「しまなみ海道(かいどう)」。
瀬戸内海に浮かぶ6つの島を、7つの橋で結んでいる絶景ルートだ。
※橋の名称だけで言えば、10種類の橋が架かっている。
本州と四国を結ぶ、"本四架橋"は2022年現在で3ルートあり、完成した順に以下の通りだ。
どれも死ぬほど好きだ。
四国を行き来する際には、どのルートを使おうか真剣に悩む。
1番なんて決められっこない。
子供に対し、「ハンバーグとラーメンとカレーライス、一番好きなものを言いなさい」って言うのと同じくらい残酷な仕打ちだ。
今宵はそんな御三家の1つであるしまなみ海道から、最強の展望スポットをご紹介したい。
「亀老山(きろうさん)展望公園」。
これ、ドローンから撮影した写真じゃあないんだぜ。
ちゃんと僕が地に足をつけて撮った写真だ。(気持ちはフワついていました、すまない)
しまなみ海道から亀老山へ
寒いんだけど、暖かい。
そうとしか表現できない日であった。
季節的には真冬。だけれども瀬戸内海は温暖であり、そして今日は最高の快晴。
そして車窓から見える絶景に心も踊る。
だから体感的にはHotなのだ。
僕が今車を走らせているのは、しまなみ海道。
冒頭でご説明の通り、瀬戸内海の小島を橋で繋ぎ、本州から四国に渡ることのできる長大で風光明媚な高速道路だ。
2006年に、この本州四国間の高速道路が全て繋がったのだ。
僕は全て繋がる少し前にしまなみ海道を走ったこともある。
橋の部分は高速道路、島の部分は一般道…っていうのを何度か繰り返して、お金も時間もそれなりにかあったが、あれはあれでとてもいい思い出になっている。
何より、しまなみ海道に架かる7種類の橋はどれも個性的。
それが次から次へと出てくるので、飽きさせずにとても楽しいのだ。
いつかこれらの橋のご紹介は、しまなみ海道そのものをご紹介する記事で執筆したい。
本州側から四国側に走る僕は、大島北ICで高速道路をいったん降りた。
名前の通り、「大島」という島にあるインターチェンジだ。
今回目指す亀老山は島の南にあり、大島南が最寄り。
だけどもあまりに景色が綺麗なので、島の北部から海岸沿いを一般道でノンビリを走った。
心にしみわたる海の青さだった。
亀老山を示す看板。
これに沿ってハンドルを切ると、それまでのどかだったカントリーロードが突如としてえげつない坂道に激変した。
亀老山は標高300mを超える山だ。
シーサイドからそこまで一気に登るのだから、それなりの急斜面だ。気合い入れろよ。
途中、2・3台の自転車を追い抜いた。
いや、しまなみ海道はサイクリングの超人気スポットであることは知っているけど、その途中であるこの亀老山に寄り道して、かつその山頂まで自転車で行っちゃうのか。
とんでもないヒルクライムだぞ、すげー!
心の中でサイクリングの人にエールを送り、僕はアクセルを強く踏む。
途中でチラッチラッと眼下の瀬戸内海が見えた。
一瞬しまなみ海道のラストを飾る「来島海峡大橋」も見えたりする。
うおぉぉ!絶景すぎる!
