週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No:063【埼玉県】超絶品の天然カキ氷!!夏は行列3時間の「阿左美冷蔵」を訪問してみた!

今回は、カキ氷の話をしたい。

 

「冬の始まるこの時期にカキ氷とは、YAMAのヤツは血迷ったか」と思われるかもしれない。

確かにそうかもしれないし、あながちそうでもないかもしれない。

 

いずれにしても、敢えてこの時期に執筆した理由は、この記事の中でしっかりご説明できればと思う。

 

 

阿左美冷蔵」。

 

少なくとも僕はこの氷屋さんを知ったことで、カキ氷の概念が大きく変わった。

生涯忘れられない、カキ氷なのである。

 

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絶品カキ氷の特徴とは?

 

超老舗の氷専門店が経営する、「長瀞(ながとろ)」にあるカキ氷屋さん。

冷凍庫などを使わずに自然の中で凍らせた天然氷を使ったカキ氷を出してくれるのが、最大の特徴だ。

 

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カキ氷1

まずは、このボリュームよ。

「日本むかし話」の山森ごはん級の聳え立つ氷山。

模擬店などで買えるカキ氷の、軽く3~4倍のボリュームがあるのではないかと思われる。 

 

しかし、氷はとても柔らかいのだ。

この写真ではすでにシロップがかかっているのでしっとりしてしまっているが、氷自体は天使の羽のようにフワフワなのだ。

 

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カキ氷2

この写真であれば、少しは伝わるだろうか…?

 

仮に手でギュッと押したら、「フニ~」っと微かな弾力と共に圧縮されるような、そうまさに低反発まくらのような、そんな印象を持った。

 

この羽のような氷を口に入れるとどうなるかというと、繊細でやさしい食感が一瞬だけ楽しめた後、すぐに溶ける。

 

模擬店のカキ氷だと、最初からビショビショに濡れているかとような感じで、食感は「ジャリジャリ、ボリボリ」みたいな感じである。

正直、全然違う食べ物だ。

 

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カキ氷3

なぜこんなにも食感が違うのかというと、きっと氷を削る機械による影響なのだろう。

 

上の写真は、お店の庭に半ばオブジェとして設置されている、古い氷削り器だ。

ギロチンさながらの鋭い刃物が回転することで、大きな氷の塊をスライスしていくのだ。

だから氷はペラペラの平面になる。

 

何度か店員さんが氷を削っているのを見たことがあるが、器の上にフワフワと落ち葉が舞い積もるように造られていて、芸術だと思った。

 

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一般的なカキ氷

かたや模擬店のカキ氷は砕いて小さくするパターンが多い。

小さな小さな氷のブロックの集合体、これが模擬店のカキ氷だ。

 

いや、別に模擬店のカキ氷をディスっているわけではないぞ。

あれはあれで、風流だし一気に体温下げてくれて嬉しい。

独特のボリボリした食感も好きだ。

なんだったら、夏は必ず数本はガリガリ君を食べるし。

 

カップラーメンと本格ラーメンの違いみたいなものかもしれない。

どっちもうまいのは事実なのだ。

 

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カキ氷4

これは、10年以上前のメニューを撮影したものである。

 

結論から言うと、2020年現在は軒並み1000円以上であり、ゴージャスにいくなら1500円ほどは用意する必要がある。

ランチであればたらふく食べれるくらいの金額である。

 

しかし、撮影当時は600円ほどが標準であった。

そのさらに前、僕がこの店を初訪問したころは500円だったのだがね…。

 

撮影したのは、春であった。

「さくらあずき」・「せん茶あずき」・「里のぶどう」・「こだわり白桃」などの、季節を感じさせるメニューが並ぶ。

ここはシロップも、こだわりの天然ものなのだ。

 

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カキ氷5

「せん茶あずき」・「こだわり白桃」・「黒みつきな粉」・「昔のキャラメル」である。

色映えがイマイチな茶色コンビが手前で申し訳ない。

 

この理由は、僕がフルーツが苦手なためである。

「じゃあカキ氷なんて食う資格なし!」とか言われそうなほどの特性ではあるが、そんなこと言われると泣くのでやめてほしい。

 

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カキ氷6

ちなみに初回から3回訪問した際のオーダーは、それぞれ「黒みつきな粉」・「モカキャラメル」・「昔のキャラメル」。

僕はいつだって、茶色いカキ氷を食べている。

 

ちなみにどれも、最高にうまい。

 

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カキ氷7

「はちみつレモン」であれば、少しだけ食べれた。

僕が黄色いカキ氷を持っているという、貴重なショットだ。

 

尚、ここのカキ氷の特徴は「キーンと頭が痛くならない」ことだという。

正直、僕は生まれてこの方、冷たいものを食べて頭痛がしたことがないので、ここはうまく説明できない。

 

しかし、天然氷は体にも優しいので、頭痛がしないと言われたことがある。

…うん、確かになんか「冷たすぎない」っていう気がするかも。

 

 

ロケーションを紹介しよう

 

このお店のすごいところは、カキ氷だけではない。

店舗自体も、また味わい深い昭和レトロな建物なのだ。

 

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店舗1

縁側があり、広い庭のある木造家屋。

その庭にこうやってパラソル付きのテーブルがあり、そこでカキ氷を食べられる。

 

真夏であっても、このパラソルの下でカキ氷を食べれば、一気に清涼感の訪れを実感できるであろう。

 

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店舗2

春であれば、こんな感じ。

少々肌寒さは感じるもの、温かいお茶を飲みながら外でカキ氷食べてもいい雰囲気。

 

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店舗3

これは2月の真冬の時期に撮影したもの。

 

冬だって阿左美冷蔵は営業している。通年営業だ。

冬特有の低い日差しに包まれる店舗もまた、美しい。

 

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店舗4

真冬に庭でカキ氷を食べる、豪傑たち。

 

「カキ氷を極めし者」っていうのは、きっとこういう人たちを指すのだろう。

カキ氷道の到達点が、ここにあった。 

 

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店舗4

敷地への入口となる小道も、「ようそこアイスワールドへ」みたいな感じで、氷塊が並べられている。

ちょっとした「氷のダンジョン」みたいな雰囲気を醸しだしている。

 

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店舗5

このときはさすがに、屋内の席に逃げ込んだよ。

中は温かかったし、卓上のランプの炎のゆらめきも、暖かく感じた。

 

純和風の喫茶店って感じだった。

このあと登場するのはキンキンに冷えたカキ氷だけども。 

 

 

僕と阿左美冷蔵との出会い

 

僕が阿左美冷蔵を知ったのは、とあるTV番組であった。

あれは確か、2000年か2001年ごろ。かなりの昔話だ。

 

どっちの料理ショーという、2つの魅力的な料理を戦わせる番組があった。

かつ丼VS天丼」みたいに。

 

出演者は食べたい方に投票し、多数決で自分の投票した料理が勝っていれば実食でき、もし負けていれば食べられない、という構成であった。

どの料理も、一流の人がメッチャ魅力をアピールしながら作っていた。

 

そんな中で、カキ氷が登場したのだ。

カキ氷のライバルは忘れた。たぶんバランス的に、何かのスイーツだったろうが。

 

 

ここで、カキ氷の専門店として紹介されたのが、阿左美冷蔵であった。

創業1890年(明治23年)だそうだ。

 

きれいな沢の水をプールのようなところに引き込んで、冬の間ゆっくりゆっくり、少しずつ凍らせていた。巨大なスケートリンクのようだった。

ときどきホウキみたいなもので綺麗にしていた。

 

こうして充分な厚みに凍ったら、四角く切り出して保存しておくのだ。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-

 

まだ世間知らずだった時代の僕は、それを見て「スゲーな。いつか食べに行きたい。」と感動し、店名をずっと覚えていた。

 

初めて僕が店舗を訪れたのは、その数年後であった。

12月上旬の秩父夜祭を見るついでに、立ち寄ったのだった。

 

あまりのうまさに感動した。

カキ氷の概念が変わった。

 

次の年の暑い暑い初秋にも来た。

春にも、真冬にも来た。

 

秩父に行くたびに思い出した。

ふらりと立ち寄り、カキ氷を食べた。

 

 

驚異の大行列

 

そんな時代が、ゆるやかに崩壊したのかもしれない。

 

いつしか、店舗は常軌を逸するレベルの大行列店となったのだ。

 

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行列1

駐車場出会った場所は、ディズニーランドのごとき長蛇の列が右に左にと、続いている。

夏場にカキ氷を食べて涼もうにも、まずはこの炎天下の行列で倒れかねない。

 

2000年代は、夏場でも1時間待ちと聞いていた。

しかし、2010年代も半ばになると、3時間待ちに達するようになったそうだ。

 

付近の道路まで渋滞する。

ヤベー感じだ。

カキ氷を食べようと店舗前まで行ったが、行列を見て諦めて素通りすることもあった。

 

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行列2

もう、何が何だか…だ。

 

カキ氷の値段も急上昇をみせてきた。

前述の通り、初回訪問時は500円だったカキ氷も、今は1300円とかになっている。

 

温暖化のせいもあるかもしれないし、人気になり過ぎたお店にくるお客さんを絞っているのかもしれない。

いずれにしろ、お店に行くのはオヤツ感覚ではなくなってしまった。

 

 

「ギャラリー喫茶 やました」

 

しかし、阿左美冷蔵の氷を食べられる、裏技がある。

 

何度か書いた通り、阿左美冷蔵は氷屋さんだ。

氷屋さんということは、氷を売っているのだ。

 

つまり、阿左美冷蔵の天然氷を使ったカキ氷を出すお店は、他にもあるということ。

 

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やました1

僕が訪れたのは、阿左美冷蔵と同じく長瀞地区にある「ギャラリー喫茶 やました」だ。

 

誇らしげに、阿左美冷蔵ののぼりがはためいている。

阿左美冷蔵以外で、阿左美冷蔵の氷を食べるのは、これが初めてだ。

 

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やました2

うん、雰囲気もバッチリ。

青空に赤い傘。そして新緑。

爽やかな季節に、爽やかなカキ氷を求めてやってきたのだ。

 

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やました3

赤い傘の下は、テラス席であった。

ここにしようかこっと迷ったが、ちょうど屋内にも席が空いているというので、中に入ることにした。

 

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やました4

窓際の2人掛けの席から見た、店内の様子。

 

待たずにあっさりと入れてラッキーであった。

このあと「宝登山」に登山した人がゾロゾロやってきて、結構混雑したので。

 

しかし、先ほどチラッと覗いた阿左美冷蔵で食べようとしていたら、あと1・2時間は普通に並んでいることだろう。

 

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やました5

「黒みつきなこ」のカキ氷を頼んだ。

出てきたのは、こんもり真っ白な氷だけであった。

味付けはセルフのスタイルだ。

 

見よ、このフワフワ感を。

やはりいい氷かき器を使っているのだろう。

せっかく阿左美冷蔵の氷を使うのであれば、そりゃ削り方にも気を遣うだろう。

 

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やました6

黒みつをそーっとかけるんだ。

氷をなるべく崩さぬように。

 

そしてきなこを掛ける。

練乳もついているが、僕はそれは掛けない主義だ。

 

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やました7

文句なしにうまい。

清涼感が体内を駆け巡る。

濃厚な黒みつも、しっかりとした満足感を感じさせる。

 

うまいうまいと食べ進める。

すごいてんこ盛りだから、こぼさないように気を遣う。

土木工事のように、慎重に掘削を進めるのだ。

 

…それでもこぼすけどな。

O型だからしょうがない。

 

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やました8


あ、ちなみにだけど、この店の焼きプリンも絶品であった。

濃厚なプリンにちょっと芳ばしいカラメルソース。

このハーモニーは、あなたも機会があればぜひ味わってみてほしい。

 

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やました9

スプーンの上のカラメルソースとか、写真で見ただけで身もだえするわ。

絶対間違いないヤツ。

 

ブラックコーヒーとの相性は驚異的である。

 

 

冬こそ、決戦の時期

 

話は冒頭に戻ろう。

なぜ僕がこの時期にカキ氷の話をしたのか。

 

それは、夏に阿左美冷蔵を訪問するのは、極めて難易度が高いからである。

狙い目は、冬だ。

 

まず並ばずに、店内に入れるだろう。

店内はストーブで暖かく、そして温かいお茶も提供される。

カキ氷を食べても苦にならないシチュエーションが出来ているのだ。

 

 

普通、人々はカキ氷に「涼を求める」。

そのための手段が、カキ氷である。

 

しかし、阿左美冷蔵においては涼とかはおいといて、「カキ氷を求める」ためだけに訪問する価値がある。

それが重要なのだ。

 

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純粋に、カキ氷を味わってみてほしい。

その体験が、少しだけ人生を豊かにしてくれるだろうから。 

 

 …というわけで、12月、今がチャンスだ。

 

 ちょっと今はコロナウイルスの第3波で、僕が阿左美冷蔵に行くのは難しいが、僕も再訪を夢見ている。

 

 

 以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 阿左美冷蔵(金崎本店)
  • 住所: 埼玉県秩父郡皆野町金崎27-1
  • 料金: 1000円~1300円くらい
  • 駐車場: あり(混雑時は閉鎖。近くの有料駐車場を使用。)
  • 時間: 10:00~17:00(木曜定休)

 

No:062【富山県】日本最大の落差500m、幻の「ハンノキ滝」!!目撃できるのは春だけだ!

日本一大きい滝って、どこのなんという滝だろう?

 

水が一直線に上から下まで落ちる「直瀑」であれば、和歌山県那智の滝だ。

落差は133mある。

三名爆の1つである有名な「華厳の滝」が落差97mなので、その1.5倍近くある。

すごい。実際に見たことあるが、圧巻だった。

 

しかし、直瀑ではなく段差を経て流れ落ちる滝であれば、日本最大の落差の滝富山県称名滝だ。

何とその落差は350m

那智の滝を一気に倍以上も上回った。次元が違う。

 

しかし、実はまだ上がある。

「幻」と呼ばれるがゆえ、公式には認定されていない「ハンノキ滝」だ。

 

なんとその落差、500m。

 

突き抜けたスケールだ。

 

今回は、この幻の巨大滝を追い求めたときの話をしたい。

 

 

聳える「悪城の壁」

 

僕は立山町の山間部を、走っている。 

立山町って言うとすぐにはピンとこない人もいるかもしれないが、「立山連峰」とか「立山黒部アルペンルート」の立山だよって言えば、わかる方も増えるだろうか?

 

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悪城の壁1

すっっっごい山肌だ。

 

霧も出ているし「仙人が住んでそうだ」って一瞬思ったけど、アレは違う。

仙人も転がり落ちるわ。

仙人だってあんな立地に住みたくはないよな。

 

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悪城の壁2

あれが、「悪城(あくしろ)の壁」である。

 

とんでもなく悪そうな名前だ。悪の幹部がきっといる。

壁のどっかに穴を開けて、悪の組織の根城にしている。

 

そして、その幹部はきっとあの崖から善良な仙人を転がり落として「グハハハハ…」とか笑っている。

そんな中二が好きそうな名前の壁だ。

 

「悪城の壁展望台」というのが道沿いにあったので、入ってみた。

 

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悪城の壁3

雪がすぐ近くに積もっている。

ちなみに今、6月。上旬だけど、暦上は

なのに雪なのだよ。

 

標高と山深さが下界を突き抜けているということだ。

ここは天上界に近い。

…悪も住んでいるようだが。

 

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悪城の壁4

高さ500m、幅2㎞という、常軌を逸したスケールの一枚岩。

そのネーミングも、「恐ろしくて人を寄せ付けないレベル」という意味から取られたのだと、Wikipediaさんも仰っている。

 

この悪城の壁については、機会があれば独立した項目で取り上げたい。

 

今回なぜハンノキ滝の執筆においてこの壁を冒頭でご説明したのか。

それは、ハンノキ滝は僕の見上げる、あの大地の上から流れ落ちているからだ。

 

まずは、このスケールの大渓谷の奥地にいざなわれているというシチュエーションを、ご理解いただきたい。

 

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悪城の壁5

さぁさぁ、あまりの山の迫力と自分の小ささに、鳥肌が立ってきましたよっと。

ホントにここは日本なのだろうか。

 

 

巨大滝への遊歩道

 

駐車場に愛車のパジェロイオを駐車した。

ここからは徒歩である。

 

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滝への道1

目指すは称名滝

…うん、ここであなたが訝しげな顔をしたのが分かった。

 

「ハンノキ滝を目指す話じゃなかったの?どっから称名滝が出てきたの?」と。

 

実は、ハンノキ滝は称名滝のすぐ隣にある。

しかし、ハンノキ滝への…世間の風当たりっていうのかな、それがちょっと厳しいもんでして、こういった看板には一切登場させてもらえないのよ。

まぁそこはおいおい話そう。

 

称名滝は、冒頭でも書いたけど、公式で日本最大落差(350m)の滝である。

 

ってか、称名滝まで1.3㎞で30分か。遠いな。

 

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滝への道2

綺麗に整備されたアスファルトの遊歩道で、歩いている人も大勢いる。

ファミリーやカップル、高齢者の人も多い。なかなか賑わっているんだね。

そんな中、ぼっちですみません。

 

右手には、巨大な岩のカーテンだ。

ここも悪城の壁だろうか?悪の一味なのだろうか?どの辺まで悪いのだろうか?

 

ま、悪城の壁は幅2㎞だもんな。さすがにあそこから2㎞以上は来ているので、これは悪城の壁ではないのだろうな。

悪の要素は浄化されているのだろうな。

 

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滝への道3

岩壁を流れる無数の水流。

霧の遥か上空にある、天上界からの滝だ。

 

今は6月。ちょうど天上界(立山連峰)の雪解けのシーズンである。

この時期のみ、こうやっていくつもの滝が姿を現すのだ。

 

遊歩道をテクテク歩き、正面遠方の巨大な岩肌を目指す。

前方180度全てが切り立った壁なんだよね。

圧倒されるね、この景観。

あの何筋か流れている滝のどれかが、称名滝あるいはハンノキ滝なのだろうか…??

 

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滝への道4

遊歩道の向こうに、ひときわ存在感を放つ滝が見えてきた。

 

遊歩道に小さく映っている人が見えるだろうか?

まだまだ滝はその彼方にある。

にもかかわらず、この巨大さ。縮尺が狂う。 

 

 

あれが、日本最大落差の称名滝…!!

 

 

いや、違う!!

 

 

今までガイドブック等で目にしていた称名滝とは、形状も違うしスケールも違う。

確かに称名滝の落差は350mあり日本一だが、あの滝の落差は目算でもっとあるでしょ。

 

…ということは、あれが幻のハンノキ滝!

 

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滝への道5

ゴールまであと300mほどだろうか?

まだ称名滝は見えない。

 

遠くに東屋が見えている。

その後ろの巨大な山肌を、ハンノキ滝が左右まっぷたつに分断している。

 

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滝への道6

ズームしてみた。

最下部にはミニチュアのようなサイズの、東屋と水門と橋。

今から僕は、あそこに向かうのだ。

 

あそこから滝を見るには、ほぼ真上を見なければならないんじゃないかな…?

 

そのくらいの高度だ。

ヤベーってことだ。

 

 

ハンノキ滝は、なぜ幻なのか?

