日本三名園というジャンルがある。
日本庭園のトップ・オブ・トップの名誉を持つスポットで、「後楽園」・「兼六園」・「偕楽園」だ。
僕は全部行った。
まだこういう日本庭園の侘び寂びが理解できない日本2周目の時点で、既に全制覇してしまっている。
ここには日本3周目以降も桜の時期に2回訪問している。
かつては雪の眩しい真冬の快晴だとかにも訪れて感動したこともあるんだけど、今回は"桜の兼六園"にスポットを当てて執筆したい。
日本5周目と日本6周目で訪問した記録をブレンドしつつご紹介しよう。
金沢市のシンボル、金沢城!
金沢城を歩いた思い出から語ろうか。
兼六園や祭りの話は、後述するからもうちょっと待っててほしい。
とある年の4月のことだ。
うん、よく覚えている。この日の夜は皆既月食になるのだ。
天気図を眺め、日本列島の半分くらいがドロドロの曇りである中、桜と月が同時に眺められるスポットを割り出した。
能登半島だ。
ワクワクしてきた。
…というより、金沢城の外郭に造られた庭園が兼六園なので、主は金沢城だ。
兼六園のすぐ北が金沢城なので、一緒に見学するとお得感が2倍である。
お城と共に桜を見ると、これまたお得感も感動も2倍である。
金沢城は江戸初期に落雷で天守が燃えちゃって以降、一度も天守が建てられなかったお城だそうだ。
なので上の写真に写っているのも、天守閣ではなくって櫓(やぐら)だ。
石川門というらしい。
当然天守ほどは見栄えはしないので、僕も過去ここに何度か来たものの、感動レベルは控えめであった。
だけども今回は、満開間近の桜に綺麗に囲まれていて、初めて「綺麗だー!」って思った。
桜のパワーは偉大だと感じた。
そのように、当時の僕の手記にも書いてある。
外国人の方も、桜とお城をバックに記念撮影をしていた。
笑顔で「ようこそ日本へ」って言いたい気分になった。
兼六園と金沢城を繋ぐ遊歩道から眺める桜並木もまた、格別であった。
ちょっと空は曇りがちだが、桜のエフェクトがそんなマイナスファクターを吹き飛ばしてくれる。
桜のパワーはそのくらい偉大だ。
…少し年月が流れ、日本6周目。
コロナ禍直前の時代。
同じ歩道橋の上から、僕は桜を見下ろしていた。
あいかわらず綺麗であった。
しかも今回は快晴だ。世界はより一層キラキラしていた。
最高だな、おい。
実は昨日の夜まで、ここに来る予定はなかった。
昨日は能登半島の先端にほど近い輪島の町で、車中泊スポットに付近をブラブラ歩いていたらお寿司屋さんがあったので突撃して、お刺身食べながらお酒を飲んだのだ。
そこにいたおっちゃんといろいろおしゃべりしたのだが、おっちゃんは「この陽気で金沢までは桜満開になったよ。兼六園きっと綺麗だよ。」って言ってた。
「そっか、じゃあフラリと行ってみるか。」って思い、翌朝の今なのである。
来て正解だった。ありがとう、お寿司屋で飲んでいたおっちゃん。
付近は渋滞して結構大変だったし、駐車場もなくって結構遠いところに停めたんだけど、この光景を見たらそういう苦労は吹き飛んださ。
改めて石川門を見上げる。
この石川門は、1759年に火事で焼け落ちたけどその後ほどなくして復元され、それ以来ずっと金沢城のシンボル的な存在だ。
さて、今回はこの石川門の向こう側にも行く。
正直僕はお城はちょっと離れているところから眺めていれば満足な人種なのだが、今日は気温も20℃超でポカポカで、いろいろ散歩したい気分なのだ。
三の丸広場だ。「広ー」って思った。
もともとは重臣の邸宅があった敷地だ。今はフリーダムな広場になっている。
その向こうにあるのが五十間長屋っていう、文字通り長屋のようになっている建物だ。
かつて武器庫として使われていた。
その五十間長屋の左端が橋爪門続櫓っていう櫓。
石川門に負けず劣らずの存在感を放っていた。
僕はこれらを見渡せる三の丸広場をグルリと散歩し、次は兼六園内に足を踏み入れることとする。
神対応!無料開放される公園
圧巻の日本庭園
その日本三景に数えられる庭園にに桜が咲き誇ったら…。
そりゃもう最高でしょ?
普段以上に入場料が高くても入りたくなっちゃうでしょ?
…しかしだ!
兼六園は桜の時期に合わせて無料開放してくれる。
入園料が無料になるのだ。なってこった。神か。
普段はセキュリティガチガチで、きっとサングラスをした黒服が立ちはだかっているであろうゲートも、今はフリーパスだ。
自由に出たり入ったり。VIP感がハンパねぇ。
まずは見ておきたいのはこの徽軫灯籠。
読めない…。
"ことじとうろう"と読む。金沢城方面から園内に入ればすぐだ。
園内の霞ヶ池という家のほとりに立っている、兼六園を代表する景観の1つだ。
大体燈籠って足は1本か3本か4本なんだけど、これは珍しい2本。
琴の糸を支える琴柱(ことじ)っていうパーツに似ているのでこのネーミングなのだそうだ。
左端の燈篭は3本足だな。これはこれでかわいい。
そして日本庭園が美しい。
以前は全然興味なかったんだけど、最近はしみじみいいなって感じる。
これは僕が渋い大人になった証拠だと自負している。
池の上に張り出すように伸びた松なんか、すごくいいのだ。
なんで自らこんな危険な水の上に乗りだしているのか。
猪突猛進で集団入水していしまうレミング(タビネズミ)のようでもあるし、水場に先導されるハリガネムシに寄生されたカマキリのようでもある。
どっちの例えでも関係者には怒られそうだけど、この松の意思に感嘆する。
「俺スゲーだろ感」の強い松。
僕も小学生~大学生くらいまでは、こんな感じのタイプであった。
「スゲーだろ」とか言っている割には、もう自身ではどうしょもできない角度にまで傾いてしまっている。ワンパク男子あるあるだ。
霞が池の全容を収めてみた。
たまらんねぇ。松に囲まれる池。池の中の小島にも松がこんもり。
こういうのを風流と呼んでよいのだろう。
そして左側にチラッと見えている、池の上に乗りだした建物がステキだ。
内橋亭というらしい。
茶屋では多くの人が休憩している。
これを今執筆しているのは2022年のコロナ禍なんだけど、こういう密集風景がすごく懐かしく感じてしまう。
以前は何とも思わなかった光景なのに。
ねぇ、これを読んでいる未来人さん。
あなたの時代はどうなっていますか?
