食べてみよう。
ほのかな海の匂いのする塩味のダシ。そして新鮮な鯛。
メチャクチャうまい!!
そして終盤は鯛とダシ汁の残りをご飯にかけ、さらにゴマをワサビをかけて鯛茶漬けにできるんだ。
なんだこれ天国か、って思った。
これは同行者の海老の柳川定食。
濃厚でエビの旨味をギュッと濃縮してあった。これも間違いない。
14:00すぎにお店に入り、食べ終わったら16:00近く。
なんだかもう夕方の気配が漂ってきたけど、有意義な時間であったな。
さて、食後のデザートはババヘラだよな。
実は美野幸に行ったときとは違う回の写真なんだけど、こうやって無理矢理話を繋げるんだ、僕は。
ババヘラは商標登録されているので、それ以外のお店で売るときはこの名前を使っちゃダメ。
これは土産物屋群で買ったものなんだけど、名前は「ちがまアイス」。
上の写真はパッケージ記載の説明文なのだが、「ババ」・「ヘラ」という単語を別々で使い、ひと繋ぎにババヘラと言わないように工夫している。
おばあちゃんが路上で売っているところに行き、その場で盛り付けてくれたやつを食べたかったんだけど、まだ季節は春だし夕方だったので、ババヘラ店舗は出ていないようで。
だからパッケージ入りのヤツを買うことにしたのだ。
もちろんこれはこれでおいしかったのだが、やっぱ路上店のパラソルの下のおばあちゃんから買いたかったな。
そっちのほうが風情あるもんね。ハマハゲと並んでユネスコの無形文化遺産にしていいよ。
ちなみに、このあと路上でババヘラのお店を見つけて「あーーっ!!」ってなった。
もちろん購入し、おばあちゃんと記念撮影までした。
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入道崎は魅力がいっぱいだ。
あなたも機会があれば、ババヘラ片手に岬の芝生を散策してはいかがだろうか?
「悪い子はいねーがー!!」という声が風に乗って遠くから聞こえる、秋田を代表する岬。
僕もまた日本7周目で行こう。
そのときは灯台の上からの景色もリポートするから、お楽しみに。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
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