2月中旬にもなると、春の足音が聞こえてくる。
梅の便りだ。
2020年~2021年の冬はとんでもなく寒かった。つらかった。
冬の寒さが苦手な僕は、身も心も凍えた。
そんな今年は、なおさらに春が待ち遠しかったのだ。
待望の梅が、温暖な地域から順に開花してくる。
最高だ。
梅もほころぶし、心も顔もほころぶ。
もっとも、2021年現在はコロナウイルス流行の影響で緊急事態宣言が出ていたりなんやかんやで、おいそれと梅見ができない。
だから過去の2月のエピソードをご紹介したいと思う。
僕の春は梅から始まる
「道の駅 あいおい白龍(ペーロン)城」という、兵庫県西部にあるチャイナ系の道の駅を出発し、国道250号を東に10kmほど走ったところだ。
「世界の梅公園」という幟が目に入った。
梅が咲いているのだ。そして、世界中の梅の猛者がここに集結しているのだろう。
サミットのように。オリンピックのように。
運転しながらでも1秒で魅力の理解できる、とても秀逸なネーミングだ。
反射的にハンドルを切り、その世界の梅公園とやらに行くことにした。
まだ2月だが、僕は春を求めている。
春を待ちわびている。
そんな季節に春の第一走者となって、僕らに春の気配を届けてくれるのは梅なのだ。
春を待ちわびる者にとって、春とのファーストコンタクトの機会を逃す理由はない。
さて、結論から言うと、個人的には国道から公園に入ってすぐ、10mくらいの場所にある無料駐車場に車を停めて良かったと感じた。
理由は以下の通りだ。
- さらに進んだ先にある駐車場は有料である
- いろんな梅を見ながら散歩できる。
もっとも、この公園は標高差のある丘の形状である。
「上から梅を見下ろすのが目的だ」・「丘を登るのは足腰シンドい」というのであれば、頂上にほど近い有料駐車場が良いだろう。
実際、歩行距離はなかなかで足が疲れた。
特性を理解し、用途に合わせて使用できればクレバーだ。
国道脇の無料駐車場はほぼ満車状態で、僕が最後の1台だった。
危ない危ない。
僕の愛車はHUMMER_H3っていうんだけど、車体が大きく幅もあるので、あまり奥まった駐車場だと細い道をそこまで行くのが大変なのだ。
だから多少歩いたとしても、駐車できそうなところに停めるよう普段から心がけていた。
あと、事前情報ゼロで訪問したスポットであるが、僕の嗅覚が「この先にある駐車場は有料かもしれないぞ」とアラートを出していた。
あとで判明するのだが、どちらも僕の判断は正しかったのだ。
さて、では梅の咲き乱れる丘を登って行こう。
待ってろ春。ワクワク。
梅の咲き乱れる丘
梅園までは、ここから1㎞ほどあるそうだ。
そこそこの距離ではあるが、ポカポカ暖かい春先取りの陽気であるし、時間にも余裕がある。
これはゆったりと春を感じながら散歩をするのが得策だ。
車道脇をテクテクと、丘の山頂方面に向かって歩く傍らにも、もう梅が溢れている。
当たり前だが、車の中から見るよりも間近で見ることができる。
これは実に幸せである。
上の写真は、日本の梅である「八重野梅」だ。
確かになんだか見慣れている梅、って感じがする。親近感。
料金所が登場した。
ここから先は入園料の400円を払うそうだ。もちろん払った。
春の先取りには400円分以上の価値がある。
料金所のおじさんが言うには、園内の駐車場は有料なのだそうだ。
下の無料駐車場に停めてきてよかったと思った。
続けて料金所のおじさんは、「この先は車道を歩くのではなく、遊歩道に入ると良い。いろんな梅を見ながら山頂を目指せるよ。」とアドバイスをしてくれた。
親切なおじさん、ありがとう。
これは中国産の「淡粉梅」という種類らしい。
ビビッドピンクが目に眩しい。
これについては、白っぽい種類もあった。
僕は、色が違うともう同じ種類かどうかもわからないが、種名の記載されたプレートがついているのでそれを信じる。
はい、これが淡粉梅の白バージョンだ。
はかない感じで綺麗だ。
僕はうっかりしていると梅・桜・桃の花の区別もつかないような人間だ。
なんとなく特徴は理解しているつもりでも、100%の見分けがつく自信はない。
さらに梅の花もそれなりに多種多様なのだ。
もはや僕には何が何だかわからないが、「花が綺麗だ」と思えるだけで人生がハッピーであることだけは理解できた。
他に人はほとんどいなくて静かな遊歩道。そこにポツポツ梅の花が咲いている。
時間の流れがゆっくりで、とってもいいわ。
上の花は日本種で「玉拳」というらしい。
この公園には、日本・中国・韓国・台湾などの300以上の品種の梅が植えられているそうだ。
コレクター力がハンパない。
そもそも梅って300種類以上もあったのか。驚きだ。
遊歩道の途中に中華風の展望台があった。
登ったら梅園を少し高い目線から見ることができた。
特に景観がいいとは感じなかったようで、ここからの写真は存在しない。
丘の上の展望台
さて、丘の山頂に到着した。
駐車場から梅園入口の料金所まで600mほど、そして入口から頂上までさらに1kmちょっとあったのだろうか?