 

さて、ここでハンノキ滝の正体をご説明しよう。

 

ハンノキ滝は、通年で出現している滝ではない。

雪解け水の多い、春から初夏くらいまでの期間のみ現れるそうだ。

 

だからこそ「幻」。

だからこそ、落差は500mもあるにも関わらず「日本一」の称号を得ることができずに、その座を落差350mの称名滝に譲ってしまっている。

 

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幻の共演1

ちなみに、ハンノキ滝も幻だが、もっとレアなヤツがある。

 

それが「ソーメン滝」だ。

 

写真の右側に映っている滝がそれである。

これは雪解けシーズンかつメッチャ雨が降った直後だけに現れる、幻の中の幻、都市伝説クラスの滝だ。

 

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幻の共演2

幻の巨大滝の共演。

圧倒的スケールで奏でる自然の神秘。

 

夏だから半袖で来たのにクソ寒いのだが、この時期に来れたことに感謝しか感じない。

 

 

称名滝&ハンノキ滝

 

先ほど、遠くに橋が見えている旨を書いた。

今、その橋のたもとまでやってきた。

 

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2つの巨大滝1

すぐ脇を雪渓が掠めている。すごく寒い。

あと、滝の飛沫が降り注いでいて必要以上にクールダウンしてくれている。

 

「称名川」という、称名滝・ハンノキ滝の滝つぼから流れてきたこの川を、橋で渡る。

これで今までとは大きく視界が変化する。

 

ここで初めて称名滝が目の前に現れる!

 

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2つの巨大滝2

左が称名滝、右がハンノキ滝である。

滝つぼは雪のバリケードで見えない。

 

でもすごい迫力。

ドドドドドドドドドド…!!!

って、すっごい音がしている。

 

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2つの巨大滝3

雪の厚さは、いったい何mあるのだろうか…?

その重厚な雪に穴を開け、川が流れ出てきている。

 

さぁ、もう少し右側に歩みを進めよう。

 

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2つの巨大滝4

右のハンノキ滝、ほぼ全体が見えている。

これが落差500mだ。

圧巻だ。流れ落ちる水の気持ちを想像すると、絶望しか出てこない。

 

そして左が称名滝

山肌から徐々に全容を現し始めた。

通年流れ落ちている滝というだけあって、ハンノキ滝よりずっと水量がある。

 

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2つの巨大滝5

雪のトンネルの正面までやってきた。

大きさ的に小型船舶くらいは通れる規模のトンネルだ。

なにもかも、スケールがケタ違いなのだ。

 

遊歩道はここから上り階段になる。

もう少し登り、さらに滝に接近したところで終点だ。

 

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2つの巨大滝6

称名滝がずいぶん姿を見せてきた。

ハンノキ滝とで「V」の字を描いている。

まさにヴィクトリーだ。

 

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2つの巨大滝7

さらに進むと、ハンノキ滝はやや岩肌に隠れてきたが、かわりに称名滝が全容を現す。

ではここからはちょっと称名滝にフォーカスを当ててご紹介したい。

 

称名滝は落差350m。

ハンノキ滝より150m短い。

 

ハンノキ滝は、飛びぬけた実力はあるけども肝心なところで故障したためにスタメンに選ばれなかった、みたいなスポーツマンガの設定でありそうなキャラだ。

だから称名滝が1番。

 

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2つの巨大滝8

ここから眺望する称名滝は、立山連峰を源流とする称名川の流れが溶結凝灰岩の大地を侵食してできた落差日本一の大瀑布です。

 

4段に折れながら流れ落ちる水は通常毎秒0.5トン~2トン、融雪機や豪雨時などの水量の多い時には毎秒100トンにも達します。

また、その時には、隣に落差500mのハンノキ滝が現れます。

 

滝壺は直径60m、水深6mで、滝壺近くでの爆音は迫力があります。

 

称名滝は、昭和48年に「国指定名勝天然記念物」、平成2年「日本の滝100選」に選定されました。

 

…なるほど。

通常毎秒0.5トン~2トンのところ、融雪機に100トンってとんでもないボリュームアップだな。

そして、今僕は100トンの迫力を目の当たりにしている。

 

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2つの巨大滝9

遊歩道の突き当りで、2つの巨大滝を見上げる。

 

わー、すごいなー。

でも飛沫でメガネがビショビショで、よく見えなくなってきたぞー。

 

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2つの巨大滝10

4段に分かれて流れ落ちる、巨大な称名滝

 

冒頭で記載の通り、和歌山県の超巨大滝である「那智の滝」の倍以上あるのだ。

天から降り注いでいる。

 

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2つの巨大滝11

他の観光客に記念撮影を頼まれたので、曇ったメガネで快くOKし、そしてUターンして駐車場へと戻る。

 

しばらく歩いたところで、最後に振り返った。

再び姿を見せたハンノキ滝。

称名滝よりさらなる高み、雲の中から流れ落ちるその滝。

 

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2つの巨大滝12

僕は再び、この滝を見ることがあるのだろうか?

願わくば、またいずれ…!!

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

 

No:061【北海道】北海道最南端の「白神岬」!!津軽半島を眺める穴場の臨海スポットだ!

北海道の最南端。

 

「白神岬」だ。

まだ日本1周目をしていた頃の僕にとっては興味の範疇にもならず、本土四島の東西南北端を巡ろうと考えた際に、ようやくその存在を知った岬であった。

 

…確かに知名度は低いかもしれない。

ついでに地味かもしれない。

 

いや。だからこそ、知る楽しみがあるかもしれない!

 

 

入口を見逃すな!

 

北海道・本州・四国・九州。

日本の本土と言われるこの4つの大きな島、それぞれの東西南北端がある。

詳しくは、僕の書いた以下の【特集】をご参照いただきたい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

最北の島、北海道。

その中での最南端。

 

なんとなく、北海道って本州の完全に北側に位置しているようなイメージがある。

しかし、実態は違う。

 

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上の地図でも確認できるが、北海道最南端の白神岬は、本州最北端の「大間崎」よりも南なのだ。具体的には13㎞も南。

そして津軽半島最北端の「竜飛崎」までの距離は19㎞。

 

つまり白神岬は、極めて本州に近い北海道。

 

さぁ、どんなところだろうか?

それを確かめるため、僕は車を走らせている。 

 

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アプローチ1

片側は海。そしてもう片側は切り立った崖である。

このエリアは、海沿いギリギリまで山が迫り出しているようだ。

 

従い、海際ギリギリを走る道はあっても、内陸部に入る道はほとんど存在しない。

そして、海沿いの道であっても、ご覧の通り展望はあまり開けず、片方から常に山のプレッシャーを感じるドライブとなるのだ。

 

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アプローチ2

それはすなわち、シーサイドであってもトンネルが多いということ。

 

函館方面の東側から白神岬にアプローチする際、ラスト4㎞弱で実に7本ほどのトンネルが登場する。

ぶっちゃけ、空の見える道よりもトンネルの方が長いのではないかと思われるほどの区間だ。

 

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アプローチ3

覆道もある。

厳密にはトンネルとは言わないのかもしれないが、これもトンネルにカウントする。

 

上の写真をご覧の通り、山が陸地の全てを飲みこんでいる。

道路を通す場所なんてない。

 

だからギリギリのところに覆道を作っている。

日本の土木技術の叡智を目の当たりにできた気分である。

 

白神岬が出現するのは、こんなタイミングだ。

 

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白神岬があるのは、こんな立地である。

 

あ、左端の「白神岬展望広場」は北海道最南端ではないので、そこだけ注意してほしい。

展望広場の方は駐車場が広いしトイレもあるしで、一般観光客だったら正解だ。

しかし、突端マニアとしては不正解なのだ。

 

白神岬は、覆道の裏側という、とんでもないところにある。

 

 

左側に見えているのが、白神岬だ。

東側から来るのであれば、国道228号から覆道に吸い込まれると思いきや…、左手の空き地に滑り込む必要がある。

 

まぁ東側から来るのであれば、手前から空き地が見えているのでハンドルを切りやすい。

ちょっと難易度高めなのは、西からくる場合のルートだ。

 

 

右手に見えているのが、白神岬の空き地だ。

覆道を出た瞬間、右側に入り込む必要がある。

 

ちなみに事前に案内標識などは一切ない。

空き地そのものの入口にやや小さめの白神岬の看板があるだけだ。

 

ちょうど覆道を出て、外界の明るさで目がくらんで見にくいだろうし、目に入ったところで車はみんなハイスピードで走っているので、ブレーキを踏んでハンドルを右に切るのは危ないかもしれない。

 

そんな初見殺しな立地にあるのが、北海道最南端なのである。

 

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北海道最南端の碑

 

近くにトイレ付きの白神岬展望広場があるためか、若干扱いが低そうに思えるこの岬。

確かに設備は全然充実していないが、旅人や突端マニアとして喜ばしい要素はそろっているので、ご紹介したい。

 

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最南端の碑1

まずは、空き地から国道を振り返ろう。

背後には迫りくる山肌と、国道を疾走する車、そして覆道が写っている。

 

手前側が全部空き地。

駐車場だろうけど、駐車線も何もなく、ノッペリしたアスファルトと広がっているのみだ。フリーダムな駐車が実現可能である。

 

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最南端の碑2


次に、空き地から東側を見てみよう。

ノッペリゾーンが続いている。

 

ところでち中央に看板が見えるだろうか?

画質が悪くて恐縮だが、拡大してみよう。

 

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最南端の碑3

これが、前述の白神岬を表す唯一の看板である。

事前に標識は無い。

 

今はカーナビであらかじめ設定しておくこともできるが、そうでない時代においてはなかなか唐突の出現かつ控えめな看板で、見つけづらい旨をご想像いただけるとありがたい。

 

さて、本題だ。

 

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最南端の碑4

空き地の海側一番奥に、「」のかたちをした石碑がある。

北海道最南端の石碑だ。

 

これがあるのと無いとで、岬の価値が大きく変わる。

こんな何もない立地に、石碑を設置してくれてありがとうって、心から感謝を述べたい気持ち。

 

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最南端の碑5

フリーダムな敷地なので、こうやって愛車との撮影も容易だ。

後ろはすぐ海なので、景観的にも絵になる。

 

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最南端の碑6

ついでだ。

当ブログで今のところ登場頻度の少ない、日本3周目の後半戦を担当したbBも掲載してやろうか。

 

次に、碑の内容に着目したい。

 

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最南端の碑7

『海底下の 列車のひびき 聞こえ来て 白神岬は さざ波の列』という句が刻まれている。

これが何を指すのか。

それは、青函トンネルだ。
 

 

岬からは少々外れはするが、すぐ近くを青函トンネルが走っている。

この岬の地下、そして津軽海峡の海底を列車が通り、反対側の津軽半島まで行くのだ。

 

ちなみに、北海道側・本州側それぞれに青函トンネルの入口があり、見学することができる。

これはまた、機会があったらご紹介したい。

 

とりあえず、そういう立地であることを石碑に刻んであるのだ。

 

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最南端の碑8

H」の両側の柱には、 横に隠し包丁みたいな切れ込みがたくさん入っている。

このデザイン、謎だ。

 

ちなみに僕が小学生のころ、消しゴムを定規でゴシゴシ削ってこんな感じに傷だらけの消しゴムを作ったりした。

もちろん母親に怒られる。

摩擦で熱くなった定規は、友達の素肌に押し当てて悲鳴を聞いたものだ。

いや、申し訳ない、余談であった。

 

H」の左側には、もう1つ小さめの石碑がある。

 

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最南端の碑9

少し見づらいが、「北海道最南端」と書かれている。

 

感無量だ。

今僕は、広い広い北海道の一番南にいる。

 

すごく本州に近いのだ。

仮に電車で来た場合は、北海道の中で最初の接点となる地なのだ。

 

 

最南端からの景観と灯台

 

さて、そんな立地の白神岬であるが、ここから本州は見えるだろうか?

冒頭でも書いたが、津軽半島最北端の竜飛崎までの距離は19㎞。なのだ。

 

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海と灯台1

うむ、ボンヤリと対岸に陸地が見えている。

あれが青森県津軽半島だ。

 

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海と灯台2

 

あまりにボンヤリしてしまっていて面白みがないので、手前の岩礁も入れてみた。

岩礁の近くにいる小舟は、岩海苔でも採取しているのだろうか?

 

遠くの方の景観は、天国からおじいちゃんが手招きしてそうな感じになっている。

 

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海と灯台3

なんだったら、大型船が空に浮いてしまっている。

おじいちゃんのサイコキネシスで浮き上がってしまったのだろうか?

 

北海道と本州の間って、そういう磁場が働いているのだろう。

 

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海と灯台4

快晴の日の写真もあるので、もってきた。

しかし本州がどこにあるのかわからない…。

 

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海と灯台5

かろうじて見えなくもないが、この天気に反して相当に見づらかった。

 

僕は白神岬から竜飛崎がクッキリ見えた経験が1度もない。

逆に竜飛崎から白神岬方面は、いつもバッチリよく見えている。

曇ってきても結構北海道が見える。

 

立地の関係なのか、それとも運なのかよくわからないが、僕はそんな人生を歩んでいるのだ。

 

 

次に灯台をご紹介したい。

 

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海と灯台6

先ほど手描きの地図でも岬と灯台との位置関係を記したが、覆道を挟んだ先に灯台がある。

その距離は200mほどであるが、覆道内を徒歩で歩くのはあまりオススメできない。

 

かといって、灯台に駐車場があるかと言えば、上記の通り貧弱だ。

車道の反対側に一瞬停車して、灯台の写真を撮るのが一番スマートかもしれない…。

 

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海と灯台7

しかもこの灯台、敷地内は厳重に管理されていて立入禁止。

わざわざ頑張って訪問や撮影しても、コストパフォーマンスが低い可能性がある。

 

だから僕も、これ以上に接近したことは無い。

 

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海と灯台8

しかし見上げれば、紅白のかわいいデザインの灯台

頭頂部が尖っているのも、またオシャレ。

 

通りすがりに余裕があれば、是非見てみてほしいと思う。

 

 

少々ローカルかもしれないが、 白神岬は北海道と本州を繋げる重要な地。

海峡の向こうに霞む本州を見ながら、再び僕は走り出す。

 

北の大地は、ここから始まる。全てがここより北にある。

それを攻略していく行程に、胸の高まりが収まらない。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 白神岬
  • 住所: 北海道松前郡松前町白神 
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし

 

 

No:060【神奈川県】海上に残るトロッコレールの残骸!!波に飲まれて消滅するは間近だ!

海の上に敷かれた線路。

そこを列車が走る…。

なんという幻想的な風景であろう。

 

しかし、なかなか現実には実現は難しいようだ。

フィクションであれば、「千と千尋の神隠し」・「ONE PIECE」・「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」などが思いついたが、やっぱりアレはフィクションだからこそできる演出なのだろう。

 

…と思っていた。

 

近しいものが現実に存在していたらしい。

だけども、それは間もなくなくなりそうだ。

 

ならば、すぐに見に行かねばならない!

それがノンフィクションであるうちに!!

 

 

曇天の久留和漁港

 

秋も半ばに入るというのに、南関東特有の残暑がまだ存在感をアピールしてくる。

曇天であっても、それはネットリと絡みついてくる。

 

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久留和漁港1

ここは、三浦半島の海沿いを走る国道。

そこを反れ、擦れ違い困難な狭路を下っていく。

道の行き止まりが、漁港である。

 

その漁港の名は、「久留和(くるわ)漁港」。

2020年は、コロナウイルス感染の抑制のため、漁港内の駐車場に一般人が駐車することはできない。

ロープが張られていたのだ。

 

仕方がない。

ちょっと離れたところに愛車のパオを駐車し、テクテク歩いて戻ってきた。

 

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久留和漁港2

あるとあらゆるモチベーションを吸い取ってしまうかのような、灰色の空だ。

漁港には数隻の小船が係留され、波の動きに合わせて静かに上下していた。

 

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久留和漁港3

遠くには湘南のシンボルと言っても過言ではない、「江の島」の灯台が見えた。

おそらく10㎞も離れていないのだろうが、あっちとこっちで随分と世界観が違うようにも感じた。

 

さらに江の島の背後には、きっと晴れれば雄大な「富士山」が見えるのであろう。

しかし、今回の企画のコンセプト的に、富士山は似合わないと感じた。

うん、見えなくって結構。

 

…もちろん、強がりである。

 

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久留和漁港4

漁港を奥へと歩いていく。

年季の入った小屋が見えた。

 

ペンキがほとんど剥げ落ちているが、「権兵衛丸」の上に微かに「船宿」の文字が見えた。

権兵衛丸(ごんべえまる)。見事なまでのシワシワネーム。

カッコイイな、と1人呟く。

 

さて、右奥に防波堤がチラリと見えていることにお気付きだろうか?

ここを華麗に乗り越える。

 

するとですね…。

 

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廃レール1

 

廃レール登場!! 

 

 

アドレナリンが「ブシュッ!!」と涌き出たのを感じた。

 

※ もしあなたが現地を訪れる場合、ここから先は自己責任でお願いします。

当ブログは一切の責任を取りません。

 

 

廃トロッコレールとの対面

 

防波堤の向こうはテトラポット

さらにその向こうに、鉄道のレールの残骸のようなものが続いていた…。

 

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廃レール2

 

 

…海に向かって。

 

 

いや、正確には海に向かっているわけではないか。

海の上を通り、海上のコンクリートの人口島に向かっている。

 

 

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廃レール3

Web上で調べたところ、あの人工島はかつては生け簀だったそうだ。

 

魚だかエビだかアワビだか。

それをあらかじめ捕獲してあの中で管理しておき、必要に応じて出荷できるようにしていたみたいだ。

 

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廃レール4

人工島には、レールの最後の残存部分が、かろうじて掴まっている。

その先にもなんらかの残骸があるが、もう原型を留めておらず、同時の面影は想像できない。

 

そして人工島は、今は野鳥の楽園だ。

 

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廃レール5

現在残っているのは、4区画分だ。

海上に取り残された3区画に、前述のコンクリート島に接続された最後の1区画。

 

しかし、壮絶なまでに朽ちているレール。

おすもうさんが張り手をしただけで倒壊しそう。

 

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廃レール6

少し角度を変えて撮影してみた。

かわいそうなくらいにヒョロヒョロなレールだ。

 

使用当時はどんな状態だったのだろうか?

まさか電車が上を通れるような強度ではあるまい。レール幅も狭いし。

 

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廃レール7

どうやら人力トロッコによって、生け簀の中の魚介類を運搬していたようだ。

では、トロッコを動かす人はどこを歩いていた??

