週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No:004【宮城県】急げ!!絶滅秒読み!超激レアのUFO型信号機を見られるのは今だけ!

ちょっと正式な名称でいうなら、懸垂型信号機。

ガチな正式名称でいうならば、懸垂型交通信号灯器。

それは交差点の中央にフワリと浮かぶ、UFOのようなユニークな信号機。

 

近年は宮城県のみに残っていたのだが、2018年のニュースで信号マニアに戦慄が走った。

もう間もなく、この世からUFO型の信号機は消滅してしまうというニュース。もうお役御免で、次々と撤去するのだと。

 

マジかよ。

全米は涙しなかったけど、僕は1人泣きはらした。

しかし、ひとしきり泣いたあと、決意を固めて顔を上げ、グッと涙を手の甲で拭き取った。

…わずかだが、まだ時間はある。

些細だが、まだ僕にできることがある。

 

あなたにお届けしよう。

間もなく消える、UFO型信号機の最期の勇姿を。

あなたが仮にこの信号機に興味を持ってくれたのなら、まだこの信号があるうちに、別れを告げてほしい。

それを呼び掛けるのが、僕にできること

 

 

 

現地レポ:白石市のUFO型信号機

 

僕とこの懸垂型信号機との出会いをご紹介しよう。

あれは2018年の春先のこと。

福島県白石市の住宅地をドライブしていたところ、赤信号が出てきたのでブレーキを踏む。

 

しかし…、ん…??

僕は違和感を感じて、その信号機を二度見した。

 

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UFO型信号機1

こんな信号は初めて見た。

形状的には、上から見ると正方形。真ん中を四角くくり抜いた正方形。

外側の四面には車両用の信号。そして内側の四面には歩行者用の信号。

「え?内側に信号を付けたって見えなくね??」って思うかもしれない。

しかし、信号は高い位置にあるので歩行者は見上げることができる。なので自分と対角線上にある内側の信号は見えるのだ。

それに、下から見えやすいように内側は少し傾斜をつけてあるし。

 

ぶっちゃけ僕は今までかなりドライブをしてきた。

日本一周ドライブももう6回目だし、立ち寄りスポットも走行道路もどんどん新規開拓している。

にも関わらず、このタイプの信号機は初めて見た。

※もしかしたら、今まで青信号とかで気にも止めずにスルーしていたこともあったかもしれないが。

 

ひとまず僕は、信号待ちの短い時間で、その信号機の撮影をした。

ギリギリだった。パズーのお父さんがラピュタの撮影をしたときくらいにギリギリだったけど、なんとか記録に残せた。

やたらズームの効いた写真となってしまったが、これはそのときの僕の目には「信号以外の何も映っていなかった」という意味では正しい撮れ方だったと振り返る。

 

そして、帰宅後にいろいろ調べ、このUFO型信号機のことを知ったのだ。

 

 

白石市のUFO型信号機の場所

(2020年5月現在、撤去済み)

 

 

 

ここがすごいぞ、UFO型信号機

 

僕はUFO型信号機についていろいろ調べた。

そもそもなんでこんなかたちの信号機があるのだろうか。

 

道路脇の柱から交差点の中央へアームを伸ばし、交差点のどの方向からも見えるよう信号をつるしている。

1979~86年に設置された。

道路が狭く、複数の柱を設置するのが困難な交差点に付けるための工夫で、県警の担当者は「当時の先輩方にとって自慢の信号機だった」と振り返る。

製造した名古屋電機工業(愛知)によると、視察で渡欧した社員が、ワイヤでつるされた現地の信号機から着想を得て開発。

名古屋市仙台市などで導入された。

(引用元:日本経済新聞

 

なるほど。

交差点の中央にUFOを浮遊させることで、本来であれば交差点の角ごとに4つの信号機を設置しないといけないところ、場所もコストも抑えられたって感じかな。

さらに言えば、車用と歩行者用も合体しているもんな。すごい着想。

 

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UFO型信号機2

 

ただね、実際に僕も使用して思ったんだけど、欠点もある。

引用した記事内に「道路が狭く」というフレーズの部分。

道路が狭くて信号機が設置できないから、という意味だけではない。逆に「道路が狭くないとこの信号機は使い勝手が悪すぎる」というダブルミーニングになっていると考えるのだ。

 

では、実際にそれを体感してもらうため、2車線道路かつそれぞれに歩道のある交差点に、このUFO型信号機を設置したイメージを見てもらおう。

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UFO型信号機3

ひゃー!すごい交差する視線!

なんかの化学反応が起きそうだぜ!

