新型コロナウイルスは、2020年~2021年初頭の現在に至るまで、数々の祭りやイベントをブッ潰してきやがった。
東京オリンピックも延期となってしまった。
新型コロナウイルス、スゲー悪いヤツだ。
そんな犠牲の中に、富士五湖の1つ「西湖」のほとりで行われる「西湖樹氷まつり」がある。
例年1月下旬~2月中旬、1年の最も寒い時期に行われる氷の祭典だ。
本来であれば、今頃祭りの準備に関係者の方々が盛り上がっていた頃だろう。
極めて残念だ。
今回は、そんな樹氷まつりについて少々執筆をしたい。
アイスモンスター現る
今から2年前、2018年の年末のことであった。
僕は「富士五湖」を全て巡るドライブをしていた。
「西湖」だ。
このちょっとローカル感のあるロケーションが溜まらない。
富士五湖は「山中湖」・「河口湖」・「西湖」・「精進湖」・「本栖湖」を指す。
知名度的にも規模的にも立地的にも、前2つは飛び抜けているものの、あと3つにはスポットが当たりづらい部分もある。
裏を返せば、それだけ静かに湖と「富士山」を堪能できるのだ。
僕もこの日、まずは都心側からアクセスのいい山中湖と河口湖を観光した。
順々に奥へと足を延ばし、ここ西湖にやってきたのだ。
さて、次は精進湖だ。
西湖を出発し、県道21号で西へと走り出す。
…とここで、道路の左側に奇妙なものを発見した。
ちょっと待って待って待って。
なんか尋常じゃないスケールの氷塊があったよ。
確かにとんでもなく寒いが、これは自然の力だけではないな。
局所的にここまでガッチガチに凍ることは考えにくい。
これは…裏になんらかの組織の力が働いているな。
僕は名探偵みたいな顔をして、そう推測した。
上の写真からさらに西に100mほど走ったところには大きな広場があり、さらに無数の氷塊がゴロンゴロンと鎮座している。
駐車できるスペースもあるので、ちょっと真相を確かめよう。
樹氷アートが並ぶ
なんなんだ、ここは?
広場の片隅にここの場所を示す看板があった。
「西湖野鳥の森公園」というらしい。
見た感じ、森の中の広場。そして片隅にログハウス風の大きな小屋がある。
そんな立地だ。
そんな中、氷のモンスターが敷地を闊歩している。
ところどころに氷の塊があるのだ。
大きなものは幅数10m、高さも10mほどにもなるのではないかと考える。
それが異様な光景を作り出している。
詳細は後述するが、これは樹氷まつりの会場である。
僕の訪れた年末時点では、まだ祭りは開催されていない。
たぶん、数週間後の祭り開催に向け、ちょっとずつ樹氷アートを製作中なのだ。
上の写真からもわかる通り、木の枝などで骨格が造られている。
それに氷がまとわりつき、少しずつ成長している過程なのだ。
富士山のようにこんもりした氷の塊。
そしてその後ろに、ホンモノの富士山。
なんという絶景だ。
さらにその手前には、とんでもない長さのツララも垂れ下がっている。
これはデカいぞ。
鍾乳石のようだ。鍾乳洞の中って、こんなふうなスポットあるよな。
僕と比べても、こんなに大きい。
本当は大きさを対比するためにもっと樹氷アートに近づきたいのだが、ここが限界。
立入禁止のロープが張られている上、周辺はツルツルのスケートリンクのようになっているから。
…なんでスケートリンク化しているのかを、ご説明しよう。
頭頂部から水が噴き出している。
実は、各氷のオブジェまでは、水道のホースが引っ張られている。
いい感じのところにホースの出口が固定されており、そこから常時チョロチョロと水が出ているのだ。
これが外気で少しずつ凍り、数週間かけて巨大なオブジェを作り出している。
僕は先ほどこのアートを鍾乳石に例えたが、本物の鍾乳石もまさにそんな行程で数1000年~数万年をかけて作られるよな。
材質が違うだけで、原理が同じことに気付いた。
これはまさに、氷でできた鍾乳石なのかもしれない。
「平成」の文字が描かれたオブジェも、制作中だ。
2018年12月末現在、僕ら国民はあと4ヶ月で平成時代が終わることは知っている。