…たぶん、レールの下に木の板でもあったのだろう。

 

それは波風の浸食が激しかったのか、それともレールが引退したときに意図的に撤去したのか…。

どのみち、現在は全く存在していない。

 

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廃レール8

サビっぷりも尋常ではない。

そりゃそうだ。

 

ここは潮風の影響をダイレクトに受けるし、波の高い日にはレール自体が波に飲み込まれる。

圧倒的スピードで朽ちていっているのだろう。

 

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廃レール9

では、トロッコがいつできて、いつ廃止されたのか…。

 

ここは僕の敬愛する 「山さ行がねば」の「ヨッキれん氏」のレポートに頼らざるを得ないだろう…。

 

yamaiga.com

 

コンクリートの人工島までザバザバ海を渡ったり、漁港の人に聞き込みまでしたヨッキさんのレポートによれば、この生け簀が使用されていたのは1978年から1988年ごろまでの、わずか10年ほどだったそうだ。

 

30年間でここまでボロボロになったのか…。

Web等でこの場所を検索すると、年を追うごとに崩壊が顕著にわかる。

 

特にここ5年ほどの劣化っぷりはハンパない。

2014年時点ではちゃんとレールはこっちからあっちまで繋がっていたのに、2020年現在ではボロッボロよ。

 

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廃レール10

どうだ、この消滅直前の最期の雄姿は。

大いなる自然に削り取られてできた、芸術作品であろう。

 

見るのであれば、本当に急がねばならないだろう。

来年の今は、もう支柱しか残っていないかもしれないぞ。

 

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廃レール11

 

テトラポットの上で

 

テトラポットを、波打ち際ギリギリまで下りてみよう。

油断すると海に落ちるし、波がかかって愛用の本革のバッグが濡れてしまうが、気をつければ大丈夫、たぶん。

 

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廃レール12

テトラポットの上には、もう残骸としか呼べないようなレールが落ちていた。

かつてはキチンと防波堤の上まで繋がっていたのだろう。

 

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廃レール13

まだボルトがしっかりと残っているのが、やけに生々しく感じた。

 

頑丈だったはずのレールは酸化して赤茶けており、表面が剥がれつつある。

さながら枯れ木のようだな、と思った。

 

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廃レール14

その老木のような鉄柱にそっと触れてみた。

僕がこのレールにとどめを刺すわけにはいかないし、僕もケガをするわけにはいかないから、あくまでそっとだ。

 

ガサガサになったその鉄柱から、在りし日の記憶を少しでも感じられたかな。

お疲れ様、トロッコレール。

 

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廃レール15

足元を見ると、無残に転がって波に洗われているパーツもある。

かわいそう。

 

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廃レール16

これは、完全に支柱しか残っていない状態。

支柱はしっかりしているので、こうやって最後まで残っている。

…とはいえ、全力で蹴れば折れてしまいそうな気配もするが。 

 

鉄って、最期はこんなふうになっちゃうんだな…。

 

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廃レール17

いよいよ、レールが目線よりも上になった。

立ち並ぶ支柱。でも数が足りない。一部は大きく傾いている。

波の力の強さを思い知る。

 

もう足元まで波が来ているので、カメラを低い位置に構える必要があるが、レールの裏側を撮影できそうだ。

 

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廃レール18

 

 

天空を走るレール。 

 

 

今まで鉄道の線路を見上げたことはあるが、こんなにもスッカスカで空が良く見えた体験は初めてだ。

まさに空を列車が走る様を、想像できるのではなかろうか。

 

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廃レール19

ノンフィクションが限りなくフィクションに近づいた図である。

 

願わくば、ここからレールを走るトロッコを見上げたかった。

それは適わぬ夢である。

 

僕の想像の中で、ここにトロッコを走らせようではないか。


 

ドンヨリと曇った三浦半島の小さな漁港。

しかし、僕はそこに束の間の夢を見た。

30年前の夢を。

 

もう間もなく消え失せる線路。

最後に振り返り、そして僕は再び防波堤を飛び越えて漁港に戻る。

 

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 久留和漁港の廃トロッコレール
  • 住所: 神奈川県横須賀市秋谷
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり(ただし2020年現在はコロナウイルス感染抑制のため、開放されていない)
  • 時間: 特になし

 

No:059【青森県】超レアな宿泊施設「客舎」とは?自炊&外湯のスタイルを体験してみた!

最初に断っておく。

これは、僕が宿に1人泊まり、ゴロゴロして酒飲んで、ご飯作って食べて、そして温泉に入るだけの物語である。

それ以上でも、以下でもない。

 

しかし、それが最高だったのだ。

「客舎(かくしゃ)」と呼ばれる宿泊施設に泊まったこともそうだし、全てが凍てつくような真冬だったのも、味わい深さの調味料となってくれた。

さらに、1人旅であったことで侘しさもプラスされた。

 

総じてかなりレアな体験ができたので、ぜひ「客舎で過ごすとはどういうことか」を知っていただきたく、執筆をする。

 

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宿泊したのは、写真右手の建物だ

 

【世界】雪深く、レトロな温泉街

 

訪れたのは、黒石市の「温湯(ぬるゆ)温泉」。

雑な表現をするなら、青森市のちょっと南くらいである。

 

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温湯温泉街1

2月上旬。1年で一番寒いであろう時期を選んだ。

季節と温泉の相性がバツグンであると、自己解釈したためだ。

 

とりあえず、スタッドレスタイヤなのに道路滑る。

地元の方は平気な顔で運転しているが、僕は恐怖でハンドルを握る手もガッチガチだ。

 

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温湯温泉街2

ダメージの蓄積された温泉街のゲート。

旅情がかき立てられ、胸が躍る。

 

さて、時系列的にはここで宿にチェックインをしてから、改めて温泉街を散歩することとなる。

しかしこの記事では、温泉街のご紹介を先にまとめて実施しよう。

 

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温湯温泉街3

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温湯温泉街4

「土岐客舎」。昭和テイスト溢れる建物だ。

とりあえず、屋根の雪の厚みがえげつない。

 

冒頭の通り、客舎とは宿泊施設の形態の名前だが、この土岐客舎は宿泊業を取りやめているというウワサも聞いている。

 

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温湯温泉街5

土岐客舎からちょっと進んだところには、「土岐商店」。

正面に見えているのが、その商店だ。お酒やちょっとしたオツマミを売っている。

 

ちなみに、右側に映り込んでしまったのが、僕が今晩宿泊する「後藤客舎」だ。

 

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温湯温泉街6

右側は、「白秦商店」。

屋根の部分に「精米・製材」と書いてある。

少なくともこのときは、お店はクローズしていた。

 

この商店の左上部分が「たまんねー!」って思ったので、近づいてズームしよう。

 

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温湯温泉街7

モナリザとか飾りたくなるような重厚な額縁みたいなものが張り付いている。

本来は店名だとかを入れるものだろう。

 

その横の「ハウスカレー」がかわいすぎて身もだえする。

願わくば、カレーの写真を隣の額縁に入れてあげたい。

 

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温湯温泉街8

その商店の左隣に映っている建物に近づき、見上げてみた。

 

屋根の上の雪。

白くて丸みがある一見ゆる系のシルエットだが、落下の際の殺傷能力は高かろう。

姿かたちだけで相手を判断できない、という教訓となりかねない。

 

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温湯温泉街9

「盛萬客舎」。ステンレスをオシャレに着こなす建物だ。

 

2階右側に「盛萬」と書かれた石板が張り付いている。ここだけギリシャっぽくてかっこいい。

さっきのハウスカレー商店も、こんな感じで店名が入るのが本来だったのだろうか。

 

実は、ここは2018年くらいに営業を辞めてしまったらしい。

こうしてひっそり、かつての文化は消えてゆく。

 

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温湯温泉街10

「飯塚旅館」。外観だけなら、この温泉街の中で一番僕好みだ。

この温泉街のあらゆる歴史を知っていそうな、重厚な木造の建物。

 

ここは昔は「飯塚客舎」という名前だったそうだ。

業態を少し変え、今は旅館になっている。

 

さて、客舎の定義をまだご説明してないのがちょっと苦しくなってきたが、もう少しだけご辛抱いただきたい。

 

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温湯温泉街11

「鶴の名湯」。温湯温泉の共同浴場だ。 

ここなしで温湯温泉は語れない。

2001年にリニューアルされているので、周囲の建物に比べるとピカピカだ。

 

写真の一番左に、軒だけ映っていて見切れている建物がある。

少し構図を左に向けてみよう。

 

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温湯温泉12

後藤客舎。僕の宿泊する客舎だ。

目の前がすぐ鶴の名湯。

 

さて、客舎に戻ろう。寒かった。

僕も宮城県程度の寒さには慣れていたが、ここは別格だった。

そして散歩中もツルツルとずっと滑っていた。なんだこのアイスワールド。

 

以上、なんだかワチャワチャした温泉街紹介となってしまったが、次項でいろいろと、この温泉街のカラクリをご説明したい。

 

 

【文化】客舎のある、魅惑的な暮らし

 

客舎とは、青森県にかつて多く見られた宿泊施設である。

特徴は以下の通りだという。

 

  • 内湯がない 
  • でも温泉が近くにある
  • 食事が出ない
  • でも自炊施設がある

 

例外はあるのかもしれないが、こんなところだ。

 

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後藤客舎1

僕の宿泊する後藤客舎は、上記の条件を全て満たす、昔ながらの客舎の最後の生き残りだと聞いている。

だからこそ、ここに宿泊したかったのだ。

 

しかし、なんでこんな宿泊形態なのだろう。

それは、「湯治客が長期間安価で過ごせる温泉街造り」を突き詰めた結果である。

 

宿に内湯が無ければ、それだけ維持管理費が浮く。つまり宿泊料金を抑えられる。

お風呂は、共同浴場に行けばよい。

 

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僕の部屋から共同浴場まで、ダッシュで5秒だ

宿にて食事を出さないのも、同じく宿側のもろもろの経費を抑えるためだ。

 

その代わり、宿泊者は宿の自炊スペースで自炊をすればよい。旅館の豪勢な食事よりもずっと安く済む。

 

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自炊場には基本的な調理器具も食器類もある

 

さてさて、これを踏まえて、前項でご紹介した温泉街の立地を今一度復習したい。

戦略的に練りつくされた街並みが浮かび上がってくると思う。

 

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温湯温泉街MAP

鶴の名湯を取り囲むように宿泊施設。

まぁ今でこそ旅館・民宿・ホテルなどがあるが、かつては客舎が多くを占めていたそうだ。

 

そして、客舎で長期間湯治をする人用に、商店がある。

ここで酒や食材、日用品を売る。

 

さらには床屋・薬屋・歯医者・整骨院…。

生活に必要な施設は周囲に全て揃っていたという。

そして、湯治客は客舎内で交流して一緒に料理して晩酌したり、共に山菜とかを取りに山に分け入ったり…。

 

温泉と湯治客を中心とした、1つのコロニーが形成されていたようだ。

 

しかし、21世紀にもなるとそんな文化はほぼ消滅している。

自炊湯治をする人もあまり見かけなくなったし。

客舎は閉業したり、業務形態を旅館に変えたりしているそうだ。食事だけ希望者に提供したりしているところもある。

 

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後藤客舎2

今一度言おう。

この後藤客舎のみが、旧来の宿泊のみのスタイルを貫いている。

 

そんな後藤客舎がなくなってしまったら…。

オーナーさんが引退したり、方針が変わってしまったら…。

そう考えると、いてもたってもいられない。

 

今のうちに生粋の客舎を体験しておかねばならないのだ。

きっと今回の旅は、我が人生においての貴重な財産となるだろう。

 

 

【建物】文化遺産レベルの客舎を見よ

 

前項の最後でちょっとかっこいいセリフを吐いたが、基本ゴロゴロしたいだけだ。

その怠惰なライフスタイルを後押ししてくれる後藤客舎の詳細を、ご紹介したい。

 

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後藤客舎3

後藤客舎は古い建物だ。

80代くらいであろうオーナーのおばあちゃんに、「築何年くらいなんですか?」って聞いてみたが、答えは「わからない」だった。

 

Webでも調べてみたが、一律「わからない」しか出てなかった。

しかし、どうやら江戸末期から明治初期くらいの建造物らしい。

明治元年だとすると、1868年か?

150年以上も前の建物!?文化遺産レベルだ。

 

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後藤客舎4

入口を入って、すぐに左を向いた構図。

土間が続いており、土足のままズカズカと入っていけるスタイル。

 

あと、建物は外も中もメッチャ古いが、掃除が行き届いて綺麗だ。

写真右端の飾りつけなどにも、オシャレさを感じる。

 

僕の部屋は、上の写真で見えている一番奥だ。

 

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後藤客舎5

部屋の前から入口方面を振り返る。

右手のガラスの向こうは外である。外には鶴の名湯が見えている。

 

とりあえずこの厳冬期において、今の僕と外とを隔てているのは古いガラス1枚。

建物には断熱材なんて入っていないだろう。

つまり建物内部は外とほぼ同じ温度だ。死ぬほど寒い。

 

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後藤客舎6

食材などいろいろ持ってきているので、車と部屋とを3往復ほどした。

部屋の前に荷物がギッチリ積まれた。

 

これから始まる1泊2日のパラダイスに、ワクワクが止まらない。

 

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駐車場への小道

ちなみに、宿と駐車場は少しだけ離れていて、それを繋ぐのがこの路地だ。

緩い斜面で、雪たっぷり。日陰でやや固まっている。

 

もちろん滑ってやった。

滑ってしまったのではない。滑るに好条件だったので、ここはあえて「滑ってやった」と表現しておきたい。

 

次に、客舎内の間取りをご紹介する。

 

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後藤客舎7

これが壁に貼ってあったのが、プリンタの「濃い」ゲージが振り切れてしまっているような気がする。

この地図からは漆黒の闇しか感じない。

 

なので見やすいように僕が別途書き起こそう。

 

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こんな具合だ。

部屋を出るときには靴を履き、そして外と同じレベルで寒いので上着を着こみ、そしてなるべく短時間で要件を済ませるスタイルで過ごした。

 

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後藤客舎8

上記が、客舎内の奥方面へと続く土間通路だ。

僕の部屋からトイレに行く際にも、この道を使うこととなる。

 

しかし客舎内のトイレは遠いのと、上記の通り通路が暗くって怖いので、僕は鶴の名湯のトイレを使っていた。

そっちのほうが近いし近代的だと判断したからだ。

 

探検していると、1組別のお客さんが来たので「こんにちは」と挨拶をした。

今晩はどうやら宿泊客は2組らしい。

 

 

【生活】客舎でゴロゴロ過ごそう

①ウェルカムドリンク

 

これが、僕に割り当てられた部屋である。

 

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後藤客舎9

広い。10畳あるようだ。

そして、おばあちゃんがあらかじめストーブガンガンつけていてくれていた。

ありがたい。ここでは上着を脱いで過ごせる。

 

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後藤客舎10

翌朝の写真だが、反対方向からの構図だ。

TV・冷蔵庫・ストーブ・電気ポットもあるぞ。 

1人暮らしにはことかかない装備だ。

 

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後藤客舎11

座卓の上にはリンゴが2つ用意されていた。

さすがリンゴ王国青森である。

 

※ 残念ながら僕はリンゴを食べられないのだが、自宅にお土産に持って帰ったところ「非常においしい」と言われた。それは良かった。

 

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後藤客舎12

あと、鶴の名湯の入浴券が1枚置いてあった。

内湯が無いので、宿泊料金にデフォルトで1回分の入浴券がついているのだ。

 

250円で鶴の名湯に入れるのか、安い。

せっかくだから夕方と明日の朝、2回入ろう。

 

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後藤客舎13

とりあえず、まずはお酒だ。

自分で用意をしたウェルカムドリンクだ。

 

温湯温泉には残念ながら大きなスーパーなどは無さそうなので、さきほど黒石市街の業務用スーパーに立ち寄り、食材をいろいろ仕入れておいた。

プレミアムモルツイワシの缶詰で、まずは一杯やろう。

 

10畳もあるのでポジショニングは自由だ。

適当な位置にデレッと座り、読書しながら酒を飲んだ。

ときどきガラス窓から外の雪景色を見たりした。

 

最高だった。

他には何もいらなかった。

 

 

②黄昏時の温泉へ

 

日と外を見ると、ツララごしに濃紺の空が見えた。

そろそろ夜が来る。

※ あえて時計を見ずに過ごしていたが、このとき17:30頃だったらしい。

 

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ブルーアワーに動き出す

この時間帯の空が好きだ。

なので、温泉に行くことにした。

もっとも、温泉まではゆっくり歩いても10秒だが。

 

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鶴の名湯1

共同浴場、鶴の名湯前。

左端ギリギリくらいに、後藤客舎の僕の部屋が写っている。近かった。

 

鶴の名湯の由来は「400年くらい前、鶴が湧き出ているお湯に浸かって傷を癒していた」という伝承から。

正直、全国の温泉で結構ある由来だが、鶴はケガをしやすく温泉で傷の療養をする習性があるのだと思えば、なるほど納得である。

 

入口には鶴のレリーフ。かっこいい。

 

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鶴の名湯2

そしてこけし灯篭。

津軽こけしというジャンルがあるらしく、中でもここ黒石市は力を入れて入るっぽい。

こけし灯篭もその工芸品の1種類なんだとか。

 

灯篭の間接照明が、薄暗い雪景色をボンヤリと照らす。

旅の風情を表すメーターが、一気に振り切れた瞬間である。

 

*-*-*-*-*-*-*

 

共同浴場の中は、すごくピカピカだった。

しかしその分、風情は少々控えめだったと記憶している。

 

露天風呂は無く、内湯のみ。

シャンプーや石鹸などの標準装備もなく、あらかじめそれを見越して持ち込んでおいて正解であった。

 

湯舟は2つあり、42度と44度の設定とのこと。

44度はかなりの攻撃力の高さだな…!

試しに入ってみたが、痺れるような熱さであった。

無理。42度でも、そこまで長時間は入れぬ。

 

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湯上り、涼む

風呂上りは、しばらくこの凍り付いた屋外で涼んだ。

ちょっとおかしい人と思われるかもしれないが、そのくらい温まったのだ。

 

温湯(ぬるゆ)温泉は、その発音から「ぬるい温泉なのかな?」と思われがちだが、実際は逆らしい。

「めっちゃ熱くて温まる」から、温湯というらしいのだ。

それを僕は今、身をもって証明しているところだ。

 

 

③夕食を作り、そして早く寝る

 

夕食を作ろう。キッチンへ行こう。

前述の通り部屋の外は北極みたいな気候なので、あらゆる服をモコモコに着込んだ。

 

結果、普段より2周りくらいデカいシルエットとなった。

誰、オマエって感じになった。

 

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キッチン1

まずは水が出ない。蛇口が凍っていてひねることができない。

こんな蛇口をひねることができるのは、プロレスラーだけだ。

 

でも、なんでも筋肉で解決するのは良くない。

オーナーだって80歳くらいのおばあちゃんだ。力まかせの生活をしているとは考えにくい。

 

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キッチン2

『水導と温泉は もと線をねじってください』

 

ヒントが書かれていた。

元栓をねじるのか…。

 

どこに元栓があるのか探すところから始まり、この時点で既に凍死しそうなんだけど、キッチンの流しとは反対の隅にハンドルを発見。

よくわかんないけどねじった。

 

※ ところで貼り紙記載の「温泉」とは何だったのだろう。謎だ。

 

元栓を開いたのだが、流しの蛇口は凍り付いたまま動かない。

そりゃそうだ。凍った蛇口が解けるハズもない。これは春までこのままだろう。

 

途方に暮れること数分。

 

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キッチン3

「何か」が水道管をゴウンゴウン言いながら駆け上がってくる振動を感じた。

水だッ!

 

そして、水道管を目で追うと、流しの蛇口ではなく、キッチン中央の平台みたいな場所に設置されている蛇口に繋がっているぞ。

なるほどナゾは解けた!

