晴れている日に九州の内陸部を疾走するのは、とても気持ちがいい。
鹿児島県の「錦江湾」から内陸に切れ込み、霧島の高原地帯、「えびの高原」、そして五木村の緑豊かな秘境を抜け、「通潤橋」など見てほっこりしたら、阿蘇でテンションをブチ上げ、「くじゅう高原」を抜けて、由布院に出る…。
それが僕の思い描く、九州の内陸部を縦断するスペシャルなコースだ。
これ書いていて早速泣きそうになった。
あぁ、最高だよ九州。また走りに行きたいよ。
今回ご紹介したいのは、えびの高原。
鹿児島県と宮崎県の県境付近に当たる内陸部の高原である。
僕がまだ駆け出しの青二才であった日本1周目にも立ち寄り、その最高のロケーションは目に焼き付いている。
そこを日本5周目で再訪したときの話をしたい。
えびの高原は危険と隣り合わせ
まず言いたいことがある。
えびの高原付近は火山の超密集エリアだということだ。
写真の左半分がえびの高原だと思っていただきたい。
もう周辺一面がボッコボコだ。地球がえらいことになっている。
この美しい円形は、全部火山の火口なのである。
しかもジャンル的には活火山だ。
今回は「韓国岳」・「不動池」・「硫黄山(いおうやま)」を主にご紹介させていただきたいが、全部火山だ。
不動池も"池"という名前だけども、火山の火口に水が溜まっているだけだからな。
今回は取り上げないけど、右下に「新燃岳」も映っている。
実は結構近所なのだ。
2011年・2017年・2018年と噴火しまくってニュースになったことを覚えている方も多いだろう。
「あと5ふぅーーん!!」
パトロール隊員が厳しい顔で腕時計を見ている中、ダッシュで夕焼けの新燃岳エリアを特別に観光させてもったこともある。
その思い出は、また機会がございましたら…。
…とまぁ、そういうエリアなのだ。
ついでに宮崎県の発表している2022年12月のえびの高原の警戒レベル情報をご紹介する。
なんだかよくわからないが、とてもヤバい空気が漂っていることだけはわかる。
特に新燃岳がすごいオーラを放っているが、今回はそれは無視だ。
左上に位置するえびの高原、その中でも硫黄山に接近してみようと思う。
こっちもただごとではない。
今回の記事は、まさに画面中央の立入禁止の赤いマークがモリモリついている部分のお話なのだ。
2022年1月現在、硫黄山に登るどころか付近を走行することすらできないエリア。
僕も日本1周目で感動したけど、それ以降はなかなか立入禁止で近づけず、日本5周目でようやく再訪できたのだ。
僕にとっては貴重な思い出、次からが実録である。
韓国岳と不動池
爽やかに晴れ渡った春の朝であった。
快走路「えびのスカイライン」を北上していく。
間もなく不動池が見えるいいロケーションの駐車場が出てきた。
ここ、いい感じ。ここの車を停めて散歩としゃれこみたい。
…が、まだ朝の7時台だというのに駐車場は満車であった。
さらに数100m走ると小さな駐車場があったので、そこに愛車を停める。
不動池を見つつ、その傍らに広がる「賽の河原」という荒涼とした火山ガスの噴出するエリアを散歩したい。
車道をテクテク歩きだす。
その眼前に見えるのは、標高1700mの韓国岳だ。
うわー、絶景だなぁ!
この韓国岳もパワフルな火山。
上の写真、一見すると山頂が2つあるように見えるでしょ?
実は違うのだ。
またGoogleマップの衛星写真から画像を引用させていただく。
バチクソ巨大な火口、その淵の一部が欠けてしまっているのである。
その欠けた両側が、下から見上げるとあたかも峰が2つあるように見えるのだ。
よく見ると、火口から噴き上がったり転がって来たであろう無数の隕石が散乱している。恐ろしい山…。
韓国岳は日本4周目で時間があれば登ってみたかった山なんだよな。
もう最近は疲れるのは嫌なんで、登山をしたいとは思わないんだけどさ。こうやって見上げることで満足な人種となった。
そして不動池である。
今朝の真っ青な空を映しこんでいて、見ていると吸い込まれるようになる。
不動池は直径200mの火山性の池。
大昔の噴火口に水が溜まって、そのまま池になったのだそうだ。
だから上空から見ると美しい円形だ。
流れ込む川もなければ、流れ出す川もない。
鏡のように静かな池。
なんなんだ、この神秘的な世界は。現実離れしているようだ。
しばしこの池に見とれた後、さらに車道を歩くと賽の河原への遊歩道の入口が出てくる。
この遊歩道を辿ると片道10数分で硫黄山の山頂まで行けるんだってさ。
そうなのか!じゃあ行くか硫黄山!