しかし、次の時代の名前が何のか知るのは、あと3ヶ月後だ。
平成最後の祭りとなるので、この文字を掲げたのであろう。
大津波のようにド迫力の氷アート。
まだまだ祭り本番まで成長を続けるのだろう。
偶然発見し、見学できてよかった。
それらをひとしきり眺めたあと、次なる精進湖を目指すため、再び愛車に乗り込んでアクセルを踏んだ。
西湖樹氷まつりと、その受難
正直、訪問当時の僕は西湖樹氷まつりについて知らなかった。
その後に机上で調べていろいろわかり、改めて興味を持ったのだ。
西湖樹氷まつりは、2000年にスタートしたイベント。
祭りの期間中は露天なども出て賑わうのだとか。
そして、日暮れからは樹氷アートをライトアップもするそうだ。
僕は気になり、その後の樹氷まつりの動向を追っていた。
2019年
今回ご紹介した写真は2018年の年末のものであり、つまり翌年の初冬に開催される「西湖樹氷まつり2019」の準備段階のものである。
だが…。
祭りの開催からたった4日後に、事件勃発だ!
火災発生だ!
町観光課などでつくる西湖樹氷まつりの実行委員会は「イベントの継続が困難になった」として、まつりを中止した。
今回僕がご紹介した氷のアート、何週間もかけて作成したが、あまり多くの人の目には留まらずに祭り自体が中止されてしまったのだ。
残念!!
平成最後の樹氷まつりだったのに!
2020年
…そして、その翌年の「西湖樹氷まつり2020」。
そうそう、去年は全国で記録的な暖冬だったのだ。
上記リンク内でも、全然樹氷ができずに骨組みが丸見えな氷のアートに困惑していることが窺える。
中止なのか?
またまた模擬店やイベントなどでなんとか場を取り繕うのか??
直前までそんな葛藤があったそうだ。
またまたリンクさせていただくが、げっそりとやせ細った樹氷アートではあるが、なんとか開催したようだ。
まぁこれはこれでいいのではないかな?
「樹氷アートはモコモコであるべし」みたいなルールは無いのだ。
観光客が非日常を感じ、楽しめるのであれば良いのではないかな。
2021年
さて、そして今年である。
ご存じの通り、「コロナウイルス VS 人類」も2年目に突入した。
1月14日から2月7日まで、再び緊急事態宣言が出された。
対象は東京・神奈川・埼玉・千葉・栃木・愛知・岐阜・大阪・京都・兵庫・福岡である。
一部では「ただの飲み会禁止令では?」と言われるほど、昨年の規制に対して緩いし、ここ山梨県は緊急事態宣言の該当ではない。
だが、「西湖樹氷まつり2021」は中止だ。
この世間の動向もあるし、首都圏からの来客を見込んでいたのだろう。
3度の残念な結果だ。
なお、樹氷アートだけは作成しており、直近の大寒波の影響でモリモリと樹氷が育っているようなのが大変に皮肉である。
見に行ける人もいるのかもしれないが、少なくとも僕は今回もこれを見に行くことは無いであろう。
そして2022年へ…
2021年が始まったばかりで恐縮だが、2022年の樹氷まつりはどのようになるのだろう。
人類がコロナに打ち勝つ、あるいはうまく共存ができる世の中になっていることを期待する。
また観光業が息を吹き返し、盛り上がり、再び多くの旅人と出会えることを期待する。
僕は、西湖樹氷まつりをまともに見たことがない。
しかしそれは、未来に対する大きな期待だ。
2022年初頭!!
僕は再びこの祭りを訪れたい。
願わくば、この青空の下、富士山と樹氷アートを背景にあなたと出会いたい。
その願いが叶うよう、心から願っている!
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 西湖樹氷まつり(西湖野鳥の森公園)
- 住所: 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖2068
- 料金: 無料
- 駐車場: あり(たぶん)
- 時間: 1月下旬~2月中旬、9:00~日没(開催年によって異なる可能性あり、確認のこと)