しかしここはまだ山の中の坂道の途中、そして駐車するスペースもない。
この展望をゆっくり満喫するのは、山頂の展望公園まで取っておこう。
亀老山からの絶景
駐車場に到着した。
早く絶景見たいぞ。でもちょっと待て。カメさんいる。
わりとリアルなお顔立ちだ。
そしてその後ろには、亀老山の由来が書かれた立て札がある。
今から約一三〇〇年ほど前、光り輝く黄金色の観音像を背負った大亀を、旅の風来僧がとある大島の海岸の洞窟で見つけたそうじゃ。
早速その観音像を持って、とある山に七堂伽藍を建立して崇拝し、それ以後この山は亀老山と名付けられたそうじゃ。
「~そうじゃ」の語尾がいいね。エモい。
しかし、もしこの話を再現VTRにしたら、亀さんの出ているシーンはワンカットだけじゃないかな。
ほとんど風来僧と観音像の話じゃないか。
だけども山の名前をこの亀さんから取ってくれたんだね、感謝。
そして"老"の文字はどこからやってきたんだろう、謎。
山頂の展望台だ。
わけのわからんアングルから撮影してしまった、とても申し訳ない。
全容をお見せできなくって残念だが、これはすごい建築なのだ。
建築家の「隈研吾さん」の作品。
めっちゃスタイリッシュで、それでいてあまり主張がなく展望台に立つと360度綺麗に景色が眺められる親切設計。
JCDデザイン賞'95の、文化・公共施設部門最優秀賞を受賞した名建築なのだそうだ。
そして、待ちに待った絶景である。
すごすぎる。
瀬戸内海と来島海峡大橋だ。橋マニアとしては、身もだえするほどの歓喜だ。
正確に言うと来島海峡大橋は3つの橋で構成されている。
こんな感じで、同じような橋が来島海峡第一大橋・来島海峡第二大橋・来島海峡第三大橋…って、連なっているのだ。
全長はなんと4105m。いくら亀老山からのバードビューとは言え、ちょっと全ては視界に収まらないほどの規模。
展望台には周囲の地形を表したプレートがある。
これを引用させていただこう。
写真の下部に上下に伸びている道路が来島海峡大橋なのだが、綺麗に3等分できる構造になっているのがおわかりだろうか。
地図で見る来島海峡大橋もステキだとわかった。
そしてこれ、実は世界初の3連吊り橋。
1999年に完成しているのだが、それまで地球上にはこういう三連橋は存在していなかったのだ。
だからすごい。
さらに、橋の下の海にも注目いただきたい。
ここの海域を「来島海峡」と呼ぶ。
つまり流れのすごく早い海域だということ。
狭い瀬戸内海の中でも、さらに無数の小島があることで潮の流れは早くなるし、そして流れは複雑になる。
ここを通る船には相当な操縦テクニックが必要とのことだ。
おさらいだ。
ここから見えるのは世界初の3連吊り橋、そして日本三大急潮だ。
そしてそれを見下ろす僕は日本3周目…、じゃなかったわ、このときは4周目だった。
惜しい。
引きで写すとこんな感じだ。
改めて、この海峡が狭いことがわかる。
右端に霞んでいるのは、「とびしま海道」の「大崎下島」だろうか。
そして左奥はこれから僕が向かう、四国本土だ。ワクワク。
一生忘れられないような絶景に心から満足し、僕は再び駐車場に戻る。
ちなみに帰り道も絶景だった。
瀬戸内海に転げ落ちそうなスリリングな車窓が眼前に広がり、テンションはだだ上がりだ。
いきいき館で橋を眺めて
最後に1つ、亀老山と絡めてご紹介したいスポットがある。
「道の駅 よしうみいきいき館」だ。
同じ大島内、さっき眺めた来島海峡大橋のたもと部分にある道の駅だ。
小さな漁港みたいな敷地に併設して建てられている。
ここからの景色を眺めたくって、それこそ「きっといきいきしちゃうような景色なんだろうな」って期待してやってきたのだ。
で、もちろん申し分ない眺めだ。感動した。
まずは右端の旋回する道がいい。100点。
そして、橋本体。
手前から来島海峡第一大橋・第二大橋・第三大橋だ。
第一大橋と第二大橋の境目は巨大なコンクリートのアンカーブロックになっているのでわかりやすいね。
橋を走っていては見られない、橋全体が見渡せるアングル。
こういう構図の写真が撮れるのも、車好きにとってはありがたい。
では四国に渡ろうか、イオ。
真冬の快晴のある日、僕は四国を旅する。そのプロローグに当たるひとコマがこれであった。
大好きな四国への旅の、最高の幕開け。
きっと今回もいいことあるぞ。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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