 

平台の蛇口をひねる。

 

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キッチン4

水道管の支柱が一瞬ブルブルッと震えたあと、

ブボボボーーッ!!!
って雑に水が出てきた。

 

服に飛び散ってとても冷たいのだが。

まぁでもファーストミッションクリアだ。


やかんでお湯を沸かそうと、コンロの上に置いてあったやかんを手に取る。

鈍器のような重さと強度であった。

誰かがタップリと残した水が、コッチコチに凍っていたのだ。恐ろしい。

 

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キッチン5

鍋でお湯を沸かし、そして調理開始。

温かい。コンロの火に当たりながら調理をする。

 

実は、本当は鍋料理を作りたかった。

しかしチェックイン前に訪れた業務用スーパーの品ぞろえが偏っていたのか、白菜や味噌などがなかった。

 

とりあえず、ラーメン買った。

青森産イリコだしのラーメンにする。チャーシューの代わりはベーコンだ。

 

完成したら、鍋を自分の部屋に持ち帰る。

部屋のストーブの温かさが身に染みた。

では、レッツ・パーリータイムだ!!

 

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夢のひととき1

あつあつラーメンが、体の中を駆け巡る。

冷たいビールがそれを程よくクールダウンさせる。

 

1人、鄙びた和室でハフハフとラーメンを食う。

シュールかもしれないが、確実に僕は今、客舎をエンジョイしている。

 

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夢のひととき2

もうこれでやることはほぼ無い。

食後にゴロゴロして、読書して、少しTVを見て。

 

ちょっとしてから食器を洗いにキッチンに行くと、同泊の女性と出会った。

「自分は毎年この時期にここに来ているが、同泊の人に出会ったのは初めてだ」と言われた。

この過酷な環境下で宿泊に来る人は、よほど珍しいらしい。

 

僕は「むしろその寒さに青森本来の暮らしがあると思って来た。なんなら今日は快晴だったが、吹雪いてくれてもよかったくらいだ。」と答えた。正直、ちょっと強がった。

 

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夢のひととき3

コーヒーを沸かしてティータイムにした。

 

つくづく自由だ。

 

何者にも縛られていない。

オーナーのおばあちゃんもチェックインのとき以来、存在を感じさせない。

どうやら何かない限り、別棟の母屋にいるらしい。

たまーに、共同浴場に行く人が外を歩く足音が聞こえる以外は、とても静かなのだ。

 

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夢のひととき4

ちょこっと襖を開けて、ガラス戸越しに外を見てみた。

まだ僕がいるのは土間なのだが、酔いが全て吹き飛ぶような冷気が部屋に入っていた。

 

共同浴場にはまだ灯りがついている。

22時まで営業しているらしい。今はまだ21時台だ。

 

そんな時間だが、寝よう。

やることないという理由もあるが、早く寝るということ自体にワクワクを感じている自分がいる。

 

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夢のひととき5

田舎のじいちゃんばあちゃんの家を思い出すような、天井の照明。

全てが最高だ。

 

ニッコリ微笑み、僕は夢の世界に旅立つ。

 

 

④朝風呂に行き、そして朝ごはん

 

5時台に起きたようだ。周囲はまだ真っ暗だ。

震えながらストーブのスイッチを入れ、部屋が温まるまで布団の中でしばらく待機。

 

6時過ぎ、どうにか布団から這い出ることができた。

じゃ、風呂行こう。

 

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朝風呂1

朝のブルーアワー。

キンキンに寒くって、道路もコチコチだが、空気が神聖である。

この時間を狙っていたのだ。

 

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朝風呂2

後藤客舎を振り返る。

右奥に見えているのは盛萬客舎だ。

静かな朝に、佇んでいる。

 

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朝風呂3

鶴の名湯。もうオープンしている。

実はここ、朝の4時オープンなのだ。やたら早い。

 

湯治客のニーズを最大限くみ取った結果なのだろう。ありがたい。

熱いお湯に浸かると、体が溶けていくような心地よさ。

 

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朝風呂4

そして風呂上り。

僕、完全に整った。今日も元気にいこう。

 

ところで、日本海側の気候であるここ津軽地方で、冬の日に2日連続快晴とは珍しいな。日頃の行いに感謝。

 

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ティータイム1

朝に熱い日本茶をすする。どうよ、この詫び錆。

 

視線の先にあるのは、僕の抜け殻だ。

寒くなったら再びあそこにINする所存。

 

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ティータイム2

自分がコーヒー派であったことを思い出し、続けてコーヒータイム。

客舎は自由だ。

 

ひとしきりノンビリしたら、朝食の準備だ。

 

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朝ごはん1

相変わらずキッチンは寒い。フル装備で挑む。

残った食材は、モヤシとベーコンとエノキ。

全部炒める。塩コショウで炒める。

 

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朝ごはん2

本当はもっと凝ったものを作りたかったのだが、それはまたの機会にご紹介したい。

 

もっとも、おいしいものや手の込んだものを作りたいわけではない。

共同キッチンで何かを作り、そしてそれを食べる。

その工程を体験したいのだ。

 

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朝ごはん3

それが何料理なのか形容しがたいものであってもだ。

…うまいよ?何か??

 

食後は読書をした。

ただただ、布団の上に転がって本を読んだ。

平和な時間がゆっくり流れていた。

 

 

【出発】そんな客舎に行ってほしい

 

そろそろチェックアウトの10時である。

荷物をまとめ、母屋のおばあちゃんに挨拶をする。

 

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母屋は雪の中

宿泊料金は3000円であった。

3000円でこんな素敵な体験ができるとは、人生儲けもんである。

ありがたい限り。

 

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寒さでエンジンがなかなかかからない、愛車

 

…客舎。

温泉地の生んだ独特の宿泊形態の施設。

 

古き良き湯治宿の暮らしをかろうじて現代に残す、「体験できる文化遺産

そう感じた。

 

いつまでも残っていてほしい。

たった1泊2日だが、この極寒の地での思い出は忘れない。

 

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以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 後藤客舎
  • 住所: 青森県黒石市温湯字鶴泉23
  • 料金: 素泊まり3000円
  • 駐車場: あり
  • 時間: 要相談

 

No:058【長崎県】日本の本土の最西端!!「神崎鼻」の静かな公園で、最果てを感じよう!

日本本土の最西端。

 

 

人は太陽を追いかけ、そして太陽の沈む西の彼方に夢を抱く。

 

西遊記」では三蔵法師孫悟空も、文字通り西の果ての天竺を目指したし。

「Go West」という歌もあるし。

 

つまりは本土で最後の夕日が拝めるスポットだろうか?

陸で繋がる日本本土の西の最果て。

どんなところか行ってみようじゃないか。

 

 

クネクネ道と集落

 

北海道・本州・四国・九州。

日本の本土と言われるこの4つの大きな島、それぞれの東西南北端がある。

詳しくは、僕の書いた以下の【特集】をご参照いただきたい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

この中でも最も西に位置するのが、今回ご紹介する「神崎鼻(こうざきばな)」である。

 

学校で地理の授業を受けただけでは、きっと耳にすることはないだろう。

しかしね、旅人の地理の授業としては、是非とも知っておくべきスポットだ。

 

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アプローチルートは少々地味かもしれない。

岬にも華々しさはあまりないかもしれない。

 

しかし見ていてくれ。

最西端のモニュメントと日本列島の巨大地図は、必ずやあなたの記憶に刻まれるだろうから。

 

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最西端の集落1

佐世保市の中心地から、海沿いのクネクネ道を北上する。

 

長崎県を地図で見ればおわかりかと思うが、大小無数の島々がとっ散らかっている。

特に佐世保市はバラッバラだ。

そんな海岸線を走るのだから、当然ルートは狭くてクネクネなのだ。

 

泣き言をいうべきではない。

海岸線を、その体で感じ取れているのだから、むしろ喜ぶべきだ。

 

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最西端の集落2

さぁさぁ、いよいよ近づいてきたぞ!

心臓の鼓動も高鳴る。

 

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最西端の集落3

海が近いのになんだか山深い集落。

それが、本土最西端の小佐々町楠泊の集落。

 

あんまり標識は無いけど、なんとなく走っていけば、最先端の神崎鼻方面へと向かうことができる。

少なくとも僕は、毎回そんなアバウトな生き方(行き方)を選択している。

 

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最西端の集落4

集落内の街灯には「日本本土最西端のまち」と書かれ、最西端に立つモニュメントの絵が描かれている。

かわいいぞ。こういうの好きだぞ。

 

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最西端の集落5

最後にちょっとだけ不親切かなって思うのが、ここだ。

本土最西端の漁港。

 

この中に突っ込むルートが正解。

しかし、この写真を行き止まりまで進んではダメだ。

左に入る分岐が見えているだろう。そっちが正解だ。

 

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最西端の集落6

僕が初めてここを訪れた2005年とかはね、立て札もそこまで充分になくって行き止まりまで行ってしまい、「あれあれ??」ってなった。

 

左に曲がれば、10台分ほどの「神崎鼻公園」の、公衆トイレつき駐車場が見えてくる。

 

 

本土最西端のモニュメント

 

公園の駐車場からは、本土最西端のモニュメントまで150mほどだ。

ウキウキしながら歩こう。

 

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神崎鼻公園1

ちなみにだが、最西端のモニュメントに行くルートは1つある。

上記の遊歩道を辿ると、公園内の綺麗な光景を見ながら丘の上に出る。

丘の上には碑があったり日本地図があったりするが、それは後述しよう。

 

僕はかつてより、海側からのルートを好んでいた。

先にそちらのご紹介をさせていただきたい。

 

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神崎鼻公園2

これが海沿いルートだ。

ゴツゴツした磯を見ながら進む、武骨なルートだ。

 

足元ではフナムシが僕の進行に怯えてカサカサと逃げていく。

まさに蜘蛛の子を散らすように。

 

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神崎鼻公園3

いつぞやのゴールデンウィークには、この磯ではたくさんの人が遊んでいた。

小魚とかカニとかいるっぽい。

 

うらやましい光景だ。僕には遊ぶ相手がいない…。たいていは1人だ。

 

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神崎鼻公園4

あ、そんな僕を慰めるためか、1人だけカニがこっちにきてくれた。
ありがとう、カニ

 

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神崎鼻公園5

西の海に目を向けると、いくつかの小島が浮かんでいる。

さらにその向こうに霞んでいるのが、「平戸島」だろう。

 

ここで1つマメ知識だ。

実は九州本土と平戸島は、「平戸大橋」という橋で繋がっている。

島だから"本土"ではないけども、車やバイクで橋を渡ってシームレスに島に行けるのだ。

 

つまり、橋で繋がった地も含めると、まだ西への世界が広がっている。

時間があれば、あなたもそちらにも足を運んでほしい。

平戸島のさらに西の端の集落には、「橋で結ばれた日本最西端のみなとまち」である、「宮ノ浦漁港」があるから。

 

そこを訪れた話は、またいずれ…。

 

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神崎鼻公園6

さて、そうこうするうちに、本土最西端のモニュメントが見えてきた。

モニュメントは、海を見下ろす絶壁の中腹に設置されている。

 

なんとも形容しがたい、はんぺんみたいな白い物体と、球と円で構成されている。

だれか、このモチーフを教えてほしい。

 

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神崎鼻公園7

あぁ、かっこいい。マジかっこいい。

僕は、コイツを見るために遠路はるばるここまで来たのだ。

感動も一塩。

 

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神崎鼻公園8

「日本本土最西端の地」。

 

旅人が見ただけで狂喜乱舞するフレーズが、しっかりと金字で刻印されている。

ありがたい、ありがたい。

もう、1日かけて拝み倒したい。

 

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神崎鼻公園9

磯を見下ろし、そして遠くに平戸島を臨むモニュメント。

 

しかしね、2020年現在はちょっとロケーションが変更されているのだ。

たぶん2013年ごろにリニューアルされた。

 

今回は日本3周目~6周目で立ち寄った、計4回の写真を織り交ぜてご紹介しているが、ここまでのモニュメントは日本3周目・4周目だ。

そして、もうしばらくこの、過去のモニュメントをご紹介させていただきたい。

 

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神崎鼻公園10

かつてのモニュメント。

注目すべくは、僕の立つ"山側"には本土最西端の文字が無いことだ。

 

だから、みんな海側から記念撮影をしている。

上の写真でも、その1つ前の写真でも、海からカメラを構えた人が確認できるだろう。

そういう人たちに場所を譲り、1人寂しい僕は裏側からこうして撮影していたのだ。

なんて思い出だ。

 

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神崎鼻公園11

しかしこうして、見上げるような構図で、青空をバックにモニュメントの撮影ができる。

この構図は結構好きだった。

 

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神崎鼻公園12

真横から見ると、グルグルの昔ながらの蚊取り線香みたいなのが、はんぺんに挟まってしまった旨がよくわかる。そうなってしまった理由は全然わからないけど。

 

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神崎鼻公園13

山側から見たモニュメント。

背景は一面の海。

 

うわー、なんか最果て感がある!それでいて、温かみのある写真だ!

僕はこの写真が好きだ!


…では、次は日本5周目と6周目での写真を掲載しよう。

 

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神崎鼻公園14

なんかガッチリとしたデッキができている!!

「あれ?モニュメントは?」って一瞬不安になったが、バルコニー的な部分からチョコンと頭を覗かせているのが確認でき、安堵した。

 

早速階段を上ってみよう。

以前は岩場をガシガシ登っていたので、階段はラクチンかつ安全だ。

 

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神崎鼻公園15

おぉ、ご立派になられて…。

そんな言葉が思わず口から出てきた。

 

張り出しバルコニーの中央にモニュメントが佇んでいた。

壮麗なお姿だ。

 

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神崎鼻公園16

はい、注目。

山側に『日本本土最西端の地』のプレートが設置されたぞ。

 

後付けで、斜めにカッティングしたオシャレな石がこうやって追加されたのが、Boforeバージョンと対比するとよくわかる。

 

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神崎鼻公園17

斜めから撮影すると、テカり具合の若干の差から、後付けである旨と材質の違いを確認できる。

でも極力元の雰囲気を壊さない、石のプレートと文字のデザインよ。ありがたい。

 

そして、デッキができたことと石のプレートの追加設置により、撮影は海側からではなく、山側からがメインとなる。

 

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神崎鼻公園18

これがその根拠よ。

写真の右端を見てほしい。カメラやスマホを設置するための台座ができている。

 

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神崎鼻公園19

テーマパークや、チャラチャラした観光地だったらともかく、わりとローカルで硬派なイメージのある神崎鼻でこれを早い時期から取り入れたのが意外であった。

なので、「カメラ設置スタンドを撮影する」という、設置者の意図を無視する行動に出てしまった。

 

もちろん、このあと本来の意図でも使わせてもらったが。

 

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神崎鼻公園20

引きでのショット。

以前のようにモニュメントの背面全てを海にするような構図はできなくなった。

だが、これはこれで良いと思う。老若男女に優しい設計になったし。

 

そして、佐世保市の外れに当たるエリアだが、お金をかけて綺麗に整備することができているってことは、喜ばしい話だ。

 

 

公園と日本地図

 

さてさて、モニュメントから階段を上ってきたので、一度話をグンとさかのぼる。

冒頭近くで、「駐車場から遊歩道を歩いて公園内部に行くルートがある」と話した。

モニュメントからの階段を上ると、その道に合流する。

 

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神崎鼻公園21

すごく綺麗に保たれた、芝生の広がる公園だ。

海に向かう斜面が美しい。

 

磯で遊ぶもよし、芝生でゴロンとするもよし。

最高かよ。

 

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神崎鼻公園22

そしてこれ、ちょっと記憶が定かではないが、2010年以前にはなかったと思われる。

『日本本土最西端の地』と書かれた石碑だ。

 

静岡名物の黒はんぺんのようなフォルムである。

さっきからはんぺんはんぺんと連呼して大変恐縮だが、執筆しているタイミングで結構な寒波がやってきて急に冬らしくなったし、だからおでんも数回作ったし、僕ははんぺん大好きなんだからしょうがない。

 

では、ちょっとだけ駐車場方面に戻ろう。

 

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神崎鼻公園23

 

「四極交流広場」。

 

なんというパワーワード

四天王揃い踏みっていうか、サミットというか。

 

四極というのは、以下を指す。

さながら、ヒーロー夢の共演だ。

 

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神崎鼻公園24

四極交流盟約書もある。すごい同盟だ。

そして、市町村のロゴマークがヒーローバッヂみたいだ。

 

きっと最終回当たりで、とんでもないラスボスに立ち向かうために、この4人のヒーローが初めて一堂に会し、闘うのだと思う。

視聴率、爆上げだな、うむ。

 

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神崎鼻公園24

そして、巨大な円形の広場の中に、日本地図。

ここに四極の所在地が描かれている。

 

こういうの、たまらんね。好き好き。

 

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神崎鼻公園25

これまで走ってきた行程、これから訪れたい地。

それらに思いを馳せる。

 

日本って小さいけど、広いよな。

北と南。東と西。

気候も景色も風土も、全然違うのだ。

 

そういういろんな地を走り回れる、この人生に感謝する!

 

 

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神崎鼻公園26


以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
 

 

住所・スポット情報

 

 

No:057【山形県】巨木の聳える超穴場「幻想の森」!!屋久島のような神秘さに癒された!

僕は幽玄な屋久島の森が好きだ。

特に「白谷雲水峡」は何時間過ごしても飽きることがない。

ただ、海の彼方のあの島を再訪するのは、なかなか容易なことではない。

 

…と思っていたが、山形県の某所に屋久島を彷彿とさせるような、巨大な杉の立ち並ぶ森があるという。

 

そのスポットの名は、「幻想の森」。

 

もう、そのネーミングだけで気になる。

コロナウイルスに伴う県越えが世間的にほどほどに許され始めたタイミングで、アプローチしてみた。

 

 

狭路・未舗装・坂道

 

最上川」沿いの国道から、急遽冒険はスタートする。

 

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アプローチ1

それが、この分岐だ。

 

標識を見上げるような構図となってしまったのは、この標識があまりに小さく、そして突然出てくるからだ。まさに通過してしまう寸前であった。

「そろそろだろうなー」とキョロキョロしていたにも関わらず。

 

この標識は、各所で見つけづらいと言われているようだ。

現に僕も、かつてこの国道47号は何度も走行しているが、幻想の森の存在に気付くことはなかったし。

 

 

Googleさんから分岐部分の画像を拝借してきた。

一本道の快走路に、突如この小道である。そりゃわからん。

カーナビでも出てこないし。

 

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アプローチ2

国道を反れて5mでこれだ。

まだ国道は写真の右端に映っているのだが、もう僕の住む世界はワイルド&アドベンチャーになってしまった。

 

地面が舗装されていたのも束の間。

アスファルトはすぐに取り上げられてしまい、あとは延々砂利道だ。

 

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アプローチ3

ゆっくりゴトゴト言わせながら走る。

国道からのルートは、少なくとも2020年現在のGoogleマップやYahoo地図にはない。

 

どんなルートで森へと向かっているのかよくわからないが、分岐はほぼ無いし、わかりづらいところには看板もあったので安心だ。

 

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アプローチ4

梅雨の晴れ間の青空がたまらない。

今が一番、森がいきいきしている季節ではなかろうか?