30分ちょっと歩いたところで、ようやく山頂に到達したのだ。
結構歩いた。
もう上着いらない。ここまで歩いて体はポカポカだ。
しかも春ですもん。春に上着などいらない。
ここにも展望台があった。しかも巨大だ。
そして中華だ。名前は「唐梅閣」というらしい。
あと、僕は訪問はしなかったが、「来鶴軒」という休憩施設があったり、「尋梅館」という1Fが梅の資料館で2Fがレストランになっている施設もあるらしい。
そしていずれも中華風の建造物だ。
Wikipediaさんの記載によれば、これらは中国の人が「日本人に異国情緒を感じてもらいたいな」って思って建てたとのこと。
しかし他のWebサイトをいろいろ調べてはみたものの、その中国人が何者なのかはわからなかった。
そして、冒頭にちょっとだけ書いた、道の駅 あいおい白龍城っていう、さっきまで僕がいた中華風の道の駅との関連性も気になるところだ。
そもそもなぜ道の駅 あいおい白龍城が中華風なのか。
…っていうのは、話すと長くなりそうなので、以下にリンクを貼らせていただく。
ザックリ言うと、中国にペーロンというカヌーみたいな船の競技がある。
江戸時代に長崎に伝わり、それがなんやかんや、ここ兵庫県相生市にやってきた。
1991年、ペーロンの本場である中国をモチーフとし、この道の駅「白龍(ペーロン)城」を作ったのだ。
僕も何度か訪問している、お気に入りの道の駅だ。
車は停めづらいが市場など活気があるし、模擬店の広島焼きが安くてうまい。
…あ、話が脱線してしまってすまない。
この世界の梅公園ができたのは1993年だという。
仮に白龍城の建造を本場の中国人にオーダーしており、その中国チームが白龍城完成後に続けて「世界の梅公園にも我が国の建物をブッ建ててやるわ!」みたいな溢れ出るモチベーションで建造してくれたのであれば、綺麗なストーリーだ。
しかしこれを裏付けるだけの情報は、入手できなかった。
展望台、唐梅閣に登ってみた。
階段が狭くって擦れ違いができないくらいだしかなり急だし片側交互通行。
そして小さい子とかには大変そうなレベルだった。
内陸方面のビューはこんな感じ。
牧歌的な田園風景であった。まだちょっと冬のよそおいだ。
海側を見てみよう。あっちが瀬戸内海だ。
そして足元には梅園だ。
梅林の向こうに建物と駐車場が見える。
建物はきっと尋梅館だ。
そしてあの駐車場はきっと有料だが、あそこに停めればほぼ高低差なくここまでやって来れる。
ここ頂上付近は梅も密集しているので、ピンポイントで楽しみたいのであればあそこの駐車場も良いのではないかと思う。
僕は散歩したかったから丘の下の無料駐車場でよかったが。
あのあたりが、「THE・瀬戸内海」って感じだ。
穏やか過ぎる海に、養殖イカダ。
春(まだかろうじて冬だが)の海って、なんてこんなに穏やかなのだろう。
この陽気と相まって、心がとろけそうだ。あのイカダの上で昼寝したい。
展望台の近辺は芝生も歩道も綺麗に整備されていて、中華の庭園って感じだ。
ここは公園内のハイライトなのか、多くの観光客で賑わっている。
ファミリーやカップルが記念写真を撮っていたり、おじさんが三脚を設置して一心不乱に梅の花を撮影していたりした。
ロンリーな僕も、負けじとセルフタイマーで記念撮影するのだ。
みんながグループでいる中で僕だけ1人だという孤独感は、この陽気と梅の花々が癒してくれる。
春(まだかろうじて冬だが)はチャレンジの季節だろ?
春が来た。
待望の春だ。
木々はこれから命を吹き込まれたかのように、一気に芽吹くのだろう。
僕は冬が苦手なので、春の到来は素直に嬉しい。
1年で1番好きな季節かもしれない。
でも、この時期だからこそ感じることがある。
逆に言えば、苦難と共に歩んできた冬ともこれでお別れなのだ。
それは、例えると「頻繁に争い、いけ好かなかったライバルの別れ」みたいなものだ。
気は合わないヤツだけど、今から振り返ればいいところもあったかもしれない。
ほんのちょっとだけ、別れが寂しい。
…そんな感じだ。
さようなら、冬。
これが冬に対する、手向けの花だ。
そして僕は、新しい季節を歩みだす。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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