えぇ、信じていますとも。
いい歳していますが、心の中にトトロがいますとも。
僕がそう言い切れる根拠となったエピソードを、日本5周目のドライブの中からピックアップしてご紹介したい。
僕は、あの日、確かにトトロを見た。栃木県の田園の中で。
トトロ神社、発見!
1年で最も寒い時期。
作物もなく土ばかりのオフシーズンの田畑の上を、木枯らしが吹きすさぶ。
メルヘンとは程遠い、この大平原で、僕は1つの神社を探していた。
その神社の名は、「星宮神社」。
そこにトトロがいるという。
ちなみに、この周囲数㎞に星宮神社は10個ある。
僕、さっき間違えた星宮神社に行っちゃった。
別の星宮神社にて、トトロを探してキョロキョロする僕。
付近の家で庭仕事をしていたおじいちゃんは不思議そうにこっちを見ていた。
僕も不思議な思いだった。…トトロ、いないのか。
いや、そんなハズない。トトロはいるもん、ホントだもん!
…という経緯を経て、再度神社の場所を確認し、僕は荒野を走っているのだ。
さて、僕の勘が正しいのであれば、そろそろ…。
いた。
てっきり心の清い子供にしか見えないのかと思っていた。
心の汚いサラリーマンにも見えるんだ、トトロ。
ありがたいトトロ。
神社の横の駐車場に、愛車のHUUMER_H3を駐車する。
背後には平原。その後ろには雪を被った山々。
なんだか北海道みたいな気分になる。
早速トトロに抱き着きたい。
しかし、まだ早い。
ちょっとはやる気持ちを抑制して、神社の入口、鳥居からご紹介したい。
なんかシャワシャワした、ナイロンみたいな素材の鳥居。
横には『日本一の行灯祈願鳥居』という立て看板がある。
これ、実は石の鳥居がナイロンの服を着ているわけではないのよ。
中はスッカスカ。
鉄骨のフレームで、鳥居のかたちを保っているに過ぎない。
そんで、特定の日の夜になると、この鳥居が光るの。
立て看板にある通り、この鳥居自体が行灯(あんどん)となって光をともし、ボンヤリと輝くのだ。
もちろん今は昼間なのでムリ。
『ようちえんの先生になれるように。』
『おりこうさんになりますように。』
鳥居にはびっしりと願いごとが書かれていた。
祈願鳥居というわれる所以がこれか。
鳥居にダイレクトに願いを書くとは、なかなか斬新なイベントだと感じた。
『七国山病院にいるお母さんが、早く良くなりますように』…とか、書きたいな。
例の姉妹の代筆で。
鳥居には、白ヘビがくくりつけられている。
星宮神社の公式Webサイトによると、ヘビってのは脱皮を繰り返すから、古来から不死だとか復活と再生をイメージする生き物なんだって。
それは、長寿や蓄財にリンクする。
そんな意図から、神社で祀っているのだそうだ。
では、いよいよトトロに対峙しよう。
となりのトトロと胎内めぐり
トトロ、鳥居の隣にズドンと立っている。
身長、推定4m。
かなりデカい。実物よりデカい。実物ってなんだよって話だけど。
サイズ的には、大仏かな?
ロケーション的にも大仏かな?
種明かしをすると…、これは神社で使われた「かかし」の1つ。
この神社では毎年夏から秋にかけての時期に「古山のかかし祭り」というお祭りをしている。
2020年は残念ながらコロナの影響で中止となってしまったけど。
以前、そのお祭りのかかしとして造られたのが、このトトロ。
そんで好評だったみたいで、ここに残っているのだ。
Webなどを検索した限りでは、以前のトトロの顔はもっとブサイク。
これはリニューアル後のものなのかもしれないね。
ちなみに、以前にはこのトトロの横には「さつきとメイ」のパネルもあった。
なんかデザイン怖いしボロボロだったみたいだけど、たぶん老朽化で撤去されてしまったようだ。
尚、2020年現在は新バージョンとなって2人が再登場しているようだ。
やはりデザインは少しビミョーな感じだけども。
あと、昔はネコバスのペイントをされた車も傍らにいたようだが、それも今はいなくなっている。
さつきとメイを乗せて、七国山病院にでも行っちまったのだと思っておこう。
トトロのおなかには穴が開いているぞ。
ここから中に入れるのか??
ほんの少し身をかがめれば、ラクに入れるサイズの入口。
では、おじゃまします。
胎内には神社があった!!
やけにパンクなデザインの鳥居だなって思ったら、これペットボトル製だ。
その神社の名は、「トトロ神社」。
星宮神社の中にいる、トトロの中にある、神社の名前はトトロ神社。
石ころとかドングリとか、落ち葉がお供えしてあった。
ペットボトルのデザインはトトロ感が控えめだけど、お供え物はトトロっぽい。
入口と反対側は、緑のトンネル。
え?なになに??ここってトトロのどこの部分??
背中?背中の突起??
とりあえず、中腰になってモリモリ進む。
あ、これトトロを探しているときの森の中のシーンみたいだ。
…トンネルを抜けると、そこは境内だった。
境内も、また不思議
トトロの胎内巡りの行きついた先は、星宮神社の境内であった。
拝殿は、まぁ普通。
鳥居やトトロに比べれば、安心して見ていられる造形。
…とか失礼なことを思ってしまった。ちゃんとした神社なんだからね、ここ。
しかし、注連縄にちょっとご注目いただきたい。
注連縄もヘビのかたちだ。
その理由は前述の通り。
昔はこの付近の多くの神社が、このようなヘビの注連縄だったそうだ。
しかし、近年はこれを作れる技術者が減ったこともあって、もうこういう注連縄を設置している神社もほとんどなくなってしまったらしい。
貴重な文化なのに、残念な限りですな。
うおっ、拝殿に登る階段の下に変なヤツがいる!!
いきなり、「オリエンタルランド」から出てきたようなアニメっぽいキャラクターの登場だ。
狛犬の前座的な位置に笑顔で立っている。
これは中国の貘(バク)だそうだ。
あの、悪い夢を食べる想像上の動物ね。
よく見ると足元の賽銭箱にも「夢福神」って書いてある。
背中には大きく「夢」。
なんだこのデザイン。
バクってこんなだったっけ?僕、変な夢を見ているような気分だ。
これは「ミリオンズ」のキャラクターだな。
境内の片隅にいたが、なぜだろう?
かかし祭りの残留品なのだろうか?
なんだか、文化祭テイストがさらに強くなってきた。
柔らかそうな天守閣を発見。
これはもう、どう見てもかかしの概念を超越していそうだが、なんなのだ??
基盤を支える石垣だけ、ガチな造りだ。
あ、「くまもん」だ。
しかし体に何かポスターが貼ってあるぞ。
『石橋病院移転新築工事 作業所一同』って書かれてある。
写真には工事作業者と思われるおじさんたちが集まって、ワーイみたいな感じになっている。
この人たちが、かかし祭りにくまもんを提供したのかな?
ねぇくまもん、覚えている??
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「となりのトトロ」のキャッピコピーを、ご存じだろうか?
「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」
…いろいろいたし、いろいろ変だったなー。
トトロだけじゃなかったなー。
朝からカオスな世界の片鱗に足を踏み入れ、僕は大満足だ。
さぁ、次のワクワクを探しに行こうか。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 下野星宮神社
- 住所: 栃木県下野市下古山1530
- 料金: 無料
- 駐車場: あり
- 時間: 特になし