やっぱまだ距離を空けた生活ですか?それともみんなで集まれる生活ですか?
まだ僕の人生はそれなりに長いと思うので、それが気になる。
桜咲く園内
ちょっと前章では「桜が少ないな」と感じられたかと思う。
うん、僕も正直そう思った。
しかし、そんなワサワサと生えているとは感じなかった。
金沢城方面から入ると、ドーンと開けて霞が池の見える手前、入口から園内に繋がる遊歩道ゾーンが一番桜が多かったと感じた。
しかしそこも桜は点在しており、一枚絵で写真撮影するのであれば金沢城の石川門あたりがインパクト突出している。
調べてみたところ、兼六園内にも400本の桜の木がある。
決して少ない数ではない。
だが園内がとても広いので、多く密集しているようには感じにくいのかもしれない。
それに、桜は40種類の桜があるそうだ。
品種によって開花時期は様々なので、一度に楽しむというより、長い期間それぞれ異なる桜を楽しめる、といった感じかもしれない。
歩いていると、ひょっこり桜が現れる。
そんなシチュエーションを楽しめるのではないかと思う。
ちょっと人の少ないところに意外とたくさん咲いていたりするので、そういうスポットを探してみるのもまた、面白いかもしれない。
あとはもう1つ、眺望台と名前のついている、市街地を見下ろすスポットだ。
ここは桜すごい。
桜に包まれる市街地を見下ろすことができるのだ。
"園内に咲く桜"っていう図での撮影は困難だが、街並みと共に桜を撮影するにはうってつけのスポット。
桜も密集しているし、それを見る観光客も密集している。
でもいい。
この写真はコロナ直前のものだからセーフだ。
ただただみんなが、春の到来を楽しんでいた。
模擬店でまるまる焼きを
金沢城と兼六園を繋ぐ区画では、多くの模擬店が軒を連ねていた。
この桜シーズンに合わせて出店しているのだろう。
最高だ。
こういう祭りの雰囲気は大好きだ。
1人旅なのでちょっと気後れしてしまいそうな部分もあるが、せっかくなのでここで何か食べていきたい。
朝ご飯を食べていないので、少しお腹を満たせるコストパフォーマンスが高いものがほしい。
あそこに見えている"まるまる焼き"に目をつけた。
まるまる焼きが何者かご存じか?
僕は知らなかった。
しかし慎重に模擬店を偵察し、大判焼きの型で作るお好み焼きだと判断した。
そして(確か)200円と比較的安価であった。
メチャうってつけだ。
詳しく知りたい方は、上のリンクでも見てほしい。
大阪焼きだとかアメ横焼きと言われることもあり、この"まるまる焼き"という表現が使われるのは石川県を中心とした北陸地方に集中しているそうだ。…たぶんだけど。
はい、いただきました。
そしてうまくないハズがない。
1人なので喧騒のちょっと端っこの方でがあるが、晴天と桜の木を眺めながら食べたまるまる焼きは最高の思い出となった。
最高のシーズンだ。
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最後に、兼六園の無料開放期間についての情報だ。
これは開始日・期間ともに毎年変動する。
桜の開花情報が出てから判断され、そして期間はどういう判断かわからないけど大体7~10日ほどだそうだ。
2022年は、4月3日から4月9日までの7日間である。
ちょっと短めであるので、興味のある方は早めに突撃していただきたい。
あと、残念なことにこのコロナ禍なので昨年に続き今年も模擬店の出典は無いそうなので留意されたし。
ちなみに、兼六園は有料期間でも320円と安価だ。
そしてたとえ桜の時期が終わったとしても、兼六園はもちろん素晴らしい。
夏の重要な緑に包まれる兼六園も最高なのだ。
今回は桜特集なので触れないが、いつか兼六園の夏と冬を取り上げた記事も執筆したい。
コロナ禍となってから3回目の春。
規模を縮小しつつ祭りを開催するところもチラホラ出てきた。
2022年を生きる僕も、そんな桜祭りに少し顔を出したりした。
もっと思い切り祭りを楽しめるような、そんな世界が早く戻ってくるといいね。
心からそう思う。
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P.S.
冒頭で記載した皆既月食はちゃんと眺められた。
風呂あがりの能登半島「和倉温泉」で、野営地でビール飲みながら見た。
神秘的な月見酒、最高だ。
いつもより酔いが回るのが早かった。普段の3倍酔う。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
名称: 兼六園
住所: 石川県金沢市丸の内1-1
料金: 320円
駐車場: あり(有料)
時間: 7:00~18:00(時期により変動あり)