 

こんな景色を見ながら走っているだけで、震えるほどに感動する。

僕は、本当にドライブが好きなのだな。

 

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アプローチ5

とにかく山を登る。

結構標高、上がったかもしれない。

 

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アプローチ6

木々がハデに伐採されているゾーンもあった。

ここいらで初めての分岐。

 

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アプローチ7

そして、到着。

行き止まりが幻想の森の駐車場だ。車数台分の駐車スペースがある。

 

駐車場までは、国道から10分ちょい。

その間、すれ違った車は1台もいなかった。

(帰りは1台だけすれ違った)

 

では、朝の散歩の開始といこうじゃないか。ワクワク。

 

 

幻想の森を歩く(森の主との出会い)

 

さて、ここまでの道のりで、巨木が乱立しているような雰囲気など全然なかった。

駐車場近辺で、急に木々に囲まれた。

 

この先が、幻想の森なのだろうか?

 

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幻想の世界1

駐車場に説明版がある。

ちょっと内容をご説明しよう。

 

幻想の森

 

最上峡一帯に分布している天然杉は、タコ足状に幹が分かれた多幹型の老杉が多いことが特徴です。

この杉は太平洋側のオモテ杉に対しウラ杉と呼ばれ、地元では地名から山ノ内杉、土湯杉とも呼ばれています。

 

ここ最上峡には樹齢1000年を超えるとも思われる巨大な杉が数多く自生し、太いものは幹周りが15mもあり、枝葉が細いという特徴もあります。

 

オモテ杉の代表として屋久杉が知られますが、ここ最上峡の天然杉林も京都の芦生杉、富山の立山杉、隣県の秋田杉と並び最大規模と言われています。

 

また、ブナと混交し林床にユキツバキを持つ点でも他に類例の少ない群生地です。

 

おぉ、ここで京都の「芦生の森」の名前が出ますか。

かつての冒険を思い出すな、懐かしい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

では、内容をザッと頭に入れて、歩き出そう。

 

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幻想の世界2

歩道は基本平坦。とっても歩きやすい。

普段履きのスニーカーで充分すぎる装備である。

 

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幻想の世界3

この敷き詰められたウッドチップ

お布団のようにフッカフカである。

 

かなり丁寧に手入れをされている森なのだな。

 

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幻想の世界4

巨大な杉に囲まれた。

 

わりと表面ツルツルで綺麗だな。これで樹齢1000年近くいってたりするのだろうか?

スマートに1000年を過ぎしてきたに違いない。

 

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幻想の世界5

陽だまりの広場の中央に、ドーンと特徴的なかたちの杉が鎮座している。

これ、この森の主(ヌシ)だ。主と呼ぼう。

 

Webサイト各所でも、この杉を語らずして幻想の森は語れない、ってくらいに必ず登場している。

 

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幻想の世界6

説明板には『タコ足状に幹が分かれた多幹型の老杉が多い』と書かれていたな。

まさにこれがそうなのであろう。

 

このエリアに自生している天然もの。

植林した杉のようなシュッとした感じはまるでなく、パッと見では杉とはわからないような迫力がある。

 

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幻想の世界7

ちなみに、僕と対比するとこのくらいの大きさだ。

僕、根元の分岐のところすら身長が届いていない。

 この杉がメチャメチャ大きいことがご理解いただけると思う。さすが主だ。

 

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幻想の世界8

主の背面。

もうなんだか、巨大な宇宙生命体のような奇抜なフォルムだ。

ドクンドクンと心臓のように脈を打ち始めそうだ。

 

そう、森は生きている。

 

 

幻想の森を歩く(太古の森を巡る)

 

他にもユニークな杉はたくさんある。

 

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幻想の世界9

例えば、写真中央の杉。

幹に大きな穴が開いている。

 

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幻想の世界10

穴からコンニチワーができる仕様だ。

小さい子供ならば、潜れるかもしれない。

ま、老木だからそういうことは避けたほうがいいとは思うけれども、そういうサイズ。

 

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幻想の世界11

写真左も、タコ足タイプの杉。

ぐんにゃりと分岐している。どういう気持ちになると、あんな分岐を生み出せるのか。

 

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幻想の世界12

接近してみた。この曲線美、たまらんね。

 

オモテ杉とかウラ杉とかは正直初めて聞いたし、違いもよくわからないけど、ウラ杉ステキじゃないか。

屋久島の屋久杉も大好きだけど、こっちも好きだ。

 

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幻想の世界13

個人的には、正面奥に見えているようなツルツルに丸みを帯びた感じの杉が好きだ。

スギっぽくないし、人工物っぽい雰囲気すらするけど。

 

どこかでこんな気を見たことあるなーとデジャブを感じ、必死に記憶の引き出しを開け続けた。

 

もしかしたら、「ディズニーランド」かもしれない。

クリッターカントリー」とか、こんな感じのクネってツルツルの木が多く配置されていなかっただろうか?

 

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幻想の世界14

木は、自由だ。

天然がゆえのフリーダムな成長の軌跡。

そして自由がゆえの、圧倒的な力強さ。

 

人間は、ちっぽけだ。

 

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幻想の世界15

遊歩道から奥の方を覗くと、ギッチリと杉の木が林立している。

 

まるでその枝葉が、炎の揺らめきのようにも見えた。

いや、それは幻想なのだが。

そんな雰囲気を、僕は確かに感じ取ったのだ。

 

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幻想の世界16

木々は暴れ、ウネウネと踊る。

人里離れた森の中に、木々の楽園が存在した。

 

森の中には、他には誰もいなかった。

完全に異世界に迷い込んでしまったような、そんな気持ちになった。

 

日々の仕事の悩み?そんなものはとうに消し飛んだね。

 

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幻想の世界17

ただただ、導かれるままに歩いた。

一歩一歩、足を進めるとともに、自分が森の中に溶けていくような感覚だ。

 

そして…。

 

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幻想の世界18

 

主(ぬし)。

 

 

あれ??

なんで主がまた出てきたの?

僕は一本道をひたすら進んでいただけなのに?

 

…どうやら、遊歩道が緩い円を描いていたようだ。

僕は一周して、また主のもとへと帰ってきた。…たぶん。

 

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幻想の世界19

幻惑の世界にいないよね?

念のため、再度遊歩道を歩いた。

 

実際、サクサク歩けば10分もかからない遊歩道だ。

気持ちのいい朝の散歩なのだから、2周くらいわけもない。

 

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幻想の世界20

注意深く歩けば、遊歩道が湾曲しているのがなんとなく感じ取れる。

さっきの景観を再確認しながら、僕は3度目の主と邂逅した。

 

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幻想の世界21

案内板には『ここ最上峡の天然杉林も(中略)最大規模』と書かれていたので、壮大な遊歩道をイメージしていた。

 

しかし実際のところ、人が立ち入ることのできる部分はそこまで広くはない。

裏を返せばそれだけ、杉の世界が人間に干渉されずに残っているということかもしれない。

 

僕が見れたのは、そのほんの一部。

でも、その一部にて感じたことは、大きかった。

 

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幻想の世界22

見上げると、徐々に高くなってきた太陽。

夏の日差し。

 

いきいきと伸びる若葉。

無限のエネルギーを感じた。

 

そして僕も、この森からエネルギーと癒しをもらうことができた。

 

 

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今日のドライブはまだ始まったばかりだ。

 

梅雨の晴れ間の陽光を浴びながら、また車はゴトゴトと山を下っていく。

ありがとう、幻想の世界。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報 

 

  • 名称: 幻想の森
  • 住所: 山形県最上郡戸沢村古口土湯
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり。ただし数台分。
  • 時間: 特になし

 

No:056【大分県】この芸術的な干潟を見よ!!県内唯一の夕日が海に沈むスポットに感涙!

大分県は、九州の北東部の角地に位置する物件だ。

つまりは、朝日は拝めても西に沈む太陽は非常に見づらい立地である。

 

そんな大分県に、一箇所だけ海に沈む太陽を見れる場があるという。

オンリーワンか!

なんだそのプレミア感は!

 

そのスポットの名は、「真玉海岸」。

「日本夕日百景」 の1つである。

 

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では今回は、昨シーズンである2019年の秋に、僕がそんな夕日を追い求めた話をしたい。

 

 

日没近付く粟嶋神社

 

まずは、真玉海岸の直前に立ち寄った、「粟嶋神社」の話からしたい。

 

大分県の北東部に丸く突き出す国東半島を、反時計回りでドライブした。

終盤は、半島の西海岸から海が見え始める。

 

ちょうど夕日の時間だ。

どこかで日没を眺められることに期待をする。

 

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粟嶋神社1

こうしてやってきたのが、粟嶋神社である。

縁結びの神様として有名なのだそうだ。

 

駐車場付近には、上の写真の通りフニャフニャっとしたオブジェがある。

名前は「結」というらしい。

 

ちょっと斜めから写真を撮り過ぎてわかりづらいかもしれないが、祝儀袋の水引みたいな感じに2本の紐が絡まっているし、正面から見るとハートみたいなかたちとなる。

 

あー、よかった。正面から見なくって。

孤高の一人旅だから、ハートなんて目撃したら、心にそれなりの傷を負うところだった。

 

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粟嶋神社2

17:30の太陽。
秋なのでずいぶんと日没が早まった気配だが、それでもあと30分近くは沈まないだろう。

 

どうしようか。ここで30分待機すべきか、次のスポットに移動すべきか。

 

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粟嶋神社3

背後に立派な展望台があるのを発見。

砦のようだ。

とりあえず、あそこに登ってみよう。

 

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粟嶋神社4

 登った。そして見下ろした。

 

粟嶋神社は「粟嶋公園」とも呼ばれているが、確かに境内とは思えない広大な敷地である。公園というネーミングの方がシックリ来るかもしれない。

 

僕は前回の日本5周目の夜、ここ国東半島に来ている。

国東半島に到着した時点で夜で、そして国道213号から粟嶋神社にに入る道が真っ暗で狭そうでビビり、ここまで来れなかった。

 

こうしてみると、ビビるような道ではなかったように感じられる。

真っ暗な時間帯にここまで来たら、月夜に照らされる海岸でも眺められたのだろうか?

 

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粟嶋神社5

これが、展望台からの夕日である。

 

うん…駐車場から見る光景とあんまり変わらないね。

なんだったら、手前の木立がジャマで海が見えにくく、駐車場からの眺めのほうがオススメかもね…。

駐車場からだったら、きっとステキな日没が見えると思うよ。

 

そして、冒頭でご説明の通り大分県で唯一水平線に沈む夕日が見られるのは真玉海岸」である。

なぜここ粟嶋神社は上記に該当しないのだろう…?

 

  1.  広義ではここから見えるのも真玉海岸。
  2.  しっかり水平線に沈まない。厳密には水平線上に陸がある。(あるいはそういう季節もある)

 

まずは「1」について考えてみよう。

 

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粟嶋神社から真玉海岸までは、4.1㎞だ。

 

決して長い距離ではないが、地図で見ると上記の通り海岸線は起伏に富んでいる。

真ん中にはゴチゴチに人工の「臼野港」もある。

上記3スポットを全部まとめて「真玉海岸」と呼ぶには無理があるように感じられる。

 

 

次に「2」について考えてみよう。

さっきの写真を再掲する。

 

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粟嶋神社6

太陽の近くはあまりの光量であんまり定かではないが、陸地は上記の緑のようになっていると思われる。

 

太陽の真下まで陸地があるように思われる。

このため、水平線に沈む夕日とは認められていないのだろうか…?

 

うわー、厳しい…!!

でもルールはルールだもんな。

「2」の理論が正であるのだろうな、と納得した。

 

 

縞模様を描く芸術的な真玉海岸

 

まだ日没まで時間もありそうだし、どうやら水平線に太陽が沈むわけでもなさそうだし。

僕はこの2つの理由から、海岸線を南下し真玉海岸を目指すこととした。

 

前述の通り距離はわずか4㎞。

車で走るのであれば5分ほどである。楽勝。

 

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真玉海岸1

海岸が見えてきた。

 

なにあれ!!?

 

 

思わず車を停めて撮影したのが上記である。

砂浜がちぎれ飛んで、大変なことになってらっしゃる。

 

ここで僕が即座に連想したのは、熊本県宇土市の「御輿来(おこしき)海岸」である。

 

kumamoto.guide

 

砂浜に描かれる、見事な無数の曲線。そして夕日の名所。

真玉海岸と、とっても似ているよね!?

 

実は御輿来海岸、非常に見てみたかったのだ。

ぶっちゃけますと実は昨日の昼、熊本県の御輿来海岸に行っているのだ。

 

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御輿来海岸

 

さぁ笑え、ゲラゲラ笑え。

 

 

…これが、僕が昨日撮影した御輿来海岸である。

 

シャバシャバだし、なんか海水茶色いし。

絶望してフェンス越しに撮影し、すぐに後にしたのだ。

 

こんな悲しい物語の翌日なのだから、真玉海岸とのこの出会いは感動するよね?

僕は真玉海岸がこんな芸術曲線の海岸だとは知らなかったから、この偶然かつ突然の出会いに、一層の感動をした。

 

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真玉海岸2

海岸の駐車場に車を停めた。

なかなかに混雑していたが、スッと入れるだけの空きがまだあってよかった。

 

周辺には多くの人がカメラを構えている。

…しかしすごいな、この紋様は。

 

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真玉海岸3

干潮によって現れた、複雑な紋様。

 

遠浅であり、かる風や波であらかじめ作られた適度な起伏のある干潟があってこその、この景観なのであろう。

自然の力の偉大さに心、震える。

 

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真玉海岸4

あー、涙が出そうだ。

 

旅路の中で、この夕日ですよ?

知らない土地に1人で、この夕日ですよ?

旅情しか感じない。

 

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真玉海岸5

月に何度かしか見れないであろう、「夕方の干潮」と「快晴」が重なった日。

そのちょうど日没の時間に、何も考えていなかった僕がフラリと出現する。

 

その可能性たるや、極めてゼロに等しいかもしれない。

 

なるほど、だからこそ日本1周目~5周目において、この近辺を走っていたのに存在すら知らなかったのか…。

 

まだまだ日本には知らないことが多い。

僕はまだまだ成長できる。

 

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真玉海岸6

記念撮影している人もいる。

縞々で複雑な海岸線。さながら迷路を辿るようにあそこまで行ったのだろうか?

 

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真玉海岸7

空も干潟も、徐々に赤く染まっていく。

日没後もしばらくは、シャッターチャンスは続きそうだ。

 

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真玉海岸8

まだ日没までは少しだけ時間がある。

 

しかし僕は、それを待たずにこの海岸を出発することにした。

ゴメン、真玉海岸、日没まで待機しなくって。

 

でも、僕には目論見があるのだ。

この先にはもう1つ、夕日・夕焼けが似合うスポットがある。

暗くなるまでに、そのスポットに到着したいのだ。

 

そのスポットは、豊後高田の「昭和の町」

僕のお気に入りスポット。

その話は、また機会があったら語りたい。

 

 

…ところで!

このまま綺麗に執筆を終わらせようかとも思ったが、1つだけ見逃せないことがある。

 

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真玉海岸9

 

…水平線に太陽、沈まなくね??

 

 

これにより、前述の推測もなんだか成り立たなくなってしまったような気がするが、正直僕は細かいことは気にしない。O型だし。

 

少なくとも、大分県で水平線沈む太陽を見れるのは、このエリアだけなのだ。

そして、粟嶋神社も真玉海岸も、それぞれ違った魅力がある。

 

この2つに一度に出会えたこの旅に、心からの感謝をしたい。

満たされた気持ちで、僕は次の昭和の町を目指す。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 真玉海岸
  • 住所: 大分県豊後高田市臼野5
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし

 

No:055【徳島県】マニアック&エキサイティング!四国本土最東端「蒲生田岬」を攻略せよ!

四国本土の最東端。

 

そこは「蒲生田(かもだ)岬」という。

 

正直、なかなかにマニアックな岬だ。

擦れ違い困難なクネクネ道を延々に攻略し、ようやく辿り着く四国最東端の地。

 

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今でこそ観光客を意識した碑やモニュメントが置かれ、道路状況もずいぶん良くなった。

しかし一昔前まではそれらもなく、ただただ突端マニアの試練の地として、旅人たちの前に立ちはだかっていた。

 

今回は、過去の思い出と共に蒲生田岬攻略戦を振り返りたい。

 

 

17kmの狭路を進め

 

北海道・本州・四国・九州。

日本の本土と言われるこの4つの大きな島、それぞれの東西南北端がある。

詳しくは、僕の書いた以下の【特集】をご参照いただきたい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

この16岬の中で、四天王と呼んでもいいんじゃないかという岬が4つある。

「トドヶ崎」・蒲生田岬・「佐田岬」・「鶴御崎」だ。

 

うん、蒲生田岬も四天王にエントリーしている。

 

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選定基準は、この岬1つを目指すだけで(場合によっては)半日くらいを要するということ。

厳密に言えばそれぞれの岬の近所には他の景勝地もあるのだが、それでも上記岬の付属的な位置づけだ。

※僕個人の見解なので、異論ある人もいるでしょうけど、そこはご理解いただきたい。

 

確かに岬は魅力的だ。

しかし岬を往復し、また同じ地点に帰ってこないと旅の続きができなかったりして、精神的にもなかなか疲れる。

どこかに向かう途中に気軽に立ち寄るわけにはいかず、この岬のために旅の行程を調整する必要があるのだ。

 

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狭路1

全てはここから始まる。

標識によれば、蒲生田岬までは17㎞。

 

この距離だけ見れば、大した距離ではないように思えるかもしれない。

しかし、たぶんだけど、あなたの想像よりも思い出深い17㎞になると思う。

 

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凶悪なほどにグチャグチャした地形と道路。

その中でも、チキンな僕は一番まともだと思われるルートを選択する。

 

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狭路2

序盤はのどかな集落の中を走っていく。

ま、ちょっと狭いけどな…。

正面からISUZUのトラックが来たら、どうしたらいいのかわからなくなる。

 

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狭路3

畑の中のスラロームは、対向車さえ来なければなかなかに面白かったりする。

この辺でせいぜい笑っておくとよい。

あとで顔がこわばるから。

 

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狭路4

左右への分岐。

前述の地図では、蒲生田岬とその1つ北の岬とを隔てる、大きな入り江の部分だ。

 

ここは橋を渡って右の道を選ぶ。

橋のたもとには昔ながらの商店がある。

ここから一気に雰囲気が変わる。

 

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狭路5

狭いしアップダウンが豊富。

対向車が来たらどうしよう。

 

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狭路6

海ギリギリと、山肌ギリギリを交互、あるいは一緒に満喫できる。

贅沢だ。

 

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狭路7

HUMMER_H3のように車幅のある車だと、なかなかギリギリ。

水門の脇を掠めるように通過する。

 

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狭路8

もうちょっと進むと、静かな入り江がある。

小舟が浮かんでいて絵になる。

 

車道からはガードレールもなく、ほぼ同じ目線に海。

ちょっと怖いけど、ここで風景写真を撮ったりする。

 

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狭路9

段々畑を駆け上がる、芸術的なスラローム

 

過去3回、おそらく2mとズレていないくらいの位置でこのスラロームの写真を撮っていて、結構笑える。

オマエはそんなスラロームが好きか、と自問自答する。

 

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狭路10

日本6周目の愛車のパオは、歴代最小の車である。

狭路も苦にせず、すごい勢いで攻略していく。

めちゃくちゃオンボロで非力な車だが、狭路にだけはとんでもなく強い。

 

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狭路11

ついでにもう1つ峠を越える。

 

ここいらの道はかなり綺麗になった。

一時期はボロッボロのアスファルトで、本当に先行き不安であったし。

 

 

クライマックス

 

時系列順で行くと、このあたりで「かもだ岬温泉保養センター」というのが出てくる。

 

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クライマックス1

しかし、今は岬へのアプローチについて語っているところだ。

温泉で休んでいる場合ではない。

 

従い、このまま岬への行程のご紹介を続けたい。

 

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クライマックス2

「蒲生田トンネル」というのがあるので、それを抜ける。

よくみるとトンネル左側のプレートに2005年10月から開通された旨の記載がある。

 

丘を1つブチ抜く、とても便利なトンネルである。

このトンネルが存在しなかった、2005年9月以前は結構なレベルの地獄だと感じた。

少なくとも僕は。

 

これについては、最後にご紹介したい。

 

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クライマックス3

トンネルを抜けると、田畑が広がる。

不安なくらいにスッキリしている。

 

「これ、岬の先端に向かっているんだよね?なんで平野部が出てくるの?」って思うくらい、今までのアップダウンの悪路から様変わりする。

 

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クライマックス4

ストレスフリーな農道。

特に標識もないが、テキトーに走れば岬の近くまで行ける。

 

行けなくっても、なんとか修正してどうにかなるだろう。

…そんな思いがする。

そのくらい、心に余裕が生まれる。

 

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クライマックス5

HUMMER_H3でも余裕。

写真の右端に、蒲生田の集落が見えてきた。

 

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クライマックス6

最後の200mほどのストレートだ。

 

この写真を見て「うお、狭い」と思ったあなた。

安心してほしい。これは少々過去のものだ。

 

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クライマックス7

2010年くらいだっただろうか?