白亜の世界、硫黄山
硫黄山は全体が真っ白な標高1317mの火山。
2013年から火山性地震が起こっている。
僕が訪問したのが西暦何年なのかはここではあえて言わないけどさ、訪問の2・3ヶ月前にはさらに大きな火山性地震も起きたんだ。
その影響から、ほんの数日前までこの山の周囲1kmは立入禁止になっていたのだ。
マジで噴火の可能性があるから。
今回はそんな解禁ホヤホヤの山の足を踏み入れているのだ。
とても貴重な体験。
ところどころで噴気が出ている。
神奈川県の「大涌谷」とか、長崎県の「雲仙地獄」とか、北海道の「硫黄山」を思い出すね。
あ、ちなみに北海道の同名の硫黄山は"いおうざん"と読むのだよ。こことは違う読み方。
そしてここが、その荒涼とした景観から別名"賽の河原"とも呼ばれているエリアだ。
冒頭で記載の通り、日本1周目のときもこんな感じの真っ青な天気であり、仲間とここを歩いて感動した思い出がある。
ところどころに警告文の書かれた立て札がある。
『こっちは自己責任だぜ。有毒ガスを吸い込むなよ。』みたいな内容であった。
はい怖い。
こちとら、「阿蘇山」の火口で立入ギリギリのタイミングまでいたとき、微量の奮起を吸い込んでしまってやたらゲホゲホしたこともあるからな。
油断するとマジで死ぬかもしれない。
…しかし、僕以外だーれもいないのだが。
何かあっても僕を助けてくれる人がいない。
駐車場に停まっていた車の人たち、いったいどこに消えたのよ?
ここまで人がいないと、本当にこの世かあの世か疑わしくなるような世界だよ。
足もとが悪いので、ときどき足首が「グキッ」ってなりそうになりながらも、山頂付近にやってきた。
この山ね、標高は1317mあるけども、車道からの標高差は100mもないレベル。
車道からサクサク歩いて徒歩で10分くらいで山頂に来れてしまった。お得。
でも、「ここが山頂」みたいな碑が見当たらないので、明確にどこか山頂なのかよくわからない。
少なくとも今回僕が訪問したときはそうであった。
とりあえず、パッと見で一番高そうな部分は踏んでおいた。
別に登山に来たわけではないのでどうでもいいんだけど。
そして眺めが良い場所で自撮りをしておいた。
あぁ、こんな爽快なところでおにぎり食べたい。ここにおにぎりがないのが悔やまれる。
山頂からの景観はこんな感じだ。
足元にえびの高原が広がっている。
あと数週間もすれば、この高原も緑に色付くのだろうか?
そうしたら最高の景色になるだろうね。
絶景を充分に堪能し、また車道へと下山する。
僕の停めた駐車場、既に満車になっていた。
なんだか知らないけど、朝からこのエリアの駐車場は人気なのだね。
…当初は朝の高原なので肌寒かったが、いい運動したのでもうポカポカだ。
ちなみに満足して心もポカポカだ。
なお、この数ヶ月後には1日に数10回の地震が発生することもあったりし、本当に危険な状態となった。
2018年4月19日にはついに噴火した。
1768年以来の、250年ぶりの噴火だったらしい。
噴煙の高さは300mにも達した。
2022年1月現在も近づけない硫黄山。
あの絶景をまたいつか歩いてみたい。
硫黄山を出発した僕は、新緑の眩しい山の深部へと舵を切る。
九州はどこを走っても楽しいのだ。
朝から硫黄山を登れた僕は、実にゴキゲンであった。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
名称: 硫黄山
住所: 宮崎県えびの市
料金: 無料
駐車場: あり
時間: 特になし