その川を遡りつつ、グレートジャーニー的な冒険をするのは、僕の憧れの1つだ。
でも悲しいかな、僕はそこまでの自由は効かないジャパニーズ・ビジネスマン。
そんな大河を河口から源流まで冒険するのは、今のところ少し困難。
きっとあなたもそうでしょう。
「時間がない」を言い訳に、いろいろ夢を諦めているタイプでしょう。
そんな僕らに朗報だ。
河口から源流まで、とんでもなく短い川があるぜ。
13.5m。驚愕だ。
忙しいビジネスマンでも、きっと業務の片手間に、簡単に遡ることができる。
まぁ、これじゃあグレートジャーニーどころかマイクロジャーニーじゃないかよってクレームも聞こえて来ましたが、落ち着いてください。
そして、その小さな川を、どうかあなたのその大きな心で受け止めてください。
それこそが、真のグレートジャーニー。
アプローチは海沿いの国道42号から
さて、日本一短い川であるぶつぶつ川。
紀伊半島の東海岸の大動脈である国道42号に肉薄している位置にあるのだよ。
なのでアプローチはとてもラクチン。
目印は、この粉白という集落に入る粉白踏切。
ここで海沿いの国道42号を離れ、踏切を渡ってさらに海ギリギリまで行く。
とはいっても、一瞬で着くけど。
踏切を渡るとすぐ右手に玉ノ浦海水浴場という小さな海水浴場が出てくるので、そこに駐車するのが良い。そこから徒歩1分。
ちなみに僕はかつて、ぶつぶつ川の場所がよくわからずにこの海水浴場を通りすぎてしまったことがあった。
するとあら不思議、みるみる車道は狭くなり、すれ違いも困難に。
集落の深部へといざなわれてしまう。
なので海水浴場、大事。
あなたが僕を反面教師としてくれるように、間違って粉白集落の奥深くに入ったときの画像も紹介しておくね。こうなったらアウトよ。
話は玉ノ浦海水浴場に車を駐車したところまで戻ろう。
ここから徒歩1分なのであまり迷いようもないかもしれないですが、もしあなたがそのとき取り乱していて冷静な判断ができない場合、海水浴場に流れ込む川を辿ってみるとよい。
きっとぶつぶつ川とご対面できるはず。
日本一短い川の全容
これが日本一短いぶつぶつ川だ。
長さは13.5m。
世界トップクラスの陸上選手が本気で走れば、河口から源流まで、わずか1.3秒。
そんな人がここを本気で走るイメージはできないだろうが、この川の短さはイメージいただけただろうか。
ランク的には二級河川。
まぁこれが一級河川縛りとなると、日本一短いのは静岡県の柿田川になるんだけど、柿田川のことはまた別の機会に書くね。
実はこの川が二級河川に認定されたのは、2008年の秋のこと。わりと最近なのだ。
あのときは、日本の河川マニアが震撼したよね。日本一短い川の爆誕だもの。
全米は涙しなかったけど、河川マニアは涙したよね。
そして僕はその年明け間もなく、実際にぶつぶつ川を見に行ったのだ。
それが記念すべき僕とぶつぶつ川の最初の出会いよ。
では、ぶつぶつ川を紹介しよう。
あ、ちなみに掲載している写真は、僕が複数回訪問したものの混合としている。なので草木の茂り方が写真によって違うが、気にしないでほしい。
まずは源流点だ。すごくわかりやすい。
水がふつふつと湧いている様が、この川のネーミングの由来だそうだ。
※「濁点はどっから来たんスか?」っていう質問が教室の隅から聞こえてきたが、シカトして次へ進みますよ。
源流の水はすごくきれい。
おばあちゃんが野菜洗っている。
聞くと昔からこういう生活用水に利用され、飲むこともできるのだそうだ。
僕も手持ちのペットボトルをここの水で満たしておいた。
この水の名前は「名水ぶつぶつ水」という。わかりやすいネーミングだ。
川の片側は、そんな感じで野菜洗いや水汲みができるように、綺麗にコンクリートで固めてある。
そして次は中流。
とはいっても、源流からまだ3mくらいだけど。
川幅は1mもない、のどかなせせらぎ。
「日本一短いぶつぶつ川」の立て札があるのもこのエリア。
ここを訪問した写真を第三者に見せる際は、この立て札も一緒に写真に収めないと、「オマエなんで用水路の写真撮ってるの??」と意図を理解してもらえずに難儀するだろう。
立て札の前にはベンチもあり、座ってくつろげるぞ。
ぶつぶつ側の上流から下流までを一望できる、パノラマベンチ。
片側は聳え立つ石垣だが、もう片方の川岸、つまりベンチの裏側には野原が広がっている。なんと牧歌的な風景よ。
その野原の写真は手元にないんだけどね。確か田舎の富豪の家が一軒建つくらいの面積だったと記憶している。
では改めて、中流と上流を振り返ろう。
そして最後は下流だ。
ぶつぶつ川のゴールは、実は海ではない。海水浴場と太平洋は、もう目の前なのに。
ぶつぶつ川はね、粉白川という別の河川に流れ込んで終わるのだ。その部分をご覧に入れよう。
改めて、13mを振り返ろう。
粉白川に架かる橋からズームで撮ったので、画質粗くてすまないが。
果たしてこれを川と呼んでいいのかどうか、迷うほどの長さだ。
2008年まで河川認定されなかったのは、お偉いさん方も、やっぱ同じように「これは川なの?どうなの?ビミョー…」って思っていたからなのかな?
同じ写真を引きで掲載した。
手前の大河が粉白川。奥のほうに伸びる支流がぶつぶつ川。
では、同じ位置で振り返って海側を撮影しよう。
この通りである。
粉白川をさらに下流に辿ると、数10mで最初の海水浴場に行き着き、そして太平洋に流れ込む。
このあたりのイメージは、ページ末尾のGoogleマップからのストリートビューで是非見てもらいたいと思う。
短い。実に短い。
しかし、短いからといって侮るなかれ。
そこには生活がある。文化がある。歴史がある。
小さな小さな集落の中の、この短い川は、集落の人の生活に寄り添いながら、これからもサラサラと流れるのだろう。
…グレートジャーニー。
小さいようで大きい僕の冒険が終わる。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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