綺麗に整備されて上記のようになった。

 

白い部分の幅を広げてくれたのだ。

ありがたい。HUMMER_H3でも通れる。…擦れ違いはできないけど。

 

逆に、昔はグレーの部分の幅しかなかったのだ。

2つ前の写真は日本3周目のものであるが、日本2周目のときなんかは、この幅に加えて両側の草木が異様に迫り出していた。

 

当時はステップワゴンに乗っていたのだが、車の両側を草木にこすりつけながら走った記憶がある。

これで対向車が来たら、もう泣くしかない。

 

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クライマックス8

はい、到着した。肩が凝った。

柵の向こうは「蒲生田大池」。散策しようと思ったことがあるが、蚊が多かったりして断念している。

 

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クライマックス9

「とりあえずズームして写しておけばいいだろ」とか、雑なことを考えたりもする。

 

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クライマックス10

でも、近年整備が進んでいる。

2017年の秋は上記のような感じになっている。

今後さらに綺麗になるかもしれない。

 

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クライマックス11

奥に見れているのは、バイオトイレである。

これも、ここ10年くらいのもの。すごく綺麗で便利。

 

2017年訪問時には、横に井戸があった。

試しにキコキコやったらちゃんと水が出た!

ここって地下水が豊富なのだね!

 

では、そろそろ岬の先端を目指そうか。

 

 

四国最東端の灯台へ

 

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灯台へ1

駐車場の奥、わかりづらいが灯台へと続く海沿いの歩道がある。

灯台までは徒歩10分ちょいといったところかな?

 

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灯台へ2

あ、このオブジェ初めて見た。

前回訪問時になかったヤツだ。アゲハ蝶っぽい、デザイン。

 

奥に見えている鋼鉄のゲートを通過し、海岸に出る。

 

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灯台へ3

グニョっとした感じのオブジェが現れた。

2011年に設置された、「波の詩(うた)」というものだ。

 

見る角度を調整すれば、真ん中の穴がハート型になる。

恋人ウケを狙い、「恋人の聖地」になるよう、蒲生田岬は2011年に本格的に観光地化に着手した。

 

僕は当時それを聞き、ちょっと唖然とした。

マジ?

突端好きなマニアの中のマニアしか来なかった、狭路の果てのこの岬。

恋人来ます??

 

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灯台へ4

2011年の観光地化施策において、非常に喜ばしいニュースもあった。

 

それがこれ。

「四国最東端」を示す碑が設置されたことだ。

今までは、四国最東端と記載されているものが、無いわけではないけど、ほぼ皆無であった。

だからこれは、突端マニアにとっては嬉しかったと思う。

 

だけどね…。

 

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灯台へ5

 

泣けるくらい小さい。

 

 

なんでそんな切ないくらいの大きさで、道端にチョコンと置いてしまったのか…。

突端マニア待望の碑なのに、一緒に記念撮影することすら困難だ。

 

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灯台へ6

…ま、上に座ればいっか。

こんな感じでの記念撮影なら、できた。

 

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灯台へ7

参考までに、ハートのオブジェと四国最東端の碑がなかった時代の、同じアングルからの写真を掲載しておこう。

 

そして、灯台はこの歩道の奥へと入っていく。

 

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灯台へ8

さぁ、世界は開けた。

目の前の丘の頂上に聳えているのが、四国最東端の蒲生田岬灯台だ。

 

目の前は荒涼とした風景。

海も荒々しい。

 

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灯台へ9

灯台へと続く階段は、なかなかの傾斜である。

心臓破りの階段。

 

一度、デートっぽい人々を発見した回もあって驚いた。

恋人の聖地となる前の、恋人たちのデート現場。

2人で試練を乗り越えてほしい。 

 

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灯台へ10

階段の途中にて、来た道を振り返る。

左奥に見えている砂浜は、アオウミガメが産卵に来るのだよ。

貴重な砂浜。

 

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灯台へ11

ゼーゼー言いながら上った先に、灯台

灯台のライトは固定されていて、一方位しか照らせない。

1.2km先にある「シリカ碆」を照らしているのだそうだ。

 

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灯台へ12

四角い窓の、独特の形状の灯台

これがインパクトあり、記憶にしっかりと残る。

あの窓からコンニチハーしてみたい。

 

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灯台へ13

後ろからのショット。

この2枚は、改修工事中を撮影したものである。

 

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灯台へ14

四国最東端の碑がなかったころは、これを撮影して最東端に来た証明としたりしていた。

まぁこの説明板も、10数年以上前にはなかったような気がするんだけどね。

 

だからホント、以前はこれだけ苦労してきても灯台しかなかった。

だが、そこにロマンを求めるのが、突端マニア。

 

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灯台へ15

灯台のさらに先へ…。

うわー、きれいだな、海!!

 

向こうには巨大なカメラを設置した人たちがいる。

海と全然違う方向を向いているし、会話と動きから察するに、バードウォッチングの人だな。

そういえば、周囲を鳥が飛んでいる。

 

先ほどの駐車場の前にあった蒲生田大池は、渡り鳥も来るらしい。

それを待っている人たちなのだろうか?

 

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灯台へ16

いつ来ても、ワイルドでダイナミックな光景。

そしていつも強風である。

 

瀬戸内海と太平洋を隔てているのが、この蒲生田岬。

僕は今、瀬戸内海の南端にいるぞ。 

 

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灯台へ17

吸い込まれるような海。目がくらむような海。

ここまで大変だったけどさ、この絶景を見れてよかったよ。

観光客はまず訪れない、秘境の岬。

四国最東端、蒲生田岬。

 

 

四国最東端の温泉

 

さて、先ほどスルーしてしまった四国最東端の温泉である、「かもだ岬温泉保養センター」をご紹介しよう。

 

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かもだ岬温泉1

狭路の果てにある温泉。

なかなかすごいところに造ったものだと思う。

 

入ってみたいと思ったことはあるが、「温泉にゆっくり浸かっているうちに日が暮れたら、帰りの狭路はマジでヤバいぞ」と避けていたりもした。

 

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かもだ岬温泉2

あぁでも関係ないけど、温泉施設を見上げながら自炊をしたことならある。

 

日本4周目くらいまで、僕は結構車中自炊をしていた。

朝ごはんと夜ご飯 は自分で作ってコスト削減する。

お昼ご飯だけ地元のB級グルメとか食べる。

 

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かもだ岬温泉3

はい、このときはトーストと目玉焼きにした。つまりラピュタパンか。

見た目が悪くてすまない。

こんなパズーでは、シータもついてこないだろうよ。

 

でも、コンロでトースト作るのって至難の業だからね。

 僕は言い訳の多いパズーだからね。

 

 

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かもだ岬温泉4

一度だけ、ここで温泉に入ったことがある。

 

…それにしても立派な施設だ。

これだけの設備を作るための建築資材や工事のための重機が、あの狭路を通ってここまで来たのだろう。あっぱれ。

 

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かもだ岬温泉5

僕が立ち寄った時は、「船瀬温泉保養センター」っていう名前だったんだ。

2011年にリニューアルしてかもだ岬温泉保養センターになっている。

 

メッチャ綺麗だし、いいお湯だった。

なんだかお客さんは少なかった。

ここまで来るのが大変だからかな?午前中だったからかな?

 

 

あの時代、牙を剥いた極狭路

 

前半で、「蒲生田トンネルができてずいぶん楽になった」と書いた。

2005年10月にトンネルが出来、本当に便利になった。

 

実は僕は開通1ヶ月前、2005年9月にも蒲生田岬を訪れている。

そのときのルートをまずはイメージしてほしい。

 

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僕はそのとき、旧道を走ったのだ。

これが、最初で最後となる旧道を走った記録だ。

 

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廃道を覗く1

2020年現在はもう、旧道は使用されていない。

ヤバいんだ、これが。

 

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廃道を覗く2

これだから。

かもだ岬温泉の前から分岐する旧道。

 

その後も毎回ちょこっと覗いているが、地獄を覗いたような気分になる

 

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廃道を覗く3

これは世間一般では少なくとも「擦れ違いも想定した車道」ではなく、「歩道」である。恐ろしい。

 

Googleストリートビューから、1枚だけ画像を引っ張ってみよう。

 

 

 

ここをワンボックスカーで進み、対向車が来ることを想像したら、鳥肌立っちゃいますよね。

 

あの時の僕はまだ未熟な旅人だった。

そんな僕が、かつてここをステップワゴンで1人で往復した。夕暮れに

 

その貴重な写真を追加公開したい。

 

*-*-*-*-*-*-*-

 

温泉までの行程が天国に思えるほどの、狭さと勾配。

これまでも「ひどい道だな」と思ったが、そこから先はそういうレベルじゃなかった。

 

道は荒れ果てていてほとんどダートであった。

 

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かつての冒険1

あまりの急勾配と急カーブの連続に、時速20㎞がせいぜいであった。

年季の入った愛車のステップワゴンは、バキバキと音を立てて進んでいる。

 

なんとか峠を越えて蒲生田の集落へと入る。

左側には防波堤があり、その向こうがウミガメ産卵地の砂浜のようだ。

かろうじて車1台を停められるスペースを発見。

 

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かつての冒険2

『ようこそ・四国の最東端 蒲生田岬』

 

なんとかかんとか、ここまで来れた…。

岬には「四国最東端」と書かれた碑などは存在しないと聞いている。

おそらくここが、写真でそれを示せる唯一のポイントだろう。

記念撮影をした。

 

この先、駐車場の直前のストレートが登場した。

あまりの狭さと、左右の草木の旺盛な繁殖力のせいで、愛車の左右をこすりながら走った。

道もボッコボコで、ステップワゴンは飛び跳ねていた。

 

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かつての冒険3

すーーーーっごい風!!

 

海が泡立っていて、全面白い。

何もない砂利の空き地のような駐車場から、荒れ果てた海岸を灯台に向かって歩く。

これ、なんていう修行だろうか。

 

ゼーゼー言いながら灯台直下まで登った。

そこは、今まで経験したことがないほどの強い風だった。

 

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かつての冒険4

灯台に取り付けられた階段は、立入禁止ではないようだ。

では登ってみよう。

 

風圧で顔が歪んだ。呼吸困難になった。

「マイケルジャクソン」みたいに斜めに立っても、強風で倒れずにすんだ。

 

*-*-*-*-*-*-*- 

 

…そんな岬だ。

正直大変だった。

 

そうまでして攻略した四国最東端。

胸に大切にしまっている、エキサイティングな思い出。輝かしい歴史。

 

きっと今後はさらに観光地化が進み、道も綺麗になるのだろう。

それはそれでいいことだ。

 

新時代の蒲生田岬、これからの発展を楽しみにしたい。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。 

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 蒲生田岬
  • 住所: 徳島県阿南市椿町蒲生田岬
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし 

 

220

No:054【沖縄県】あの全焼から1年…!炎に包まれた世界遺産「首里城」の思い出を語ろう。

今からちょうど1年前、2019年10月31日未明。

沖縄のシンボルと言っても過言ではない、「首里城」が全焼した。

 

www.fnn.jp

 

日本中がショックを受けたであろう。

特に沖縄県民の方々は、大変な喪失感を味わってしまったことだろう。

 

僕も朝起きてこの事実を知り、愕然とした。

※2019年は、パリの「ノートルダム大聖堂」も全焼しており、その光景もフラッシュバックした。なんて年だ。

 

 

首里城には過去3回訪問している。

 

本心を言えば、僕は那覇の喧騒を早く抜け、北部のビーチなどを観光したい人種であった。

(これらの絶景ビーチについては、またいずれ機会があったら語りたい。)

 

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古宇利ビーチ

とはいえ、首里城のことも好きだった。

大切な思い出がたくさんある。

 

思い出しただけで胸が締め付けられてしまうような感覚があるが、今回は僕がかつて首里城を観光したときのエピソードを織り交ぜて語りたい。

 

あのときのことを、忘れないように。

 

 

防御力低め、守礼門

 

首里城の敷地に足を踏み入れる。

無料エリアであり、ガイドブックでよく見るような壮大な正殿は、まだまだ先だ。

 

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守礼門1

さぁ、そんなエリアにいきなり出てきたぞ、守礼門だ!!

栄えある日本三大がっかりスポットにもエントリーされることのある、 首里城で最初に出てくるフォトスポットである。

 

うん、確かに僕も最初に見たときは、その守備力の低そうなビジュアルに、思わず頬が緩んだぜ。

 

僕は歴史にも建築にも大した知識はないが、従来の門というのは敵の侵入を物理的に防ぐためであったり、関所のように人間が通過可否判断を下すための用途と思っている。

 

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守礼門2

しかしこれよ。

風通しバツグンよ。

 

誰もがフリーパス、いやむしろストレスフリーで通過できる、安心設計。

沖縄の人の優しさしか感じない。

 

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守礼門3

扁額に書かれた、『守禮之邦(しゅれいのくに)』。

「禮」は「礼」の旧字みたいだな、どうやら。

 

「ここ琉球は、礼儀を重んじる国である」って感じの意味だそうだ。

社訓のように掲げてある。

 

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守礼門4

ちなみに、工事するとこうなる。

事前情報知らずに訪問したから、「ブホッ」ってなった。

 

一瞬、「堅牢さが著しくUPしたー!これぞ城門!!」ってなったけど、ビニール素材がふんだんに使われているので、そりゃ幻想だ。

屈強なお相撲さんなら、素手で引きちぎることだろう。

 

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守礼門5

うん、こうしてみると城塞都市のように見えなくもないのだがね。

本来の守礼門の姿は見えなかったものの、こういうレアパターンを見れるのは結構好き。

 

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守礼門6

幻の2000円札にも、守礼門が描かれていることをご存じの方も多いだろう。

ちなみに、スカシの中も守礼門だ。

 

僕は今まで2000円札は1枚しか入手したことなく、それを大事に10数年も持っている。

ボロボロだ。

使う予定も未定だったが、今回こういうかたちで使えてよかった。

 

 

ゴチゴチに堅牢、歓会門!

 

さぁ、次に出てくるのは「歓会門」だぞ。

これもペラペラの紙装甲なのだろうな、フフフ。

やっぱ沖縄は暑いから、風通し命だよね…っ!

 

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歓会門1

 

ゴチゴチでした。

 

 

首里城、ここに来ていきなり方針変えてきたそうです。

こりゃあ、お相撲さんでも無理だわ。

 

城門のシャッター、上の写真では半分閉まっているように見えるけど、あれを完全に閉められたらもう誰も侵入できぬ。

 

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歓会門2

ド迫力である。

三匹の子ブタの、一番賢いヤツが作った門だ。

今ごろ、ちょっと楽観的な子ブタの造った守礼門は、鼻息で吹っ飛んでいるだろう。

 

あるいは、ゴーレムに変形する古代城塞みたいなテイストだ。

とにかくカッコよさと力強さを兼ね備えている、男の子たちのヒーローみたいだ。

 

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歓会門3

なにせ両側に狛犬いるしな。

いや違う、シーサーだこれ。

 

どちらでもよいが、パワフルを極めた城門である。

 

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歓会門4

琉装のお姉さん方が出迎えてくれたこともあった。

確か日本1周目で沖縄をドライブしたときは、ここでお姉さんと記念撮影をしたのだ。

 

お姉さんの笑顔で、歓会門の印象が少しだけ柔らかくなったような気がする…。 

 

 

階段を守れ、瑞泉門!

 

さて、ゲート続きの散歩道ではあるが、無料区間の3つ目を守るのが、次の「瑞泉門」だ。

ここを抜ければ間もなく、正殿も建つ広場である。

その手前の階段を守っている。

 

ちょっとイメージしやすいよう、イラストを描いてみよう。

 

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この奥にある「漏刻門」も含め、4つの門で広場侵入を防いでいるっぽい。

 

しかし守礼門だけ離れているし守備力低いしでかわいそう。

たぶん他の3つの門からは、格下に見られている。

変身前のシンデレラみたいに、姉さん方から邪険に扱われていそう。

 

敵も守礼門だけはやすやすと突破するんだけど、他の3つ門は「我ら四天王の中でも守礼門は最弱のヒヨッコよ。アヤツを倒したくらいでいい気になるなよ、クックック…。」とか言ってそう。

 

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瑞泉門1

さぁ、3つ目となる瑞泉門が見えてきた。

階段の上から我々を見下ろしているのがおわかりになるだろうか?

 

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瑞泉門2

堅牢さの中にもオシャレさを兼ね備えた、バランスの良い門だ。

 

四天王の1人目である守礼門はザコ(←失礼)。

2人目の歓会門はゴツいパワーバカ(←失礼)。

3人目の瑞泉門はパワー・スピード・カッコよさのバランスの取れた戦士タイプだ。

 

数あるマンガなどでも、四天王はこんな感じのキャラクター構成だったりする認識。

そんで、この3人目あたりが読者人気が高く、最後のボスに苦戦する主人公勢を助けるために寝返って加勢してくれたりする。

 

すまない、妄想が過ぎた。

 

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瑞泉門3

次は、少し引きでお見せしたい。

 

瑞泉門は、門としての単独の守備力もさることながら、上の写真のように高い城壁で囲まれた中での唯一の突破口となっているのが特徴。

 

敵兵は階段を使うしかない(実は例外もあるが目を瞑ってほしい)。

その階段を守るための、要の門なのだ。

 

さて、ついでに四天王の最後の門もお見せしよう。

実は、これまでの写真にも写っている。

 

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漏刻門1

この、向かって左側の門だ。

瑞泉門の、ホントすぐ先。

 

従い、正直あまり記憶に残らなかったし、独立した写真も撮らなかった。

これはこれでかわいそう。

イジられキャラの守礼門よりも、ある意味かわいそう。

 

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漏刻門2

せめて、ズームして1枚掲載してあげよう。

 

 

メインキャッスル、御庭と正殿!