 

…まぁ化学反応は別にいいとしても、特に歩行者の目線の角度を見てほしい。

限りなく45度になっていることに気づくと思う。

あなたは信号待ちをするとき、どこの信号を見るだろうか。おそらく正面に信号があるのが常識と思っているはず。

その位置が多少ずれているくらいであれば問題ないと思うが、45度はなかなかの急角度である。かなり違和感。

 

さらに、90度違う方向に行く人のための信号も、同じくらい良く見えるのだ。

どっちを信じていいのか一瞬混乱する。つまり、大きな交差点に設置しちゃうと、事故の危険性が高いと個人的には感じた。

 

 

ところでこの信号機、愛知の会社が作成したとのことで、名古屋に導入されたのはわかる。

既に全撤去されているようだが、愛知にもこのUFO型があったと聞いているし。

しかしその他の都道府県では宮城のみに導入されたのはなんでだろう。

これはWeb等を検索したがよくわからなかった。

 

ただ、他にいくつか追加情報は得られた。

  • このUFO型信号機は、現在の警察庁で定めた仕様には対応していない。
  • 信号機の寿命は30年くらい。

両方ヤバいじゃないか。

そりゃ撤去されるわ…。

 

2018年時点において、このUFO型信号機は宮城県内に22基残るのみ。

実際に探索するにおいて、宮城県石巻市にはUFO型信号機が2つあり、かつその2つの間は車で5分ほどしか離れていない立地であることを確認した。

石巻、すごいじゃないか。UFO飛び交う町、石巻

 

では、実際に僕が訪問し、撮影した写真をお見せしよう。

あ、ちなみに複数回訪問した写真をちりばめているので、写真ごとに天気だとかは違うかもしれないぞ。

 

 

現地レポ:石巻市のUFO型信号機①(石巻自動車免許センター内)

 

さぁ、いきなりハードル高いスポットだ。免許センター内の、練習コース上にこの信号機が設置されているというのだ。

まずは敷地の外からひょっこり覗いてみよう。

 

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UFO型信号機4

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UFO型信号機5

あった。UFOが薄曇りの空にプカプカ浮いている。

もっと近くで眺めたい。下から見上げたりしたい。

 

では、免許センター内にズンズン入っていこう。

 

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UFO型信号機6

係の人に「コースに入って信号機見ていいですか」と聞く。昼近かったからなのかどうだかはわからないが、現在コースは使用していないらしく、すんなり了承を得ることができた。

僕はコースに入る。

 

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UFO型信号機7

おぉぉー!じっくり見学できるー!

真下からも見学できるー!

なんだか真下に入るとUFOにアブダクションされそうな気分になるけども、それもUFO型の醍醐味よ。

 

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UFO型信号機8

唯一残念なのは、撮影時点で自動車講習が行われていないため、信号のスイッチが切られてしまっている点。全部無灯火なのだ。

 

まぁ実際に使われているシーンでこんな交差点のど真ん中に入ったら、僕は四方からの車の激突でボッコボコになるもんね。こればっかりは仕方ないよね。

 

 

石巻自動車免許センター内のUFO型信号機の場所

(2020年5月現在、存在確認済み

 


 

現地レポ:石巻市のUFO型信号機②(イオンモール石巻店近く)

 

お次は、石巻自動車免許センターから車で5分ほどの場所。

石巻の中心地にほど近い県道の、車通りのそんな多そうではない小さな交差点に、UFO発見!

 

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UFO型信号機9

 やったー!この信号はまさに稼働している!

交互に光る信号の3色の灯火。当たり前の動作なのに、なんだかすごくワクワクする。

多分僕が2歳とかそのくらいのときも、街中の信号をこんな気持ちで飽きずに見ていたのだろう。

そんな童心に帰りそうな気持だ。

 

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UFO型信号機10

…結論から言おう。

この信号機は執筆時点ではもう存在しない。

2020年の1月くらいに撤去されてしまったと思われる。跡地には、LEDの無機質な信号機が4基設置されていたよ。ごくごく普通の交差点になってしまった。

 

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UFO型信号機11

これは撤去後に再訪し、該当の交差点を撮影したものである。

UFO型信号機が設置されている状態での交差点の全景は撮影していなかったのだ。気になる方は、Googleマップの過去のストリートビューから見てほしい。

 

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UFO型信号機12

 

時代の流れ。まさにそうなのであろう。否定はしないが、心は寂しい。

失われた文明。UFO型信号機はロストテクノロジーとなってしまうのだろうか。

 

でも、UFOは地球を飛び立ったのだと考えよう。

遥か彼方の宇宙空間で、青・黄・赤に点滅しながらこの子が地球を見下ろしてくれていると考えよう。

 

 

長い間、交差点を見守ってくれて、ありがとな。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

イオンモール石巻店近くのUFO型信号機の場所

(2020年5月現在、撤去済み)