桜前線を追いかけるように、今度は芝桜のシーズンがやってくる。
だからこのタイミングで1本、芝桜に関する執筆をしたい。
今回ご紹介するのは、無名のスポット。
「有名じゃない」という意味の"無名"ではなく、正真正銘の名前が無いスポットだ。
それもそのはず、個人宅である。
だがしかし、その圧巻の光景から、道行く人が車を停めて見入るのだ。
駐車にうってつけのスペースまである。
当ブログでは、スポット名を「川崎童子の芝桜」とでも呼ばせてもらおうか。
それでは、2021年に訪問したエピソードをご紹介しよう。
責任者が橋に抱きついて離れない事件
ここでまずはお伝えしよう。
本記事は、最初に芝桜スポットにほど近い「道の駅 かわさき」についてご紹介する。
川崎童子の芝桜が出てくるのは後半だ。
なぜかって…?
そんなもん、記事の文字数を膨らませるために決まっている。
…って理由だけではいささか暴力的なので、「セットで楽しめるスポットをご紹介したいから」とでも受け取っていただきたい。
のっけから狭い。
道の駅に向かっているだけなのに。
こんな写真を掲載してしまうと「どんだけ秘境の道の駅なんだよ」って思われてしまうかもしれないが、目指す道の駅は国道沿いの広々とした雰囲気の場所だ。
かつて2・3回は行っているので知っている。
(でもこんな狭い道で行くのは初めて。)
これが今回の舞台のイメージ図だ。
東北の太平洋側を代表する「北上川」が広いが、その両脇の道はすごく狭かったから注意されたし。
途中でまだ桜が咲いていたのでテンションは上がった。
桜前線に追いついた。
狭い道も終盤に近付くと、北上川に架かる「北上大橋」が見える。
一気に視界が開けて、この巨大橋が姿を現すのだ。
橋マニアの僕は「うおぉぉ、ブラボー!!」と叫ぶ。当たり前の反応である。
あの橋の右側への延長線上に、道の駅かわさきがある。
もうちょっと。
道の駅かわさきに到着。
駐車場からも、北上大橋が背景として鎮座しているのが見える。迫力すごい。
…ただ、かつて来た時にはもっとしっかり橋が見えていて感動した記憶があるのだが…。
東日本大震災のちょっと後に被災地を巡りながら立ち寄ったときの写真を発掘した。
うん、あんまり変わらなかったが、青空だし車が少なくてちょっとだけ見栄えはいいかな。
しかし、相当に大きな橋だぞ。
大きな北上川に架かる橋なのだから当たり前だが。
全長482mの3径間連続バランスドタイドアーチ橋。支間長は208 mあり、このタイプの橋としては2022年現在で日本最長だ。
この橋が架かったのは2003年。
初代の橋は1938年に架かったのだが、老朽化してきたのでこの2代目の橋を架けたのだ。
その初代の一部は、この道の駅の敷地内にモニュメントとして今も残っている。
ほとんど誰も見向きもしないけどさ、アツいストーリーあるから説明板を読んでみてほしい。そしてこの初代の橋をそっと撫でてほしい。
長いので内容は割愛するが、説明板の内容は大体以下の通りだ。
- 今まで渡し船で不便だったので、この橋の完成はまさに交通革命。
- 95%くらい完成したところで川が氾濫して、橋が全部流されて工事は振り出しに。
- そのとき工事責任者が「一緒に死ぬ!」って言って橋に抱きついたので、地元民みんなで引き剝がした。
- 水中に散らばった橋の残骸の撤去もやったので、相当大変だった。
みんなの橋への愛、すごすぎるぜ!
ここまでの愛があるなら、解体してお役目御免となっても、こうやって思い出を飾っておきたいよな!
先駆者の魂がこもっている!!