 

4つの門をくぐると、丘の上の平地に出る。

急に視界が開ける。

 

観光客が一斉にカメラを取り出すのもここである。

券売所もあるので、観光客が一斉に財布を取り出すのもここである。

 

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御庭と正殿1

僕も券売所でチケットを購入した。

否、ここは「王へ貢いだ」と表現すべきかな?

 

さっきまで四天王を倒すという侵略者目線でシナリオを書いていたのに、いきなり白旗を振ってしまってすまない。

さすがに立場をわきまえた。

 

いずせにせよ僕の心は、既に21世紀にあらず。

琉球時代にワープしているのだ。

そう思わせてしまうくらい、この丘の上の広場は荘厳だ。 

 

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御庭と正殿2

さぁさぁ、王への謁見の場は近い。

最後の門、「奉神門」だ。

「神を奉る(たてまつる)門」か。すごいネーミングだ。

そして、すんごい赤だ。赤がほとばしっている。

 

なお、僕はここで構図を凝り過ぎて、重大なミスをしている。

実はこの門、正面と左右、合計3つの入口があるのだ。

だけども上の写真では2つしかフレームに入れなかった。失敗失敗。

 

当時は、中央の入口を通るのは極めて位の高い人だけ。

それ以外は左右の入口を使ったそうだ。

 

現代は僕のような平社員でも中央から入れる。ありがたい。

せめて気持ちだけは貴族を意識し、中央突破した。

 

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御庭と正殿3

 

はい、来たー!!

メインキャッスルだ!!
 

 

正殿である。

ここは全員カメラを構えるところ。

ちょっと上では、漆の塗り替えをしているときの写真を掲載してみた。

 

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御庭と正殿4

正殿をよく見ると、いたるところに龍が舞っている。

シャチホコ的なポジションにも龍がいる。

シャチホコから始まる滑り台のゴールには、かわいくシーサーの顔が乗っている。

 

日光東照宮」の「陽明門」を彷彿とさせる、このゴージャスなデザイン。

維持するには並々ならぬ技術とコストがいるのだろうな…。

歴史の重みよ。

 

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御庭と正殿5

正殿の前のこの広場が、「御庭」である。

御庭と書いて「うなー」と読む。

 

王の御膳のこんな場所で「うな~」とか、ゆるキャラをこじらせたような声を発したら、王の側近に刺されそうだと思った。

でも、この読み方が正式なのだから、きっと刺される

ようなことはないのだろう。

 

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御庭と正殿6

御庭には、シマシマの白線が引かれている。

 

あなたは「横断歩道?交通整理?王に謁見する前に、右見て左見て、手を上げて渡ったのか?」と思われるかもしれない。

それはちょっと違う。

 

国を挙げてのイベントがあるとき、主要なメンバーたちがここにズラッと勢ぞろいするのだ。

そのときワチャワチャしないようにするための目印だ。

王の前に、カッコよく並びたいもんな。

 

だから、交通整理の部分だけ正解だ。

 

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御庭と正殿7

御庭の周囲は360度ぐるりと赤い建物に囲まれている。

箱庭的な感覚だ。

上の写真は、その一部である。

 

 

では、正殿に参ろうか。

御庭を進む際に思わず手を上げそうになりつつも、正殿に向かって足を進める。

 

 

ラストダンジョン、正殿内を見学!

 

有料エリアのもう1つの目玉が、正殿内部の資料館である。

だけども、御庭と正殿の外観に興奮しすぎて正常な判断力を欠如していた僕は、なんと正殿の入口を通り越し、有料エリアの出口近くまで行ってしまった。

 

そこで「あれ?何か足りない…」みたいにキョトンとした顔をしていたら、係員さんに「まだ正殿内部を見ていないのですかー!あっちですよー!!」と気持ち強めの案内をされた。

 

危ない危ない、大きな失敗を犯すところだった。

ここに来るのは3回目なのに、フワフワしすぎた。

 

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正殿内部1

正殿内部の前半エリアは、撮影禁止である。

従い、写真でご紹介できるのは撮影可能な後半部分のみとなる。

あと、土足禁止。

 

ちなみに前半は、貴重な資料類の展示であった。

まさに資料館・博物館といったことばがマッチするような雰囲気であった。

 

琉球時代の貴重な書面・家系図などの資料、王族の使っていたアイテムの数々。

厳かな雰囲気の中、そういったものを見て回った。

 

後半エリアは、内部装飾を再現している部分が多い。

上の写真もそれである。

 

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正殿内部2

この階段は、実際には上がれない。

なんと王専用の階段なのだそうだ。王はここを利用して、1Fと2Fを行き来する。

 

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正殿内部3

玉座が再現されている。御差床(ウサスカ)っていうらしい。

実際に座ることはできないが、クッション性に乏しく、疲れやすいのではないかと推測した。背もたれも固いそうだし。

 

令和の時代は、テレワークに備えて座り心地の良さを追求しなければいけない。

威厳を追求していたであろう琉球時代と、ちょっと考え方が違うのだな、と改めて感じた。

 

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正殿内部4

守礼門が工事中の期間の特別サービスなのか、期間限定で写真撮影用の御差床の大型パネルが設置されていた。

 

ありがたい。うれしい。

このパネルの前で記念撮影をした。気分は王である。

 

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正殿内部5

一部、床がガラス張りになっていた。

ここから下を見ると、石垣がある。

かなり深そうで、2mほどはゆうにあるかもしれない。

 

実は首里城は、これまでに4回ほど火事で焼失している。

直近では第二次世界大戦で跡形もなくなくなり、1992年に復元したのだ。

 

ここで僕が見下ろしているのは、後から建てられたものではなく、完全なオリジナルの首里城跡。大変に貴重なものだ。

 

実は、ここまでにご紹介した首里城の建築物(赤い建物)は、世界遺産ではない。おそらく後世のものであり、歴史的な価値は充分ではないからと思われる。

世界遺産に登録されているのは、「首里城」である。

正殿の。その一部を、ようやく僕は目にすることができたのだ。 

 

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正殿内部6

正殿のミニチュア模型もある。

前述の横断歩道の正しい使い方を、ここでお勉強できる。 

 

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正殿内部7

正殿の背後で「ガオー」とやれば、城を襲う魔王になれる。

ほら、横断歩道の人たち、キチッと整列していないでもっと慌てふためけ。

「うなー!」とか言いながら逃げまどえ。

 

こうして、大満足の首里城見学を終える。

 

ちなみに首里城の敷地を出るときにもなんか迷ってしまい、立体駐車場や土産物屋の中をウロウロしてしまった。
首里城はナゾがいっぱいだ。

 

 

2019年、首里城炎上。そして…。

 

そんな首里城が、焼け落ちてしまった…。

 

www.okinawatimes.co.jp

 

かなりショッキングな写真ではあるが、上のページはわかりやすかった。

被害を受けた建物のBefore/Afterが比べられる。

 

消失した部分は、おそらく以下の部分と思われる。

 

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深夜に正殿から出火し、瞬く間に延焼してしまったようだ。

 

御庭では、数日後にここで開催される予定であった、組踊300年の記念舞台の準備が進んでいた。

この日も深夜1時くらいまで作業が行われていたらしい。

その作業後、1~2時間ほどの間に火事となった。

 

それ以上の原因の特定はまだ明確ではないようだし、そこを僕があれこれ考えたり意見を言うのは、ここでは避けたい。なんか空しくなっちゃうから。

 

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火災を知った日に、メモした内容である。

本当にショックであった。

僕でこれだけショックなのだから、沖縄の人や関係者の人の悲しみははかりしれない。

 

それでも1年を経た今、技術者の人たちが当時の技術を復活させて再現できるよう動き出し、「次は絶対燃えないような城にする」と宣言している。

 

見守ることしかできないが、また新しい歴史が生まれるその日を、僕も祈っている。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

 

No:053【秋田県】川原を掘って自作温泉にチャレンジ!必要なのはスコップと筋肉と闘志!

10月も終わりを告げようとしている。

 

東北の朝晩はグッと冷え込み、紅葉シーズンまっさかりとなる。

紅葉を堪能したら、温泉で体を温めれば最高だ。

 

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2019年_秋田の紅葉

「紅葉 + 温泉」。

 

それはアメリカで言うところの「ハンバーガー + ポテト」と同じくらい、相性バッチリな組み合わせだ。

季節限定だけれども、だからこそ日本の秋は素晴らしい。

 

さて、東北には紅葉スポットも温泉地も数多くあるけれども、今回は僕が昨年(2019年)の紅葉シーズンに訪れた一風変わった温泉、このただ1つにフォーカスして執筆したい。

 

端的に言うとね、

温泉、掘った。

 

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2019年_温泉掘った

 

 

川原に湧く温泉

 

僕が向かっているのは、秋田県の内陸部に位置する「秋の宮温泉郷」だ。

 

発見は一説には1200年前だそうで、秋田県内で最古とも言われる温泉地であり、うち1つの温泉宿は「日本秘湯を守る会」にもエントリーされている。

戦時中には文豪「武者小路実篤さん」も滞在していたという。

 

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川原を目指せ1

はい、小難しい話はここまで。

 

温泉に行くぞー。

ランチ食べて大満足したところなので、次は無料だと聞いている、川原の足湯に浸かってまったりするぞー。 

 

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川原を目指せ2

着いた。ここらしい。

マイルドに表現しても、一抹の不安を拭い去れない
 

なんか空き地だし。

他に車は1台もいないし。

うすら寒いし。

 

しかし大丈夫だ。空き地の片隅を見てほしい。

 

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川原を目指せ3

「川原の湯っこ」

これが、今回僕の目指していたスポットである。

 

この塀と向こうに見えている柵の間から、奥へと入ってみる。

すると…。

 

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川原を目指せ4

 わー、川原が広がっているー!

 

これは「役内川」っていう川なのだそうだ。

ここの川原に、温泉がボンボン湧きだしているらしい。

 

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川原を目指せ5

何人かが川原で土木工事をしてらっしゃる。

 

あれは、温泉を掘ってらっしゃるのだ。

役内川の川原は、30cmほど掘るといたるところから温泉が湧きだすと言われている。

なので、ああやって温泉を探り当て、そして勝利の足湯に浸るのだ。

 

…っていう事前情報。

 

おもしろそうだぞ、僕もやりたいぞ。

 

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川原を目指せ6

「ゆ akinomiya」と書かれたナイスで武骨な小屋がある。

こう書かれていないと、農具かなんかを格納する作業小屋にしか見えないが。

 

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川原を目指せ7

うん、失礼。

中に入ってみたが、やっぱ作業小屋テイストだったわ。

乱雑に木材とか作業用具とか置いてあるし。

 

だけども、ここが無人かつ無料のスターティング・ブースである。

 

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川原を目指せ8

立て掛けられたスコップは、川原の石を堀るのに使う。

無料のタオルもあるので、濡れた足を使うのに使用させてもらうことも可能だ。

訪問者ノートもあるから、思い出を残せるぞ。

壁にはメディアで紹介された記事や、足湯の作り方などが掲示されている。

 

全て、地元の人の配慮。

道具からタオルから足湯使用まで、全てが無料なのだから、本当にありがたい。

 

よし、準備はカンペキだ。

 

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川原を目指せ9

なんかミステリアスな建物の裏を通り、川原へと降りる。

※「介護予防拠点施設 福寿荘」というらしい。

 

では、足湯を掘るぞ!!

 

 

土木系エンターテイメント

 

役内川の川原。

適当なポジションを確保してみた。

ここがきっと10数分後のマイ・ユートピアに生まれ変わる。

 

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土木1

川原からの光景は、こんな感じだ。

 

紅葉と吊り橋、そして川。

本当は空はもっと青くてきれいなんだけど、紅葉を写そうとするとどうしても白飛びしてしまうのだ。

本当は今日は晴れなのだ。少しだけ太陽に雲がかかってしまってはいるが。

 

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土木2

よっしゃー!

掘る掘る掘る掘る…!!

 

スコップは適度に穴が開いているタイプで、余計な水をすくったりせずに石だけ掻き出すことができる。

ありがたい!

ラーメンのレンゲでも、こういうのあるよな!最後に残りがちな、味噌ラーメンのコーンをすくうヤツ。

 

よいしょー、よいしょー!

 

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土木3

…なんかね、心なしか、スコップに乗っている物体の質量が少ないよね。

 

もちろん、僕の足腰がすぐにお疲れモードになってしまったという要因もある。

しかしそれ以上に、この作業をスコップでやるのってシンドくないですか?

 

石の1つ1つは3cm~5cmくらいはある。

それらが敷き詰められたところにスコップを突き立てても、「ガキッ!!」ってなるだけで、充分に刺さらないじゃないか。

ストレートな衝撃が手まで伝わってきて、痺れるし。

 

 

ちょっと水の中に手を入れてみた。

結構温かかった。

 

よし、ハダシでやろう。自ら水流の中に入って作業したほうが、すぐ足元を掘ることができるので作業しやすい。

腰への負担も少ない。

 

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土木4

力は入れやすくなったが、相変わらずスコップは川底でガキンガキン言うだけで、作業効率は悪い。

 

なんだか疲れてきた。

土木って単純のようで難しい。いや、単純だからこそ難しい。

 

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土木5

ときどき腰を伸ばさないとイテーのです。

後ろのキッズに土木のコツをヒアリングしたいが、プライドが邪魔をしてくれる。

 

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土木6

「お、なんかこの構図は絵になるな!」とか、現実逃避をしてみる。

 

うん、この写真、完全に僕は川原の岩に座り込んでいるからな。

休養も必要。

 

そもそも日本のサラリーマンはクソまじめに働きすぎなのだ。

にもかかわらず、なんで休日にもこうやって働いているのだ。

…自分を正当化するための言い訳なら、目の前を流れる川よりもサラサラと無限に湧き出る。

 

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土木7

おっと、これはついに川原の真理に気付いてしまった顔をしているぞ。

 

そう、僕は気付いてしまったのだ。

地球の周りを太陽が回っているのではなく、太陽の周りを地球が回っていることと同じように、真理に到達した。

 

 

足元は温水なのに、なぜ僕は温泉を掘っているのだろう??

 

 

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土木放棄1

これさ、掘る必要ないじゃん。

このまま足湯になるじゃん。

 

この真理に到達した者にとって、スコップはもう飾りだ。

男らしさをほのかにアップさせるだけのアクセサリーだ。

 

紅葉を見ながら、悠々と足湯を満喫しようぞ。

 

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土木放棄2

ところで、1つ注意点がある。

 

温泉は川原のいたるところでスポット的に湧き出している。

10cm・20cm位置がずれただけで全然水温が違うのだ。

サーモグラフィーで見たら、きっとダルメシアンの模様みたいになる。

 

従い、「右足は冷たいが左足は熱い」・「つま先はヤケドしそうだがカカトは真冬」みたいな事象が常に発生する。

頻繁に足を動かして位置を変え、どうにかバランスを保つのだ。

 

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土木放棄3

熱すぎて足が真っ赤になってしまったりしたら、川の本流に足を突っ込もう。

メチャクチャ気持ちいいぞ、これ。

 

なお、これは悪い例だ。

ちゃんとバランスの良い足湯を作る方法が、前述の小屋に掲示されている。

 

熱い温泉が出ているスポットに、川の冷たい水が流れ込むように水路を作り、そしてそこ全体を大きな岩で綺麗に囲って湯舟のようにする。

微調整しながら快適な温度になれば、世界で唯一のマイ・足湯の完成だ。

 

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土木放棄4

…そんな丁寧な作業、できなかったけどね。

 

いいの、O型だからこんなもんでいいの。

お湯と足さえあれば、そこは足湯だもの。

 

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土木放棄5

最後にもう1つだけ注意点だ。

 

上の写真のように、ビビッド・グリーンのゾーンがたまにある。

確か上の写真のところはそうではなかった記憶があるが、この色をしたところはメチャクチャ熱湯が湧き出しているので注意だ。

水温90°とか行くらしいぞ。足湯どころか、クッキングに適した温度だ。

 

必ず水温を確かめて、慎重に足なり手なりを入れてほしい。

まぁ、湯気がボンボン出ているのでわかるかとは思うが。

 

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土木放棄6

あとね、ここから100mほどのところにある「まこ食堂」に電話をすると、川原に出前を届けてくれるそうだ。

 

足湯をしながら、ラーメンとかすすることができるぞ。

なんというステキ体験。

 

このときの僕はランチ直後なのでやらなかったが、あなたがもし空腹なのであれば、ぜひチャレンジしてみてほしい。

 

 

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心も体も温まった。

例えぶかっこうであっても、「なにかを作る」という行為は、確かな満足感を生み出してくれる。

土木サイコーじゃないか。

 

 

では、ドライブの再開だ。

 

色づく東北の紅葉を眺めながら、秋の宮温泉郷を後にする。

 

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 川原の湯っこ
  • 住所: 秋田県湯沢市秋ノ宮湯ノ岱
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし(ただし5月~11月ごろ限定)

 

No:052【福岡県】九州本土の最北端は埋立地!?コンテナだらけの太刀浦埠頭にアタックだ!

九州本土の最北端。

 

…こう言われてピンとくる人は、おそらく突端マニア現地の関係者以外にはいないであろうと推測する。

 

それが風光明媚な岬なのであれば、訪れる観光客もいるのかもしれない。

だが、九州本土最北端は岬ではないのだ。

 

埋立地コンテナターミナル

 

なんともかんとも、観光客目線では食指が動かないワードだ。

しかし、突端マニアとしては行かないわけにはいかないだろう。

 

…少なくとも、行ける部分までは。

 

 

 

最突端16岬の異端児

 

北海道・本州・四国・九州。

日本の本土と言われるこの4つの大きな島、それぞれの東西南北端がある。

詳しくは、僕の書いた以下の【特集】をご参照いただきたい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

この16岬の中で、岬ではない異端児が1人だけいる。

それが、今回ご紹介する「太刀浦埠頭」だ。

 

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それがいいか悪いかは別として、世の中には「複数の中に1つだけ、心なしか違う世界観のものが混じってしまう」という現象がしばしばみられる。

 

 

太刀浦埠頭は、16岬の中でのまさにそれだ。

しかも、残念なことに「悲しいほうの意味」でそれだ。

 

前述のとおり太刀浦埠頭は埋立地である。

天然の岬ではなく、人工の陸地である。

しかも観光地でも景勝地でもなく、思いっきり作業員さんたちが働いているコンテナターミナルである。

なんだったら、観光客は邪魔者にあたるかもしれない。

 

16岬を巡る旅人たちは、「太刀浦埠頭にはたいして興味ないけど、16岬の1つだからとりあえず踏んでおこう」だとか、思ってやいまいか。

 

例えば16岬のリーダー格である「宗谷岬」なんかは、「我ら16岬の中でも太刀浦埠頭は最弱のヒヨッコよ。アヤツを倒したくらいでいい気になるなよ、クックック…。」とか言ってやいまいか。

 

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いや、そんなことはない。

 

16岬の中でも特異な属性を持つ太刀浦埠頭には、他の15岬には無い魅力がきっとあるハズだ。

僕はそれを探しに行くため、コンテナの狭間を猛進する!

 

 

目指せ、コンテナ埠頭

 

さて、ここからは日本4周目から6周目で訪問したエピソードを、オリジナルブレンドしながら執筆しようと思う。

 

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埠頭へ1

本州から九州へと渡った先である「門司港」からほど近い場所に、目指す埠頭がある。

 

海沿いに東へと2kmほど進むと、徐々に風景が無機質になってくる。

トラックが多くなってくる。

そろそろなのかもしれない。

 

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埠頭へ2

頃合いを見計らい、ハンドルを左に切って埠頭へと突撃する。

 

なんだか作業車両とかしか入っちゃダメそうな雰囲気だけど、「関係者以外進入禁止」とかは書かれていない。

部分的には立ち入り禁止エリアもあり、ゲートの前に立つ監視員の人から怪訝な視線をもらったりもするが、そっちには行かないので大丈夫。

 

行けるとことまで行ってみる。

 

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埠頭へ3

トレーラーの後ろの部分が、片隅に鎮座している。

上にコンテナを積まれるのを待っている。

 

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埠頭へ4

 山積みのコンテナもある。

 

ははーん、わかった。

ここは積むか積まれるかの世界だ。

 

僕のような者は、ぶっちゃけお呼びではないのかもしれない。

モタモたしていると「アンタもコンテナ積みたいのかい!?」とか言われて、愛車の上にコンテナ載せられてプレスされかねない。

 

少なくとも、作業の邪魔にはならないように、慎重に歩みを進めねば。

 

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埠頭へ5

完成形もあった。

文字通り、パズルのピースが噛み合ったってヤツだ。

あとは、これに動力源さえくっつければどこへでも移動させられるであろう。

 

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埠頭へ6

前方に見えているのは、港へとつながるコンベアー的なものだろう。

あまりこういう設備には詳しくはないが。

 

少し離れたところから、ガションガションと大型重機が動く音が聞こえてくる。

工場感がほとばしっている。シンプルにかっこいいと感じた。

 

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埠頭へ7

なんかのタンク。

巨大建造物を見るとドキドキしちゃう。

 

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埠頭へ8

コンテナの間をグルグルしたりもしたが、海が間近に見えてきた。

 

これから目指すのは、九州本土の最北端である。

最突端を名乗るからには、海の要素は必須である。

 

僕と海との間を遮るものが、今ほぼ皆無となった。

この先どんな感じになるのかわからないので、ここで写真を撮っておこう。

…天気も相まって、ディストピアなテイストだが。

 

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埠頭へ8

フェンスが現れた!

有刺鉄線が現れた!

怖いけど、まだ進めるので構わず進んでみよう。

 

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埠頭へ9

コンテナトレーラーが立ち並ぶ。準備万端だ。

 

作業員の人がチェック作業をしていたり、フォークリフトがキュラキュラ言いながらコミカルに動き回っていたり。

 

そんなエリアを抜け、埠頭は開ける。

「あぁ、ここがゴールなんだな」と肌身で感じた。

 

 

九州本土最北端の海

 

…着いた。

僕は岸壁近くに愛車を停め、そして静かにエンジンを切った。

 

ここが、旅人ととしてのゴールであろう。

ここから先は、フェンスがあって関係者しか入れない。

 

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最北端の海1

海ギリギリまで来れた。

海の反対側はコンテナが積まれているものの、海側は美しい「関門海峡」が広がっている。

 

僕のすぐ近くには、数人の人が釣りをしていた。

ここだけのどかな雰囲気だった。

 

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最北端の海2

すぐ対岸に見えているのは、関門海峡越しの本州、山口県である。

だから最果て感は薄い。

 

じゃあ山口県にすごく近いのかというと、そうでもない。

関門橋」が架かっている場所が一番近い。

 

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最北端の海3

ちなみにその関門橋、すぐ後ろに見えているけどな。

 

九州本土最北端は、関門橋とマイカーを綺麗にフレームに収められるスポットの1つである。

この点、お気に入り。

車と海との間に、フェンスもガードレールも何もないもんね。

それだけに、転落には最大限の注意が必要だが。

 

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最北端の海4

関門橋の右手に見える小高い山は、山口県下関市の「火の山公園」である。

 

あそこの山頂からの、関門海峡の夜景はとても綺麗なんだぞ。

それはまた、機会があったらご紹介したい。

 

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最北端の海5

僕は往々にして、あの関門橋を渡った地点から九州のドライブを開始し、そしてまた関門橋へと戻ってくるケースが多い。

 

僕にとって関門海峡エリアは、始まりと終わりの地である。

北九州のこのエリアは都市部であるが、この先九州の大自然・高原・岬などを多く巡り、そしてたくさんの思い出を胸に抱えてここへと戻ってくるのだ。

 

太刀浦埠頭から、そんな思いを込めて関門橋を振り返る。

 

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最北端の海6

それから、視線を少し西方面へと向ける。

改めて関門海峡を観察する。

 

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最北端の海7

海路には全然詳しくはないが、日本地図を見る限り、ここ関門海峡は海の交通の要所なのだろう。

 

見ていると大型船がゆっくりと前を通過していく。

あまり大きな船を見る機会がないので、新鮮な気持ちだ。

 

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最北端の海8

すぐ側には海難救助船の「早潮丸」がいる。

何か出動するような要件が発生したのだろうか?

 

…まぁ、よくわからないのでいいや。

きっとパトロールしているだけなんだと思う。

 

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最北端の海8

釣り人たちに交じって、ぼーっと海を眺める。

日の出が近づいてくる気配を感じる。

 

あれね、釣り竿を持っていないだけで、僕も釣り人だからね。

…何を釣り上げるのか、だって?

 

そりゃもちろん…、

 

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最北端の海8

太陽だよ。 

 

積まれたコンテナ越しに、少し遅めの日の出を眺めた。

赤く焼ける関門海峡の景色がステキだった。

 

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最北端の海9

 

 

最北の限界を極める

 

…ところでだ。

下記の簡易MAPを見てほしい。

 

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Googleマップなどを見る限り、太刀浦埠頭の構造は大体こんな感じだ。

 

前述の通り、厳密に九州本土の最北端に当たる部分は、一般人は入れない。

この九州本土最北端の人気が他の突端と比べてイマイチなのは、「埋立地の埠頭」・「途中までしか入れない」という2つの要素を兼ね備えていることが大きいと思っている。

 

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限界点1

たぶん、あのキリンさんが立っている当たりが最北端だ。

しかし、僕は一般人であり、キリンの飼育員でもなんでもないので、これ以上は進めない。

 

少なくとも、現時点で「景観と北限がナイスブレンドになったポイント」は踏んでいると自負している。

ギリギリまで北限に近づこうとすると、それは埠頭内部に当たるので、景観は期待できないだろう。

(2つ前の簡易MAP参照)

 

しかし、1度くらいはチャレンジしてみたい。

限界地はどんなところなのか、知っておきたい。

 

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限界点2

はい、来た。

 

厳重にゲートに守られている。

愛車と限界点のコラボ写真を撮りたかったので、素早く車を降りた。

ドアが開けっ放しなのは、何かあった場合にすぐに乗り込めるようにするためである。

 

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限界点3

キリンさんには、さっきよりかはずいぶん近づいたが、ここが限界である。

でも、自分の限界を知れてよかった。

 

このゲートの向こう側には警備員が駐在している監視小屋がある。

僕がここに愛車のパジェロ・イオを停めていたら、2人の警備員が顔を見合わせ、そしてうなずいた後にこっちに向かってきた。

 

いや、ちょっと待って。

悪いことをしようとだなんて考えていないよ。

なんだったらここ、Googleストリートビューの撮影車も普通に来ているよ。

 

…というごたくを言っている場合じゃない。

エマージェンシーだ!

 

素早く愛車に乗り込むと、Uターンしてさっさとここを後にした。

 

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限界点4

…ふぅ。

 

別に楽しくはなかったけど、貴重な体験ができた。

九州本土最北端がどんなところなのか、身をもって知ることができた。

 

まるでアメリカのショッピングモールのように、うず高く積まれたコンテナの隙間を縫うように走りながら、高揚を隠し切れない自分がいた。

 

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限界点5

 

*-*-*-*-*-*-

 

… なお、余談だが埋立地ではなく、日本の本来の地形の上での九州本土最北端」であれば、それは同じ福岡県の「遠見ヶ鼻」である。(諸説あるらしいが)

 

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遠見ヶ鼻

1990年代の半ばまでは、ここに「九州最北端」の碑もあったそうだ。

また機会があれば、僕が遠見ヶ鼻を訪問したときのエピソードをご紹介したい。

 

*-*-*-*-*-*-

 

さぁ、僕の壮大な九州ドライブは、ここから始まるんだ。

 

車中泊で九州1周。

いろんな出来事が待っているだろう。

再びここ北九州に戻ってくる頃には、ひとまわり成長できているに違いない。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

 

No:051【宮崎県】モアイの立ち並ぶ不思議ワールド!!「サンメッセ日南」に1人突撃した!

モアイ。

 

この3文字には、人類が未だに到達できない無限の神秘と、それに対する飽くなき探求心が込められていると判断した。

僕ら人類はまだまだ、モアイのことを知らなすぎる。

 

…いや、そんな戯れ言はどうでもいい。

あなたがモアイと思いっきり触れ合いたいなら、うってつけのスポットがあるからご紹介したいだけだ。

 

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サンメッセ日南へ

 

僕は、意を決してウインカーを右に出した。

 

サンメッセ日南」の存在はずいぶん前から知っている。

日本1周目から、すぐ脇をドライブで通過していて、チラリと見えるモアイに心ときめいていた。

 

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過去モアイ1

しかしな、実際に行ってみるとなると、そのハードルは途端に高くなる。

 

ましてや1人旅で、有料テーマパークに突撃するとなると、そりゃ相当なモアイ好きなのか、それともB級スポットマニアなのか。

 

ええい、ままよ!!

 

現実世界で聞いたことのないフレーズを脳内で叫ぶとともに、僕は愛車HUMMER_H3のウインカーを右に出した。

走りなれた海沿いの国道220号から、モアイの住む未知の世界へと、世界の軸が切り替わる。

 

あぁ、そうともさ。

僕はモアイ好きであり、B級スポットマニアでもあるのだ。

自分に嘘は、もうつけない。

 

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過去モアイ2

 

日本5周目においてようやく、自分の殻を脱ぎ捨てようとしている僕がいる。

 

なんか奇跡的に僕の後ろに車が5台くらい続いてサンメッセのゲートをくぐることになった。

 

みんな、きっと僕と同じ気持ちだったのだ。

その一歩がなかなか踏み出せない。

だからこそ、誰かが入るとみんなそれに続くのだろう。

 

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サンメッセ日南1

そんで入場料金は高速道路の料金所ゲートみたいな形式のところで払うんだけど、僕は左ハンドルだから、もちろんすぐに払えずにモタモタする。

 

車幅が広いので、左の座席から直接支払いもできない。

こういうときは料金所からおじさんに出てきてもらうか、自分が車から降りて料金所に行くかの2択。

 

もちろん、軽く後ろが渋滞。

大変に申し訳ない気持ちになった。

 

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サンメッセ日南2

ちなみに運転席と助手席はこんな感じ。

結構な幅。2m近くある。
 

駐車場も混雑していることを予想。

料金所からしばらく進んだところの駐車場が便利だそうだが、もっと手前にあるガラガラの駐車場の方が良いと判断。


料金所のおじさんに聞いてみた。

 

YAMA:「このすぐ脇にある駐車場のほうが無難ですかね?」

おじさん:「いや、もっと先の駐車場も空きがあるので、そちらへどうぞ」

 

それに従ったら、もう駐車場への道が擦れ違いできないくらい狭いし、対向車来るしで大変。

ようやく駐車場に辿り着いたら、満車ギリギリでまた大変。

 

狭いスペースに何度か切り返してギリギリで停めた。

あぁー…、こういうの嫌だから、多少不便でもさっきの駐車場に停めたかったのにー。

 

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サンメッセ日南3

そんなこんなで、来たぞ!

モアイ・ワールド!!

 

モアイの楽園

 

オール・ブラウンの急勾配!

ここがサンメッセ日南だ!

 

もっとも、訪れたのは年が明けてすぐのこと。真冬だ。

たぶんだけど、俳句で詠むならモアイの季語って夏だ。

冬は真逆である。モアイの本来のふるさとである「イースター島」っぽさはないかもしれないが、しょうがない。

 

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サンメッセ日南4

まずは、一番メインとなるスポットの写真を紹介しよう。

 

これがサンメッセ日南のアイデンティティだ。

7体のモアイ。

 

下は人工芝で、常緑だった。冬でも無敵な無機質な緑だった。

バックの青空に映え、「モアイ好きの聖地だな、ここは。フムフム。」と感嘆した。

 

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サンメッセ日南5

彫が深い、イケメンたち。

南国の強い日差しが、顔の凹凸を際立たせている。

ノッペリ顔の日本人である僕は、こんな顔に憧れるぜ。

 

…とまぁ、モアイを吟味したわけだが、正直ここで僕の目的は大体果たした。

700円という入園料を払っておいてアレだが、この写真を撮ることが僕の目的だったのだ。

 

もうランチの時間だし、腹減ったし、あとは適当に流す程度でいいかなって思ってしまっている僕がいる。

 

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サンメッセ日南6

とりあえず、見上げる斜面の頂上にある、あそこの展望台方面に行こうか。

「天空の塔」というらしい。

塔っぽく見えないけど、まぁいいや。行ってみよう。

 

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サンメッセ日南7

途中でも、モアイに出会った。

1人斜面で日光浴していた。

野生だ。野生のモアイだ。

 

どうやらここサンメッセ日南には、全部で10体のモアイがいるらしい。

さっき見た通り海を背に綺麗に並んでいるのが7体。

その他に、このように自由奔放に過ごしているのが3体。

 

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サンメッセ日南8

ここにも野生種。

寝ているのかなって思ったら、どちらともつかない斜め45度をキープしていた。

故郷イースター島にて、引き起こされる前の状態だったころを思い出しているのだろうか。

 

ここ、敷地は広いものの、芝生と散策路が大半を占めているな。

ゴーカートみたいのを有料で借りて園内を乗れるみたい。

 

ファミリーは、それでこの茶色い世界をブンブン「マッド・マックス」みたいなテンションで走り回っている。

僕は、1人で乗っても寂しいだけなのでパス。

 

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サンメッセ日南9

あ、ブランコある。

モアイを見ながら、この丘でブランコを漕げるのか。

「モアイの見えるが丘公園」みたいなネーミングをできそう。

 

カップルでブランコ漕いで、いずれ「デートでモアイ見ながらブランコ漕いだね、ウフフ」とか言えれば美しいのかもしれないが、僕はロンリーなのでパス。

 

ちなみにいまさら書くまでもないかもしれないが、人口はファミリーやカップルが大半を占める。

1人で来ているのなんて、僕くらいである。クソ。

 

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サンメッセ日南10

もう少し登って振り返る。

僕はモアイたちを見ているが、モアイたちも僕を見ている。

 

ホント、ここモアイと展望台と遊歩道しかないな。

逆に言うと、モアイに100%集中できる。

雑味の一切ない、モアイ・ワールドだ。

 

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サンメッセ日南11

あと、海すごい綺麗。

日南の海って、僕は日本の中でも5本の指に入るくらいに好き。

 

日南の海は、モアイによく合う。

これは紛れもない真実であると悟った。

 

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サンメッセ日南12

天空の塔のすぐ近くまで来た。

真冬だけども、この斜面を登るのは結構な運動だ。

 

そしたら、目がチッカチッカするようなカラフルな、おっさん群。

なんだこのスタイリッシュな7人のおっさんは。

 

これは「モアイと海を見るヴォワイアン」という芸術作品らしい。

調べたところ、ヴォワイアンとはフランス語で「見る人」という意味なのだそうだ。

「見る」部分が被っている気もするが、O型なので細かいことは気にしない。

 

モアイとおっさんの28の瞳が交錯するポイントを見つけて入りこみ、不可視のエナジーを浴び続けた。

 

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サンメッセ日南13

天空の塔からも、モアイと海と斜面が見えた。

見えるものはおおむねどこも同じで、その角度が違う。

 

そして再び斜面の中腹。

「ふれあい牧場」というスポットが唐突にあった。

ロバ・牛・ヤギなどの牧場系の動物がいる。

 

まぁ写真の通り、ロバは僕にふれあおうとはさらさら思っていないらしい。

大丈夫、どこまでも僕は一人旅。

種田山頭火」と同様、「咳をしても一人」。

 

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サンメッセ日南14

敷地内にはレストランもあったが、ちょっと食指は動かなかった。

どっか別の場所で海鮮でも食べようかな。

 

モアイに別れを告げ、駐車場へと戻る。

 

長年気になっていたスポット。

個人的に一生に1回でいいかなって感じた。

しかしこれは「来なければよかった」と思ったがゆえの表現ではない。

一生に1回の貴重な経験にとどめておきたいと思ったからだ。

 

車に乗り込み、またまたメッチャ狭い駐車場と園内通路をギリギリで抜けて、僕は国道220号の南下を再開した。

 

 

なぜモアイはそこに立つ

 

なんで宮崎県の「日南海岸」にモアイが立っていたのか。

奇をてらったB級スポットだったのだろうか。

 

モアイ設置に至る経緯は、サンメッセ日南のWebサイトに詳しく書かれている。

 

www.sun-messe.co.jp

 

要約してご説明しよう。

 

それは昭和の終わりごろのこと。

イースター島のモアイは内乱とか「チリ地震」の影響で倒され、見るも無残。

貴重な遺跡なのに。

 

残念がった四国のクレーンメーカーの人が、「このクレーンでモアイを起こす」と立ち上がり、いろいろ頑張ってモアイは修復された。

たぶんこの功績もあって、モアイは世界遺産に登録されたのだ。

 

イースター島の長老会は、これに感謝して世界で唯一、「日本だけモアイを復刻していいよ」って許可を出した。

サラッと書いたけど、この長老会の許可ってマジですごいことなのよ。

 

※たぶん、いつか宮城県南三陸町のモアイのところで、また同じような話をすると思うが。

 

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宮城県南三陸町のモアイ

無事に長老会から許可を取れたことで、「日南海岸のあそこって、モアイに似合いそうじゃない?」ってなり、サンメッセ日南ができたのだ。

 

ヘンテコなスポットだと思われるかもしれないが、あれは正式なモアイだ。

正式なモアイは、イースター島と日本でしか見れない、メッチャ貴重なものなんだ。

 

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それを数100円で堪能できたのだから、すごくありがたい話だ。

モアイマニアにとっては、感涙もののスポットだと思う。

 

もちろんマニアじゃなくっても、なんか面白い。なんか自慢できる。

そんなユニークなスポットだ。

 

 

最後に、2018年秋に交付開始された、宮崎県の「地方版図柄入りナンバープレート」をご紹介する。

 

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おわかりだろうか?

一番左端に、7体のモアイがいることを。

 

もはやモアイは宮崎の象徴の1つである。

バッチリ市民権を得たと、これで僕は確信した。

 

イースター島と日本の友好の架け橋となっている、宮崎県のサンメッセ日南に今後も幸あれ!

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: サンメッセ日南
  • 住所: 宮崎県日南市宮浦2650
  • 料金: 大人800円(2020年現在) 
  • 駐車場: あり
  • 時間: 9:30~17:00