顔はめパネルもあるぞ。
背景は北上大橋だ。
左下の黄色いボールは、かわさき花火大会のマスコットキャラである「かわたまドン太くん」だ。
前髪(北上川?)を北上大橋で留めている。
Twitterのフォロワー数はわずか8人であり、2018年のアカウント作成から3ヶ月で力尽き、以後2022年春現在に至るまで4年近く沈黙しているという、わりとずぼらなキャラだ。
今後の復活を祈る。
鉄神ガンライザーの腕は南部鉄器
道の駅の建物。
ひとまず中の物産コーナーやお土産コーナーなどを一回りし、その地域の特性を把握するのが僕の習性だ。
そして見つけてしまった。
道の駅の敷地内にコーヒースタンドがあるのを。
「Cafe Stand Halte(カフェ スタンド アルト)」という店名だそうだ。
ウッディな小屋でとても小さく、中でイートインはできない持ち帰り専用のコーヒー店。
しかしそのすぐ脇には簡易的なデッキとベンチがあった。
「なるほど、ちくしょうズルいぞ!」って思った。
イートインのお店であれば「そんな時間はない」と言って無視もできた。
しかし持ち帰りだったら拒否する理由がない。
そして僕は無類のコーヒー好きなので、毎朝必ずコーヒーを飲みたい。
だけども今日はもう10時過ぎなのにコーヒー飲んでない。飢えていたのだ。
買ってしまった。
ちゃんとドリップしてくれたのでそこそこ待ち時間がかかったが、コーヒーの香りを嗅ぎながら待つ時間が幸せだった。
しかもチョコレートまでつけてくれた。申し分なし。
ここが店舗のすぐ脇のデッキ席。
ここに座って飲もう。
結局「イートインのお店だったら時間がないのでスルー」とか言っておいて、テイクアウトのお店でも座れる場所があるなら座ってしまうのだ。
だって座ってみたいじゃないか。それに世の中は嘘と矛盾で満ちている。
ビターなコーヒーが身に染みる。
苦くて酸味の少ないコーヒー、すごく好き。
ちなみにこのお店はワッフルも数多くあった。
ただ僕はワッフルあまり食べない人なので調査できず、この記事でも取り上げることはできない、すまん。
その代わりと言ってはなんだが、道の駅内の自動販売機を紹介しておこうね。
岩手のローカル特撮ヒーローの「鉄神ガンライザー」のデザインだよ。
その右手は南部鉄器らしい。さすが岩手。
南部鉄器で殴ったら、大抵のものは破壊できるよね。
父方のばあちゃんの家にあったから知ってる。それで人を殴ったことは無いけど。
2021年時点で10周年なのだそうだ。
なんという長寿番組だ。全国ものの特撮ヒーローで10年続くなんて、そうそうないぞ。
細く長く、これからも岩手県の平和を守ってほしい…!!
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…というわけで執筆を完了させようとしたのだが、大事なことを忘れていた。
川崎童子の芝桜について書いていなかった。
よし、書く。最終章で書く。すみません。
知人からもらった芝桜、増殖が止まらず
川崎童子の芝桜の存在を僕が知ったのは、実は昨日だ。
2021年4月23日、YahooのTOPのニュース記事でここが取り上げられていたのだ。
そして翌日である今日に早速やって来た。
Yahooのニュース記事はすぐに削除されてしまうので、その引用元となった岩手日日新聞社の記事をリンクさせていただく。
こっちは1年が経とうとする2022年現在もページが存在していたので。
記事を読んでも詳細な場所は書かれていない。
Web検索しても場所はわからない。
でも何となく検討はつく。
上記にリンクした記事内には、『一関市川崎町薄衣字童子地区内の傾斜地』・『近くを通る市道などからの鑑賞を呼び掛けている』という2つの重要なフレーズがある。
これだけあれば余裕余裕。
山間部のローカルな道が続く。
しかし結論を言ってしまうと、さっきの道の駅かわさきから車でわずか10分だ。
そんな大した距離ではない。
そろそろかな…とスピードを緩めつつ走っていると、視界の右隅がピンク色で満たされた。
はい、来た!
芝桜を見る人は、みんな上の写真のように路肩の駐車場に車を停めている。
僕もそれに倣って愛車を駐車させてもらった。
タイミングによっては5台ほどの駐車スペースは満車となる。人気だ。
おじいさんおばあさんたちを乗せた、デイケアサービスの送迎車みたいのもやってきたりした。人気だ。
駐車場から谷を挟んだ反対側の斜面に、芝桜が鮮やかに咲き誇っていた。
少し構図を工夫すれば、このように愛車と芝桜を一緒に写すこともできる。
しかしちょっと木立がジャマをしてくれる。
角度的にも、ここから少し南に歩いたほうがよさそうだ。
そう考えて歩道をちょっと歩いて戻ることにした。
山間部のクネクネ道で歩道もないから、車に注意して歩かねばならない。
一望できた。最高だ。
Yahooの記事では記者が敷地内まで入れたためか、丘の下から見上げるようなすんごい構図だったけど、個人宅なので僕ら一般人はここからの眺めとなる。
それでも圧巻だ。
僕もここについては、ほぼ岩手日日新聞さんからの情報しか持っていない。
それでも記載内容をかいつまんでお伝えしよう。
ここで芝桜の栽培をしているのは、2021年当時で80歳のおばあちゃん。
もともとここはタバコだとかアズキを栽培する畑だったとのこと。
だが10年ほど前に、友人から芝桜をもらって植えたところみるみる増殖し、今ではこんな感じに庭や畑を一面覆う大スケールになってしまったそうだ。
白・ピンク・赤…。
色彩豊かな芝桜が斜面に綺麗に咲いている。
おばあちゃんが丹精込めて栽培し、草取りなどしているからこその絶景だ。
これをこうして見せていただくことができるのだから、ありがたい話だ。
鮮烈なまでの春色。
北東北にも遅い春がやって来たのだと、僕はまじまじと実感した。
ここまで来て、春を実感できてよかった。
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そして1年が経った2022年。
僕はWebをするが、この川崎童子の芝桜の今年の情報は見つからない。
今年に限らず、ここを訪れた人の情報も、Webにはほとんどない。
だけどもきっと今年もおばあちゃんは、今頃満開の芝桜を眺めているに違いない。
遠い地で、僕はそんなシーンを思い描く。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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